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「小学校社会科第6学年単元『世界の中の日本』授業モデルの開発」‐開発教育(Development Education)の教材を活用して‐

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(1)平成21年度学位論文. 「小学校社会科第6学年 単元『世界の中の日本』授業モデルの開発」 一開発教育(Development Education)の教材を活用して一. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 教育実践高度化専攻 小学校教員養成特別コース. M07339F前田潤一 主任指導教員 關 浩和 指導教員 關 浩和.

(2) 目次. 序章………………・・…・・∵…………・……………・…… …・………・・3 第1節 研究の動機と日的・…………・…・・・……・……………………・…3. 第2節 研究対象と研究方法………………・・……………………………5 第I章. 開発教育の概要とその教材. 一「新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」の場合一………6. 第1節 開発教育の概要……………・…・………………・………………6 第2節 開発教育の教材の内容 一「新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」の場合一………I0 第1I章 小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」の内容と授業の実際…・…・…・・15 第1節 小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」の内容と指導計画・…・…・…・15. 第2節 小学校社会科第6学年単元「世界あ中の日本」授業の実際………………・21 第阻章 小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」授業モデルの開発……………29 第1節 開発教育の教材r新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」の意義 … ‘・・・・…. ■・・・・・・・・・…. 一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 29. 第2節 小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」授業モデルの開発…………30. 終章…………・…・・・・… ………・……一・……・…………・・…………・37. 第1節 研究の成果………………・・………・…・…・…………………・37 第2節 今後の課題・……………・・……・・……・・……・・∴……………・38 図表・資料索引………・………・・…・・…・・……・・……………・……・・…39 主要参考文献・引用文献一覧・…・………・…………・……・・・……………・.40. 巻末資料・…………・…’・・……………・・・……’・…………・…………・42 ・研究授業遂語記録 ・社会科学習指導案(略案)一単元「世界の中の日本」実施分一. ・2・.

(3) 序章. 第1節研究の動機と目的 これまで筆者は,教育実習や連携協力校における実地研究などを通じて,学習指導実習や 授業観察などを行い,社会科授業における一般的な課題が未だ克服されていないことを強く 実感している。.様々な社会科授業に関する理論書や実践報告書によれば,知識詰め込み型の. 授業や授業者からの一方的な教授学習方法が課題として挙げられている。一方教育現場にお いては,教師用指導書にならい,小集団による情報収集,整理,紹介・報告など,表現活動 を含めた学習活動も展開されてきている。しかし,これらの学習活動は調べたことの報告に とどまっており,紹介された情報の検証や追究すべきことの吟味,紹介された情報を照らし 合わせて関係性を捉えるなどの学習活動が展開されることは少ない。この例に漏れず筆者自 身の授業実践も,教師用指導書を基にして授業計画を作成し,授業実践においては授業者が. 情報を与え,テキストの解説を行い,黒楓ヒ整理したテキスト情報をノ」トに書き取らせる というものになっていたのである。. こういった学習形態と学習活動に偏っていれば,学習者が主体的・能動的に学び,本当の 意味で社会がわかり,より公正な社会的価値判断を行っていくカが育まれることがないと反 省している。そこで,これらの課題の解決方法を考え,実践し,検証していく必要性を実感 している。. そこで開発教育の教材を活用することを考える。筆者は開発教育の教材を題材としたワー クショップに参加した経験があり,単純にその学習活動が楽しいと感じたことが一つの理由. である。開発教育との出会いは,エクアドル共和国において二年間の青年海外協力隊の活動 を終えて,日本国内にてその体験談を伝える「JICA青年海外協力隊体験談出前講座」の講師 として活動していた時までさかのぼることになる。講座の内容は,エクアドル共和国の概要 から私自身の卓球指導員と一しての活動の紹介,協力隊活動を通して学んだこと,講座参加者. へのメッセージなどで,およそ90分の講座時間を私が一方的に話すものである。もちろん内 容は主催団体の意向や講座参加者の年齢に合わせて変更を加えていたが,講師として何か物. 足りなさを感じていたのである。その時この体験談の講師を対照としてJICA兵庫が主催す る「協力隊体.験談の伝え方講座」にて,開発教育のフォトランゲージやランキングなどの学. 習活動を知り,講座の視聴者を講座に能動的に参加させる手法であることがわかる。これは 小学校における学習活動にも応用することができ,子どもの意欲や関心を高めることに有効 ではないかと本研究を進める上で気づいている。特に社会科の授業において応用できれば,. 社会科授業の持つ一般的な課題も解決され,より意欲的な学習活動が展開されると仮説を立 てたのである。. 開発教育についての詳述は研究報告書の第I章に任せて簡単な説明にとどめておくが,開 発教育とは南北間題が世界的な課題となった1960年代に,欧米諸国のNG0による海外援助 .広報・資金活動として誕生したものである。開発教育協会は,「開発教育は,私たち一人一人. が,開発をめぐるさまざまな問題を理解し,望ましい開発めあり方を考え,共に生きること. 一3・.

(4) のできる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとしている。」と定義している。この. 教材の特徴は,上述した参加型学習の活動が組み込まれている点であり,それはグループワ ークを中心として,他者との対話を促し,情報間の関係性を検討することが設定されている 点である。これらの学習活動を通じて,学習者は地球規模で取り組まなければならない課題 や問題を他人事で終わ.らせず,異なる文化に対して私たちの生活とのつながりとして考える. ことができ,小学校学習指導要領の社会科の目標にある「国際社会に生きる平和で民主的な 国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」ことにつながると考えられる。. そして,ここでは開発教育の教材の中でも「新・ワークショップ版世界がもし100人の村 だったら」を取り上げることにする。この教材は,世界の多様性や貧困問題などを人口統計 の資料から世界全体を概観できるようになっており,授業者は学習のねらいや学習時間に合 わせて,その学習内容と活動を組み合わせることができる。これは,小学校において教材と して取り上げる際の組み換え作業が比較的容易であるといえる。また社会科の学習としては,. 統計資料に基づいて数量的に物事を捉えようとする訓練になる。さらに,学習者の身近な事 象を取り上げて,学習者の経験的知識から社会を捉えることにもなる。. また本研究の動機の別の観点は,筆者は2004年4月から二年間にわたり国際協力機構青 年海外協力隊に参加し,南米のエクアドル共和国にて卓球指導員として活動した体験を教材 化することを希求していることである。このボランティア活動を通して,異文化理解に対す る心構えや生活していくためのコミュニケーション能力,生活背景を捉える洞察力,目標に. 向けて努力し続ける行動力などの重要性を実感しており,この体験を各教科・時間において 教材化し,筆者自身が子どもに伝えることは,体験のない教員が伝えるよりも,子どもにと. ってその学習内容をより身近なものとして捉えさせられることができる。そうすれば,国際 社会を舞台に活躍できる基礎となる能力をより効果的に高められるのではないかと考えてい る。しかし,研究を開始するに当たり,自身の体験をどういった観点で捉え,どの教科の, どの単元で,いかに教材化していけばよいのか手がかりすら持っていなかったのである。時. 間的な制約がある中では自身のオリジナル教材の開発を研究テーマにすることは困難だとわ かっている。このような中で目に留まったのが,小学校社会科第6学年単元「世界の中の日 本」である。この単元中においては,青年海外協力隊の活動を学習内容として取り上げるこ とができる。この学習内容の分析や授業モデルの開発を通じて得られた教材開発の視点や学. 習活動の設定の仕方を活かして,自身の体験を教材化していく際の手がかりにできると推測 する。. さらに,2008年の学習指導要領の改訂はゆとり教育からの転換を志向しており,その象徴. として,総合的な学習の時間は105時間から70時間に減少する。総合的な学習の時間で扱 われるテーマは,学校の特色にあわ芦て,国際理解,情報,環境,福祉・健康などがあり,. それぞれのテーマは関連し合っているものの,取り上げ方次第では国際理解についてほとん ど学習しないこともある。もちろん,外国語活動や道徳の時間,各教科においても国際理解 に関連する内容は取り一上げられている。しかし,それらが系統的に位置づけられ,国際社会. ・4・.

