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環状化合物の特性を利用した機能性ホストの設計と 分子認識機能

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

環状化合物の特性を利用した機能性ホストの設計と 分子認識機能

村上, 裕人

九州大学工学応化分子合成化学

https://doi.org/10.11501/3097908

出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(工学), 課程博士

(2)
(3)

環状化合物の特性を利用した機能性ホストの 設計と分子認識機能

平成 6 年 6 月

村 上 裕 人

(4)

目次

第 l章 緒 言 1‑1 序

1‑2  分 子 認 識 機 能 を 持 つ 人 工 レ セ プ タ ー の 開 発 と 現 状 1‑2‑1  酵 素 類 似 の 分 子 認 識 機 能 を 持 つ 人 工 レ セ プ タ ‑ 1‑2‑2  核酸類似の分子認識機能を持つ人工レセプター 1‑2‑3  その他の人工レセプター

1‑3  問題提起と本論文の概要 参 考 論 文

2

章 カリックス

[ 6 ]

アレーンの位置特異的デオキシ化反応と カリックス[4]アレーンのアミノ化反応

2‑1 序 2‑2  実験

2‑2‑1  ジアミノカリックス[4]アレーンの合成 2‑2‑2  デオキシカリックス[6]アレーンの合成 2‑2‑3  測 定

2‑3  カリックス[4]アレーンのアミノ化反応とカリックス[6]アレー

‑2‑

‑2‑

‑6‑

‑9‑

‑10‑

‑14‑

‑17‑

‑17‑

‑18‑

‑18‑

‑21‑

‑28‑

ンの位置特異的デオキシ化反応 ‑31‑

2‑3‑1  カリックス[4]アレーンのアミノ化反応 ‑31‑ 2‑3‑2  カリックス[6]アレーンの位置特異的デヒドロキシ化反応 ‑33‑ 2‑4  ジアミノカリックス[4]ア レ ー ン の 物 理 化 学 的 特 性 の 検 討 ‑36‑ 2‑4‑1  ジアミノカリックス[4]アレーンの環反転に及ぼす溶媒効果 ‑36‑

2‑4‑2  ジアミノカリックス[4]ア レ ー ン の 分 子 内 水 素 結 合 と 水 酸 基

およびアミノ基のpKa ‑44‑

(5)

2‑5  結論 参考論文

第3章 アルカリ金属イオンにより Hスイッチーオン"される 人 工 レ セ プ タ ー の 設 計 と 分 子 認 識

3‑1 序 3‑2  実 験

3‑2‑1  化 合 物 の 合 成 3‑2‑2  測定

3‑3  5,11,17,23‑テトラー伝T(ブチル‑25,27‑ジプロピルー26,28‑ピス(2‑ピリ ジルアミノカルボ、ニルメトキシ)カリックス[4]ア レ ー ン を 用 い た

‑47‑

‑49‑

‑51‑

‑51‑

‑54‑

‑54‑

‑59‑

'Y‑ブチロラクタムの分子認識 ‑63‑

331 分 子 内 水 素 結 合 の 評 価

3‑3‑2  lH‑NMRス ペ ク ト ル に よ る 分 子 認 識 過 程 の 検 討

3‑4  5,11,17,23‑テトラー配T(ブチノレー25,27‑ジ、プロビルー26,28‑ピス(6‑

プチルカルボニルアミノー2‑ビ リ ジ ル ア ミ ノ カ ル ボ ニ ル メ ト キ シ ) カリックス[4]ア レ ー ン を 用 い た7,8‑ジクロロー10‑メ チ ル イ ソ ア ロ

‑63‑

‑66

キ サ ジ ン の 分 子 認 識 ‑71‑

3‑4‑1  分 子 内 水 素 結 合 の 評 価 ‑71‑ 3‑4‑2  蛍 光 ス ペ ク ト ル に よ る 分 子 認 識 過 程 の 検 討 ‑73‑ 3‑4‑3  lH‑NMRス ペ ク ト ル に よ る 分 子 認 識 過 程 の 検 討 ‑77‑

3‑5  結論 ‑79‑

参考論文 80

第4章 ポ ル フ イ リ ン の 会 合 挙 動 を 利 用 し た 糖 の 認 識 82‑

4‑1 序 ‑82‑

実験

(6)

4‑2‑1  化合物の合成 4‑2‑2  測 定

4‑3  ポルフィリンの会合挙動を利用した糖の認識 4‑3‑1  溶媒効果とミセル化合物の添加効果 4‑3‑2  吸収スペクトルによる糖認識の検討 43 蛍光スペクトルによる糖認識の検討

4‑4  金属ポルフィリンの会合挙動を利用した糖の認識 4‑4‑1  吸収スペクトルによる糖認識の検討

4‑4‑2  蛍光スペクトルによる糖認識の検討 4‑5  結 論

参考論文

第5章 結 言

謝辞

‑85‑

‑87‑

‑88‑

‑88‑

90‑

‑95‑

‑97‑

‑97‑

105‑

‑105‑

‑108‑

‑110‑

112‑

(7)

1 章 緒 言

1 ‑ 1

動物や植物は外界から取り入れた原料を用いて自らが生存するために必 要な物質を体内で合成する。また、そのために必要なエネルギーも精綴な 化学反応により効率的に生産される。これらの生体反応はいずれも数多く

