Diffuse large B-cell lymphoma における 細胞周期関連タンパク質発現の
免疫組織化学的検討
昭和大学医学部第二病理学教室
梅村 宜弘 本間まゆみ 塩沢 英輔 矢持 淑子 瀧本 雅文 太田 秀一
要約:Diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)は,悪性リンパ腫において最も多い組織亜型 で,臨床的および腫瘍生物学的にきわめて多彩な腫瘍であり,さまざまな予後因子や予後予測 モデルが提唱されている.DLBCL は,通常 Ki-67 陽性率が 40%以上と高く,高悪性度リンパ 腫とされている.Ki-67 は細胞増殖マーカーのひとつで,多くの腫瘍において悪性度や予後と よく相関することが知られている.細胞周期の進行は,ユビキチン−プロテアソーム経路によ るタンパク質分解により調節されている.Skp2 は主に p27 などの細胞周期の抑制分子を標的 としてユビキチン化を行うタンパク質で,Skp2 の過剰発現は細胞周期回転を促進し,腫瘍の 発生や増殖速度と関連があるとされている.今回われわれは,DLBCL における細胞周期関連 タンパク質の発現を免疫組織化学的に検討し,subtype との関連や臨床病理学的特徴を解析し た.対象は,昭和大学病院で診断された DLBCL 33 例で,男性 17 例,女性 16 例,年齢は 47 歳〜 93 歳で,年齢中央値は 76 歳であった.33 例を CD10,MUM1,Bcl-6 の免疫組織化学的 染色を用いたアルゴリズムにより,germinal centre B-cell like(GCB)type と non-germinal centre B-cell like(non-GCB)type に亜分類した.また,Skp2,p27,Ki-67 の免疫組織化学 的染色を行い,それぞれ低倍率視野で陽性率の最も高い部分を求め,高倍率(対物 40 倍)で 3 回カウントし,1 視野同一面積あたりの腫瘍細胞全体における陽性細胞数の割合を算出した.
DLBCL 33 例において,Skp2 高発現(50%以上)例は 10/33 例(30%),p27 低発現(50%未満)
例は 13/33 例(39%),Ki-67 高発現(60%以上)例は 15/33 例(45%)であり,Skp2 高発現 例では Ki-67 の発現が有意に高かった.p27 と Ki-67 および Skp2 と p27 の発現については統 計学的関連は認められなかった.33 例を亜分類した結果,GCB type は 13 例(39%),non- GCB type は 20 例(61%)であった.GCB type 13 例においては,Skp2,p27,Ki-67 の発現に,
統計学的関連は認められなかった.Non-GCB type 20 例においては,Skp2 高発現例で Ki-67 の発現が高い傾向があった.p27 と Ki-67 および Skp2 と p27 の発現については統計学的関連 は認められなかった.GCB type と non-GCB type の subtype 間の比較では,non-GCB type に高齢患者が多い傾向がみられた.Skp2,p27,Ki-67 の発現についてはいずれも統計学的有 意差は認められなかった.DLBCL において,Skp2 高発現群では Ki-67 の発現が有意に高く,
DLBCL の腫瘍細胞における細胞周期の進行に Skp2 が関与していることが示唆された.Skp2 の高発現は細胞増殖周期の亢進状態を反映していると考えられ,DLBCL の増殖性と悪性度を 考えるうえで有用な指標のひとつになると考えられた.
キーワード:DLBCL,Skp2,p27,Ki-67,細胞周期
Diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)は,「正 常マクロファージの核と同等あるいはそれ以上,あ るいは正常リンパ球の 2 倍以上の大きさをもつ大型 異型 B 細胞がびまん性に増殖する腫瘍」と定義さ れ,欧米では成人非ホジキンリンパ腫の 25 30%を
占める1).日本では,悪性リンパ腫の 33.3%2),非 ホジキンリンパ腫の 48.2%3)〜 62.8%4)を占め,悪 性リンパ腫において最も多い組織亜型である.
DLBCL は,臨床的および腫瘍生物学的にきわめて 多彩な腫瘍であり, さまざまな予後因子や予後予 原 著
測 モ デ ル が 提 唱 さ れ て い る.Hans ら は,DNA microarray と免疫組織化学的染色を用いた方法で,
腫瘍細胞の発生母地により,germinal centre B-cell like(GCB)type と non-germinal centre B-cell like
(non-GCB)type に分け,non-GCB type は GCB type と比較して予後不良の subtype と報告している5). DLBCL は,通常 Ki-67 陽性率が 40%以上と高く,
高悪性度リンパ腫である1,2).Ki-67 は,病理診断や 研究において最も汎用されている細胞増殖マーカー で,多くの腫瘍において悪性度や予後とよく相関す ることが知られている.Ki-67 は細胞周期において,
G0 期 を 除 く G1 S G2 M 期 で 発 現 が 認 め ら れ6), Ki-67 を発現している細胞は細胞増殖周期に入って いるということを表している.
