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肝細胞移植治療の実現に向けたドナー細胞採取ならびにレシピエント体内における移植細胞動態の解析に関する基礎的検討

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Academic year: 2021

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Title 肝細胞移植治療の実現に向けたドナー細胞採取ならびにレシピエント体内における移植細胞動態の解析に関する基礎 的検討( 内容と審査の要旨(Summary) ) Author(s) 許, 懷哲 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第401号 Issue Date 2013-09-24 Type 博士論文 Version ETD URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/47365 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本(国)籍) 許 懷 哲(台湾) 主 指 導 教 員 名 東京農工大学 教授 町 田 登 学 位 の 種 類 博士(獣医) 学 位 記 番 号 獣医博甲第401号 学 位 授 与 年 月 日 平成25年9月24日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第1項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 東京農工大学 学 位 論 文 題 目 肝細胞移植治療の実現に向けたドナー細胞採取ならびにレシ ピエント体内における移植細胞動態の解析に関する基礎的検討 審 査 委 員 主査 東京農工大学 教 授 伊 藤 博 副査 帯広畜産大学 教 授 古 林 与志安 副査 岩 手 大 学 教 授 佐 藤 れえ子 副査 東京農工大学 教 授 町 田 登 副査 岐 阜 大 学 教 授 丸 尾 幸 嗣 学位論文の内容の要旨 本研究はヒト初代肝細胞移植による細胞治療の前臨床研究として肝組織からの細胞分 離条件の改良と肝細胞移植治療の有効性と安全性を高めることを目的として,ラットを用 い肝細胞分離効率の向上,移植不適合脂肪肝の実験系の確立,肝細胞移植治療における投 与細胞の体内動態に関する研究を行なった。 臓器移植ドナーの不足により,肝細胞分離に使用可能な肝臓は制限され,例えば,心停 止ドナー肝または外科的に切除された肝組織しか使用できない。これらの肝組織には避け られない問題として温虚血がある。このため,細胞分離のためのコラゲナーゼ消化効率が 影響を受け,肝細胞回収率が減少してしまう。これは,温虚血時に引き起こされる微細塞 栓によりコラゲナーゼ消化が障害されるためと考えた。第1の実験では,SD ラットの肝温 虚血モデルで数種類の灌流液を使い,温虚血肝からの肝細胞回収の改善効果を検討した。 ラットの肝臓に 10 分間または 15 分間の温虚血を行い,ヘパリンまたは citrate phosphate dextrose(CPD)液を添加した Euro-Collins 液(EC 液),ET-Kyoto 液(ETK 液),または従来 の Ca2+-Mg2+-free Hank’s 液(CM-free Hank’s 液)で灌流した後に,コラゲナーゼ酵素を灌 流させ,肝細胞分離効果を検討した。10 分間温虚血群で,CM-free Hank’s 液を用いた場

