長崎大学教育学部自然科学研究報告第24号29‑36 (1972)
塩素核の核四極共鳴吸収とSi‑Clの対称伸縮振動との 相関関係におけるヘキサクロロダイシランの異常性
浜田圭之助・森下浩史
長崎大学教育学部化学教室 (昭和47年10月51日受理)
Anomaly of Hexachlorodisilane in the Correlation between Chlorine NQR and SiCl Symmetrical
Stretching Frequencies
Keinosuke HAMADA and Hirofumi MORISHITA
Chemical Laboratory, Faculty of Education, Nagasaki University, Nagasaki
(Received Oct. 31 , 1972)
29
Abstract
Hexachlorodisilane shows the abnormal behaviour in the correlation bet‑
ween chlorine NQR and SiCl symmetrical stretching frequencies of SiCl3 for ClSiCl3, FSiCl3, Cl3SiOSiCl3) Cl3SiN(H)SiCl3 and Cl,SiSiCl3
This anomaly does not seem to depend upon chlorine NQR frequency, but upou SiCl symmetrical stretching vibration frequency. Because vsSiCl fre‑
quency of Cl3SiSiCl3 deviates far from the expected region, but chlorine NQR frequency exists at reasonable region. The reason for the deviation of vsSiCl of Cl3SiSiCl3 may be coupling between Si‑Si stretching and Si‑Cl stretching vibration.
The chlorine NQR frequency of F3SiOSiCl3 can be predicted to be 19.92
MHz from the above correlation, which did not appear in NQR measurement.
50
浜田圭之助・森田浩史緒 目
ダイシロキサンおよびダィシラゼンの,ハロゲン誘導体の振動スペクトルを測定した結果,
H
ヘキサクロロダイシロキサン,Cl3SiOSiCl3および,ヘキサクロロダィシラゼン,C13SiNSi・C13はD34対称の選択則に従い,トリクロロトリフルオロダイシロキサン,Cl3SiOSiF3は,
C3.対称の選択則に従う。
ヘキサクロロダイシラン,C13SiSiCl3の対称は,D34であると報告されているが4),著者 達の測定したc1、SiOSiCl、の振動スペクトルは,C1、SiSiC13のものと,極く一部を除き,極
めてよく類似している。
これら一連の化合物の,塩素核のNQRの平均値をン、Sic1の振動数に対してプロットした ところ,Cl3SiSiCl3の挙動が異常であることが分った。
この異常性および,c】3siosic13と,Cl3SiSiC13との振動スペクトルとの,一部の不一致 について考察した。
実 験
Cl3SiSiC13とCl3SiOSic1。は,市販品を購入した。Cl3SiOsiF3は,文献1)にしたがっ
H
て,触媒としてSbC1。を使用して,C1。SiOSiC13を弗素化して合成した。Cl。SiNSiCl。にっ いては,文献2),5)にしたがって,一75。cで,室素で稀釈したアンモニアとSiCl、を反応
させて合成した。
ラマン・スペクトルは,Ar+あるいはKr+レーザーを用いたレーザ・ラマン分光光度計で 測定した。赤外スペクトルは,Perkin−Elmer521で測定した。光学物質はKRS−5を使用し たので,約500傷一!以下は,測定の範囲外である。C13SiSiCl3のラマン・スペクトルは,文献
4)のデータを引用したが,念の為,He−Neレーザーを利用したR−500分光光度計でも測定
した。
NQRは,超再生方式のスペクトロメーターで,一196。Cで測定した。
結果および考察
Cl3SiOSiCl3の振動スペクトルは,すでに発表されている4−7 。著者達の測定したスペク トルは,文献4)のものとよく一致しているが,文献4)の高感度におけるスペクトルの590,