細胞周期は S 期,M 期,G1 期,G2 期,G0 期の 5 相からなり,ユビキチン プロテアソーム経路に よる厳密なタンパク質分解により調節されてい る7).ユビキチン プロテアソーム系によるタンパ ク質分解経路には,ユビキチン活性化酵素,ユビキ チン結合酵素,ユビキチンリガーゼといわれる三つ の酵素が関与している.このなかで,ユビキチンリ
ガーゼは標的タンパク質の識別という最も重要な 役割を担っている7,8).細胞周期の進行は,主とし てサイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase;CDK)複合体によって正に制御され,逆 にその活性を抑制するサイクリン依存性キナーゼ阻 害タンパク質(CDK inhibitor;CKI)と呼ばれる 分子群によって負に制御されている9).近年ユビキチ ンリガーゼ複合体の一種である anaphase promoting complex/cyclosome(APC/C)と SCF 複合体が細 胞周期の制御に関与していることが示された8).こ れらはどちらも多分子複合体であり,その基本構造 はよく似ているが,M 期中期から G1 期後期までは APC/C が,G1 期後期から M 期前期までは SCF 複 合体が制御している.SCF 複合体は Skp1,Cul1,
F-box タンパク質,Rbx1 の四量体から構成される 複合体である.S-phase kinase-associated protein 2
(Skp2)は,SCF 複合体の一つであり,p27 を含む CKI の分解を誘導するタンパク質で,Skp2 が p27 を分解することにより細胞周期の増殖サイクルにす すむことが知られている.Skp2 の過剰発現は細胞 周期回転を促進し,腫瘍の発生や増殖速度と関連が
Table 1 Charactaristics of the Diffuse large B-cell lymphomas
=33 (%)
age median 76 y/o
range 47‑93 y/o
sex male 17 (51.5)
female 16 (48.5)
site lymph node 15 (45.5)
cervical 7 (21.2)
inguinal 3 (9.1)
supreclavicular 1 (3.0)
abdominal 1 (3.0)
unknown 3 (9.1)
extra lymph node 18 (54.5)
small intestine 5 (15.2)
tonsil 3 (9.1)
abdominal tumor 3 (9.1)
subcutaneous tumor 2 (6.1)
nasal tumor 2 (6.1)
others 3 (9.1)
subtype Germinal centre B-cell like (GCB) type 13 (39.4)
Non-germinal centre B-cell like (non-GCB) type 20 (60.6)
Table 2 Clinical data, immunohistologies and in situ hybridazion of the Diffuse large B-cell lymphomas caseagesexsiteCD10BCL2BCL6MUM1EBERsubtype(by Hanss Methods)Ki-67 expression(%)Skp2 expression(%)p27 expression(%) 179Minguinal LN+++−−GCB64.657.489.8 277Fskin−−−+−non-GCB63.926.448.7 374Fileum−+/−++NDnon-GCB62.450.067.1 490Mileum−+/−++−non-GCB41.629.139.5 548Fcervical LN−+/−−+NDnon-GCB71.013.667.6 684Mcervical LN−+++−non-GCB82.157.518.9 753Fabdominal tumor+++−NDGCB66.36.324.8 882Fileum++/−NDND−GCB51.621.168.6 984Finguinal LN−+−+−non-GCB70.150.470.6 1071Fabdominal tumor+−+−−GCB80.640.512.6 1187Msubcutaneous tumor−+/−+−−GCB34.827.975.0 1285MLN++NDND−GCB48.760.860.1 1389Mcervical LN−−++−non-GCB57.722.7 4.1 1482MLN−+++−non-GCB32.442.569.2 1575Mabdominal LN−+−+−non-GCB76.977.388.8 1674Mtestis−+/−−+−non-GCB75.274.125.7 