(5) で活躍する人材の育成に結びつくとは言いがたい状況にある。このような状況のもと,各教 科における国際理解の学習内容を児童にとってより身近な問題として捉えさせ,共感的理解 や問題意識を持たせ,その関係性を検討する。ような授業づくりが求められている。こういっ た観点からも,本研究の意義はあると考える。. 以上のような動機から本研究の目的を,小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」の 授業モデルの開発をすることとする。授業モデルの開発に際しては,開発教育(Deve1opment. 固ucation)の教材r新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」を活用するこ とにする。. 第2節 研究対象と研究方法 研究対象は,開発教育の教材r新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」を 活用した,小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」の授業モデルである。. 研究方法は,まず文献研究を中心に開発教育の概要を整理し,その教材噺・ワークショ ップ版世界がもし100人の村だったら」の内容分析を行う。次に,実地研究における小学校 社会科第6学年単元「世界の中の日本」の授業実践を検証する。最後に,授業モデルの開発 を行い,考察を加える。. なお,教科書と教師用指導書は連携協力校が採択していた東京書籍のものを取り上げて研 究を進めている。そして,開発教育の教材を活用した授業実践は,連携協力校における実地 研究にて次の通り行っている。. 1実施校 三木市立平田小学校 第6学年 夢組 29名 2実施時期・場所 日一時:2009年2月26日(木) 第5校時13:45∼14:30 場所:6年夢組 3単元名「世界の中の日本」. 第2次第1時r世界の平和と日本の役割一世界の現状を知ろう一」. 一5・.

(6) 第I章 開発教育の概要とその教材 一「新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」の場合一 第1節 開発教育の概要 開発教育とは,南北間題が世界的な課題となった1960年代に,欧米諸国のNGOによる海 外援助広報・募金活動がきっかけとなり誕生したものである。日本における開発教育の展開 を中心に,開発教育に大きな影響を与えたと思われる出来事とあわせて,次の表1「開発教 育のあゆみ」(「開発教育ってなあに?開発教育Q&A集〔改訂版〕」(特定非営利法人開発教. 育協会,2004年8月1目)より筆者作成)で示す。 表1開発教育のあゆみ 年. 1960年代. 内容. 場所一. 欧米諸国. NG0によるアジア・アフリカ諸国海外援助広報・募金活動と国 内におけるキャンペーン活動を行う。. 1970年. 国連総会. 「すべての国が開発についての国民理解を深める努力をするこ. と」が国連総会で求められる。これを受けて,ユニセフ(国連 児童基金)などが独自に開発教育に取り組むようになる。. 1979年. 日本. 国連広報センター,国連大学及びユニセフ駐目代表事務所の共 催により東京で「開発教育シンポジウム」が開催される。. 1980年. 日本. 開発教育シンポジウムの参加者を中心に,r開発教育研究会」が 発足。. 1982年. 日本. r開発教育協議会(現・開発教育協会)」発足。この後,毎年r開. 発教育全国研究集会」を行う。開発教育の日本に導入に際し, .ユネスコのr国際教育」や英米のグローバル教育も紹介される。. 1989年. 世界. ベルリンの壁崩壊。東西問題から南北間題へ注目先が移行。新 しい学習指導要領・(平成元年)で「国際理解」「国際的視野」「国. 際人」を強調。日本のODA額が世界一になる。. 1990年代. 日本. 外務省の資金協力を得て「開発教育セミナー」「全国開発教育担. い手会議」を毎年開催するようになる。開発教育の担い手が青. 少年団体や国際協力NG0のみならず,学校教員,地域の国際交 流協会,環境・人権・ジェンダ]などのNPO,公民館など行政 社会教育へと広がる。. 1980年代. 日本. 日本国内にてアジア,アフリカ諸国を支援するNGOが設立さ. から19倉0. れ,その広報活動と同時に開発教育活動が充実される。. 年代. 開発教育の独自教材の先駆けとなるスライド教材「地球の仲間 たち」(開発教育を考える会)が開発される。. 全002年. 日本. 開発教育協議会が設立20周年を迎え「特定非営利法人開発教育 協会」となる。. ・6・.

(7) 世界. r持続可能な開発のための教育(醐ucationおr Sustainab1e. Deve1opment,以下ESD)」のヨハネスブルグ・サミットにお いて提唱され,2005年からの10年間を「持続可能な開発のだ めの教育の10年」とすることが決定される。E S Dは人権教育 や平和教育をも包含する幅広い概念であり,貧困,人口,健康,. 食料などをメインテーマとしてきた開発教育の内容が含まれて いる。. このように開発教育は,その時代の移り変わりに合わせてその活動内容や目的を変化させ てきており,ユネスコの国際教育やグローバル教育,市民教育や持続可能な開発のための教 育などと関わりあいながら活動を行ってきている。 特別非営利法人開発教育協会(以下開発教育協会)では,開発教育を「私たち一人一人が,. 開発をめぐるさまざまな問題を理解し,望ましい開発のあり方を考え,共に生きることので きる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとしている。」(下線は筆者による。)もの. と定義している。この定義中の下線部にあるように,開発教育の活動において重要なことは, そのワークショップに参加した学習者が開発教育のめざす活動目標や「問題を理解し」,「考 え」,そこへの「参加」を促すことである。開発教育ではこの学習活動を「参加型学習」とい. う言葉で表している。この参加型学習のもとになったのは,国際開発におけるPRA (Participatory Rura1Appraisa1参加型村落調査法),PLA(Participatory Leaming and. Action 参加型学習行動法)である。これは村落の開発において主体となる者がその地域に 「参加する」ことで問題解決を行っていくというものである。その関わろうとする対象に「主. 体的・能動的に関わる」という意味で「参加型」と呼ばれていると考えられる。ここでは参 加型学習を,学習者が主体的・能動的にワークショップや授業に参加する学習活動という意 味でとらえておく。. 開発教育の学習内容は五つのテーマに分かれており,それは①多様性の尊重,②開発問題 の現状と原因,③地球的諸課題の関連性,④世界と私たちのつながり,⑤私たちの取り組み,. となっている。また学習の評価の観点は,知識,態度,技能の項目で分類されている。その 内容は表’2「開発教育の評価の観点」(「開発教育ってなあに?開発教育Q&A集〔改訂版〕」. (特定非営利法人開発教育協会,2004年8月1目)P,9より引用。)の通である。. 表2開.発教育の評価の観点. 観点. 目標. 知識 態度 技能. ①人権,文化,②貧困,格差,③有限畦,対立,④相互依存,関 係性,⑤変革,未来 ①人間尊重,多様性尊重,②共感,正義感,③広い視野,興味・ 関心,④不正を嫌う,責任感,⑤参加,協力 ①調査,情報活用,②論理性,批判的思考,③整理,表現,④民 主性,コミュニケーション,⑤合意形成,意思決定. ・7・.