428および4920ガー)のバンドは現われなかった。(図1参照)Cl3SiSiC13はD34対称である4 。
H
C13SiOSiC13,C13siNSiCI3およびH3siOSiH3のようなSi−x−Siタィフ。の分子も,すで
に分光学的に研究されている8『一一)。
これら分子がC、.対称だとするものもあるがD。切対称とするものもある。
H
著者達の測定した,cl3SiOSic13およびCl3si:NSiCl3の振動スペクトルは,D3αの選択則 に従っているように思われる一2)一3 。
これら振動スペクトルは,C、.〔既約表現,7ハ,(R,p l IR)+442(R,dp)+6β,(R,dp l IR)
+4B、(R,dp;IR)〕*一)とすることはできない。スペクトルが簡単過ぎるし,ラマン・スペク トルとIRスペクトルとの振動数の一致が見られず,対称心を持っていると考えざるを得ない
塩素核の核四極共鳴吸収とSi−c1の対称伸縮振動との相関々係における ヘキサクロロダイシランの異常性
51
からである。 (表1参照)
P多52 (a)
(b)
152
P626 595
212
一・一一・…一/、、一一_一__隔_ノ、一一一_ノ\一ノ 、,一一
P626
ll595P492
212 Pう90 Pう52 1う2
姻l a l
(c)
700 600 500 』oo 500 200 100 0 図1 Cl3Sis玉Cl3のラマン・スペクトル
(a)
(b)
(c)
著者による液体のスペクトル(ノ)
著者による液体のスペクトル(⊥)
文献4)の高感度スペクトル(ノ)
表1
分子の対称および選択則O_ ノ0
ター〇一哉くζ8
/(\○・一黄 51−Oo/ さb
○、、 、 ●
プ}o→く
0
/\O−S4 訂・●d占 や
D3d D3飯 ¢2ザ
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C3 ¢5恥一
・奨
,1β_.4b
0 \5! 畠一。
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ρ 一 、 十 、、 、
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IRR
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IRR
IRR m
R IRムユ ラ o(P)
一
曾Aユ 5 9(P) 噂 貞 7 9(P) 8 轟 6 9(P) a
A
7 8() &1
8 ) aAlu
1
一 購 且11
一 一 轟2 尊 a(dp 一 A2 =し 齢 噂 E 7 9(dp) 9 A瞬 8 幽(dD) a直2
0
一 一0
一 繍 B1 6 a(aD) a 豊 7 9(dp) aA2u う 一 9
2
5 一 a B2 尊 9(do) aE9 ラ 8(dD〉
一
E
毎 a(dp) aEu 尊 騙 a
E
5 8(dp) 鴨表2 CI3SiOS三Cl3,C13SiN(H)SiC13,C13SiOSiF3およぴCI3SiSiCl3の 基準振動の対称種,選択則および振動の帰属
Si(X)Si str.
A−g Sicl str.
SiCl3 def.
A!初IT・rti・n
A2脳
Eg
E%
S圭(X)Sistr.
Sicl str.
Sic13 def.
S圭CI str.
Sic13 def.
SiCI3 rock.
Si(X)Si bend。
Sicl str.
S玉Cl3 def.
SiCl3 rock.
Cl3SiOSic13
D3σ
Raman
pワ28vw
p422vs
P540m
615w 220ms
155v s
IR
1150vs 4ワ2s 550m
(0)
625vs
( )
( )
Cl3S量N(H)Sic13 D3α
Raman
p741w P475vs P555vs654w 215vs 150vs
IR
1199vs 460vs
570m
751s 607vs
( )
( )
C13SiSiCl3 D34
Raman
p626w P552sIR
P152ms
595w 212w 124m
464s 245ms
615vs 179m 75vvw
D34
Raman P626w
P492vvwPろ52vs
595w 212w 152ms
IR
464s 245ms
615vs
179m
ワ5vvw
Species メ
臨.
A一
A1
A一
A2
A一
A一
A!
E
E E E E E
ESiOSi str.
Sic! str.
Sic13 def.
Tortion
SiOSi str。
SiF str.
SiF3 def.
SiCl str.
SiCl3 def.
Sic13 rock.
SiOSi bend.
SiF str.
SiF3 def.
SiF3 rock.