1785Mtonsil−++/−+−non-GCB65.90.6623.5 1876Mrenal pelvis tumor−+−+−non-GCB51.546.224.5 1975Fsmall intestine−−+−−GCB74.079.893.2 2084Fcervical LN−+/−+/−+−non-GCB54.437.771.6 2153Mcervical LN−+−+NDnon-GCB71.356.967.3 2265Mcervical LN++++−GCB56.69.897.5 2385Mnasal tumor+−++−GCB50.041.220.5 2462FLN+/−++−−GCB23.915.269.1 2577Fsubcutaneous tumor−+−+−non-GCB48.046.050.6 2693Mduodenum, bulb−−+/−+NDnon-GCB22.78.567.3 2774Fsupraclavicular LN−+−+−non-GCB50.727.56.5 2847Finguinal LN++ND−NDGCB76.442.869.3 2973Ftonsil−+++−non-GCB46.653.565.1 3068Mcervical LN++++/−−GCB43.748.054.4 3159Mabdominal tumor−+++−non-GCB38.446.929.3 3262Ftonsil++NDND−GCB40.519.064.9 3378Fnasal tumor−+++−non-GCB91.638.545.9 LN, lymph node; EBER, Epstein-Barr virus encoded RNA in situ hybridaization; GCB, germinal centre type; ND, not done
Table 3 Correlation between Skp2, p27 and Ki-67 expression in DLBCL Ki-67 expression(%)
<60(%) ≧60(%) P-value
=33 18(55) 15(45)
Skp2 expression(%)
<50 16(89) 7(47) *0.0086(0.02)
≧50 2(11) 8(53)
p27 expression(%)
<50 6(33) 7(47) 0.4351(0.4928)
≧50 12(67) 8(53)
p27 expression(%)
<50(%) ≧50(%) P-value
=33 13(39) 20(61)
Skp2 expression(%)
<50 11(85) 12(60) 0.1327(0.2455)
≧50 2(15) 8(40)
P-Value: χ square test (Fisher s exact test)
あるとされ10),前立腺癌11)や肺腺癌12)など多くの 癌において,Skp2 高発現ないし p27 低発現が腫瘍 の予後や悪性度と相関したと報告されている.
DLBCL においても,Skp2 高発現例は予後不良で あるとの報告があるが13‑15),p27 の発現と予後との 関係についての報告13,14,16,17)は一定しておらず,
さらに GCB/non-GCB type の subtype との関連に ついての報告はわずかである14).
今回われわれは,DLBCL における細胞周期関連 タンパク質の発現を免疫組織化学的に検討し,
subtype および臨床病理学的特徴との関連を明らか にすることを目的とする.
研 究 方 法
対象は,2009 年 1 月から 2011 年 9 月までに昭和 大学病院で WHO 分類(2008 年第 4 版)1)に基づい て診断された DLBCL 33 例で,男性 17 例,女性 16 例,年齢は 47 歳〜 93 歳,年齢中央値は 76 歳であっ た.33 例を CD10,MUM1,Bcl-6 の免疫組織化学 的染色を用いたアルゴリズム(Hans 法)5)により,
GCB type と non-GCB type に 亜 分 類 し た.CD10 は胚中心 B 細胞に陽性を示すマーカーで,腫瘍細 胞が胚中心 B 細胞由来であることを最も確実に証
明する抗体である.Bcl-6 は B 細胞の分化マーカー で胚中心に相当する分化段階を反映すると考えられ ている.MUM-1 は非胚中心性マーカーで活性型 B 細胞や形質細胞などの胚中心後の B 細胞分化最終 段階に発現する分子である.CD10 が陽性を示す症 例は Bcl-6,MUM-1 の染色性に関わらず GCB type と診断した.CD10 陰性/Bcl-6 陰性の場合には non- GCB type とした.CD1O 陰性/Bcl-6 陽性を示す場 合,MUM-1 陽性なら活性型 B 細胞由来を示唆し non-GCB type とし,MUM-1 陰性なら Bc1-6 陽性 所見を反映して GCBtype と診断した18)(Table 1).
