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鋭敏性粘性土の簡易サクション測定に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

鋭敏性粘性土の簡易サクション測定に関する研究

東京都市大学 学生会員 ○池亀 温子 非会員 出口紗帆里 正会員 末政 直晃 株)日建設計シビル 正会員 片桐 雅明 1.はじめに

地盤を掘削してサンプリングされた試料は,掘削時の応力解放や運搬,脱型やトリミングなどによって乱れを受 ける.乱れが発生していない試料中には,負の間隙水圧(以下サクション)が有効拘束圧として作用しているが,

乱れを受けた試料中では土骨格の状態が変化し,サクションは低下する.そのため,一軸圧縮試験を行う際にサク ションを測定することによって,試験時に供試体に作用している有効拘束圧を知ることができる1).そこで本研究 では,サクションを測定することにより乱れの程度を把握し,原位置の強度予測を行い,正確な地盤特性値の測定 を可能にすることを目的としている.本報告では,藤森粘性土を用いてサクション測定を伴う一軸圧縮試験2)を行 い,一軸圧縮強度とサクションの関連性および乱れを与えることによるサクションへの影響の検討を行った.

2.サクション測定器

図-1にサクション測定器を示す.これは,ポーラスストーン・負 圧測定センサー・ペディスタル等で構成されている.また,メンブ レンフィルターは超微細孔を有するフィルターであるため,水は通 すが空気は通さない構造となっている.まずペディスタルに密閉で きる蓋を取り付け,内部を十分に脱気する.その後,真空状態のま ま脱気水を注入し,ペディスタル内部を脱気水のみで満たす.蓋を 外し,あらかじめ水中脱気しておいたポーラスストーンとメンブレ ンフィルターを空気が入らないように注意しながら設置する.内部 の負圧が

0kPa

であることを確認してから,供試体を設置し測定を開 始する.供試体はメンブレンフィルターを介してペディスタル内部 の水を吸収しようとするが,測定器内は密閉状態で体積変化しない ため,実際には水を吸収することはできず,その圧力(サクション)

だけを測定することができる仕組みになっている. 3.供試体の作製

表-1に試験ケースを示す.真空撹拌装置に試料の藤森粘性土を入 れ真空ポンプを繋ぎ,回転させながら

30

分間脱気した.その後,真 空状態を維持して脱気水を注入し,さらに脱気しながら

1

時間攪拌 を行った.尚,含水比は液性限界

(W

L

=40.2%)

1.5

倍の

80.4%

に調整 した.脱気後,直径

8cm

のアクリル容器に入れ,設定した圧密圧力 を約

5

日間かけて段階的に載荷し圧密を行った.圧密後,トリマー・

ワイヤーソー等を用いて直径約

5cm

,高さ約

10cm

に成形した.

4.再圧密・乱れ

圧密容器との摩擦によって圧密が不十分であることや,供試体 成形時に乱れを受けることが懸念されるため,再圧密を行った.

また,同時にサクション測定を行うことにより,応力解放時の挙動 を確認できる.成形後の供試体を写真-1に示すホルダーに入れ,

キーワード サクション 一軸圧縮試験 粘性土 乱れ

連絡先 〒

158-8557

東京都世田谷区玉堤

1-28-1

東京都市大学

TEL 03-5707-2202

図-1 サクション測定器

①メンブレンフィルター

②ポーラスストーン

③負圧測定センサー

④ぺディスタル

⑤供試体

④ ③

表-1 試験ケース

Case1 Case2 Case3 Case4 圧密圧力(kPa) 100 100 200 200

乱れ なし あり なし あり

写真-1 再圧密ホルダー 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑753‑

Ⅲ‑377

(2)

供試体をサクション測定器に設置し,測定を開始してから再圧密を 行った.また,同時にサクション測定を行うことにより,応力解放時 の挙動を確認した.再圧密圧力はメンブレンフィルターの耐性を考

慮し

70kPa

とした.サクションが安定したのを確認してから除荷お

よび拘束解除を行った.その後

Case2

は供試体上部にアクリル板を 触れさせて

3

分間木槌で軽く叩いて振動を与え,人工的に乱れを加 えた.各

Case

ともにサクションが安定するまで静置してから,安 定した値を初期サクションとし,一軸圧縮試験を行った.静置して いる間,供試体とメンブレンフィルターの水分の蒸発を防ぐため,

供試体付近に湿らせた脱脂綿を置きラップで覆った.