C13SiOSiF3
C3り
Raman p668w
P455vsP511w
(0)
P895ms
P540m
618w 218s 152vs 405vw 1005vw 295w
1ワワvw
IR 661w 448ms
(0)
1146vs 892s 555m 615s
( )
( )
400s 998vs 284w( )
(0)二測定できなかったバンド, ()=赤外活性であるが,測定の範囲外, (X)=0またはNH
Cl3SiOSiCl3はArザルー一・ラィンで測定きれたものであるが,その附近のラィンと間違って測定されたもののようである。(依頼測定)
最近の測定値と若干の相違があることが判明したので訂正した。従って,図2のc13SiOSiC】3の位置は若干左に寄るが,本論文の本質
に変わるところはない。
9
箔
田
睡
鼓
溜
灘田
諮 海塩素核の核四極共鳴吸収とSi−Clの対称伸縮振動との相関々係における 55 ヘキサクロロダイシランの異常性
C13SiOSIF3は,両端のグループSiCl3とSiF3が違うので,その対称は,直線形の場合c3,
折線形の場合C,であるが,C,〔既約表現,15!(R,P;IR)+8A (R,dp;IR)〕*1)とするに は,全バンド数は勿論,(p)バンド数も非常に少ない。 したがってC3。と考えざるを得ない。
表2に上記化合物の振動スペクトルの最も妥当と思われる対称に従った帰属,対称種,選択 則を記載した。
振動の帰属にあた6ては,簡単な分子で,グループSiC1、やSiF。を持っているところの FSiCl3やclSiF3の振動スペクトル14)!5)を参照した。
観察された振動スペクトルは,表1に示すように,それぞれの選択則に従って矛盾すること なく説明できた。しかし若干の結合音,倍音によると思われるバンドが完全に帰属されていな いが,若しかりに,之等のバンドが基準振動によるものと考えても,D34をCa,に,またC3.
をC,には到底考えられない。
何故ならば,D3 をC2。とするには,ラマン,赤外の交互禁制の成立を説明することができ ないし,C3.をC、とするには,倍音などを,基準振動と考えても,なお,ミッシング・バン
ドが多過ぎる。
表3 Cl−NQR周波数(平均値),レ、SiCl周波および力の定数
NQR (MHz)
レsSiCl(cm皿!)
×10−5(dyne/cm)
Force Const.
Cl●SiCl3
20.59
422
2.52
C』SiOSiCl3
(19.92)
422
2.06
CI3SiOSiCI3
19.85
459
2.5ワ
F●SiCI3
19.75
465
HC13SiNSic13
19.65
475
2.50
2.52C13SiSic13
19.29
552
(49ワ)
1.11
(2.16)
()内の数値は図2の直線から求めた。
表5に,SiCl3グループを含む若千の化合物のC1−NQRの平均周波数*2),16一19)Si−Clの対称 伸縮振動の振動数およびSi−Cl結合の伸縮振動の力の定数を示している。この力の定数は,
x−S乞(X−0,NH)を一つの粒子と仮定して,(x−Si)一Clの二体間の振動として, 測定振動 数を基にして概算したものであち。
*1)参考までに,0舗とC3。の既約表現を挙げておく。 (表1参照)
∠)34, 5/1一σ(R,p)十5!霊2%(IR)十5Eg(R,dp)十4瑞(IR)
C3⑳,6・4i(R,P;IR)+ワE(R,dp;IR)
*2)CI3S量OSiF3のCl・NQRは測定できなかった。こ.れは一1960Cで,同化合物が,ガラス状になるた めであるかも分らない。しかし,図2から,同分子のンsSic1,(P)455cm『一を基にして,同分子の NQR周波数は19.92MHzと推定きれる。この値は,C13SiOSiC13のNQRの周波数19.85MHzと 比べて妥当な値と思われる。
FSiC13とCISiC13のNQR周波数の関係と,F3SiOSiC13とC13SiOSiC13のそれとを比べてみる と,周波数が逆の関係になっている。前者の関係の場合,F原子の大きな電気陰性度のため,FSic13 は,F}Si=Cl÷タィプの共鳴構造となり,Cl原子のF原子による置換により,NQR周波数が減少す
