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博士(理学)菅 敏幸 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(理学)菅   敏幸 学位論文題名

Total Synthesis of  (‑)  ‑Grayanotoxin

(グラヤノトキシンの全合成)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

グ ラ ヤ 丿 ト キ シ ン 類 エ ー ゑ 絃 四 環 性 ジ テ ル ペ ン で ツ ツ ジ 科 植 物 に 広 く 合 ま れ る 生 物 毒 で あ る 。   こ れ ら は 、  ナ ト リ ウ ム イ オ ン に 対 す る 膜 透 過 性 を 特 異 的 に 昂 進 さ せ る と い う 特 異 な 生 理 作 用 か ら 注 目 さ れ て い る 。  ま た グ ラ ヤ 丿 ト キ シ ン 類 は 高 度 に 酸 素 官 能 基 化 さ れ た A― 丿 ル ‑B− ホ モ ー カ ウ ラ ン 骨 格 を 持 ち9な い し 10個 の 不 斉 炭 素 を 持 つ 複 雑 な 化 合 物 で あ る 。 申 請 者 は 新 し く 見 い だ し た 高 立 体 選 択 的 な ラ ジ カ ル 反 応 を 鍵 段 階 と し て 、  ( − ) ― グ ラ ヤ 丿 ト キ シ ン の 全 合 成 を 行 っ た 。

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    1、CD環蔀の合成.L一乳酸エチルより種々のジェノフィルを合成し、C環部構築の ためのDiels―Alder反応を検討した。  その結果ぱ,ロー不飽和工ステル弖に対するDiels ーAlder反応は完全に面選択的に進行し、結果的,にロ―ケトエステル重を与えることを明 らかにした。壺を高立体選択的にアルキル化してヱが得ちれた。  ヱをケト―ラクトン と した後、塩化セリウム存在下ヒドリド還元を行うと、反応借位置及び立体選択的に 進行し量が得られた。  量に塩化金を用いてアセチレンの水和を行いアセタール2を合 成した。£にSm12を作用させるとケチルラジカル環化反応が進行し、高立体選択的に D環部が閉環し土ーQが得られた。  この環化反応は、ケトンに発生したラジカルアニオン のカウンターイオンであるサマリウムカチオンが、水酸基に配位して反応が進行し、

望ましい立体化学のもののみを与えたものと考えられる。

(2)

    2.A環部の 構築。  モ デル実験 の結果、 アルデヒ ドとアリ ルスルフィドにSmI2を 用いる ケチルラ ジカル環 化反応が 、収率選択性ともに良好な結果を与えることがわか った。  そこで1〜0を保護した後変換を行ってケトン1v1とし、  これをピニルトリフラ ート上ゑとしたのち、高次銅錯体によるアルキル化を行いアリルスルフィドエーユとし た。  よ ユのエステル部分をWittig反応により増炭しょAとした。̲LM4と、別途合成し た光学活性なエポキシドょー弖とのカップリング反応は定量的に進行した。次にアリル ス ルフ ィ ドの1,3転位を行 いtransの3置換 アリルスル フィド16を 得た。1J皀 はエユ に変換した後、  ヨウ化サマリウムを用いて環化反応を行ったところ、モデル実験と同 様に、環化が完全に立体選択的に進行し、  目的のアルコールょJヨのみを与えた。亠jl の2重結 合を区別して選択的ヒドロホウ素化、立体選択的エボキシ化反応を行った後、

エ ボキ シ ド を開 環 して ょ ー 〜2とし た 後、  さ らにケト ーアルデ ヒド2゛Qと した。

    3、  B環部の形成。  カルボニルカップリング反応を検討したが、  この場合もヨウ 化サマ リウムがよい結果を与えた。盈AをSm12で処理すると、  ピナコールカップリン グ反応が完全に立体選択的に進行し、目的の2〜ユのみが得られた。この反応も、A環上 の水酸 基がサマ リウムカ チオンに 配位して、反応を制御していると考えている。最後 に 、2J‐ のMOM基を脱 保護して 、グラヤ 丿トキシンIII(三)の 全合成に 成功した 。

