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二電極法により測定されるモルタルの電気抵抗に関する基礎的研究

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Academic year: 2022

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(1)

二電極法により測定されるモルタルの電気抵抗に関する基礎的研究

大阪大学大学院工学研究科 学生会員 ○福上 大貴 大阪大学大学院工学研究科 正 会 員 鎌田 敏郎

立命館大学理工学部 正 会 員 内田 慎哉 大阪大学大学院工学研究科 学生会員 楊 昭明 立命館大学理工学部 非 会 員 大橋 正弥 大阪大学大学院工学研究科 正 会 員 寺澤 広基

1. はじめに

本研究では,水セメント比の異なるモルタル供試体を対 象として,二電極法による計測を行い,電極形状・接触面 積が電気抵抗に与える影響について検討するとともに,四 電極法および4プローブ法の測定結果との比較も行った.

2. 実験概要

2.1 供試体の作製方法

供試体(40×40×160mm)は,水セメント比が 35,50,

65%のコンクリートをウエットスクリーニングして採取し たモルタルをそれぞれ使用して作製した.

2.2 電気抵抗の測定方法

二電極法,四電極法,4 プローブ法の 3 種類の測定方法 により測定を行った.なお,印加電圧は 30V,周波数は

73.3Hz,電極間距離は 60mm とし,いずれの手法もばらつ

きを把握するため,3回ずつの測定を行った.

(1) 二電極法

二電極法の測定状況を写真-1 に示す.交流電源装置に より電極に電圧を与えた際,シャント抵抗に加わる電圧を 交流電位差計により測定し,回路全体を流れる電流値を測 定した.この値と電圧を用いて,式(1)よりみかけの電気抵 抗を算出した.

I V

R / (1) ここで,R:みかけの電気抵抗(Ω),V:電圧(V),I:電流 (A)である.

本研究で使用した電極を写真-2 に示す.電流・電位差 電極の形状は3 ケース設定した.すなわち,φ9×30mm の 円柱型(φ9mm 電極),8×8×30mm の直方体型(8×8mm 電極),8×30×8mm の直方体型(8×30mm 電極)である.

なお,φ9mm 電極と8×8mm電極の断面積は同程度であり,

接触面の形状の違いが測定値に与える影響を把握するため のものである.これに対して,8×30mm 電極は,電極形状 が異なり,その他の電極と比較して,大きな接触面積を有 するものである.なお,この手法では,電流・電位差電極 間距離を電極間距離と定義した.

交流電源装置 交流電位差計

シャント抵抗 電極 供試体

写真-1 二電極法の測定状況

8mm 8mm

8mm 8mm

30mm

30mm 30mm

φ9mm

8×30mm電極

8×8mm電極

φ9mm電極

写真-2 本研究で使用した電極

(2) 四電極法

四電極法では,シャント抵抗に加わる電圧から回路全体 を流れる電流値を測定し,この値と電位差電極により測定 した電圧を用いて,式(1)よりみかけの電気抵抗を算出した.

電位差電極は,写真-2 に示すものを,電流電極は,

40×40×10mm の直方体型のものを使用した.なお,ここで

は,電位差電極間距離を電極間距離とした.

(3) 4 プローブ法

4 プローブ法におけるみかけの電気抵抗は,四電極法と 同様にして求めた.4 プローブ法における電流電極と電位 差電極は,写真-2 に示すものを用いた.ここでは,電流 電極間距離を電極間距離とした.

キーワード 非破壊試験,二電極法,四電極法,4プローブ法,電気抵抗,電極形状

連絡先 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1 大阪大学大学院工学研究科 TEL 06-6879-7618 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑883‑

Ⅴ‑442

(2)

3. 実験結果および考察

3.1 電極形状・接触面積が電気抵抗に与える影響

二電極法により得られたみかけの電気抵抗を,電極種類 ごとに図-1 に示す.なお,図中に示すみかけの電気抵抗 は 3 回の測定での平均値を示している.図より,水セメン ト比の違いにかかわらず,みかけの電気抵抗は,φ9mm 電

極と 8×8mm 電極で概ね同じ値となった.すなわち,接触

面積が同程度であれば,電極形状の影響は小さいと考えら れる.また,これらと8×30mm 電極とを比較すると,後者 の値が小さくなった.これは,接触面積が大きくなったこ とにより,供試体中に電流が流れやすくなったためと考え られる.

3.2 各種測定方法により得られる結果の比較

各種測定方法により算出したみかけの電気抵抗を,水セ メント比ごとにわけて,図-2,3,4 にそれぞれ示す.こ こで,棒グラフの高さは 3 回の測定での平均値を,また,

エラーバーの上端および下端はそれぞれ最大値・最小値を 示している.水セメント比の違いにかかわらず,みかけの 電気抵抗は,二電極法,四電極法,4 プローブ法の順で小 さくなった.また,四電極法および 4 プローブ法では,電 極形状・接触面積が異なっても,みかけの電気抵抗は概ね 同じ値になっていることがわかる.

なお,二電極法では,四電極法および4 プローブ法と比 べて,みかけの電気抵抗のばらつきが大きくなっている.

これは,川俣らが報告 1しているように,二電極法で得ら れた電気抵抗が電極と供試体との間の接触抵抗の影響を受 けたことによるものと考えられる.しかしながら,二電極 法では,電極の接触面積が大きくなるとみかけの電気抵抗 のばらつきは小さくなる傾向となった.

4. まとめ

1) 二電極法では,電極の接触面積が大きくなると,みかけ の電気抵抗は小さくなる.ただし,電極の接触面積が同 程度であればみかけの電気抵抗は概ね同じ値となり,電 極形状による差異は見られない.

2) 二電極法は,四電極法および4プローブ法と比べて,み かけの電気抵抗およびばらつきが大きくなる.しかしな がら,電極の接触面積を大きくすることでばらつきを小 さくできる.

参考文献

1) 川俣孝治,守屋進,内藤英晴,皆川浩:セメント系材料 の電気抵抗率測定方法に関する基礎的検討,コンクリー ト工学年次論文集,Vol.26,No.1,pp.1107-1112,2004

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000

φ9mm電極 8×8mm電極 8×30mm電極

気抵抗)

電極種類

W/C=35%

W/C=50%

W/C=65%

φ

図-1 二電極法により算出したみかけの電気抵抗

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000

気抵抗) φ9mm電極

8×8mm電極 8×30mm電極

二電極法 四電極法 4プローブ法

測定方法 φ

図-2 W/C=35%供試体を対象に各種測定方法により 算出したみかけの電気抵抗とそのばらつき

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000

気抵) φ9mm電極

8×8mm電極 8×30mm電極

二電極法 四電極法 4プローブ法

測定方法 φ

図-3 W/C=50%供試体を対象に各種測定方法により 算出したみかけの電気抵抗とそのばらつき

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000

気抵抗) φ9mm電極

8×8mm電極 8×30mm電極

二電極法 四電極法 4プローブ法 測定方法

φ

図-4 W/C=65%供試体を対象に各種測定方法により 算出したみかけの電気抵抗とそのばらつき 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑884‑

Ⅴ‑442

参照

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