(8) また,田中治彦氏の編著「開発教育一持続可能な世界のために」(学文杜,2008年8月20. 目)の第22頁表2−1「『開発教育教材カタログ2003』で分類する22のカテゴリ」」,表2 −2「『開発教育教材カタログ95』に記載されたテ]マ」を,本研究報告書中では表3,表4 として引用する。. 表3r開発教育教材カタログ2003」で分類する22のカテゴリー 南北間題・貿易,平和,環境,貧困,人権,ジェンダー,人口,食糧,エネルギ」,教 育,子ども,識字,民族,難民移住労働者,労働,異文化理解,多分化共生,開発, 援助・協力,メディア・リテラシー,その地. 表4「開発教育教材カタ1コク95」に記載されたテーマ 文化,環境,人権,教育,民族,食料,女性,農村開発,保健医療,識字,居住,飢餓,. 貧困,職業訓練,農村,地域開発,都市開発,南北格差,援助,宗教,平和,ス通りト チルドレン,貿易,食べ物,難民,生活,水,資源,観光開発,家族,衣食住,子ども,. 子どもの権利,在目外国人,未来,人口,人間形成,国際交流,スラム,農業,外国人 労働者,家庭とは,学校,国際協力,豊かさ,イメージ,仕事,伝統芸能,都市,対立,. 歴史,相互依存,エイズ,産業社会,自然,暮らし,政治,近代化・都市化,働く子ど も,日本企業,先住民,開発,ボランティア,民族,家族計画,働く人々,援助活動,. 動物,交流,コミュニケーション,カースト,バナナ,多国籍企業,マイノリティ,死 刑制度,エネルギー,森林,社会正義,自己表現,仲間づくり,グループづくり,人間 関係,性差,言葉,アグリビジネス,開発教育,社会文化,家庭,変化,国,ルーツと 旅,人,スラム,外国人との共生 表2,表3,表4からわかるように,開発教育の学習内容は多岐に渡っており,一ユネスコの 提唱する国際教育をはじめ,国際理解教育やグローバル教育,人権教育,多文化共生のため の教育,平和教育などと,その内容や領域が重なる部分が多く,その違いは明確に示されて いない。しかも,教材のテーマ分類の視点が定まっておらず,それぞれの教材の持っている 学習内容をそのままテーマとして分類しており,非常にわかりにくくなっている。 これは開発教育が時代の変化に合わせて,その学習内容やテーマを拡大し続けていること にも関係している。開発教育は,地球市民教育や持続可能な開発のための教育など大きな意 味で国際理解につながる教育活動に影響を受けながら,その教育活動を展開してきているの である。開発教育は誕生してから時代の変化に合わせて,その教育目標と教育内容を定義し. 続けてきていると言える。だからこそ,他の教育活動との位置づけを明確に示すことが難し いのである。現段階では,山西優二氏によって作成された図(特定非営利活動法人開発教育 協会「開発教育ってなあに?開発教育Q&A集〔改訂版〕」2004年8月1日 15頁より引用。). を採用して,本研究では図1「開発教育と他の教育活動の関係」として,開発教育の位置づ けを図ることにする。. この山西氏が作成した図には,持続可能な開発のための教育を付け加える必要がありほと. ・8・.

(9) 平和教育. 環境教育. / \. 一. 開発教育. 1 人権教育. \ /. 国際教育≒国際理解教育 グローバル教育 多文化教育. ワールド・スタディ』ズ 地球市民教育. 図1開発教育と他の教育活動の関係 んどの学習活動とその領域が重なると考えられる。また,人権教育は全ての教育活動の土台 となる。そう考えれば,学習内容や領域は平面的ではなく立体的な重なりを持たせて示され たほうが適切ではないか。さらに,近年では開発教育が取り扱う学習テ」マの広がりもあり,. 開発教育が他の教育活動を包括するものへと変化していると考えた方がよく,図にある国際 教育やグローバル教育と肩をならべる位置に開発教育が示さ柞ても良いであろう。今後は, 山西氏の図をべ一スに各教育活動の立場や学習内容の相違点をよりわかりやすく示し,開発 教育の独自性が何かを継続して明確に位置づけようとすることが大切である。. 以上のような学習目標や学習内容を持った開発教育が,学習活動を進める際の授業者の役 割はどのようなものであろうか。開発教育の学習活動における授業者とは,そのほとんどが 「ファ!リテーター」であるといわれている。特に参加型学習を行う際にはこの「ファジリ データー」としての役割が非常に重要であるといわれている。 ファジリデーター(血Ci1i七ator)とは,英和辞典によれば,動詞r亀Ci1itate」の派生語で,. その意味は「容易にする(促進する)もの,進行係,司会者。」とある。開発教育では,ファ ジリデーターとは,教える人(teacher)でもなく,型にはめる人(instructor)でもなく,. 学びの場の参加者相互の学びあいを可能にし,促す役割を担っている人と考えられている。. 教える人の「知識伝達型」ではなく「問題提起型」であり,授業者の役割は参加者に問いか け,考えを聞き,グル山プでの対話を促し,参加者の気づきや発想力を引き出すものである。. 逆に言えば,ファジリデーターは授業者の持つ価値観を学習者にぶつけ,認識の変容を促す ために積極的に働きかけるものではないと言える。ここに開発教育の教材を活用して,学校 教育において学習を進めるに場合に留意すべき点が一っ考えられる。. 学校における授業者とは教師である。教師は,社会科の授業においては学習者である子ど もの社会認識の変容を促し,認識カの成長を助けるものでなければならない。そのために,. 教師は自分自身の持つ教材に対する価値観を学習者に対して積極的にぶつけて追究心を刺激 したり,より高次な認識にいたる手助けとなる示唆を与えたりする存在として考えられる。. 開発教育の活動であれば,授業者はファジリデーターとして学習活動を設定し,スムーズ な学習活動が行われるように,学習者に情報を提供し,話し合いを促すだけでよい。しかし,. 学校の授業においては,授業者が教材に対するイメージや価値,問題を多面的に捉えるため. ・9・.

(10) の複数の視点を持って,学習者と意見を闘わせながら問題の追究につながるよう取り組まな ければならないのである。. この点から考えると,開発教育の教材を学校の授業において活用するときには,他の題材 の教材化の例に漏れず,教材研究を十分に行う必要がある。開発教育の教材を通じてどうい った社会認識あ変容を生じさせるのか,児童理解に基づいた発間構成や教材の提示方法など を考えることが重要である。. 第2節 開発教育の教材の内容 一「新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」の場合一 開発教育の教材は開発教育協会が中心となって独自の教材開発が行われてきており,近藤 牧子氏(早稲田大学第一文学部教育学専修助手)の論文「開発教育教材の様相」(『開発教育』. 編集委員会編集「開発教育2006Vo1.53」特定非営利活動法人開発教育協会,2006年8月1 目)によれば,「開発教育教材カタログ95」(開発教育協議会編・発行,1995年)に178点, r開発教育のための視聴覚教材リソースブック」(開発教育協議会発行,1997年)に377点, 「開発教育教材カタログ2003」(開発教育協会発行,2003年)に170点など,多数開発され ていることがわかる。この中に「新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」(以 下「100人材」と略記)がある。. まず始めに100人材り教材内容を表5噺・ワークショップ版世界がもし100人の村だっ たら」の教材内容」(筆者作成)で示す。. 表5「新・ワークショップ版世界がもし100人の村だったら」の教材内容 学習活動. 1アイス 、ブレーキ. 活動の名前. 学習のねらい. 行ったことのある国,. 海外での体験の共有。. 行ってみたい国. 世界の国々の多様性を知. 学習方法 話し合い. る。多様な暮らしがあるこ. シグ. とを知る。. 2シミュ. 1)世界の人口. レーショ. 世界の人口増加の動向を. クイズ. 知る。. 統計資料(U.S.). Bureau of the. ン. Census,1995) 2)女性と男性,どっち. 各国の男女比の違いの理. クイズ. が多い?. 由を考える。. 話し合い. 3)世界は今,高齢化?. 年齢による人口構成の違. 役割カード. 若年化?. いに気づく。その原因を考. 統計資料『世界子ど. える。. も白書2001年版』 (UNICEF). 4)大陸ζとに分かれて. 世界の国の位置関係をつ. ・1O一. 地域別の面積比であ.