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合,肝細胞回収量は 0.38 ± 0.17 × 108個に減少,非温虚血群(2.27 ± 0.53 × 108個) の 16.7 %に低下した。一方,CPD 加 EC 液を用いて灌流した場合,10 分間群では 1.41 ± 0.50 x 108個(n = 7),15 分間群では 1.37 ± 0.28 x 108個(n = 3)が得られた。肉眼所見で も,血液が良好に除去され,温虚血肝の微小循環が回復したと推測された。EC 液を ETK 液 に変更した場合,回収量は若干減少した。抗血液凝固剤については,予想に反しヘパリン は効果が見られなかった。本実験により,温虚血肝に対し CPD 加 EC 液を灌流した場合,肝 細胞回収量が高まることを示した。 さらに,温虚血時間を 30 分間と 60 分間に延長し,肝細胞分離効果を検討した。肝細胞 回収量は,前述の CDP 加 EC 液は他の灌流液より有意な上昇を示した(30 分;2.15 ± 0.38 × 108個, n = 3, 60 分;1.63 ± 0.31 × 108個, n = 5)。また,灌流終了時点の灌流液 に含まれる赤血球数は,肝細胞回収量と有意な逆相関関係を示した(n = 29, R = − 0.8437, p < 0.01)。よって,長時間の温虚血肝においても CPD 加 EC 液で灌流すると,微小循環が 改善し,よりよい脱血が行なわれ,肝細胞分離に効果的であることを示した。以上2つの 研究から,CPD 加 EC 液による灌流は,温虚血肝からの肝細胞分離に有効であることを示さ れた。 第3章では,肝の肝細胞ソースとしての NASH ドナー肝の適切性を調べるため,高脂肪 食の摂餌に streptozotocin(STZ)の投与を加え,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)ラッ トモデルを作成した。その結果,NASH ラットの平均体重は正常 SD ラットより約 20 %軽く, 血清の血糖値,アラニンアミノトランスフェラーゼおよびヒアルロン酸は有意に高い値を 示した。病理組織学所見では,典型的な NASH 病態,バルーニング,炎症細胞の侵入および 線維化を示した。インドシアニングリーン(ICG)負荷試験で,ICG の半減期は,正常ラッ トに対し,NASH ラット群で有意に延長し,胆汁排泄能の低下を示した。本 NASH モデルは 臨床の NASH 病態をよく再現し,今後,臨床医療や病態研究への活用が期待されている。 第4章では,肝細胞移植を行う際の適切な方法を検討するため,生理的状態のもとに, 門脈圧測定と投与肝細胞の肝通過を調べる方法を検討した。その結果,門脈圧に基づき, 理想的な移植プロトコルは,40 µm メッシュで濾過した2 ~ 3 × 107個/mL の肝細胞を1 mL 輸注するものを示した。しかしながら,1.72 ± 2.20 %の肝細胞は漏出した。よって,濾 過に用いるメッシュのサイズを変化させ,詳細に調べるべきと結論した。 ヒト肝細胞移植は,肝臓移植までの維持療法(bridge therapy)または代謝性疾患の補 助療法になり得ると期待されている。しかしながら,肝細胞分離などの研究には,心停止 ドナー肝または外科的に切除された肝組織ソースしか使用できない。これらの肝組織は温 虚血が避けられないため,細胞分離のコラゲナーゼ消化効率が影響を受け,肝細胞回収率 が減少してしまう。本研究では,灌流液と抗血液凝固剤の組み合わせを検討し,温虚血を 経た心停止ドナー肝あるいは外科切除肝組織からの効果的な肝細胞分離法を開発した。ま た,移植可能限界付近にある NASH ドナーの実験系および肝細胞移植のプロトコル作成に有 用な実験系を確立した。これらの動物実験系は肝細胞移植の信頼できる前臨床研究として

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役立つものと期待されている。 審 査 結 果 の 要 旨 ヒト初代肝細胞は創薬研究の他,肝細胞移植や再生医療研究などに非常に役立つ。しか しながら,肝細胞分離に使用可能な肝臓は制限され,わが国では心停止ドナー肝または外 科的に切除された肝組織しか使用できない。これらの肝組織は温虚血を受けているため細 胞分離時のコラゲナーゼ消化効率が低下してしまう。これは,温虚血時に生じる微小血栓 によりコラゲナーゼ消化が障害されると考えられる。そこでラット肝温虚血モデルで肝細 胞回収の改善を検討した。

