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研修を活かして自己研鎖を続ける

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Academic year: 2022

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研修を活かして自己研鎖を続ける

一 授 業 改 善 に 活 か す 教 材 研 究 の 視 点 一

国 語 科 金 森 久 貴

教育公務員特例法第21条「教育公務員は,その職責を遂行するために,絶えず研究と修養に努めなけ ればならない。」という記述にもあるように,教員は職務にあたる限り,研究と修養に努め,研修の機 会を貴重な学びの場にしていかなければならない。私にとって,平成29年度は中堅教諭等資質向上研修 を受ける機会に恵まれる特筆すべき年度である。またSGH研究大会の研究授業でも;助言者・先導者に 恵まれ,充実した教材研究を行うことができた。その際に得た学び,知見,課題と問題意識について記 し,今後の自己研鎖の糧,他の先生方にとっての気づきのきっかけとなることを企図して紀要とする。

今回は,教科指導を中心にまとめる。

キ ー ワ ー ド : 授 業 改 善 教 材 研 究 中 堅 教 諭 等 資 質 向 上 研 修 S G H 研 究 大 会

1 . は じ め に

今年は教員生活も10年以上を数え,迎えた中堅教 諭等資質向上研修の年であった。平成29年度は日々 の授業や教育活動に追われ,追求できていなかった 自らの在り方を,特に授業の在り方について見直し ていく一年にしたいと位置付けていた。

年度当初に立てた目的と目標は以下の通り。

【目的】自主的に学び,自律的に思考・判断する 力を持った生徒を育てる。

【目標】生徒の思考が活発化し,四技能が定着し,

磨かれるような授業づくりを実践する。

2.中堅教諭等資質向上研修

中堅教諭等資質向上研修「教科指導等」の研修の 一環として,教材研究と研究授業を行った。教科は 国語総合(現代文),対象学年は一年生である。

(1)目標達成の手だて

教授型から探究型へと教科指導を見直していく。

ソロワークを起点としたペアワーク,グループワー

クを取り入れ,授業内にアクティブラーニングの視 点を取り入れる。

これまでの自分自身の授業を振り返ると,典型的 なチョーク&トークの授業であり,生徒の受動的な 授業参加を強いている状況があった。まずは生徒の 活動,付けたい力を中心とした視点を持つことが大 切だと考えた。

中堅教諭等資質向上研修では,年度当初に自己評 価シートを提出する機会があったが,その際の自己 評価として「生徒の学力保証に不安がある」「学習 意欲をかきたてる授業ができない」ことを課題とし て挙げた。この課題を克服することが目標達成のた めには必要だと考えた。

(2)授業準備

中堅教諭等資質向上研修では,9月〜12月の間 に要請訪問という形で指導主事が参観する授業を行 う。事前の準備として,4回の研修日が設定され,

またその研修日に向けて,授業案や授業のビデオを 用意するなどの課題が課されていた。どのような授

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業を目指すかということを複数回,指導主事や他校 の国語科教諭と相談し,指摘を受けることができる 機会は大変貴重なものだった。

以下に研修のうち「教科指導等」の日程を記す。

7 月 2 8 日 ビ デ オ 発 表 と 協 議 8 月 2 日 指 導 案 の 検 討 ・ 改 善 8月7,8日模擬授業・協議

8 月 2 5 日 指 導 案 ・ 教 材 作 成 の た め の 協 議 さて,生徒に付けたい力を考えた時,一年生の授 業で要請訪問を行う予定であったため,四技能のう ち「読む力」を主眼とした計画を立てることを考え た。「読む力」が定着していることが,自主的・自 律的な学習の基盤になるとの思いからである。

要請訪問以前の,4月〜7月の授業では,シンキ ングツール(関西大学黒上晴夫教授による実践)を 授業で扱い,文章を構造的に読むこと,根拠を明確 にして読むことの経験を積んで,二学期に入ってい る。これについては『高校教育研究第68号』で記さ れた岡の実践を取り入れている。

「教科指導等」の研修の内,ビデオ発表でも,「読 む力」を付けることを主眼に置いた授業について発 表した。その際,校内では「生徒が受け身になって いる時間が多い」「本時の問が簡単すぎて自分でで きる」という指摘,協議では「目標が生徒に共有さ れているのか確認していない」「生徒の意見を活か