(11) みよう!. かみ,大陸の大きさや人口. らわした紐. を概観する。アジアの人口. クイズ. 密度が高い現状を知る。開. 話し合い. 発途上国に世界の人口の 大半がいることを認識す る。. 5)世界の言葉でにん. 世界には多様な言語が存. クイズ. にちは」. 存することを実感する。言. 話し合い. 語の広がりが歴史や権力 関係と関連しており,少数. の言語が世界から消えて いく現状を知る。. 6)文字が読めないとい うこと. 文字が読めないことの不. ネパール語の文字プ. 硬さを体験する。. レ]ト,透明のペッ トホトル3本,水, 砂糖水,塩水 話一. オ合い. 7)世界の富は誰が持っ. 世界全体の富の配分の不. 透明なコップ人数. ているの?. 公平さを体験する。富が先. 分,お茶4リットル. 進国に集中し,開発途上国. 話し合い. では少ない富を多くの人 口で配分している現状を 知る。. 3r100人. シミュレーションを振り. 「世界がもし100人. 材」を読. 返り,世界の様々な問題に. の村だったら」全文. む&デイ. 対する気づきや考えを他. のコピーを人数分. スカッシ. の人と共有し,深める。. 話し合い. ヨン. 4展開の. 1)原因. <コンパス. 100人材の問題の分析を行. 新聞記事,ポストイ. ためのア. を考え. 分析>. い,原因や要因に対する洞. ツド. クテイビ. る. 察カを高める。. 話し合い(話し合い. の4つの視点:経済. テイ. =Economic,意思決 定=Whodecides?, 社会=Socia1,自然・ 環境=Natura1). ・11・.

(12) <富の分. 貧しい人々の状況を変え. マスク. 配・応用編. ていくにはどうしたらよ. エンカウンター. >. いかを考える。. 話し合い. <地球温暖. 先進国が地球環境に大き. 面積比の紐,同じ大. 化を考える. なダメージを与えている. きさの紙40枚,統計. >. ことを知る。持続可能な杜. 資料:地域別二酸化. 会を築く上で,その解決に. 炭素排出量割合. 向け七の責任を負ってい. (UDNPなど). ることを考える。. 話し合い. <国内の経. 経済格差,生活格差などは. フォトランゲージ. 済格差を考. 先進国と開発途上国にあ. (カットしたムンバ. える>. るだけではなく,国内に大. イの写真,隅剛11沿. きな経済格差があること. いの写真),メモ用紙. を認識する。格差を生む構. とペン. 造を日本の問題として捉. 話し合い. える。. 2)自分. <食糧問題. 食糧分配の不公正を知り,. ランキング. たちに できる. を考える>. 解決するための方法につ. ディスカッション. いて話し合い,食糧問題を 多面的に捉える。. こと. <アクショ. 自分自身にできること,学. ワークシート. ンプランを. 校,地域,国,世界などそ. 話し合い. たてる>. れぞれの場面で私たちに 何ができるのかを考え,具 体的なアタションプラ.ン をたてる。. 3)未来. <30年後の. 今日の私たちの生活と未. 模造紙2枚,マジッ. を創る. 地球社会を. 朱とがっながっているこ. クペン人数分,. 描いてみ上. とに気づく。. 話し合い(「予想」と. う!>. 「理想」の比較). これら17の活動を見ていくと,全ての学習方法に「話し合い」の活動設定がなされている ことがわかる。. 話し合い活動の内容は,クイズやシミュレーションなどの学習活動の感想や,新しく得ら れた知識や情報への驚き。アクティビティから浮き上がっ下きた問題や課題は何か,それら を解決するためにどういった行動を我々が起こせるのか,などである。話し合いは学習者同. 士で行い,解決方法を考える材料は,この活動中に提供された情報や学習者のそれまで経験. I12一.

(13) や知識であり,未来への期待や願望を含める場合もある。学習者は他の学習者と協力して, その場で考え出される最善の解決策を生み出すので,自主的・自発的な学習をしているとい う充実感をえられる。しかし,一方で考えられる課題としては,学習者がその授業に参加す る前に持っていた情報や経験に頼り,非常に表面的で簡単な疑問の解決や情報共有に終始す. るのではないかということである。これは・学習者の年齢が低ければ低いほど生pやすい課 題であると考える。それは,年齢の低い学習者はそれだけ社会経験が少なく,問題を多面的 に捉えるための情報や知識量も不足している。確かに,グループで話し合えば,独創的な発 想をする者や創造的な解決策を提案する者がいるかもしれない。しかし,そういう偶然的な 学習者の思いっきに頼る授業展開は,ともすれば,いわゆる児童中心主義の這い回る授業に なる危険性がある。. また,100人材の教材そのものの課題としては,統計情報に基づいた教材であるため,統 計データの縮小による少数のデータが埋没していること,統計情報の更新ということが考え られる。学習活動め「4)大陸ごとに分かれてみよう!」では,オセアニアの人口比は0.5% であり,100人以上で行う場合にようやく殺害1」として登場する。. しかし,学校現場においてはクラス単位での学習活動が一般的である。そうなるとオセア ニア地域の役割を持つ学習者は現われないことになる。おそらくオ]ストラリアやニュージ ]ランド,ツバルなどの国は,環境問題や輸出入関係などメディアで取り上げられる回数も 多く,小学校段階の子どもにとって比較的身近な国として考えられる。学習内容に興味・関 心を持たせるためには,子どもに一とって身近な題材を設定することが重要である。ましてや,. 「世界」という子どもにとっては最も遠く感じる内容を学習するのである。せめて知ってい る国や言語が学習活動の中で出てきたほうが良いのは当然のことである。おそらくこの様な. 理由から,大陸5)世界の言葉で「こんにちは」の活動では,実際の統計情報では上位にな いベトナム語やモンゴル語,タイ語など12の言語が採用されていると考える。 学習活動の「3)女性と男性,どっちが多い?」の女性と男性の比率の墓データとなってい るのはr世界開発指標」(世界銀行)の2001年のものであり,「7)世界の富は誰が持ってい. るの?」の富の割合は国連開発計画(UNDlP)が1992年に出した情報である。目の前の学 習者にとってはできるだけ最新の情報のほうがより身近に感じるであろうし,今起こってい ることとして切実感をもたせるためにも統計情報の更新は重要であろう。. 「4)大陸ごとに分かれてみようリの大陸の分類方法だが,「大陸」というよりは「地域」 のほうが正確であるし,ここで示されている面積比,人口比のヨーロッパにロシアを含ませ ているにもかかわらず,資料編で示されている役割カ」ドでは,「アジア」の地域に「ロシア. 語」を話す役割がある。世界の地域区分をどの資料に基づいているのかは明確に示されてお らず,その整合性が求められる。. 本章の最後一に,筆者が開発教育に期待することを述べて締めくくりとしたい。それは,開. 発教育が学校教育において認知度をさらに高めていくということである。開発教育の学習内. 容や自主的・主体的に学習活動に参加し,広い意味での問題解決の能力を高められる学習方. 一13・.

