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博 士 ( 農 学 ) 神 山 和 則

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 神 山 和 則

学 位 論 文 題 名

土 壌 情 報 シ ス テ ム を 利 用 し た 土 壌 資 源 評 価 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  農林業 や環境保 全におけ る土壌の重 要性から 、その分 布と特性 が調査・ 研究さ れ、こ れらの成 果は土地 改良、農地 開発など に利用さ れてきた が、生産 現場では

(a)土壌情報や基本土壌図の解釈が難しい、(b)土壌情報と生産カを関連づける方 法があまりない、(c)土壌図と現地の土壌が一致しない、等の理由から十分に利用 されて いない。 これらの 問題を解決 するため には、利 用者が必 要とする 土壌情報 を迅速 に提供す る手段を 確立するこ とおよび 土壌資源 を的確に 評価する ことが必 要であ る。本研 究の目的 は、地域土 壌情報シ ステムを 構築し、 それを利 用した土 壌情報の加工法と土壌資源評価手法を確立することにある。

1.土壌情報システムの確立

  土壌の 情報には 断面、分 析値および 地点デー タと土壌 図がある 。これら の土壌 情報の 管理方法 にっいて 、既存の土 壌断面調 査データ を用いて 検討した 。用いた デ―夕 では、一 っの試坑 地点に地点 データは ーつ、断 面及び分 析値デー タは区分 された 層数だけ データが あった。こ れらの情 報を蓄積 ・管理す るために 地点・断 面・分 析値サブ ファイル を作成し、 地点デー タは1土壌 区を1レコ ードに、 断面及 び分析 値データ は、1層位 のデータを1レコード に対応さ せて蓄積 した。土 壌区に よ って 層 数が 異 な るた め 、 各レ コ ード を 関 係づ け るた め のへッダ ーを設け た。

  土壌図 はデジタ イザによ って入カし た境界線 の座標値 データを ポリゴン データ ファイ ルに蓄積 すると同 時に、250mメッ シュデー タファイ ルを作成 した。デ ータ ファイ ルの大き さや重ね 合わせのし やすさか ら自然資 源評価に はポリゴ ンデータ よりもメッシュデータのほうが有利であると判断された。

2.土壌資源評価のための応用土壌図作成手法の確立

    1)土壌情報システムと蓄積された土壌情報を用いて深さ別の粘土含量区分図と 面積当 たりCEC区分 図を作成 した。CEC区分 図では土壌全体がもつCECを量として評 価 す る こ と が で き 、 環 境 容 量 の 推 定 な ど に 有 用 な こ と が 示 さ れ た 。     2)現地容積重から有効水分孔隙量を推定する式を作成した。これによって有効

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水分 容量 を計 算し、 有効 水分 容量 分布 図を 作成 した 。こ のよ うに土壌情報システ ムを 利用 する ことに よっ て、 現在 整備 され てい るデ ータ から 、欠落しているデー クを推定して土壌特性図を作成することが容易になった。

  3) より 精度 の高 い土 壌情 報を 得るために、微地形区分と土壌型の間の法則性を 利用 した 大縮 尺土壌 図の 作成 法に っい て検 討し た。 微地 形区 分とそこに出現する 土壌 型の 関係 は自然 堤防 や台 地の よう にほ ぼ1対1で 対応 する 場合と、後背低地や 旧河 道のように条件に応じて複雑な関係を示す場合があった。.前者の場合には、

こ の 関 係 を 有 効 に 利 用 し て 作 成 時 間 を 短 縮 す る こ と が で き た 。   4) 土壌 情報 シス テム と大 縮尺 土壌図を組み合わせることによって、個々の圃場 のレ キ層 、グ ライ層 、泥 炭層 の出 現す る深 さを 推定 でき た。 さらに、これに土壌 断面 調査 のデ ータを 加え るこ とに よっ て、 圃場 単位 の土 壌特 性図の誤差を減少さ せ る こ と が で き 、 圃 場 単 位 で 有 用 な 情 報 を 提 供 で き る よ う に な っ た 。   5) 土壌 資源 評価 のた めに は土 壌以外の情報も必要である。その一例として、石 狩泥 炭地 中央 部の客 土と 土地 利用 に関 する 情報 を収 集し た。 収集した情報をシス テム に入 カし 、最終 的に10 0mメ ッシュ図に変換してデータベース化した。これら の 情 報 と 土 壌 情 報 を 重 ね 合 わ せ て 石 狩 ・ 空 知 支 庁 の 全 客 土 量 を 推 定 し た 。 2.土壌資源評価図の作成