の反応基質と触媒(酵素)が存在する条件で行われ、ほぽ100%の選択性 で実施される。この驚異的な選択性はすべて優れた分子認識機能に起因す

る。すなわち、酵素は構造のわずかに異なる一連の化合物の中から特定の 物質を厳密に分子認識し、その特定物質の中の特定の位置にのみ化学反応 を行わせ、目的生成物を選択的に生成する。もし、酵素の優れた分子認識 機能がなければ、必要物質が必要な量だけ合成されないのみならず、不要 物質が大量に生産され生体に大きな障害をもたらすことになる。一方、生 体が子孫に正しく遺伝情報を伝達するためには核酸が重要な働きをしてい る。ここでは、核酸を構成する分子(ヌクレオチド)相互が極めて厳密な 分子認識を行い、遺伝情報の保持ならびに発現を可能にしている。さらに、

核酸情報に基づくタンパク質の合成に際しでも、各種のアミノ酸が遺伝情 報に従って厳密に分子認識されて正確に配列される。また、生体内には異 物(抗原)と選択的に結合するタンパク質(抗体)が含まれており、異物 が体内に入るとこれに抗体が結合し、異物を除去したり、あるいは無害化 して自己を防衛する。ここでも厳密な分子認識が行われており、ある抗体 は特定の抗原にのみ結合する九

このような酵素の優れた分子認識機能を人工的に実現し、生体に匹敵す る高機能物質を合成しようとする試みは "BiomimeticChemis町,"2)と呼ばれ,

(8)

ここ 10数年ほどの聞に急激な進歩をとげた。これらの中でその一翼を担っ てきたものがH超分子化学,,3)や"ホスト・ゲスト化学"4)と呼ばれる分野であ

る。 1960年初頭、 Pedersen、 Cram、Lehnらの研究に端を発するこの新し い化学は、それまで長い間共有結合のみによって分子を構築してきた有機

化学の世界に、非共有結合(ファンデルワールス力、疎水性相互作用、静 電的相互作用、水素結合、電荷移動相互作用など)を用いて新たな分子を 構築し、あるいは共有結合のみでは成し得なかった新たな機能を発現させ

るという新しい概念を持ち込んだ。この考え方は、生体内の酵素反応や遺 伝子系内で行われる"認識"という過程を理解する上で非常に大きな役割を 果たし、今日までのこの分野の研究に影響を与えている。

1‑2  分子認識機能を持つ人工レセプターの開発と現状 1‑2‑1  酵素類似の分子認識機能を持つ人工レセプター

酵素の基質の取り込み部位は3次元的な疎水空孔であり、この空孔に合 致するか否かで、特異的基質であるか非特異的基質であるかを識別してい

る(鍵と鍵穴の関係、図1‑1)。さらに、疎水空孔の中に各種アミノ酸残 イオン結合

疎水性相互作用

ホスト

M  ゲスト

電荷移動相互作用 水素結合 配位相互作用 図1‑1酵素の鍵と鍵穴の関係の模式図

(9)

基が配置され、これらと基質の間の静電相互作用、水素結合などにより、

より高度な識別を可能にしている。この酵素の高度な分子認識機能は基質 の多点認識に由来しており、これを人工的に模倣するためには認識対象化 合物と多点で相互作用するホスト化合物を分子設計することが必要である。

実際、これまでに多くのホスト化合物が合成されており、その例として シクロデキストリン、クラウンエーテル、シクロファンなどカぎある。シク ロデキストリン 1.1 は 6~8 個のグルコースが環状に結合したオリゴ糖で

あり、その内部に疎水性空孔を持つ(図1‑2)。シクロデキストリンを水に 溶解し、ここに種々のゲスト化合物を加えると、ゲスト化合物がシクロデ

キストリンの空孔の内部に取り込まれ包接化合物が形成される。このとき ゲスト化合物の疎水性が大きければ大きいほど、またゲスト化合物の分子 サイズとシクロデキストリンの空孔のサイズとの合致が良好であればある ほど包接化合物の安定性は大きくなる九すなわち、酵素の鍵と鍵穴の関 係のように、前者の要因はホストとゲストとの聞の疎水性相互作用を増大

させ、後者の要因は分散力を増大させる。

1.1 n=4;αーシクロデ、キストリン n=5; 

s ‑

シクロデキストリン n=6;γーシクロデキストリン

図1‑2シクロデキストリン

シクロファンは複数個の芳香環をメチレン鎖などで架橋した大環状化合 物であり、芳香環が壁状に並んで形成される疎水空孔を持ち、親水基を導

(10)

,圃圃園田司、 11ーーーー司、 ,  M

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1.2  1.3 

図1‑3田伏らによって合成された水溶性シクロファン

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p

(CH2)n

~' H

H

l.4a:  m=n=4  1.4b:  m=5. n=6 

iH 

r

1.4aによる

s ‑

ナフタレ ンスルホン酸の取込み

K X コ│

1.4bによる α四ナフタレ ンスルホン酸の取込み

1‑4古賀らによって合成された水溶性シクロファンとナフタレン スルホン酸認識の模式図

入すれば水溶性となり、シクロデキストリンと同様に水溶液中で種々の疎 水性ゲストを取り込むことができる。これまでに陽電荷を持つシクロファ

ン1.2、1.3が田伏ら67)によって合成され(図1‑3)、芳香族化合物のよう な疎水性ゲストやリン酸のような陰イオン性ゲストを強く認識して取り込 むことを報告している。古賀ら勺ま1.4のようなシクロファンを合成し、内 孔の小さい1.4aと大きい1.4bはそれぞ、れ

s‑

およびαーナフタレンスルホン 酸の取り込みに選択性を示すことを報告した(図1‑4)。また、村上ら勺こ

(11)