(14) 法は学校教育においても有効なものと考える。また開発教育が目指すものは,学校教育で目 指している,国際社会で活躍するための基礎となる能力を身につけさせるのにも効果のある ものと考える。しかし,開発教育の学校現場における認知度は非常に低い。この一つの解決 策として,開発教育の教材を学校教育に適応させた授業モデルの開発をもっと進めていくこ とである。学校教育において開発教育が普及していかない要因として,学校教育で扱う際の. 教材化の作業が必要であり,開発教育の理解を前提として,学習目標や内容を学習指導要領 に照らし合わせて組み替えていく作業を行っていかなくてはならないことが考えられる。こ れは学校現場にとっては,煩わしいものであり,負担となっているのではないかと思われる。. 単に子どもが興味を持ちそうな素材を見つけ,教材化するよりも,開発教育の理解を深めた 上で教材活用を考えるとなれば,その負担感は増すと考えられる。そこで,開発教育の各教 材の学校教育における活用方法について,各教科書会社が発行している教師用指導書にある ような授業モデル案を示すことができれば,開発教育の学校現場における認知度は飛躍的に. 高まっていくと考えられる。学校教育における実践が多数報告されているものの,校種・学 年ごとにまとまっ.たものはなく,まだまだ一部の教材にとどまっている。今後は,開発教育. が学校教育における授業モデルの提案と実践を行い,開発教育の視点や学習方法を普及させ ることで,民間の教育活動と学校とが互いに協力し合い,国際社会に生きる基礎となる能力 の育成をより効果的に図っていくことを期待したい。. ・14・.

(15) 第■章 小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」の指導計画と 授業実践. 第1節 小学校社会科第6学年単元「世界の中の日本」の指導計画 単元「世界の申の日本」を学習する・までに,学習者は身近な地域からはじまり,市や県, 日本,世界と,「私」を中心にした同心円状に学習範囲を広げ,自分とのつながりで様々な社 会事象や現象をとらえながら学習してきている。. そして,第6学年ではまず日本史を中心に学習し,過去から現在の私に向けて時系列に学 んできている。そして,政治の仕組みや憲法について学び,最終単元「世界の中の日本」で は,日本と海外の国々の関係や世界規模で活動する組織や機関と国の関係について学ぶこと. になる。この小学校社会科における学習範囲の広がりを図2「小学校社会科における学習範 囲の広がりのイメージ」(筆者作成)で示す。. 図2小学校社会科における学習範囲の広がりのイメージ. ・15・.

(16) 本単元の学習内容は,私(=●)から同心円状に広がった一番外側の円の内側にある■や★ (世界の国々や国際機関など)について具体的に調べ,その関係性(⇔)を捉えることである。. 学習者は自分とのかかわりではとらえきれない課題を扱うことになり,学習課題を身近な問 題として捉えさせる教材や学習活動の工夫が必要になってくる。そして,国際社会において 国や国際機関がどのように取り組んでおり,今後どう取り組むべきかを考えるような学習活 動を行い,未来に生きる私を取り巻く社会(図中の◎を中心とした(:)。)を総合的に,多 面的に捉える基礎となる力を育み,国際社会を逞しく生きぬくための知識や観点を育むこと が重要である。. 本単元の学習目標について平成20年版の小学校学習指導要領から考えれば次の三点にな るだろう。. (1) 自国を愛する心情の育成。 (2)異文化理解と国際社会における日本の殺害1」理解を手段とした,多文化共生の理解。. (3)社会的事象を追究する力と1府轍的・多面的に捉える力の育成。. 学習の到達レベル ①方法. 各国の現状と世界 の取り組み 知. 識 理 解. ・日本の生活習慣. 方. ○世界各国はそれぞ. ○世界には一つの国. れ独自の問題を抱. だけでは解決でき. えている。. ない問題がある。. ○日本と世界各国は. ○地球規模の問題は. 政治,経済,歴史,. 個々の問題が複雑. 習慣や文化. 地理,文化・生活. に関係し合ってお. ・ 日本の国際交. の面で相互に影響. り,様々な立場の. しあい,関わりあ. 組織や人が関わっ. っている。. ている。. や文化. ・世界各国の生活. 流,国際協力 見. ③目的. ②手段. ・国際連合の働き (I)身近な生活を通. (I)国同士の関係から. (皿)地球規模の視野. え. して見る国際. 見る国際社会の. と様々な立場. 方. 社会の理解. 理解. から見る国際. 考. 社会の理解 自. 他事例に. 己. 形 成. 共感的に見る. 客観的に見る→仮説的に見る・→適用する. 図3国際社会に関する知識・理解.見方・考え方,自己形成の構造. 一16・.

(17) (1)は態度を,(2)は知識の習得と理解力を,(3)は社会の認識力をそれぞれ学習者に 育成することが,この単元の学習目標であると考える。. 社会科の本質的な学習目標としては(3)の社会の認識力の育成がもっとも重要だと考え る。国際社会をまず「私」と身近な生活に溶け込んでいる海外の国々の文化のつながりから. 捉える。そして国同士,国際機関と国々のつながり方を理解し,最終的に国際社会として世 界各国がどういった関係性を気づいていけぱよいのかを考えることになる。そういった認識 の広がりを学習者が実感するこ. ニを通じて,社会のあり方や社会を構成する一員としてのあ. り方を考えるカが育成され,自国を愛する心情や多文化共生の理解へとつながると考える。 そのために必要な具体的な学習内容として学習指導要領には,日本の生活習」1貫や文化,世界. 各国の生活習慣や文化,日本の国際交流と国際協九国際連合の働き(ユニセフやユネスコ など)があげられている。. また,本単元の目指す学習到達のレベルを上記した学習目標と学習内容と合わせて,図3 「国際社会に関する知識・理解,見方・考え方,自己形成の構造」で表す。この図の作成に 際しては,闘清和氏の著書「新時代の授業づくり:理論と実践の展開②学力の質的向上をめ ざす社会科授業の創造」(明治図書,2005年11月)にある「学習到達レベル」の枠組みを採 用し,内容を筆者が構成している。. 以上述べてきたような学習目標,学習内容を持つ単元計画について,ここからは分析を加 えていくことにする。. まず,教科書に沿った単元の指導計画について分析を行う。教師用指導書(東京書籍)に よる単元指導計画は,表6「教師用指導書における単元『世界の中の日本』の指導計画」(東 京書籍の教師用指導書より筆者作成)の通りである。. 表6教師用指導書による単元r世界の中の日本」の指導計画 学習内容 導入. 宇宙から地球を見る. 時間. 1. 世界の国々や国際平和について関 心をもつ。. (1時間). ①生活の申の世界を探そう. 1. 学習活動. 数. 1. 自分が調べる1か国を選び学習計 画を立てる。. 日本と関. 係の深い. ②自分が選んだ国について. 自分が選んだ国の人々の生活につ. 国々. 調べよう. いて調べて,日本との結びろきを考. (6時間). アメリカ,韓国,サウジア. 3. える。. 調べたことを,工夫してレポートや. ラビア,中国. 映像資料等にまとめる。. ③調べた国について発表し. 2. 互いに発表し合い,考えを述べ合 う。. よう. 調べたことを作品(新聞)にまとめ. チャレンジ. 一17・.