    1)農林水産技術会議の方法による積算方式と現況農地率による外部尺度方式に   よ って 「女 満suj図幅 の農 耕適 地評価を行った。積算方式の適地評価では、土壌   データが欠落した地点の評価ができナよかったが、それ以外の場所の大部分は適性   度 の高いグループに分級された。外部尺度方式の適地評価では土壌、標高、平均   傾斜から農地率を推定し、これに基づいて農耕適地を5階級に分級した。水田を除   い て、両方式はほば同様の評価を与えたが、外部尺度方式では、土壌データを欠   く 地点でも評価が可能であり、この点は積算方式に比べて適用範囲が広く、優れ   た方法と考えられた。

    2)十勝地域における大豆の土地生産カを大豆収量とその年次変動によって評価   し た。大豆の収量は土壌、地形及び気象データから数量化11類を用いて収量区分   値として推定した。得られた推定・式から3年間の池田町と鹿追町の各メッシュごと   の 収量予測値を計算した結果、統計値に対する比率がほば一定で、年次変動もよ   く 再現していた。収量区分値から収量性を3つ、安定性を2っに区分した。これら   を 組 み 合 わ せ て 生 産 カ を5っ に 分 級 し 、 両 町 の 生 産 力 評 価 図 を 作 成 し た 。     3)石狩泥炭地において泥炭農用地の持続的モlJ用司能性を地盤沈下発生の難易を   評 価基準として評価した。はしめに、土壌、土地利用、客土層厚等のデータを用   い て地盤沈下に関係する要因を辱折し、地盤沈下に関係の深い土壌の種類、農地

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開 発年 次、 最近 の土 地利 用、 客土の厚さを評価要因に選択して評価基準を作成し た 。この基準から農用地の持続的利用可能性を3つに分級して評価図を作成した。

さ らに 、こ の評 価法 に基 づい てシミュレーションを行った結果、持続的利用可能 性 は 水 田 利 用 と 客 土 を 厚 く ( 〉25c7n) す るこ とで 向上 する こと がわ かっ た。

4.土壌情報システムの整備・利用技術と今後の課題

  1)土壌情報システムを利用することによって、様々な土壌特性図を容易に作成 す るこ とが 可能 であ る。 さら に、より高度な情報システムの利用のためには、デ ー タの 補完 や他 のデ ータ を用 いた推定等の手段を講じ、目的に応じた較正曲線と そ の処 理プ 口グ ラム 、文 献情 報等を収録した知識ベースを整備する必要がある。

同時に、周辺情報のデータベ―ス化も必要である。

  2)土壌資源の評価は@評価基準(総合特性)やこれを表すための外部尺度の設 定 、◎ 評価 要因 の決 定と 要因 の分級、◎評点の付与、@総合特性の分級、の手順 で 行う 。こ の際 に評 価要 因を 決定するための情報解析、評点を付与するための統 計解析、総合特性値の決定、結果の地図化等に情報システムを利用できる。また、

情 報 シ ス テ ム によ って評 価に 基づ いた シミ ュレ ーシ ョン や予 測も 可能 であ る。

    3)土壌情報システムを作成するにあたって、情報のデータベース化に時間がか   かること、データの欠落があることなどが問題点としてあげられる。また、情報   シ ス テ ム の 維 持 管 理 、 デ ー 夕 更 新 等 の 方 法 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

土壌情報システムを利用した土壌資源評価に関する研究

  この論文は、パーソナルコンピュータによる土壌情報システムの基礎と応用に っ いて研究したもので、5章て溝成され、図51、表20、引用文献86、付図1、付表 9を 含む 総ペ ージ 数141の 和文論 文である。別に参考論文9編が添えられている。

  土壌調査報告書や基本土壌図は、土壌資源の利用、改良、保全に関する多数の 情 報を含んでいるが、それらを効果的に利用するための手段が未成熟であった。

と くに、末端の集落や圃場レベルの問題解決にこれを利用する場合には、基本的 土 壌情報を目的に応じて編集しなおし、あるいは加工して利用者が必要とする情 報 を迅速に提供できるシステムを整備する必要が指摘されてきた。緒諭では、小 地域の問題に対応するために:ま、地域的な情報管理システムのほうが有利との認 識 を示し、本研究のねらいを、パーソナルコンピュータによる土壌情報システム と その 利用 のた めの ソフ トウエ アを 開発 ・整 備す るこ とに おいたとしている。