よって合成された4本の長鎖アルキル基を有するアザシクロファン1.5は、 比較的大きなローダミンG、キナルジンレッドのようなカチオン性の色素 ならびに1‑(2‑ピリジルアザ)‑2‑ナフトールのような中性色素を良好に取り 込むことができ る(図1‑5)。これらの実験事実は、シクロフ ァンが疎水 性相互作用、静電相互作用、立体的効果の共同作用によりゲスト分子を分 子認識していることを示す。

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J--O-É~H2C-cY

図1‑5村上らによって合成された水溶性シクロファンと基質 認識の模式図

これれらのシクロファンの中で、 1980年代初頭から多くの研究者の注目 を集めてきたカリックスアレーンはフェノールとホルムアルデヒドの縮合 によって合成される環状オリゴマーであり、現在までに 4"""'8量体までの 合成法が確立しているへこの化合物は反応活性なフェノール性酸素と疎 水性を示す芳香環を有し、環径の異なる同族体が系統的に合成可能である

ため、原子および分子認識素子を合成する基体として活発に研究が行われ ている。新海ら1勺まp位にスルホン酸基を持つ水溶性カリックスアレーン 1.6が水溶液中においてフェノールブルーを疎水空孔の疎水性相互作用、

(12)

円筒構造の片方に集まったスルホナト基の静電相互作用、水酸基による分 子内水素結合の共同作用により分子認識することを報告した(図1‑6)。 また、スルホナト基が環の逆側についた陰イオン性カリツクスアレーン問、

アンモニウム基を持つ陽イオン性カリツクスアレーン川も合成され、水溶 液中での分子認識機能について報告されている。

Na03S 

~03Na

S03Na 

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Na03S  S03Na 

S03Na  1.6 

図1‑6アニオン'性カリックス[6]アレーンによるフェノール ブルー認識の模式図

1‑2‑2  核酸類似の分子認識機能を持つ人工レセプター

核酸を構成するヌクレオチドは核酸塩基、糖、リン酸エステルという三 つの部分で構成されている分子である。遺伝情報はこの三つの部分のうち 核酸塩基の分子構造の違いとして保存されており、塩基部分が分子認識と いう観点から特に重要となる。核酸塩基は環内NH基やアミノ置換基とい った水素結合供与部位とカルボニル基酸素や塩基性の高い芳香族性環内窒 素などの水素結合受容部位を複数個もっており、いずれもほぼ平面構造を している。このため二つの核酸塩基が同一平面内に並ぶと核酸塩基問で容

(13)

易にその分子構造の違いを反映した多点水素結合による分子認識を行うこ とができる(図17)。また、核酸の特徴的高次構造である二重螺旋の安定 性は核酸塩基間の水素結合だけでなく、塩基対 が垂直方向に積み重なるこ とによ るスタッ キングも重要な要因となっている。これを人工的に模倣す るためには認識対象物に相補的な水素結合供与部位と水素結合受容部位を 分子内に配列したレセプターを分子設計することが必要である。

I

A

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o ¥ N f  

H

N

パ 阿 川

片 γO

シトシン.グアニン チミンーアデニン

図1‑7シトシンーグアニンとチミンーアデニンのWatson‑Crick型塩基対

これまでにバルピタール14へ 尿 素1720‑お)、核酸塩基お切などを認識対象 物としたレセプターが合成されている。 Hrultonら14‑1ηはイミド基と相補的 な2つの2,6‑ジアミドピリジンが分子内水素結合を形成しないように硬い イソフタル酸をスペーサーとしたレセプターを合成し、この化合物がパル ピタールを 6点水素結合により分子認識することを示した(図1‑8,1.7)。 また、イソフタル酸に 2つの2‑アミドー6‑ピリジルメチルエーテルを修飾し たレセプターが尿素を 6点水素結合により分子認識することも示した(図 1‑8,1.8)。さらにBellら却)、百lummelら21)およびKellyら仰7)はより高い基質 選 択 性 を 発 現 さ せ る た め 炭 素 環 と 複 素 環 か ら な る 硬 い レ セ プ タ ー1.9、 1.10、1.11をそれぞれ合成じ、それぞれ尿素、エチレン尿素、尿酸の分子 認識に成功している (図1‑9)。

(14)

1.7  1.8 

図1‑8Hamiltonらによって合成された人工レセプター

1.9  1.10 

M ‑ H  H 

O

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N ̲   . . . N   H . N 

H7uγLPO

O

H~N イんに と

3

H

7

CPh

図1‑9Bellら、 Thummelら、 Kellyらによって合成された人工レセプター

(15)

水素結合だけでなくスタッキングの寄与も考慮したモデルとして、

Rebekら31‑33)は水素結合供与および受容部となるイミド部位とナフタレンや アントラキノンなど核酸塩基とスタッキングを起こし得る部位から成るレ セプター1.12を合成しており、アデニンを分子認識することが示された。