る。
一一方,後者の場合には, F原子置換が起るにも拘わらず,Si−0−Siの架橋構造のため, F原子が SiCI3におよぽす影響のうち,共鳴構造の役割が小さく,単に,F原子の方向に,電子を引き寄せ,
Si−C1結合の共有性を増すのみとなり,F置換により・,NQR周波数は増加するものと考えられる。
54
浜田圭之助・森田浩史SiC14のSi−Cl結合の力の定数は2.59dyne/cm20),Cr3SiSiCl3のSi・C五のそれは2.60dyne
/cm6)である。したがって,表2の化合物のSi・Cl結合の力の定数の概算値は,C13SiSiCl3 のものを除いて妥当な値である。
^20.5
畠
邑∂
ゆ
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鵠5
一
〇
20●0
19.5
19.0
CISIC1
F5Siosユc15 む
l C15S10Sic15 8 FSユC1 9 う ロ
: Cユ5SiN(H)SIC15 :
監 ロ
牙一一 幽† 一。 d・多SiSic・5
C:し SiSic:し
5 5 0
重 塵一1 1 Cm
550 匙00 耳50 500 祐SiC1
図2 Cl−NQR周波数とレsSiC1振動数との相関々係
図2に示されるように,C1・NQR周波数と,Si・C1対称伸縮振動の振動数との相関関係にお いて,c1。SiSiCI。は異常な挙動を示している。図2に示している一連の化合物において,
NQR周波数は僅かの差を生じている。此の差は,化合物のSiCl結合のイオン性の僅かの差を 反映しているもので,NQR周波数は,それぞれ合理的な値であると思われる。
したがって,C1。SiSiC13の異常性は,NQR周波数ではなく,S鮎C1振動数の方に原因があ るのではないかと思われる。
以下に,このことについて考察をすすめてみる。
Si・CI対称伸縮振動(!1,σ),レ、SiClおよぴ,Si−Cl非対称伸縮振動(ば42%),レα3SiCl……レ、SiC1 は通常,420〜620cm一・の範囲に現われる。*3)2一)そして異った対称種に属する類似の振動モ ードは,大体,同じ波数領域に現われるものである2一)。
H
C13SiOSiC13,C13SiNSiC13および,Cl3SiOSiF3のン8SiC1(49)は455〜475cm一1領域に,
*5)実際に,レ3S韮C1(49)は,表1に示すように,450 一500cmdの領域に現われている。文献7)に,
C13SiSiCl3の624cm4のバンドを,レ3SiC1に帰属しているが,之は,ンsSi−Siに帰属すべきもので あろう。著者は,レsSiC1モードの振動数が,420−460cm一一の領域に出現するとする文献21)は,
文献7)が624cm4を,誤ってレ8Sic1に帰属したことに,まどわきれたのではないかと想像して いる。
塩素核の核四極共鳴吸収とSi−Clの対称伸縮振動との相関々係における 55 ヘキサクロロダイシランの異常性
そしてツαsSiC1(・4、%)は,448〜465cm一『一領域に現われている。しかしながら,C1、SiSiCl。の 場合には,レαsSiC1バンドは一般に予想される464cm一1に現われているにも拘わらず,ン、SiCl バンドは,予想される領領より,はるかに小さい552cm一1に現われている。
・4−9ン,SiClと!1脳レ。,Sic1のバンドの波数は,大体同じ附近に現われるという原則からし ても,この場合のレ、SiClのバンドの周波数は低すぎる。
図2の直線から,C1、SiSiC1、のNQR周波数が正しいものとして求めたレεSiClの波数は,
497Cm,一で,あらゆる点に照らしてみて,妥当な値である。
そして,此のン、SiC1の値,497cm4を用いてC13SiSiCl3のSi−Clの力の定数を概算する と,2.16dyne/cmとなり,レ、Si−C1の力の定数として,大体,満足すべき値となった。(表2
参照)
SiCl3対称変角振動(!吸,9)………このバンドは,強度が大か,中程度であって,通常この 種化合物では550cm甲1附近に現われる。しかも,これは(P)バンドである。 したがって,
