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錆び,塗膜付き状態での超音波有効板厚計測器の開発

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅵ-125. 錆び,塗膜付き状態での超音波有効板厚計測器の開発 三菱重工業(株). 正会員 上林正和. 三菱重工業(株). 正会員 川上善道. 新日本非破壊検査(株). 安永元則. 1.はじめに 近年、水門,橋梁などの大型構造物において老朽化が進み、錆び,腐食が進行した設備が増えている。そ れに伴って取替・整備工事が増大しており、また今後、更に増える事が予想される。しかし、鋼板に錆が付い た状態では、強度的に有効な板厚の測定が行なえず、板厚計測時の錆び取りの手間と計測精度の低下を招いて いる。そこで腐食鋼材,塗装鋼材の表面から、強度的に有効な鋼板のみの板厚を計測出来る、現場計測を重視 した「錆び,塗膜付き状態の有効板厚計測器」を開発したので報告する。 2.有効板厚計測器 2.1. 概要. 本計測器の構成を図−1 に示す。また、それを用いた計測状況を図−2 に示す。探触子寸法は、高さ 32mm, 胴部直径φ17mm,先端径φ3.5mm である。また波形表示器は、操作性を考慮して肩に下げられる位の大きさ とし、高さ 17.5cm,幅 27cm,重量 3.9kg である。 図−1 において、受信素子の位置を任意に保つために O リングとビスによって固定する。注水口から水を入 れ、水チャンバーに貯水する。水漏れを防ぐために、薄いシール膜を先端に貼り付け、注水口には止水ビスで 蓋をする。受信された超音波パルスは、ログアンプを介して、対数の波形表示が出力される。 O リング. 受信素子 上部ホルダー. 注 水 口 (止 水 ビ ス ). 下部ホルダー 水チャンバー. シール膜. 鋼板. B1. B2. 孔食(錆 ). (1)探触子による計測 図−1 2.2. (2)ログアンプによる波形表示 有効板厚計測器. 図−2. 水門実機サンプルの計測. 特徴. 腐食部材の計測は、凹凸面のため測定物表面で反射されたエコー(S)が乱波形となる。そこで、受信素子 と測定物表面を離し、S 波の乱れを小さくし、裏面の錆層と鋼板の境界エコー(B1)を分離した。B1 エコーと、 B1 エコーのうち、表面の錆層との境界で反射しさらに裏面の錆層との境界で反射したエコー(B2)間の距離 が、鋼板の 2 倍の厚さであり、この手法により、鋼板のみの板厚計測が可能となる。 鋼板と、錆,塗膜層での反射波を分離させる事で、有効板厚のみを計測可能とした。改良点を以下に示す。 ・探触子先端を細くする等の工夫により、錆び,腐食の凹凸による鋼板と探触子のギャップに起因した、超 音波の減衰を少なくした。 ・波形表示の縦軸を、ログアンプを用いて拡大し、鋼板母材と錆部から反射するエコーを分離判定できるよ うにし、また B2 エコーを検知し易くした。 (キーワード)超音波、板厚測定、有効板厚、腐食鋼材、錆び、塗膜 (連絡先)〒231−8715 横浜市中区錦町 12. 三菱重工横浜研究所 TEL045−629−1483. FAX045−629−1487.

(2) 土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅵ-125. 3.精度検証試験 3.1. 均一腐食材. 腐食・塗装状態が異なる 9 種類の試験片により、計測精度の検証を行った。断面調査をして計測範囲内の平 均板厚を求めた。試験片 No.8 についての断面調査結果を図−3 に例示する。断面調査による板厚を基準とし た、計測値の誤差を図−4 に示す。この結果から、均一腐食材の計測は±0.1mm の精度にて測定可能といえる。 なお、No.9 の表面からの測定に関しては、表面錆び層が浮いた状態で空隙が存在したため計測不能であった。 現場において、そのような錆びはハンマー等で叩いて落とし空隙を無くせば、計測は可能になると考えられる。 測定範囲 3mm. 鋼板のみ 15.67mm. 計測誤差〔mm〕. 0.4 0.2 測 定 不 能. 0.0 表面より計測 裏面より計測. -0.2 -0.4 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. :錆び :塗膜. 腐食サンプル材. (1)外観写真 図−3 3.2. (2)断面図. 図−4 腐食材の測定誤差. 腐食サンプル材 No.8 断面調査. 孔食材. 水門の実機から孔食材をサンプリングし、錆びが付いた状態にて孔食部の計測を実施した。計測限界を検証 するため、かなり腐食の進行した部材を選定した。 また、サンドブラストにより錆びを除去した後(サンプル例を図−5 に示す)、ポイントマイクロメータに よって孔食部の最小板厚を測定した。その値を基準とした、本板厚計による計測値の誤差を図−6 に例示する。 計測誤差は、孔食の直径や深さによってそれぞれ異なり、孔食径の小さなものに大きな誤差が生じた。原因 としては探触子先端と鋼板とのギャップの影響が考えられ、直径 8mm 以上の孔食で±0.5mm の誤差を確認し. 計測誤差〔mm〕. た。. 図−5 孔食サンプル材 No.1 表面外観写真. 1.5 孔食面より計測 1.0 裏面より計測 0.5 0.0 -0.5 -1.0 -1.5 孔食 ① ② ③. 図−6. ④. ⑤. 同一サンプル内の孔食の計測誤差例. (錆を除去した状態) 4.まとめ 錆び,塗膜が鋼板表裏面どちらに付いた状態でも、強度的に有効な板厚を測定することが出来る超音波板厚 測定器を開発した。測定精度は、測定面が均一腐食では±0.1mm、凹凸の激しい孔食では、孔食直径 8mm 以 上で±0.5mm にて測定可能である事を検証した。.

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