また、この化合物をNaBH4で還元して得られるヒドロキシラクタム構造を 持つレセプター1.13はシトシンを分子認識する(図1‑10)。

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1.12  1.13 

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図1‑10Rebekらによって合成された人工レセプター

1 ‑ 2 ‑ 3  

その他の人工レセプター

Me  Me 

先に述べた以外にも実に多くの有機分子を認識対象物とする人工レセプ ターが開発されている巾め。この中でも糖を認識対象物とする研究は非常 に大きな興味が持たれている。糖質はポリヒドロキシアルデヒドまたはケ トンの環状ヘミアセタールを基本骨格とする。したがって、単糖、オリゴ 糖のいずれにおいてもその構造の特色は三次元空間における水酸基群の特 異な配列であり、分子認識の観点からはこれをいかにして識別するかが基 本的な問題点となる拘0

青山ら3日刈ま脂溶性レゾルシン4量 体1.14がリボースと 1: 1錯体を形 成し、脂溶性レゾルシン4量体の四塩化炭素層へ可溶化することを見いだ した。このときリボースは高選択的に αーピラノースの形で捕捉され、錯

(16)

イヒの駆動力は脂溶性レゾルシン 4量体の 4つの独立した水素結合部位(う ち特に隣接した 2つ)とリボースのすべてのシスの水酸基との多点水素結 合であることが示された(図1‑11)0また、種々の単糖類およびメチルグリ

コシドを用いて検討を行った結果、ピラノース環のふ位と 4‑位の水酸基 の相対的な立体配置が極めて重要であり、これがトランスのものは抽出さ れないことが明かとなった。これは水素結合に関与しない水酸基が非極性 有機溶媒中に露出するためであると考察している。これらの実験結果は三 次元的な糖誘導体の分子認識を進めるうえで重要な知見となる。

1.14; R=(CH2)10CH3 

O

、 O‑H

H~

" .   . 

o ‑ n  

図1‑11脂溶性レゾルシン四量体とリボースとの錯形成図

1 ‑ 3  

問題提起と本論文の概要

1‑2で述べたように分子認識に関する研究は数多く報告されている。 1‑2‑ 1で総括した酵素類似の分子認識機能を持つ人工レセプターの中で、シク ロデキストリンとシクロファンは分子認識機能だけではなく、触媒活性官 能基を配置することで、人工酵素としての機能を発現することが知られて いる542)。しかしながら、カリックスアレーンは金属イオンに対しては優れ

nu

‑ ‑  

I  

(17)

た選択性と機能を発現するが、人工酵素という観点から見てみるとその機 能発現を行った例は、ほとんど見当たらないのが現状である。これは、カ リックスアレーンに触媒活性官能基などを導入する際、その導入方法が水 酸基側へのWilliamson反応と芳香環への求電子置換反応に限られるためで る。このよ うな問題点を解決するためには、別の官能基導入法が使用でき る反応部位をカリックスアレーンに構築する必要がある。そこで筆者は、

カリックス[4]アレーンのデオキシ化とそのアミノ基への置換反応について 検討した。カリッ クス[4]アレーンの水酸基を水素やアミノ基に置換するこ とができれば、種々の官能基に変換できる出発部位として利用できるばか りでなく 、カリ ツクス[4]アレーン類の構造や分子運動を議論する上で極め て重要な知見を得ることができる。また、現在精力的に研究が行われてい るカリックス[4]アレーンでは空孔径が小さく、比較的大きな有機分子を取 り込むのが困難であると予想されるので、より空孔径の大きいカリックス [6]アレーンのデオキシ化反応についも検討を行った。

1‑2‑2で述べた核酸類似の分子認識機能を持つ人工レセプターは、分子内 に水素結合受容部位と供与部位を両方持つため、分子内水素結合の形成が 可能である。この好ましくない分子内水素結合の形成を解決するためには、

硬いセグメントにより分子認識部位を固定化し、分子内水素結合が起こら ないようにするか、あるいは人工レセプター内が充分に柔軟なため分子内 水素結合は起こるが、あるH外部刺激"が存在する時のみ分子内水素結合を 切断するような"仕掛け"を組み込むかの 2通り考えられる。ほとんどの場 合前者の方法で研究が行われ、高い分子認識機能を示しているが、この方 法では合成に困難を伴うことが多く、また溶解度も非常に乏しいことが多 い。 そこで筆者は、後者の方法の可能性を探求するため、カリ ックス[4]ア

(18)

レーン上に近接して金属結合部位と水素結合性分子認識部位が配置され、

金属イオンが結合した場合のみ分子内水素結合部位が切断するH仕掛けHを 設計した人工レセプターを合成し、その分子認識機能について検討を行つ た。

1‑2‑3で述べたように、糖質を水素結合で捕捉するためには非極性有機溶 媒中への可溶化が必要である。しかしながら、糖は多くの水酸基を持つた め、水および低級アルコールにしか溶解しないことから、この方法論には 限度がある。この限界を打破するためには、水中で糖と効率良く結合でき る官能基を選択することが必要で、ある。フェニルホウ酸は水中で糖のシス ージオールと結合することが知られている的。そこで筆者はフェニルホウ酸 を糖認識部位とした人工レセプターの合成と糖質認識能について検討を行 った。

本論文は 5章より構成されている。以下に本章(第 l章)を除いた各章 の概要を述べる。

第2章

カリックス[4]アレーンのデオキシ化とそのアミノ基への置換反応および カリックス[6]アレーンのデオキシ化反応について述べた後、アミノカリツ クス[4]アレーンの物理化学的特性について考察する。

