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コンクリート構造物に対して亜硝酸イオンを用いた鉄筋

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Academic year: 2022

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(1)平成27年度土木学会関西支部年次学術講演会. 第Ⅴ部門. 腐食鋼材に対する亜硝酸イオンの腐食抑制作用 京都大学 ○学生会員 本田 正和 正会員. 山本 貴士. 1. 研究目的. 正会員. 高谷 哲. フェロー. 宮川 豊章. 表 1 実験要因一覧. コンクリート構造物に対して亜硝酸イオンを用いた鉄筋. 試験体名 NC0 NC0.5 NC1.0. 腐食抑制対策を行う場合,すでに内部鋼材が腐食している 可能性が考えられる.そこで本研究では,腐食鋼材に亜硝. 腐食方法 塩水浸漬. NO2-/Cl0 0.5 1.0. 分極試験 1 1 1. 表面分析 1 1 1. 酸イオンを作用させた時の腐食抑制効果について分極試験 により確認し,腐食生成物層の変化を表面分析を用いて観 察することで,腐食鋼材に対する亜硝酸イオンの腐食抑制 作用を考察した. 2. 実験概要. (a) NC0. 2.1 供試片. (b) NC0.5 写真 1 塩水浸漬試験後. (c) NC1.0. 供試片は 10×10×1.5mm の鋼板(SS400)を使用する.こ れを表面研磨した後脱脂処理を行い,塩化物イオン濃度 10kg/m3 に調整した塩水に 2 週間浸漬して腐食させ,その 後 1 週間気中に存置することで腐食生成物を供試片表面に 定着させた.. (a)NC0. 2.2 実験要因. (b)NC0.5 (c)NC1.0 写真 2 亜硝酸イオン作用後. 実験要因は亜硝酸イオン濃度とし,亜硝酸イオンを作用 させるものについては腐食促進に用いた塩化物イオン濃度. ードを用いた表面電位測定を行った.. に対してモル比0.5および1.0となるように調整した. また, 3. 実験結果および考察 比較用に亜硝酸イオンを作用させないものも用意した.実. 3.1 供試片の表面の変化. 験要因一覧を表 1 に示す.なお,亜硝酸イオンは亜硝酸リ. 塩水散布により腐食させた直後と亜硝酸イオンを作用さ. チウム水溶液として作用させている.. せた後の鋼板表面の様子をそれぞれ写真 1 および写真 2 に. 2.3 分極試験. 示す.亜硝酸イオンの有無に関わらずどちらも表面が黒く. 分極試験は, 腐食生成物に作用させた溶液と同じNO2-/Cl-. 変色している.これは塩水浸漬後に腐食生成物を定着させ. 比に調整した亜硝酸リチウム水溶液中で行った.亜硝酸イ. てから室内で存置していたため,室内の湿度が高く保たれ. オンを作用させないものについては,塩化物イオン濃度. ていて表面の赤さびの一部が黒さびである Fe3O4 に変化. 10kg/m3 に調整した塩水中で試験を行った.対極には銅板. したためであると考えられ,亜硝酸イオンの作用が表れた. を使用し,自然電位測定を行った後,自然電位-150mV ま. 結果であるかどうかは確認できなかった.. でカソード分極試験を行い,その後自然電位+150mV まで. 3.2 分極試験結果. アノード分極試験を行った.電位の操作速度は 60mV/min. 分極試験の結果を図 1 に示す.図中の直線は,Tafel 直線. とし,照合電極には Ag/AgCl 電極を用いている.. を表しており,その領域はごくわずかな部分であるこ. 2.4 表面分析. とが分かる.これは,分極量を大きくすると拡散律速にな. 表面分析については,目視による供試片表面の変化の観. るために Tafel 直線から外れていくためである.Tafel 領域. 察,ラマン分光法を用いた腐食生成物の定量分析,および. を見てみると,亜硝酸イオンを添加していないものに比べ. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)の AFM モードと KFM モ. て,亜硝酸イオンを添加したものはアノード電流が著しく. Masakazu HONDA, Satoshi TAKAYA, Takashi YAMAMOTO and Toyoaki MIYAGAWA honda.masakazu.74w@st.kyoto-u.ac.jp. Ⅴ- 36.