温虚血肝に対し,ヘパリンまたは citrate phosphate dextrose(CPD)液を添加した Euro-Collins 液(EC 液),ET-Kyoto 液,そして従来の Ca2+-Mg2+-free Hank’s 液で灌流し た後に,コラゲナーゼ消化により肝細胞分離を行った。10 分間温虚血群で肝細胞回収量は 0.38 ± 0.17 × 108個(非温虚血群の 16.7 %)に低下した。CPD 加 EC 液で灌流すると 1.41 ± 0.50 x 108個,15 分間群で 1.37 ± 0.28 x 108個に増加した。さらに温虚血時間を 30 〜60 分間に延長しても CDP 加 EC 液は他の灌流液より有意に高い回収率を示した。灌流液 に含まれる赤血球数と肝細胞回収量は有意な逆相関関係を示した。よって CPD 加 EC 液灌流 により効果的な脱血がなされ肝細胞分離効率が改善すると考えられた。 次に,肝細胞ソースとしての非アルコール性脂肪肝炎(NASH)肝の適切性を調べる実験 系確立のため,高脂肪食摂餌および新生仔期 streptozotocin(STZ)投与で NASH モデルの 作成を試みた。STZ投与量に依存して離乳時生存率が25.6% (180 mg/kg), 22.8% (200 mg/kg), 19.4% (256 mg/kg)と低下した。NASH ラット体重は正常ラットより約 20 %軽く,血清の血 糖値,アラニンアミノトランスフェラーゼおよびヒアルロン酸が有意に高値を示した。病 理組織学所見では,典型的な NASH 病態であるバルーニング,炎症細胞浸潤,線維化が見ら れた。インドシアニングリーン負荷試験で NASH ラット群は有意に胆汁排泄能が低下してい た。本モデルは,今後,NASH 研究全般への活用が期待される。 最後に,肝細胞移植の適切な方法の確立のため,生理的状態での投与肝細胞の肝通過測 定法を検討した。その結果,40 µm メッシュで濾過した 2 ~ 3 × 107個/mL の肝細胞を 1 mL 輸注することが適切と考えられた。この時 1.72 ± 2.20 %の肝細胞が漏出した。よって, 濾過に用いるメッシュのサイズを変化させ,詳細に調べるべきと考えた。 本研究では,温虚血肝組織からの肝細胞分離法の改良,移植可能限界の NASH 肝実験系 確立,移植肝細胞動態解析実験系を確立し,肝細胞移植前臨床研究として多面的に検討し た。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論

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文として十分価値があると認めた。

基礎となる学術論文

1)題 目:Improvement of hepatocyte recovery in rat liver tissue subject to one hour warm ischemic injury by using citrate phosphate dextrose added to Euro-Collins perfusion solution

著 者 名:Hsu, HC., Matsuno, N., Machida, N. and Enosawa, S. 学術雑誌名:Transplantation Proceedings

巻・号・頁・発行年:45(5):1700-1703,2013

既発表学術論文

1)題 目:The effect of furosemide on left atrial pressure in dogs with mitral valve regurgitation

著 者 名:Suzuki, S., Ishikawa, T., Hamabe, L., Aytemiz, D., Huai-Che, H., Fukushima, R., Machida, N. and Tanaka, R.

学術雑誌名:Jounal of Veterinary Internal Medicine 巻・号・頁・発行年:25(2):244-250,2011

2)題 目:Cor triatriatum sinister with incomplete atrioventricular septal defect in a cat

著 者 名:Nakao, S., Tanaka, R., Hamabe, L., Suzuki, S., Hsu, HC., Fukushima, R. and Machida, N.

学術雑誌名:Jounal of Feline Medicine and Surgery 巻・号・頁・発行年:13(6):463-466,2011

3)題 目:The effect of pimobendan on left atrial pressure in dogs with mitral valve regurgitation

著 者 名:Suzuki, S., Fukushima, R., Ishikawa, T., Hamabe, L., Aytemiz, D., Huai-Che, H., Nakao, S., Machida, N. and Tanaka, R.

学術雑誌名:Jounal of Veterinary Internal Medicine 巻・号・頁・発行年:25(6):1328-1333,2011

4)題 目:A basic consideration for porcine liver preservation using a novel continuous machine perfusion device

著 者 名:Shigeta, T., Matsuno, N., Huai-Che, H., Obara, H., Mizunuma, H., Hirano, T., Uemoto, S. and Enosawa, S.

学術雑誌名:Transplantation Proceedings 巻・号・頁・発行年:44(4):942-945,2012

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machine perfusion preservation in porcine transplantatioen 著 者 名:Obara, H., Matsuno, N., Enosawa, S., Shigeta, T., Huai-Che, H.,

Hirano, T., Muto, M., Kasahara, M., Uemoto, S. and Mizunuma, H. 学術雑誌名:Transplantation Proceedings

参照

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