第3章

カリックス[4]アレーン上に近接して金属結合部位と水素結合性分子認識 部位を配置し、金属イオンが結合した場合のみ分子内水素結合部位が切断 する"仕掛け"を構築した人工レセプターを合成し、金属イオンと分子認識 機能の関係ついて考察する。

12 

(19)

4章

ポルフイリンにフェニルホウ酸を導入した化合物を合成し、 ポルフ イリ ンの会合挙動を利用した糖のセンシングについて考察する。

5章

本研究で得られた成果を総括し、全般にわたる考察を行う。

(20)

参考論文

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26) T. R. Kelly, M. P.  Magu廿e,J. Am. Chem. Soc., 109,6549 (1987). 

27)主R.Kelly, M. T. Bilodean, G. J.  Bridger, C. Zhao, Tetrahedron Lett., 30, 2485  (1989). 

28) Y Yano, N. Tamura, K. Mitsui, T. Nabeshima, Chem. Lett., 1989, 1655.  29) S.  C. Zimmerman, W. Wi, J. Am. Chem. Soc., 111, 8054 (1989). 

30) T. Benzing,工 Tjivikua,J.  Wolfe, J.  Rebek, Jr., Science, 235, 1478 (1987). 

31) J.  Rebek, Jr., B. Askew, P.  Ballester, C. Buhr, A. Costero, S. Jones, K. Wiams, J. Am. Chem. Soc., 1096866 (1987). 

(22)

32) J. Rebek, Jr., B. Askew, P.  Ballester, C. Buhr, A. Costero, S.  Jones, D. Nemeth,  K. Williams, P.  Ballester,J. Am. Chem. Soc., 109, 5033 (1987). 

33) B. Askew, P.  Ballester, C. Buhr, K.S.Jeong, S.  Jones, K. Parris, K. Williams,  J.  Rebek, Jr., J. Am. Chem. Soc., 111, 1082 (1989). 

34) T.  Tjivikua, G. D. Champs, J.  Rebek, Jr., J. Am. Chem. Soc., 112, 8408 (1990).  35)平岡道夫,柳田博明,小原正明,古賀憲司, Hホスト・ゲストケミストリーヘ

講談社,東京, 1984. 

36)青山安宏,化学と工業, 43, 896 (1990). 

37) Y Aoyama, Y Tanaka, H. Toi, H. Ogoshi, J. Am. Chem. Soc., 110,643 (1988).  38) Y Aoyama, Y Tanaka, S.  Sugaha,J. Am. Chem. Soc., 111, 5397 (1989).  39) Y Tanaka,Y. Ubutaka, Y Aoyama, Chem. Lett., 1989, 1905. 

40) Kikuchi,K. Kobayashi, Y Aoyama,J. Am. Chem. Soc., 114, 1351 (1992).  41) Y Kikuchi, Y Tanaka, S.  Sutarto, K. Kobarashi,H. Toi, Y Aoyam ,aJ. Am. Chem. 

Soc., 114, 10302 (1992). 

42)村上幸人,砂本I}頃三,"酵素・生体膜モデルの化学",南江堂,東京, 1981.  43) R. J.  Feier,Adv. Carbohydr. Chem. Biochem., 35, 31 (1978). 

16 

(23)

2 章

カリックス

[ 6 J アレーンの位置特異的デオキシ化反応と

カリックス

μ] アレーンのアミノ化反応

2‑1 序

カリックスアレーンの機能化を考えるとき、官能基の導入はフェノール 部位の水酸基側(lowern)の使用が便利である。この理由として、 (1)Willi‑ amson法により簡単に置換基が導入できる、 (2)空孔が狭まっているのでよ

り硬い認識場の構築が可能である、などが上げられる。実際、イオノフア ー性カリックスアレーンはブロモ酢酸エチルを用いた反応によって容易に 誘導でき、高いアルカリ金属親和性と選択性を示すトペしかしながら、

Williamson法によって導入できる置換基は限られており、いま以上の機能 をカリックスアレーンに持たせるためにはWilliamson法以外の方法を用い て官能基を導入しなければならない。

このような中、最近Bialiら同とReinhoudtら乃は、ジエチルリン酸エステル 基を導入したカリックスアレーンの水酸基が液体アンモニア中、金属カリ

ウムで処理することにより完全または部分的に脱離することを報告した。

この発見は、カリックスアレーンの "lowerrim"に求電子置換反応を用いて 新規な官能基を導入する可能性を与え、実際、 Bialiら勺まカリックス[4]アレ

ーンのデオキシ化した部分へのニトロ化を試みている。

以上のように、カリックスアレーンの水酸基の脱置換反応は精力的に行 われている。しかしながら、官能基を導入する際最も利用できる反応部位 であるアミノ基の導入や、有機分子取り込に最も適した空孔径を持つカリ

ツクス[6]アレーンを用いたデオキシ化反応は全く行われていない。

そこで本章ではカリックス[4]アレーンのアミノ化反応およびカリツクス

(24)

[6]アレーンのデオキシ化反応について検討を行った。また、水酸基がアミ ノ基に置換されることで、カリックスアレーンの特徴的性質である強い分 子内水素結合や環反転に伴う分子運動性がどのような影響を受けるかをジ