  最初に、土壌情報を土壌断面、分析値および地点デ―夕と土壌図情報に分類し、

既 存の土壌調査データを用いてその管理方法にっいて検討した。これらの土壌情 報 を蓄積・管理するために地点・断面・分析値サブファイルを作成し、地点デー タ は1土壌区を1レコードに、断面及び分析値データは、1層位のデ―夕を1レコー ド に対応させて蓄積し、ヘッダーを付して各レコードを関係づけた。土壌図情報 は 、ポリゴンデータファイルとメッシュデータファイルを併用して管理すること に し た が 、 多 目 的 利 用 に は メ ッ シ ュ デ ー タ め ほ う が 有 利 で あ っ た 。   次に、作成した基本情報システムを運用して、1)断面情報と分析値情報を組み 合わせた土壌特性図の編集、2)変換関数を利用して未整備情報を補完した土壌特 性図の作成、3)土壌以外の情報、とくに地形情報を取り込むことによる大縮尺土 壌図の作成、4)作成した大縮尺土壌図と土壌断面情報を組み合わせた圃場単位の 土壌特性図の作成、5)客土事業関連デークの収集・データベース化とそれを土壌

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雄 秋

敏 利

間 野

久  

  多

佐 但

授 授

教 教

査 査

主 副

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デ ータ と結 合す るこ とによ る客 土実 績図 の編 集な どを試み、それぞれ所期の戊果 を 得て いる 。と くに 、徴地 形と 土壌 型の 関係 を利 用した大縮尺土壌図の作成は、

必要な精度を実現しっつ、所要時間と調査コストを低減するのに効果的であった。

ま た、 圃場 単位 の土 壌特性 図の 作成 に際 して は、 土壌図情報と断面情報を組み合 わ せ て 用 い る こ と に よ っ て 土 壌 特 性 の 判 別 誤 差 を低 減 で き る こ と を 示 し た 。   最後に、いろいろな資源評価図の作或に土壌情報システムを手1j用する方法を、

1)土地利用適性評価、2)作物生産力評価、3)持続的利用可能性評価を例として研 究し、それぞれ次のようナょ結果を得ている。  、

1)一般に、土地の利用適性評価には、多数の要因、を分級して評点を与え、それを 積 算す る方 法が 用い られる が、 本研 究で は、 現況 農地率を外部尺度として用い、

数量化1類によって土壌、標高、平均傾斜による適性基準を設定する方法を試みた。

積算法と外部尺度法は、ほば同様の言平価を与えたが、後者は土壌データを欠く地 点 にっ いて も評 価が 司能で あり 、積 算法 に比 べて 適用範囲が広いと判断されたっ 2) 土壌 条件 と特 定作 物の生産カを関連づけるために、実測収量と土壌、地形、気 象 デー タか ら数 量化 薑l類を用いて収量推定式を作成した。これによって、池田町 と 鹿追 町に っい てメ ッシュ 収量 予測 図を 作成 し、 農林統計収量と比較した結果、

予 測値 と統 計収 量の 比率が ほぼ 一定 にな り、 年次 変動も忠実に再現していること が 確認 され た。 予測 収量か ら収 量性 を3クラ ス、 安定性をZクラスに分級し、これ   ら を 組 み 合 わ せ た 生 産 カ を5ラ ン ク に 分 級 し て生 産 力 評 価 図 を 作 成 し た 。 3) 石狩 泥炭 地に おい て、地盤沈下量の実測データと土壌、土地利用、客土層厚等   のデータを用いて地盤沈下に関する因子間の関係を分析し、土壌の種類、農地開 発 年次 、最 近の 土地 利用、 客土 の厚 さを 要因 とし た評価基準を作成した。これに   よって、地盤沈下からみた泥炭地農地の持続的利用司能性を3ランクに分級して評   価図を作成した。さらに、この評価法を利用したシミュレ―ションにより、持続   的利用司能性は、水田利用と厚い客土(>25cm)によって向上すると予想した。

    以上の結果を総合して、土壌情報システムの有用性、周辺情報データベースの   整備とシミュレーションによる評価法の重要性ナよどを論証し、また、情報システ   ムの維持管理法およびデー夕更新法の確立が緊要な課題であることを指摘した。

    以上の成果は、地域土壌情報システムの基本モデルを開発し、そのためのデー   タベースを整備するとともに、具体例をあげてその利用法を示したものであり、

  学術的に重要な進展をもたらしただけでなく、資源評価への応用にも道を開いた   ものである。よって、審査員一同は、最終試験の結果と合わせて本論文の提出者   神山和則は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるものと認定した。

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参照

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