(18) とびだせ!. る。. ヨーロッパ連合(EU)について調 べ,レポートにまとめる。. 世界で活躍する日本の人々に関心. 2世界の ①世界で活躍する人々を招 平和と目. 2. いて. 本の役割 (7時間). をもち,詳しく調べる計画を立て る。. ②青年海外協力隊を詳しく. 青年海外協力隊の工夫や努力,ユニ. 調べる. セフの働き,世界の平和を守るため. ユニセフについて調べる. の努力などから1∼2項目を選び,. 国連と平和について調べる. 詳しく調べる。. 国旗と国歌について調べる 3. 国際紛争を調べる 環境問題を調べる. (青年海外協力隊,ユニセ. フ,国際連合の活動,オリ. ンピック,サッカーワール ドカ・ツブなど) 1. ③調べたことを発表しよう. 調べたことをまとめ,発表する。. 平和な世界をつくっていくために. ④これからの世界,これから 1. の日本. 大切なことや,自分たちにもできる ことを話し合う。. 個人や地域や学校で取り組むこと. チャレンジ. のできる国際協力活動について考 える。. この単元計画を見ていくと,「調べる」「まとめる」「発表する」「考えを述べ合う」「話し合う」. r考える」とバランスよく学習活動が配置されている。ここで表のr1日本と関係の深い国々 ③調べた国について発表しよう」の「考えを述べ合う」学習活動と,「2世界の平和と日本の 殺害1」④これからの世界,これからの日本」の「話し合う」の学習活動における内容がとても. 重要になってくる。「1日本と関係の深い国々③調べた国について発表しよう」」では,国司 土のつながり方がどのよう・なものか,そして国と国のつながりが「深い」とどういった観点. で捉えていくのか「考えを述べ合う」ものにしたい。また「2世界の平和と日本の役割④こ れからの世界,これからの日・本」では,「自分たちにもできること」ではなく,世界各国がど. のように協力して問題解決を図っていけぱよいのか,そもそも問題の原剛ま何なのかを追究 する「話し合う」ものにすることが大切である。. この表4で示した単元計画の学習者の視点の推移を,図4「教師用指導書に沿った学習者 の視点の推移」(筆者作成)で表す。図4からわかるように,教科書では学習者にまずマクロ. ・18・.

(19) 導入. 日一. (1時間). {と関係の深い国々. (6時間). (7時間). 国同士の関係. 個. 性を調べる。. 人. 機. 世 界. 世界の平和と日本の役割. 国山. 什⑤. 関. 全. 地. 世. 域. 界. ⑤. 体. や. の. 全. 活. 体. 動. 身近な海外の文化や習慣 を調べる。. 平和な世界を 国際機関と国,や世界各. 作るために何. 国間の関係性を捉える。. ができるか考. ==‡ 矢印は学習者の視野の広さを表している。. える。. 図4教師用指導書の単元指導計画における学習者の視点の推移 の視点を与えた後,身近な海外の文化やモノに目を向けさせるというミクロの視点を与えて いる。そして国同士,国際機関と国の関係へと視点をマクロに向かわせ,まとめの段階で再 度世界全体を見渡した上で,最後に実際に募金活動や援助活動を行わせ,現実の国際社会と 学習者のつながりを実感させようとする試みである。しかし,これは果たして社会科で行う べき学習活動であるのか疑問が残る。確かに目標には態度形成の視点があるものの,こうい った体験的な活動は,学級会活動や児童会活動,または総合的な学習の時間などと関連させ て行うべき学習ではないかと考える。. 次に,実地研究における単元指導計画を分析していく。実地研究においては,教師用指導 書の単元計画を基にして表7「実地研究における単元「世界の申の日本」の指導計画」(筆者 作成)のように指導計画を作成している。. まず時間数の設定についてだが,前単元である「わたしたちの生活と政治」において指導. 計画に対して2時間程度延長していることや卒業式に向けての準備や練習,在校生との送別. 会など第6学年の3学期における学校現場の実際的な問題から,指導書の指導計画に比べて 2時間少ない全12時間に設定している。この2時間分は教師用指導書の指導計画にある「導 入」の1時間と,第1次の「日本と関係の深い国々」の1時間を減らしてい一る。 この単元計画の作成に際して考えた授業仮説の一つはリ開発教育の教材を活用して世界を 外観させ,国際社会における様々な問題や事象に対して疑似体験をさせること実感を伴った 疑問を子どもに持たせることができるだろうというものである。また一つは,青年海外協力. ・19一.

(20) 表7実地研究における単元「世界の中の日本」の指導計画 時. 学習内容. 学習活動. 間. 数. 第1次 「日本と関係 の深い国々」 (5時間). 第2次 「世界の平和 と日本の役割」 (7時間). ①日本と世界の国々の. 4. つながりに着目した調べ学習をする。. つながりを調べよう。. ②調べたことを発表し. グループで一つの国を選び1日本との. 1. グループで発表を行い,児童同士で相. よう。. 互評価をする。. ①世界の現状を知り,日. 人口・富・二酸化炭素排出量に着目し. 本の役割について考え. 2. て,地球規模で起きている問題を知る。. よう。※本時. ②世界の平和に向けた 取り組みについて調べ. 日本や国際機関が世界の平和のために 5. どのような役割を果たしているのかを 調べて発表する。. て発表しよう。. 隊の経験者である筆者の援助に対する価値観を子どもにぶつけることで,問題や課題に対す. る追究意欲が高まるだろうというものである。そこで第2次r世界の平和と日本の役割」の 第1時「世界の現状を知り日本の役割について考えよう」(本時)での開発教育の教材の活用. を考え,第2次第3時以後の青年海外協力隊の活動を具体的に調べていく学習意欲を高めら れるだろうという期待を持って指導計画を設定している。. また,教科書に沿った単元指導計画の分析の時と同様に,実地研究での単元指導計画にお. ける学習者の視点の推移については図5「実地研究の単元指導計画における学習者の視点の 推移」(筆者作成)で示すことにする。. 図5での学習者の視点は,ミクロからマクロ↑移行し,少しミクロに向かい,最後はマク ロの視点で終末を迎えている。これは図4と図5を比較するとわかるように,実地研究の単 元指導計画では,学習者の視点の移り変わりが短い学習期間の中で行われている。また学習 者の視点の推移する方向が定まっていない状態であり,学習者の思考の流れを停滞させるこ とが容易に予測される。. この指導計画の授業実践を行い,振り返り後の反省として次の三点を挙げる。第一に,指 導計画を進めるに当たって設定した学習活動同士のつながりを検討する視点を持つことであ. る。これは第1次と第2次の学習活動を独立させて計画し,一時間毎の学習活動をどうすべ きか場当たり的に修正を加えて行ったことにより,単元全体として学習活動の一貫性や組み. 合わせの意図を持つことができていなかったのである。その結果,学習者にとって第1次と 第2次ではまったく違う学習を行ったかのような印象を与えてしまっていると思われる。し かも,第2次の教育の教材を通して世界全体を概観した時に,第1次で学習者が調べた国が 登場しないケースもあり,子どもの意欲が低下することも考えられる。. 第二に,第1次と第2次における視点の変化の差が大きいことである。単元指導計画にお. ・20・.