アミノカリックス[4]アレーンを用いてキ食言すした。

O H  

2.1 

ジアミノカ リックス[4]アレーン

2‑2  実験

2‑2‑1 ジアミノカリックス [4]アレーンの合成 以下のスキームにしたがって合成を行った。

Bu Bu

Bu

qu

O

U

tK

︐ .   一 ン

2

︑ ︑ ︐ ︐ ︐

O

︐ ︐

a a︑ . ‑ . ︐ ︐ ︐ ‑

O一

︐ ︐

E

D'

1C一

ゐ冒

L

RM

  Bu

18 

(25)

B d  

r

u H  

2 T'

H

3N

一 日

ν n

一川川K

一 体

Bu Bu

2.1: R1=R2=NH2 

2.4: R1 =NH2, R2=H 

2.5: R1=R2=H 

(1)  5, 11,17,23‑テトラ ‑tertブチルー25,27‑ジヒドロキシ‑26,28‑ピス((ジエト キシホスフイニル)オキシ)カリックス[4]アレーン(2.3)の合成9)

窒素気流下、乾燥アセトン100mlp‑tert‑ブチルカリックス[4]アレーン 2.2  5.0g  (6.75mmol)、炭酸カリウム1.87g (2当量)、ジエチルリン酸クロリ

ド3.Oml(3当量)を入れ、室温で2時間携持した。炭酸カリウムを議別後アセ トンを減圧留去し、白色針状結晶の目的物を得た。収量 5.8g(93.1 %);融点

173.5~ 174.50C; IR (nujol) V 3370cm‑¥VP=O 128Ocm‑1 1H‑NMR (250MHz, 

ω α 3, TMS, 30oC) 

8  / 

ppm 0.87, 1.33 (Bul,各々 S,各々 18H),1.36 (CH3, t, 

12H), 2.26  (OH, s, 2H), 3.40, 4.44 (ArCH2Ar,各々 d,J=12.0Hz,各々 4H)4.26  (OCH2,  m, 8H), 6.70, 7.13  (ArH,各々 S,各々 4H); 元素分析 C5 2H 7401 OP2としての計算値:C, 67.81; H, 8.10 %,実測値:C, 67.66; H, 7.91 

%. 

(2)  5,11,17,23‑テトラー伝T(‑ブチルー25,27‑ジヒドロキシ‑26,28‑ジアミノカリ ツクス[4]アレーン(2.1)の合成川1)

デュワー瓶型冷却管を取り付けた200mlの三口フラスコを脱気窒素置換

(26)

した。これをドライアイスーメタノールでー780Cに冷却し、アンモニアガス を吹き込み50llU

1

めた。カリウム2.0g(51mmo1)を加え1時 間 撹 持 後 、 乾 燥 THF20凶と硝酸鉄 ・8水和物 lOmgを加え、 ‑330

C

で 撹 持 した。溶液が白濁(カ

リウムアミドの生成 ) し た の を 確 認 し て 再 び‑780Cに冷却し、カリウム2.0g (51nunol)と乾燥THF4n1に溶解したジリン酸体2.32.0g  (2.19mmol)を交互

に30分かけて加えた。 1時 間 後 過 剰 の 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム を 加 え カ リ ウ ム を 失活させ、アンモニアを留去した。反応器の中にエーテルと水を入れ抽出 操 作を行い、 エーテ ル 層 を 分 取 し て 無 水 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム で 乾 燥 し 、 硫 酸 マグネシウムを漉別 後 エ ー テ ル を 減 圧 留 去 し た 。 残 溢 を カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラフィ ー(シリカゲル、クロロホルム)により精製し、白色結晶の目的物を 得た。収量0.12g(9.1 %);融点 277.0'""'"'278.00

C ;

IR (nujol) V 3340cm‑1,V

327Ocm‑1lH‑NMR (400MHz, CDα3, TMS, 30oC) 

8  / 

ppm 1.18, 1.23 (Bu¥各々

S,各々 18H),3.88 (ArCH2Ar,  s, 8H), 7.04, 7.06 (ArH,各々 S,各々 4H), 7.75  (OH, NH2, S, 6H);元素分析 C44Hs8U2N 2 +CHC13としての計算値:C, 70.50;  H, 7.77; N, 3.65 %,実測値:C, 69.98; H, 7.69; N, 3.59 % . 

副生成物として5.11.17.23‑テトラー伝11ブチルー25,27‑ジヒドロキシー26‑アミ ノカリックス[4]アレーン(2.4)と5,11,17,23‑テトラーtel千ブチル‑25,27‑ジヒド ロキシカリックス[4]アレーン(2.5)が生成した。

5,11,17,23‑テトラー伝Ttブチルー25,27‑ジヒドロキシ‑26‑アミノカリックス[4] アレーン(2.4)

収量0.45g;融点 238.5'""'"'240.0o

C ;

IR (n吋01)V 33cml,V 327Ocm‑1; lH̲ 

20 

(27)

NMR (4

MHz, C 13,TMS, 30oC) O /ppm 1.25, 1.27, 1.30 (Bul,各々 s,9H, 18H, 9H), 3.85, 3.92 (ArCH2Ar,各々 s,各々 4H), 6.75,7.03, 7.10,7.12,7.18  (ArH, t, d, d, d, s, 1 H, 2H, 2H, 2H, 2H);元素分析 C44Hs8U2Nとしての計算 値:C, 83.63; H, 9.09; N, 2.22 %,実測 値:C, 69.98; H, 7.69; N, 3.59 % . 