33 例のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片 を用いて,Skp2(polyclonal,1:1000,Santa Cruz),
p27(clone 1B4,1:100,Novocastra),Ki-67(clone MIB-1,1:200, DAKO Cytomation)の一次抗体と EnvisionTM(DAKO ChemoMate)を使用して免疫 組織化学的染色を行った.パラフィン切片を脱パラ フィン処理後,抗原賦活処理として,抗原賦活化液 pH9(ニチレイ)を用いて 98℃ 40 分間マイクロ ウェーブ照射を行った.その後,3%H2O2で 5 分間 反応させ内因性ペルオキシダーゼの除去を行い,各一 次抗体を 4℃で一晩反応させた.続いて ENVISION kit ポリマー試薬(DAKO)と室温で 40 分間反応
Table 4 Correlation between Skp2, p27 and Ki-67 expression in DLBCL GCB type
Ki-67 expression(%)
<60(%) ≧60(%) P-value
=13 8(62) 5(38)
Skp2 expression(%)
<50 7(87.5) 3(60) 0.2522(0.5105)
≧50 1(12.5) 2(40)
p27 expression(%)
<50 1(12.5) 2(40) 0.2522(0.5105)
≧50 7(87.5) 3(60)
p27 expression(%)
<50(%) ≧50(%) P-value
=13 3(23) 10(77)
Skp2 expression(%)
<50 3(100) 7(70) 0.2794(0.5280)
≧50 0(0) 3(30)
P-Value: χ square test (Fisher s exact test)
Table 5 Correlation between Skp2, p27 and Ki-67 expression in DLBCL non-GCB type
Ki-67 expression(%)
<60(%) ≧60(%) P-value
=20 10(50) 10(50)
Skp2 expression(%)
<50 9(90) 4(40) *0.0191(0.0573)
≧50 1(10) 6(60)
p27 expression(%)
<50 5(50) 5(50) −(>0.999)
≧50 5(50) 5(50)
p27 expression(%)
<50(%) ≧50(%) P-value
=20 10(50) 10(50)
Skp2 expression(%)
<50 8(80) 5(50) 0.1596(0.3498)
≧50 2(20) 5(50)
P-Value: χ square test (Fisher s exact test)
させた後,Diaminobenzidine Tetorahydrochloride
(DAB)で発色させ,ヘマトキシリン染色で核染色 を行った.
Skp2,p27,Ki-67 それぞれについて,低倍率視 野で陽性率の最も高い部分を求め,高倍率(対物 40 倍)で 3 回カウントし,1 視野同一面積あたりの Fig. 1 Expression of Ki-67, Skp2 and p27. Skp2 expression correlated with
Ki-67 in non-GCB type. No.6, 84years, male, cervical lymph node, non- GCB type.
Fig. 2 Comparison between GCB type and non-GCB type. There was no cor- relation in expression of Skp2, p27, Ki-67 between GCB type and non- GCB type. No.30, 68 years, male, cervical lymph node, GCB type.
No.25, 77 years, female, subcutaneous tumor, non-GCB type.
腫瘍細胞全体における陽性細胞数の割合を算出し,
DLBCL における細胞周期関連タンパク質の発現お よび DLBCL の subtype との関連を検討した(Table 2).
統計学的解析は,χ2検定および Fischer の直接 検定法を用い,いずれも p 値が 0.05 未満を統計学 的に有意差ありとした.
結 果
DLBCL 33 例において,Skp2 高発現(50%以上)
例は 10/33 例(30%),p27 低発現(50%未満)例 は 13/33 例(39%),Ki-67 高発現(60%以上)例は 15/33 例(45%)であった.Skp2 高発現例は Skp2 低発現例に比べ,Ki-67 の発現が有意に高かった(P
=0.0086).p27 と Ki-67 の発現および Skp2 と p27 の発現については,それぞれの発現傾向に統計学的 関連は認められなかった(Table 3).
Hans 法による DLBCL の subtype は,GCB type 13 例(39%),non-GCB type 20 例(61%)であった.
GCB type 13 例において,Skp2,p27,Ki-67 の発 現に,統計学的関連は認められなかった(Table 4).Non-GCB type 20 例においては,Skp2 高発現
例で Ki-67 の発現が高い傾向があった(P=0.0191)
(Table 5,Fig. 1).p27 と Ki-67 の発現および Skp2 と p27 の発現については,それぞれの発現傾向に 統計学的関連は認められなかった.GCB type と non-GCB type の subtype 間の比較では,non-GCB type に高齢患者が多い傾向がみられた(P=0.049).
Skp2,p27,Ki-67 の発現については,いずれも統 計学的有意差は認められなかった(Fig. 2,Table 6).
考 察
細胞周期の進行は,ユビキチン プロテアソーム 経路によるタンパク質分解により調節されている.
CKI のひとつである p27 は細胞周期の抑制分子と して S 期への進行を制御しており,p27 の分解は細 胞周期の進行に重要である10).Skp2 は主に p27 な どの CKI を標的としてユビキチン化を行うタンパ ク質で,G0 期から細胞周期への再進入を促進し,
細胞増殖を開始させる7).細胞増殖周期に入った細 胞は,Ki-67 を発現する.