して展開できていない」という指摘を受けた。

上記の指摘箇所を改善することを意識し,模擬授 業・協議を行った。その際には「主発問の練り方」

「大事なことを生徒にしゃべらせる授業展開」「授業 に区切り・くさびを入れて活動を整理する必要」な ど助言された。

ここまでの指摘をまとめると以下のようである。

・生徒が主体的に行動できる授業設計,声掛け

・発問の精選,改善

・生徒の意見を取り入れて授業を展開していく力 この部分が改善されるように,指導案・教材作成

を行った。具体的な事案選び,発問の精選が主な準 備となった。

(3)授業実践

高等学校国語総合現代文編[改訂版](三省堂)

採録の「情報の『メタ』化」を読解し,身に付けた 力を活用することを授業の内容とした。

まず,教材を読解し,次に読解で得られた知識や 視点を活かして答える発問・課題に取り組むように 授業計画を構成した。発問・課題は 新聞記事を社 説にすることは情報の高次化である と書かれてい たことの実践とした。扱う新聞記事は,生徒が意識 しやすく,意欲的に取り組めると考え,「衆議院総 選挙後の新聞記事」とした。題材の特性上,客観的 かつ多様な視点から書かれた記事を,各クラスに配 布されている新聞の中から選んだ。

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(栄徒が書き込んだワークシート)

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の授業を校内の公開授業としたが,そこでは「授業 のねらいが伝わってこない」「生徒がどう活動して よいか迷っている」「目的と活動がつながっている のか」という指摘を受けた。

課題を解決し,授業を改善していくためにも,生 徒同士をつなげ,横のつながりを大切にする意識を 持ち,子供たちを活かす方法を考えていきたい。

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3 研 究 大 会 の 研 究 授 業

2017年ll月18B,第4回SGH研究大会(於金沢大 学附属高校)で研究授業を行った。教科は漢文,対 象学年は二年生である。

(1)目標達成の手だて

中堅教諭等資質向上研修で学んだ授業設計の中か ら,「問」を活かして授業を活性化しようと考えた。

漢文は現代日本では使われない,授業や考査の点数 に関わるだけのものだという認識を変え,視野を広 げ,柔軟な思考を助けるものだと意識付け,主体的 に漢文学習に臨むマインドセットを整えたい。

(使用した新聞記事の抜粋)

※生徒が切り抜いて掲示しているものを使用した。

「読む力」を身に付けたことを評価するための課 題として,大学入試問題小論文から,新聞社説を読 み比べて意見文を書く問につなげ,授業内で記述の 要素が満たされているか,確認した。

(2)授業準備

研究授業を実施するにあたり,金沢高校の伊井昌 彦教諭に依頼し,授業のねらいや設計について助言 をいただいた。

対象とする単元は思想。学んだ諸子百家の文章 エピソードを活かしてグループワークを行うことを 周知し,題材となる文章の読解意欲を高めることを 意図した。

グループワークの形式,グループワークを行う際 の発問が,生徒が意欲的に取り組むためのポイント になると考え,いくつかのパターンを考えた。

①合従策・連衡策のいずれかの立場でデイベート

②漁父と屈原の生き方を現代風にアレンジして討論

③諸子百家で議論するロールプレイ

などを原案として挙げたが,伊井教諭の助言を受け (4)成果と課題

教授型の授業からの脱却を図る意図は一貫して持 ち続け,生徒に付けたい力,発問を中心に授業を構 成することができた。今後教材研究をしていく上で 必要な視野を持つことができた。」

一方で,授業整理会で上がった課題としては,「何 をさせたかったのかが散漫」「社説を書くための事 前の知識を付けさせていない」ことが指摘された。

辻智子担当課長からは「グループ活動をさせて教員 がファシリテーターに徹する時は,珠玉の問を用意

しなければならない」点を指摘された。;

また,要請訪問に先立って他クラスで行った同様

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て,生徒の活動の明確化,話し合いのしやすさ,授 業内容が広範に活かされている実感を与えることな どを考慮し,「若者の政治離れを中国思想の視点で 解決しよう」という発問で,儒家・道家・法家・墨