5,11,17,23‑テトラ ‑tel千ブチルー25,27‑ジ ヒ ド ロ キ シ カ リ ツ ク ス[4]アレーン (2.5) 

収量0.66g;融点281.0...282.0o

C ;

IR (nujol) V 345Ocml‑;lH‑N1¥侭(4

MHz

CDα3, TMS, 30OC) O / ppm 1.23, 1.32 (Bu¥各々 S,各々 18H)3.92 (ArCH2Ar, 

s, 8H), 4.14 (OH, S, 2H), 6.10, 6.98, 7.20 (ArH,各々 s2H, H, 4H);元素分 析 C44Hs8U2としての計算値:C, 85.66; H, 9.15 %,実測値:C, 82.34; H, 9.21 

%. 

2‑2‑2  デオキシカリックス [6]アレーンの合成 以下のスキームにしたがって合成を行った。

Bu

Bu 2.6 

Bu

アセトン

Bu

2.7: R1=OP(O)(OEt)21 R2=R3=R4=Rs=R6=OH  2.8: R1=R4=OP(O)(OEt)21 RrR3=Rs=R6=C)H  2止 R~=R2=R4=OP(O)(aEt)21 R3=Rs=R6=OH  2.10: R1=R2=R4=Rs=OP(O)(OEt)2, R3=R6=OH  2.11: R1=R2=R3=R4=Rs=OP(O)(QEt)21̲ R6=OH  2.12: R1 =R;=R;=R4=Rs=R6=OP(O)(OEt)2 

(28)

8u

EI  

UH

 

h一T N7 hv  

kn

L Z

MK

si} 

2.13: R1 =H, R2=R3=R4=Rs=R6=OH  2.14: R1 =R4=H, R2=R3=Rs=R6=OH  2.15: R1=R2=R4=H, R3=Rs=R6=OH  2.16: R1=R2=R4=Rs=H, R3=R6=OH  2.17: R1 =R2=R3=R4=Rs=H, R6=OH  2.18: R1 =R2=R3=R4=Rs=R6=H 

(1)  5,11,17,23,29,35・ヘキサー白河ーブチルー37,38,40,41‑テトラヒドロキシー 39,42ーピス((ジエトキシホスフィニル)オキシ)カリックス[6]アレーン(2.8)の 合成

窒素気流下、乾燥アセトン15mlにp‑tert‑ブチルカリックス[6]アレーン2.6 0.5 g(O. 51 mmol)、 炭 酸 カ リ ウ ム0.14g(2当 量 ) 、 ジ エ チ ル リ ン 酸 ク ロ リ ド 0.15ml(2当量)を入れ、室温で1時 間 撹 祥 し た 。 炭 酸 カ リ ウ ム を 鴻 別 後 ア セ トンを減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホル ム)により精製し、白色結晶の目的物を得た。収量 0.28g (43.5%); 融点 263.8"‑'265'C; IR(nujol): V 331

O c m ‑ "

VP=O 1317cm‑lH̲N1v1R (250MHz,  C以ご13,TMS, 30oC) 

8  / 

ppm 0.72, 1.25 (Bu¥各々 s,18H, 36H), 1.10 (CH3, t,  12H), 3.85, 3.95 (ArCH2Ar,各々 s,4H, 8H), 4.34 (OCH2,  m, 8H), 6.65, 7.00,  7.17 (ArH,各々 S,各々 4H),7.58 (OH, S, 4H);元 素 分 析C74H 1 02012P2として

の計算値:C 70.45, H 8.15 %,実測値:C 71.14 , H 8.25 %. 

22 

(29)

副生成物として5,11,17,23,29,35‑ヘキサー臼Ttブチル‑37,38,39,40,41‑ペン タヒドロキシ‑42‑(ジエトキシホスフイニル)オキシカリックス[6]アレーン (2.7)が生成した。

5,11,17,23,29,35‑ヘキサーtert‑ブチルー37,38,39,40,41‑ペンタヒドロキシー42‑

(ジエトキシホスフイニル)オキシカリックス[6]アレーン(2.7)

収量0.18g;融点 174"‑‑1760C;IR (nujol): V 3310cm‑¥Vo1317cm‑1lH̲N恥偲

(250MHz, CDC13, TMS, 300C) 

8  / 

ppm 0.94, 1.22, 1.27 (Bu¥各々 S,9H, 9H,  18H, 18H), 1.46 (CH3, t, 6H), 3.54, 3.56, 3.67, 3.87, 3.88, 4.70 (ArCH2Ar,  各々 d,J=15.3Hz,各々 2H),4.41, 4.43 (OCH2,各々 q,各々 2H),6.78, 7.09,  7.15 (ArH,各々 S,2H, 4H, 6H), 8.31, 9.22 (OH,各々 S,3H, 2H). 