(21) 世界の平和と日本の役割. 日本と関係の深い国々. (7時間). (5時間). 身近な海外の文化 や習一1貫を調べる。. ・ ⑤仲⑤. 世. \⑧一⑤. 界. 世 界. 全. ⑤⑤. 体. 国同士の関係. 日本の. 全 体. 役割を 世界の. 視点か ら捉え る。. 性を捉える。. 100人材を活用した授業実践を. 国際機関と国,や世界各. 行い,世界を概観する。. 国間の関係性を捉える。. ==‡ 矢印は学習者の視野の広さを表している。. 図5実地研究の単元指導計画における学習者の視点の推移 ける視点の推移の作成は,授業実践後に試みたものである。指導計画を作成する段階ではこ. の点に気づいていなかったのである。学習者は,第1次でミクロの視点で国の文化や生活に ついて調べ学習を行っていたのが,第2次の導入で突如マクロの視点で世界全体を捉えると いう視点の変化の差が大きいことを実感する。おそらく,視点の変化に思考を適応させられ ないものもいたと思われる。. 第三に,調べ学習の活動の途中段階における情報収集や整理の観点を確認する時間の設定 が必要だったことである。限られた時間数の中で調べ学習に当てられる時間が短くなったこ とにも起因するが,何らかの方法で学習者がどういったレベルの情報をどの程度収集し,調 べ学習の前の段階で示した観点で整理できているのかどうかを確認する場面設定が必要であ ったと考える。それは,最後の報告の段階において経済的なつながり,輸出入の関係を詳し く調べて整理している者が多かったからである。. 第2節 小学校社会科第6学年単元r世界の申の日本」の授業実践 筆者は2008年11月から5ヶ月間にわたる実地研究において,社会科を中心に学習指導実 習を行っている。その実践の中で社会科授業の一般的な課題をどのように解決して行けぱよ. いのかを模索してきている。その解決に向けた取り組みとして,第■章第1節で示した表7 の単元指導計画における第2次第1時において,開発教育の教材である「新・ワークショッ プ版世界がもし100人の村だったら」を活用した研究授業に取り組んでいる。その学習指導 案は本章末尾に資料1「研究授業社会科学習指導案」を添付している。学習指導案には個人 情報保護の観点から一部変更を加えており,また授業実践の逐語記録を巻末資料に掲載して. ・21・.

(22) 表8授業計画と授業実践における学習活動の時間配分の比較 学習活動. 指導計画で. 授業実践. フ時間配分. ナの時間 z分(分). i分). 3. 5. 2役割カードを受け取り,体験活動をする。. 20. 35. 3活動内容をノートに整理し,体験活動を振り返る。. 10. 5. 4日本の役割や私にできることについて考え,発表をする。. 12. 5. 1本時のめあてを捉える。. いる。授業の逐語記録は,授業風景を定点撮影した映像から音声を拾い上げて作成したため,. 声の重なりや児童のつぶやきなど記録できていない部分が多い上に,研 究の内容を考えればテキスト化する必要のない発言も多く記録している。これは,テキスト 情報から実際の授業のイメ]ジが沸きやすいようにと考えたからである。また,授業者であ る筆者自身の指導技術の未熟さに真正面から向き合うことで教師としての力量を高めていく ための反省材料とする意味を持たせていることをことわっておく。. 本章第2節では,まず実地研究での授業実践を振り返り,本時の指導計画の改善点を明ら かにしていきたい。. 授業実践の検証に際して,授業言十画での学習活動の時間配分と実際の学習活動の時間配分. を比較したものを表8「授業計画と授業実践における学習活動の時間配分の比較」(授業のビ デオ記録より筆者作成)で示しておく。. 表8でまず着目すべきは,本時のもっとも重要な学習活動と考えられる「4.日本の役割や 私にできることについて考え,発表をする。」の活動時間が,授業実践では5分しかとられて. いないことである。しかも,この5分間には,意見を考える時間としての1分が含まれてい る。指導計画の段階では,ノート整理の時間を短縮し,約15分を学習者の意見交流に充てよ うと考えていたが,計画倒れになってしまっている。また,学習活動の「2.殺害1」カードを受. け取り,体験活動を振り返る。」の場面では,時間をあまりにも延長してしまったので二酸化. 炭素排出量の分布を知る活動を本時では扱うことができていない。学習活動の進行をスムー ズに行っていれば,「O」「△」「□」の記号や果物のマークの意味,富の配分の予測をさせ,. 学習者の意見や感想などを聞きながら体験活動を行う予定であった。しかし,この学習活動 も実現できずに,授業者が学習者に対しで情報を一方的に与える授業展開となっている。こ れでは,主体的・能動的に学習に参加するはずの教材を所与的教材にしてしまっている。 役割カードに示す記号の重要皮や学習者のどのような意見を引き出して認識の変容を求め ていくのかなど,授業計画段階における発間づくりや教材の提示方法などの教材研究が不十 分であったことが大きな原因である。また,教員に必要な能力のうち,授業の実践中にあっ て授業展開を再構成していく能力と経験が不足していると考えられる。本時の狙いが何なの かを常に考え,学習者の理解にあわせて臨機応変に授業計画の再構成を瞬時に行っていく必 要があることを実感させられたのである。. 一22・.

(23) また,学習活動の「4.日本の役割や私にできることについて考え,発表をする。」における. 授業者の発言「T147」(巻末資料「研究授業逐語記録13頁」)から授業の終末にかけて,授 業者と学習者とのやり通りからは,r世界には様々な問題を抱えている国がある。ゆえに,経 済的に豊かな日本は他国を援助すべきである。」という授業者の持つ偏った価値を押し付ける ような印象を持たざるを得ない。 社会科における授業者の殺害■」は,学習者が事実を追究する過程で社会認識力を養い,より. 公正な価値判断を行っていくことを促すものであり,表面的な授業の成立を目指しながら, 価値観を注入するものではないことを改めて肝に銘じておきたい。. 次に,本時において開発教育の教材である「100人材」がどの程度有用であったのかを学 習者の反応からとらえてみたい。学習者の活動場面を12に分けて,開発教育の教材が有用で あると考えられる学習者の発言とその発言内容の考察を表9「学習活動における学習者(C) の発言内容の考察」(巻末資料r研究授業逐語記録」より筆者作成)に整理する。. 表9学習活動における学習者(C)の発言内容の考察 場. 学習者の活動. 面. 本時のめあてを捉え 1. 学習者(C)の発言 C7:えつ!ゲーム。. 学習者(C)の発言内容の分析. 普段とは違う机の配置に授業 への期待感とゲームをすると. る. いうことに驚いている。 C15:アジア,お前,何。. 殺害11カードにある地域,言語,. C19=先生,ヒ.シディーって. 記号情報に疑問や興味を持っ. どこ。. ている。この疑問をどうすれ. C20:英語やで。英語。. ば解消できるのかを考えさせ. け. C23:先生ボリビアあるん。. ることで,調べ学習にスムー. 取. ボリビアある一ん。誰かポリ. ズに取り組むことができる。. 役 割 カ. (1)役割カー ドを受け取る。. 1. ド. を. 受. り ,. 2. 体 験 活 動 を. す. ビアおる。. C25:青りんご。 (2)「世界の富. C34:四角多っ。. □O△の記号が持つ意味に関. の割合」のグル. 心があり,□の人口の割合の. 一プ(□○△). 多さに驚きを感じている。統. に分かれる。. 計資料の読み取りにっなが. る。. る。. (3)世界の富 を受け取る。. C38=人口によって’・’。. 口O△のグループごとに富を. C39:先生日本のお金しかな. 受け取るので,それがどれぐ. いん?. らいの量なのか興味を持って. C41:うわあ,ここ貧乏やる。. いる。グループに配布される. 一23一.