図-2

Case1

および

Case4

のサクション挙動を示す.なお,

Case3

Case1

と,

Case2

Case4

と同様の挙動を示した.全ケースにおいて 除荷時および拘束解除時にサクションは瞬間的に増加し,その後徐々 に増加した.増加量が減り安定してきたところで一軸圧縮試験を開始

した.

Case2

および

Case4

では,乱れを与えた間は一時的にサクショ

ンが減少したが,その後また徐々に増加し安定した.

5. サクション測定を伴う一軸圧縮試験3)

再圧密の除荷時からサクション測定を継続して行い,一軸圧縮試験 を行った.載荷速度は圧縮ひずみが毎分 1

%

となるようにし,軸ひずみ

15%

以上になった時点で試験終了とした.

各測定値を表-2に示す.初期サクションは,圧密圧力が大きいと大 きく,乱れを与えると小さくなる結果となった.このことから,供試 体の状態が初期サクションに表れることが確認できた.図-3に圧縮応 力・圧縮ひずみ関係とサクション・圧縮ひずみ関係を重ね合わせたグ ラフを示す.全ケースにおいて,値に差はあるものの,圧縮応力が増 加するとサクションも増加し,一軸圧縮強度に達するとサクションは 安定する傾向を示した.

Case1

Case2

を比較すると,乱れを与え

Case2

の方が一軸圧縮強度およびサクション共に小さい結果と

なった.このことから,乱れによって一軸圧縮強度およびサクショ ンが低下することが確認できる.原因として,乱れにより土骨格の 構造が変化し,有効応力が減少したことが考えられる.また,

Case1

Case3

を比較すると,より締め固められて密な状態の

Case3

方が両値とも大きい結果となった.このことから,一軸圧縮強度が 増加するとサクションも増加するため,両者の関連性を確認できる.

6.まとめ

・供試体の状態は初期サクションに表れることが確認できた.

・圧密圧力を増加させることによる一軸圧縮強度の増加に伴いサクションも増加することが確認できた.

・乱れを受けることにより初期サクションは減少し,それに伴い供試体の一軸圧縮強度も減少することが確認でき た.

【参考文献】

1)加藤正司ら:不飽和土の一軸圧縮試験時の強度特性に及ぼすサクションの影響,土木学会論文集,No.687/-56,201-2182001. 2)サクション測定を伴う一軸圧縮試験マニュアル:http://www.takamatsu-nct.ac.jp/CE/soil/qu_manual.pdf

3)出口ら:鋭敏性粘性土の工学的性質の評価法に関する研究,第7回地盤工学会関東支部発表会 発表論文集,2010.11

-14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

0 10 20 30 40

サクショ(kPa)

時間(min)

Case4 Case1

除荷

拘束解除 乱れ

図-2 サクション挙動

Case1 Case2 Case3 Case4 初期サクション(kPa) -5.38 -4.57 -6.07 -8.27 一軸圧縮強度(kPa) 57.8 48.1 82.2 72.8 最大サクション(kPa) -19.5 -16.8 -26.1 -25.3

表-2 測定値

-40-30 -20-10 010 2030 4050 6070 8090 100

-40 -20 0 20 40 60 80 100

0 5 10 15

サクション(kPa

圧縮応力σ(kPa

圧縮ひずみ ε%) Case1(圧縮応力) Case3(圧縮応力)

-40-30 -20-10 010 2030 4050 6070 8090 100

-40 -20 0 20 40 60 80 100

0 5 10 15

サクション(kPa

圧縮応力σkPa

圧縮ひずみ ε%) Case1(圧縮応力) Case2(圧縮応力)

-40-30 -20-10 010 2030 4050 6070 8090 100

-40 -20 0 20 40 60 80 100

0 5 10 15

サクション(kPa

圧縮応力σkPa

圧縮ひずみ ε%) Case3(圧縮応力) Case4(圧縮応力)

図-3 試験結果 c) Case3-Case4 b) Case1-Case2

a) Case1-Case3 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑754‑

Ⅲ‑377

参照

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