今回われわれの検討において,Skp2 高発現例で は Ki-67 の発現が有意に高く,DLBCL における細 胞周期の進行に Skp2 が関与していることが示唆さ Table 6 Correlation between DLBCL subtype and various clinical and
pathological parameters
GCB(%) non-GCB(%) P-value
=33 13(39) 20(61)
Age at diagnosis(years)
<70 6(46) 3(15) *0.049(0.10)
≧70 7(54) 17(85)
Sex
Male 6(46) 11(55) 0.61(0.72)
Female 7(54) 9(45)
Skp2 expression(%)
<50 10(77) 13(65) 0.4665(0.7006)
≧50 3(23) 7(35)
p27 expression(%)
<50 3(23) 10(50) 0.1220(0.1595)
≧50 10(77) 10(50)
Ki-67 expression(%)
<60 8(62) 10(50) 0.5154(0.7221)
≧60 5(38) 10(50)
P-Value: χ square test (Fisher s exact test)
れた.これは DLBCL において Skp2 と Ki-67 の発 現が相関する13,14,16,17)というこれまでの報告と一致 していた.DLBCL における Skp2 と p27 の発現に ついては,負の相関を示すという報告14)があるが,
両者には関連がないとする報告13,17)もある.今回 のわれわれの検討では,Skp2 と p27 の発現につい て統計学的関連は認められなかった.これは,p27 の分解に Skp2 以外のさまざまな因子が関与してい ることを反映していると考えられた.また,DLBCL の腫瘍細胞における細胞周期の調節において,Skp2 が p27 の分解以外の機序で関与している可能性も 考えられた.
Uddin らは,GCB type では non-GCB type と比 較して Skp2 の発現が高く,p27 の発現が低かった と報告している14).われわれの検討では,GCB type においては,Skp2,p27,Ki-67 の発現に統計学的 有意差は認められなかったが,non-GCB type にお いては Skp2 高発現群で Ki-67 の発現が高いという 傾向がみられたことから,DLBCL の腫瘍細胞にお ける細胞増殖への Skp2 の関与は non-GCB type に おいてより強い関連性があると考えられた.
関らは DLBCL において Skp2 高発現群は Skp2 低発現群に比較し生存率が有意に低く,また DLBCL を含む B 細胞性リンパ腫の治療において著しい予 後改善をもたらした抗 CD20 抗体 rituximab 投与を 行っても,Skp2 高発現群は低発現群に比して予後 改善効果がみられず予後不良であったと報告してい る15).一方,再発・難治性の多発性骨髄腫の治療薬 として近年使用が認められたプロテアソーム阻害剤 である Bortezomib を DLBCL の細胞に投与するこ とによって Skp2 の分解および p27 の蓄積がなされ アポトーシスが誘導され細胞増殖が抑制されたとい う報告14)もあり,Skp2 とユビキチン プロテアソー ム経路は DLBCL の治療の標的となり得る可能性が ある.
今回われわれの検討において,DLBCL において,
Skp2 高 発 現 例 で は Ki-67 の 発 現 が 有 意 に 高 く,
DLBCL における細胞周期の進行に Skp2 が関与し ていることが示唆された.Skp2 の高発現は細胞増 殖周期の亢進状態を反映していると考えられ,
DLBCL の増殖性と悪性度を考えるうえで有用な指 標のひとつになると考えられた.
文 献
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IMMUNOHISTOCHEMICAL ANALYSIS OF THE CELL CYCLE-ASSOCIATED PROTEINS IN DIFFUSE
LARGE B-CELL LYMPHOMA
Yoshihiro UMEMURA, Mayumi HOMMA, Eisuke SHIOZAWA, Toshiko YAMOCHI-ONIZUKA, Masafumi TAKIMOTO and Hidekazu OTA
Second Department of Pathology, Showa University School of Medicine
Abstract Diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) is one of the most common lymphoid neo- plasms, characterized by heterogeneity in the clinical, immunophenotypic, and genetic features. The pro- liferation and progression of neoplastic cells are known to be closely related to abnormalities in various positive and negative cell-cycle regulators. Skp2 positively regulates the G1-S transition by promoting degradation of the cyclin-dependent kinase inhibitor p27. Skp2 is frequently overexpressed in a variety of cancer cells and has been implicated in oncogenesis. In this study, we performed immunohistochemi- cal analysis of the cell cycle-associated proteins, Skp2, p27, and Ki-67, in 33 patients with diffuse large B- cell lymphoma (DLBCL), and evaluated the correlation between the clinicopathological characteristics and the expression levels of these proteins. In 33 patients, Skp2 expression was correlated with Ki-67.
The patients also were classified into two groups according to the so-called Hans classifier : Germinal centre B-cell like (GCB) type and non-GCB type. Skp2 expression correlated with Ki-67 in the non-GCB type, but not in the GCB type. There was no significant correlation between Skp2 and p27, or p27 and Ki-67. It was suggested that Skp2 is a valuable marker for predicting proliferation of neoplastic cells in DLBCL.
Key words: DLBCL, Skp2, p27, Ki-67, cell cycle
〔受付:1 月 11 日,受理:1 月 24 日,2012〕