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以 上 の よ う に 全 合 成 ・ に お い て は 10個 の 不 斉 中 心 を す ぺ て 高 立 体 選 択 的 に 構 築 し た 。 SmI2を 用 い る 高 立 体 選 択 的 ラ ジ カ ル 環 化 反 応 を 新 た に 開 発 し 、 こ れ を 巧 妙 に 駆 使 し て 鍵 反 応 で あ る ABD環 構 築 を 行 っ た 点 を 著 し い 特 徴 と し て い る 。

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(4)

学位論文審査の要旨

Total   Synthesis  of   (‑) ‑Gr ayanotoxin

( グ ラ ヤ 丿 ト キ シ ン の 全 合 成)

グ ラ ヤ ノ ト キ シ ン 類 は 四 環 性 ジ テ ル ペ ン で ツ ッ ジ 科 植 物 に 広 く 含 ま れ る 生 物 毒 で あ り 、 ナ ト リ ウ ム イ オ ン に 対 す る 膜 透 過 性 を 特 異 的 に 昂 進 さ せ る 作 用 を 持 つ 。 ま た 構 造 的には高度に酸素官能基化されたAーノルーBーホモーカウラン骨格を持ち、gないし10個 の不斉 炭素を持 つ複雑な 化合物であ る。本論 文は新し く見いだした高立体選択的ラジ カル反応を鍵段階とした(ー)ーグラヤノトキシンm(1)の全合成を述べたものである。

  C環部 の合成はLー乳酸エチ ルより誘 導したジ エノフイ ル2とシリ ルオキシ ジエンの 面 選択 的Diels−Alder反 応に よ った 。得られ たC環部3を 立体選択 的な一連 の反応で 4と し たのち、SmI2を作用させ るとケチ ルラジカ ル環化反 応が進行 し、高立 体選択的 にD環 部が 閉 環し て5が 得 られ た 。こ の環化反 応では、 ケトンに 発生した ラジカルア ニオン のカウン ターイオ ンであるサ マリウム カチオン が、水酸基に配位して反応が進 行し、望ましい立体化学のもののみを与えたと考えられる。

  A環構築 に当たっ てはモデ ル実験を行 い、アル デヒドにSm L2を作用させて生じたケ チルラ ジカルに 分子内の アリルスル フイドが 結合する 環化反応が、収率、選択性とも に 良好 な 結果 を 与 える こ と を知 っ た。そこ で5を6にか えたのち 別途合成 した光学活 性 なエ ボキシ ド7とのカッ プリング を行い、 次にアリ ルスルフ ィドの1,3転位を行っ てtransの三 置換アリ ルスルフ ィド旦を得た。ScriI2による環化反応を行ったところ、

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久 也 夫 晴 進 章 濱 田 井 白 西 村

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

モ デル 実験 と同 様に 環化 が完 全に 立体選択的に進行し、目的のアルコール9のみを得 た 。9の二 重結 合を 区別し た選 択的 ヒドロホウ素化、立体選択的エポキシ化にっぐ還 元とアルコールの酸化によってケトアルデヒド10を得た。

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  B環部の形成に当たってもS cril2がよい結果を与えた。10をSIIlI2で処理すると、ビナ コ ール カップリング反応が完全に立体選択的に進行し、目的の11のみを生じた。この 反 応も 、A環上 の水 酸基が サマ リウ ムカチオンに配位して、反応を制御していると考 え ら れ る 。 最 後にMOM基 を脱 保護 して グラ ヤノ トキ シンm(1)の 全合成 に成 功し て いる。

  以上のように10個の不斉中心はすべて高立体選択的に構築されている。またS rriI2を 用 いる 高立体選択的ラジカル環化反応を新たに開発し、これを巧みに駆使して鍵反応 であるA,B,D環構築を行った点など極めて質の高い全合成であり、高く評価される。

  よっ て審査員一同は申請者が博士(理学)の学位を受けるに充分な資格を持っもの と認めた。

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参照

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