C1、SiSiC1、の,強度の大きい(P)552cm一一バンドは,レ、SiClではなくして,SiCl3対称変 角振動の可能性の方が強い。
SiCl3横ゆれ振動(Eg)………このバンドは,Cl3SiOSiC1、など一連の化合物では,150cm一1 附近に現われる。強度は可成り強い。
そして,このバンドは,常に20cm一一前後はなれた位置に,弱いシ・ヨルダーを持っている。
Cl。SiOSiCl.の場合,156cm}1に対して182cmロ1,G3SiOSiF3の場合,152cm一!に対して H
177cm一一,Cl3SiNSiCl3の場合,150cm 1に対して146cm一一の如くである。
C13SiSiC13の場合,152cm嚇1に対して140cmp!に同様のバンドが見られる。すなわち,
C13SiSiCI3の152cmqバンドは,バンドの形から,まずργSiC13(Eg)の可能性がある。
文献4)では,一応,この152cm バンドを, (P)バンドとしているが,図1に見られ るように,偏光解消度からは,(P)バンドか(dp)バンドか断定できない。むしろ,はっき り(dp)バンドと断定されているC1。SiOSiCl。の156cm一一バンドの偏光解消度も同程である ことから,この152cm一1も(dp)バンドと考えることは不自然ではない。
そうすると,このバンドは,δ、Sic13(。%)に帰属するより,ρ.Sic13(Eσ)に帰属した方が よいかも分らない。
以上の考察のもとに,著者はC1。SiSiCl3の振動スペクトルを,表1の第6欄のように帰属
した。
結 論
C13SisiC1。のレ,SiClの振動数が,類似化合物のそれに比して異常に低く,そのために,此 の化合物がNQRとレ、Sic1の相関々係における異常性を示したものと思われる。
この相関々係から,NQR周波数を正しいものとして求めたレ、SiC1の振動数は492cm 1で ある。此のようにして求めた497cm一一は,文献4)では,非常に弱い(P)バンドとして測 定されている。 (実測値は492cm贈1)
492cmp一をン,SiC1に帰属することによって,Cl3SiSiC13の上記の相関々係における異常性 は解決できた。同時に,文献4)でレ、SIC1に帰属されていた(P)552cm−1(vs)バンドを δ,SiCl、に,δsSiCl3に帰属されていた152cm冒1(ms)バンドをρ7SiCl、に帰属したが, その
ような帰属ができることの合理性も,十分,説明できた。また文献4)のρ。SiCl。の124(m)バ
56
浜田圭之助・森田浩史ンドは,152cm噛一のショルダーと考えられることはすでに説明した。しかしながら,文献4)
の帰属は,NQRとの対比がない限り,当然の帰結と考えられるし,上記以外の点では,著者 は文献4)の解釈に,全く同意するものである。
C13SiSiC1。の上記の相関々係における異常性が解決できた点,ソ、Si−C1の力の定数も妥当な 値となる点,また,そうすることによって,δ、SiC1。およびρ.SiCl3の振動数も妥当な値にな った点などから,492cm一1バンドをン、SiClに帰属したことは,合理的と思われるが,唯一の 難点は,測定された,492cm一1バンドが非常に弱いことである。これが,552cm一1の,非常 に強いバンドが,ン、Sic1に帰属された理由でもある。
此の原因として,Si−Si伸縮振動とSi・Cl伸縮振動のカッフ。リングが考えられるが,今後の 研究課題である。
CISi−x−Sic13タイプの分子の対称については,P34(直線形)とc2。(折線形)が考えられる が,著者の測定したスペクトルでは.D。αに従うとしか考えられない。文献4)では,中心の
x原子(又は基)のない,cl3sisicl。を対象としているので,si−x−si関係の振動スペクトル は当然,測定されないのと,いま問題になっているン、SiClなどの帰属の相違を別にすると,
Cl3Si・X・SiC13とCl3SiSiC13の振動スペクトルは酷似している。後者がP3慮であることと考 え合わすとき,Cl3Si−X−SiC13も03認対称である可能性は,非常に濃厚である。
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