(24) 貧乏が」番多い。. 富が多くとも,グループの人. C45:100門やし。. 数が多いと一人当た・りの富の. C48=千円。ちょうだい。. 割合が低くなることを予測し. C63:なんで俺たち貧乏な. ている。. ん。. 配布された量が少ないことに 不公平感をもっている。. (4)一人当たり. C74:おいおい,これ貧乏や。. グル]プで受け取った量は多. の富の割合を. C781うわつ。すくねえっ。. いが,一人当たりで考えると. 計算する。. C81:俺らいいなあ,巨万の. かなり少ないことに気づいて. 白目. 咩冝B. いる。. C85=8300円とかめっちゃ. 他のグループとの富の割合の. いいな。. 格差に気づいている。. (5)役割カード. C101:北アメリカ。バラバ. 裕福なグループの人が一つの. の地域を確認. ラや。. 地域に固まっていると予測し. する。. C132:アジア多いけど… 。. たことが外れている。地域ご. C1411アジア多い。. とに分かれたときに,アジア. C144:アジアめっちゃ多い. の人口の多さに驚いている。. C165:オセアニアは?. 縮小した統計資料には出てこ. (6)地域ごとに. 分かれ,地図で. ない地域に気づき,疑問を持. 分布を確認す. っている。一. る。. 統計資料におけるデータの埋 没について知る機会となる。. (7)地域ごとの. C177:立ったら全員は入れ. 人口密度の高さを実感してい. 人口密度を.確. るかも。. る。他の国への人口の移動や. 記する。. (T114:立ったら入れます. 住みやすさなどについて考え を広げることができる。. か。). C178=無理やと思う。 (8)中国語を話. ※授業者が他言語を話す人の. す人の数を確. 数と比べさせることや中国語. 認する。. を話す人の数を実数値に換算. するなどすれば,学習者に興 味・関心を持たせられると考 える。. 一24・.

(25) (9)食料問題(果. C204:あれここバナナおら. 食料が十分にある地域ではな. 物のマーク)を. へん。. いことに気づき始めている。. 活動内容をノートに. C213:何語って書いてある. 自分の役割について関心を持. 整理し,体験活動を. の,意味ないんじゃないの。. っている。. 日本の役割や私にで. C231:日本はお金がいっぱ. 富を公平に分けている状態で. きることについて考. いなんだから,お金のない. はないことを知っており,経. え,発表をする。. ところにあげればいい。. 済的に余裕のある国がどう取. C232:別にあげんでいいや. り組むべきかを考えられてい. ん。. る。. C235:働いたらいい. 経済的に余裕のある国てあっ. C237:募金活動をして食事. ても,その国内において多く. を買って,そのお金で栄養. の課題を抱えていることを考. のあるものを買ってを送っ. えられている。. たらいいと思います。. 富の少ない地域であっても,. C238=なんでだから買った. 自助努力が重要であり,援助. りせなあかんねん。. をすることに疑問を感じてい. 抱える地域を 確認する。. 3. 振り返る。. 4. る。. 学習活動の場面1では,机は教室の後ろに移動して固めて置き,学習者は床に座って学習 を始めている。そこで,シミュレーション活動を行うことを授業者から知らされ,驚きを感 じ,本時への期待が高まっていると考えられる。. 場面2では,学習者が受け取ったカードに示されている情報に興味を持ち,疑問をもって いる。この記号情報を予測させ,実際0)」情報は何かを知ったときに感じたことや考えたこと,. その記号の張り出された世界の地域について知っている情報と結びつけさせるような授業者 の働きかけが個々では重要になる。また,役割カードの持つ情報をもとにして世界における 分布を確認し,疑似体験をすることで統計データを実感できていると考えられる。この教材. を扱うことで小学校6年生段階において,抽象的な数量的データを具体的に考えることが可 能である。. 場面4では本時の学習活動で知りえた情報とこれまでの日常生活から得た経験や知識を合 わせて,国際協力や援助活動についてのイメージが多少なりとも持てたことがわかる。. 以上のように,学習者は開発教育の教材に対して授業への期待感を高め,驚き,疑問を持 ち,思考が促され,葛藤を引き起こしているのである。また,富の配分による不公平感を疑. 一25一.

(26) 似体験し,国際協力や援助活動についてのイメージをつかんでいることが予想できる。これ らの点から開発教育の教材が本時において有用な教材であったといえる。. 一方で,開発教育の教材に対して学習者が持ちえた驚きや疑問,意見などを整理し,学習 者が持っ既存の知識とこの授業で持ちえた知識を結びつけるような授業者の働きかけが適切 に行われていれば,質の高い授業展開になったと想像できる。. 本章の最後に,本時の改善点を三つあげておく。第一に,100人材から題材とする学習活 動を精選すること。第二に,教材の提示方法を工夫すること。第三に,学習者の意見を求め, 知識のつながりを持たせる授業者の働きかけを行うこと。 これらの改善を行い,学習活動「2.役割カードを受け取り,体験活動をする。」において,. 学習者が情報を得るための活動時間を短縮し,学習者の持っている知識や経験と本時の学習 で持ちえた知識を結びつけるための考える時間を十分に設定することが求められる。. ・26・.

(27) 資料1研究授業での社会科学習指導案. 社会科 学習指導案 授業者/実習生 前田潤一 1単元名 世界の中の日本. 2日時2009年2月26目(木) 第5校時 13:45∼14:30 3対象学年・組6年夢組(1組男子18名,女子11名計29名) 4単元の目標 世界各国の定性情報や生活,文化などを調べることを通じて,日本と各国との関係を捉え ることができる。平和な国際社会を目指して,日本が国際社会の中で重要な役割を果たして. いることを理解し,世界の国々の人々と協力していく大切さを自覚することができる。国際 社会の動き,世界各国の文化や習慣の違いなどを広い視野を持って,ニュースや写真,イン ターネットなどの地図や統計グラフを活用することができる。. 5単元設定の理由 ○単元の持つ良さ. 小単元「日本と関係の深い国々」では,児童の身の回りの生活にある外国文化を見つけた り,世界各国との生活文化の相違点を調べたりすることを通じて,政治,経済,歴史,地理,. 文化といった観点から日本と世界各国の関係を捉える。その上で,自国の文化や伝統を理解 するとともに,他国の文化や伝統も理解し,国と国のつながり方について広い視野を持って 考えることができる。これに続く小単元「世界の平和と日本の役割」では,既に学習してい る日本国憲法の前文の内容や平和主義とのつながり『. 持たせる。そして,世界平和に向けて. の日本の具体的な活動事例や環境問題を題材に通りあげた学習を通じて,わたしたち一人一 人が世界の人々と理解し合い,協力し合って平和な世界を築こうとする態度を育てる内容に なっている。. ○児童の実態. 児童はこれまで,日本の歴史を学習する中で中国や朝鮮,欧米各国とのかかわりを知り,. 国語科の「平和の通りでを築く」や日本国憲法の前文などから,世界各国と協力して世界平 和の貢献については学習して来た。そして,小単元」「日本と関係の深い国々」では,児童が 考える日本と関係の深い国について調べ,発表しあ.い,国と国の関係を捉える観点をっかん. できている。貿易を中心とした経済的な観点や生活文化の交流に着目する観点,歴史的な観 点などである。しかし,日本と世界各国の関係をとらえただけで,世界の申で日本が果たす べき役割について考えるには至っていない。さらに,.クラスの現状として学習規律があいま. いになる傾向にあり,45分間座ったまま児童同士の発表を聞き,ノートに記述するなど積極 的な発表を行い,学習活動を楽しむ意欲が低下していると見受けられる。 ○指導の手立て 以上の児童の実態から,小単元「世界の平和と日本の殺害一」」では,まず世界の面積比や人. 口比,貧困問題や温暖化問題などについて,体験活動を通じて地域別にとらえさせる。そう して世界平和に向けた日本の役割を意欲的に考えようとする態度と世界各国に対する日本の. ・27・.

参照

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