家の立場に立って提案を考える,とした6

(3)授業実践

授業は以下の手順でジグソー法を活用して行った。

①儒家・道家・法家・墨家それぞれのグループで話 し合い,発問に対する改善策を提案する。

②儒家・道家・法家・墨家それぞれが一人ずつのグ ループを作り,どのような改善策が提案されたか 発表・共有し,質疑を交わす。

③最初に話し合ったグループに戻り,儒家・道家・

法家・墨家の立場を離れて改善策をより良いもの にするための話し合いを行う。

「若者の政治離れ」については,関連する資料を 公益社団法人明るい選挙推進協会のホームページよ り抜粋して配布した。そのことで話し合いの出発点 を明確にした。

(参考資料の一部抜粋)

側 成 果 と 課 題

SGH研究大会の授業整理会には生徒が出席し,参 観者の質問に答えた。以下は質疑応答の一部。

Q:授業の目標がどこまでアチーブされたのか。最 後のまとめとして,各個人でまとめる展開だっ たが,全体でクリテイカルに議論したくなかっ た?

A:はい,ある程度の答えがみえたらより良かった と思う。

Q:個々の解決方法はどのようなものを見出したか。

A:思いやりの心を芽生えさせるために為政者が国 民の立場にたって考える。国民は政策に関する 教育を受け,問題意識をもつために他国の情勢

を学ぶ,地域の課題を知ることで投票にいくの ではないかと考える。(儒家)

A:知識のあるものが好き勝手をしないように,物 事の優劣をなくそう。地方と都市の格差をなく

し,地方にいる若者の政治への関心を高める。

(道家)

A:選挙に行かない人に罰を与える。,実際オースト ラリアで実施されていた。→90%投票率。しか し,知識のある人がいかないと意味ない→政治 という教科をつくり,テストで満点取れるまで

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(授業で使用したワークシート)

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再テストというシステムをつくる。(法家)

A:他国のことを知り,他国の立場にたって自国を みつめなおすことで自国の課題がみつかる。そ の課題を解決するにはどうしたらいいかを若者 に考えさせ,選挙に関心をもたせて投票率を上 げるj」(墨家)

また,参観者からは「生徒が授業外での学習をし っかりしてきている。」といった感想もあがった。

今回の授業ではグループワークを個々人が内面化 することでまとめとしたが,質疑応答の中にもあっ たように,今回の内容の場合,クラス全体に議論の 輪を広げる選択肢もあったjそのことは選択肢にも 上らず,意識できなかった。ファシリテーターとし て,展開に応じて臨機応変に生徒の活発な活動を助 けることができれば,より良い成果が生徒に実感さ れたかもしれない。これは今後の課題である。

その一方で,生徒の感想には「中国思想が現代の 課題を考える時に活かせると考えてもみなかった」

「思想をそのまま使うことはできないが通じる部分 はあった」などという言葉もあり,漢文と現在の社 会との間につながりを見出すきっかけ作りはできた のではないかと考える。

また,伊井教諭からは,漢文に発問の視点を持つ こと自体がまず大切だということ,その意識が本文 の読み解きに終始しがちである普段の授業にも,学 びの意義を見出す糸口になると激励していただいた。

4.今後の指導にあたり

今年度は授業案,授業そのものを見てもらい,助 言をいただく機会に恵まれた年であり,上記の授業 を練り,構成していく中で,自分自身の指導につい て視野の狭さ,展開力の不足など,多様な課題が見 つかったことが,自己研鎖のための気づきになった と言える。助言いただいた方々や,協議した同僚に 感謝したい。

この他者からの視点,客観的指摘は,時間や仕事

量などの制約で,普段得られるものではない。その ため,研修と研究授業を経た今,意識しなければな らないことは,これらを自律的に行っていくこと,

自主的な振り返りや反省ができるような客観的視点 を自ら持ち続けることである。そのためにも,指導 の記録をつけること,成果と課題を『見える化」す ることは必要不可欠だと考える。研究と修養を常に 意識し,今回の紀要も今後の教員生活の糧としたい。

参照

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からである웖 웑 웗 。そしてもしそうだとするなら,この 自己知覚 は私たち 人間にのみ可能なものであり,