(2) 平成27年度土木学会関西支部年次学術講演会. 抑制されており,一方でカソード電流は大きくなっている. ただ,拡散限界電流は大きく変わらないように見受けられ, カソード側に分極させた初期に通常の酸素の還元反応に加 えて別の反応が生じ,分極量が大きくなるにつれて,その 還元反応が収束したと考えられる. NO2-/Cl-比の大きな NC1.0よりもNC0.5の方が大きな腐食抑制効果が得られた 理由は,分極試験の溶液に亜硝酸イオンを使用しており, NC0.5 の供試片の方が腐食生成物層の中の NO2-/Cl-比が大 きくなった可能性が考えられる. 図 1 分極試験結果 表 2 ラマン分光による定量分析結果. 3.3 ラマン分光法による腐食生成物の定量分析結果 ラマン分光法による腐食生成物の定量分析結果を表 2 に 示す.各供試片につきランダムに 3 点選択し測定を行い, その平均値を載せている.亜硝酸イオンを作用させていな い NC0 では Fe3O4 はかなり少なく,腐食生成物層はほとん ど γ-FeOOH により形成されていることが分かる. 一方で,. イオンや塩化物イオンなど様々な要因の影響が考えられる. 亜硝酸イオンを作用させたものは,亜硝酸イオンの添加量. が,亜硝酸イオンを作用させる前には γ-FeOOH の安定環. が多いほど Fe3O4 の量が大きくなっている.亜硝酸イオン. 境であったと考えられる.その状態の腐食生成物層に亜硝. が作用すると,塩水浸漬により生成した β-FeOOH や. 酸イオンが作用し, Fe3O4 が安定に存在できる環境になった. γ-FeOOH が亜硝酸イオンを含む水溶液に溶け出し,還元さ. ことを考えると,亜硝酸イオンが Fe3O4 と γ-FeOOH の間. れると考えられる.その後,亜硝酸イオンが塩化物イオン. の平衡状態に関与する可能性があると考えられる.. の競合イオンとして作用し, Fe3O4 の安定性を高めるために. 4. 結論. 再酸化される際に Fe3O4 が生成しやすいものと考えられる.. 本研究で得られた主な結果をまとめて結論とする. 1) コンクリート中の pH 低下や塩化物イオンの影響で鋼. 3.4 SPM による表面電位測定結果 SPM による表面電位測定結果を図 2~4 に示す.NC0 は. 材が腐食した場合,FeOOH 系さびの安定環境であるた. -0.7~-0.8V の電位を示す領域が多くなっており,NC0.5 や NC1.0 では 0~-0.2V の電位を示す領域が多く,亜硝酸イオ. め腐食生成物としてはFeOOHが大きな割合を占める. 2) γ-FeOOH に亜硝酸イオンを含む水溶液が作用すると,. ンが作用したものは全体的に表面電位が貴化していること. 亜硝酸イオンが水酸化物イオンおよび塩化物イオンの. が分かる.電位が卑になるという状態は,電子が放出され. 競合イオンとして作用し,Fe3O4 が安定しやすい環境と. る反応が生じていることを表している.そのため,亜硝酸. なり Fe3O4 の割合が大きくなると考えられる.. イオンが作用したときに電位が高く保たれているのは黒さ. 3) 亜硝酸イオンにより生成した Fe3O4 が緻密な酸化被膜. びが酸化されず安定な環境にあることを示していると考え. となり,アノード電流を抑制するため腐食抑制効果が. られる.Fe3O4 と γ-FeOOH の間の平衡電位には,水酸化物. 得られると考えられる.. 図 2 SPM NC0. 図 3 SPM NC0.5. Ⅴ- 36. 図 4 SPM NC1.0.

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