(2)  5,11,17,23,29,35‑ヘキサー街路ブチルー37,38,40‑トリヒドロキシー39,41,42‑ トリス((ジエトキシホスフィニル)オキシ)カリックス[6]アレーン(2.9)の 合 成

窒素気流下、乾燥アセトン15mlにp‑rιブチルカリックス[6]アレーン2.6 0.5 g(O. 51 mmol)、 炭 酸 カ リ ウ ム0.22g(3当 量 ) 、 ジ エ チ ル リ ン 酸 ク ロ リ ド 0.23ml(3当量)を入れ、室温で1時間撹持した。炭酸カリウムを渡、別後アセ トンを減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホル ム)により精製し、白色結晶の目的物を得た。収量 0.35g (49.1 %);  融点 186"‑‑1870C; IR  (nujol):  V 328

O c m ‑ ¥

VP=O 136Ocm‑1lH‑NMR (400MHz,  (CDC12) 2 , TMS, 1300C) 

8  / 

ppm 0.91, 0.94, 1.12, 1.14, 1.30 (Bu¥各々 s,9H, 9H, 9H, 9H, 18H), 1.23 (CH3, t, 18H), 3.60‑‑‑‑‑‑4.10 (ArCH2Ar,  m, 12H), 4.16 

(30)

(OCH2, q, 12H), 5.97, 6.07, 7.14  (OH,各々 S,各々 1H),6.61, 6.69, 6.86,  6.93,6.97,7.00,7.14,7.17 (ArH,各々 S,各々 1H);元 素 分 析C78HIII01SP3と

しての計算値:C, 67.81;  H, 8.10 %,実測値:C, 67.51; H ,8.17 %. 

(3) 5,11,17,23,29,35‑ヘキサーtert‑ブチルー37,40‑ジヒドロキシー38,39,41,42‑ トラキス((ジエトキシホスフイニル)オキシ)カリ ックス[6]アレーン(2.10)の 合成

窒素気流下、乾燥アセトン15m1にp‑伝I千ブチルカリックス[6]アレーン2.6 0.5 g(O. 51 mmol)、炭 酸 カ リ ウ ム0.36g(5当量)、ジエチルリン酸クロリド 0.38 (5当量)を入れ、室温で1時 間 撹 詳 し た 。 炭 酸 カ リ ウ ム を 漉 別 後 ア セ トンを減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホル ム:メタノール=30: 1 v / v)により精製し、白色結晶の目的物を得た。収量 0.21g (26.8%);融点 173‑‑‑‑‑1740C;IR (nujol): V 327Ocm‑¥VP=O 136Ocm‑1lH̲ 

N恥 依(400阻む, (CDC12)2, TMS, 1300C) 

8  / 

ppm 1.02 (CH3, t, 24H), 1.11, 1.12  (Bu¥各々 s,36H, 18H), 3.92 (OCH2,  q, 16H), 4.00, 4.12 (必"CH2Ar,各々 S, 8H, 4H), 6.98, 7.08 (ArH,各々 S,8H, 4H), 7.12  (OH, S, 2H);元素分析 C82H120018P4としての計算値:C, 64.89; H, 7.97 %,実測値:C, 64.39; H, 8.04 

%. 

(4)  5,11,17,23,29,35‑ヘキサ‑tert‑ブチルー37,38,39,40,41,42‑ヘキサキス((ジ エトキシホスフィニル)オキシ)カリックス[6]アレーン(2.12)の合成

窒素気流下、乾燥アセトン3nlにp‑teI千ブチルカリツクス[6]アレーン2.6 0.5 g(O. 51 mmol)、 炭 酸 セ シ ウ ム2.4g(l4当量)、ジエチルリン酸クロリド 1. Oml( 14当量)を入れ、 室温 で3時間撹詳した。炭 酸 セ シ ウ ム を 漉 別 後アセ

24 

(31)

トンを減圧留去し、残澄に水を加え1時間撹持後析出した結品を濃別した。

減圧加熱乾燥を行い白色結晶の目的物を得た。収量 0.75g (85.7%);  融点 240'"'‑‑'2420C; IR ( oujol  ):  V佃の消失, Vo1360cm‑1lH‑NMR (400MHz,  (CDC12) 2 , TMS, 130oC)スペクトルがブロードであるため帰属不可能;元素 分 析 。OH138U24P6+0.5H20としての計算値:C, 64.63; H, 7.77 %,実測値:C, 64.38; H, 7.81 %; MS ( EI法)~=1790.

(5め) 5,11,1η7,23,29,35‑ヘキサ‑(1白ert‑ブチル‑37,38,39,40,41ト'ペン夕ヒドロキシ カリツクス[何例6句]アレ一ン(α2.13め)の合成久幻印川1ω0'

デ ユ ワ 一 瓶 型 冷 却 管 を 取 り 付 け た2OOmn1lの 三 口 フ ラ ス コ を 脱 気 窒 素 置 換 したO これをドライアイスーメタノールで‑780

C

に冷却し、アンモニアガス を吹き込み50ml1留めた。カリウム2.0g(51mmol)を加え1時 間 撹 祥 後 、 乾 燥 THF2Oml~: 溶かしたモノリン酸体 2.7 0.3g (0.28mmol)を滴下した。 1時 間 後 過 剰 の 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム を 加 え カ リ ウ ム を 失 活 さ せ 、 ア ン モ ニ ア を 留 去 し た 。 反 応 器 の 中 に ク ロ ロ ホ ル ム を 入 れ 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム を 鴻 別 後 ク ロ ロ ホ ルムと 1N塩 酸 水 溶 液 で 抽 出 操 作 を 行 い 、 そ の 後 有 機 層 を 飽 和 食 塩 水 で2回 洗 浄 し た 。 有 機 層 を 分 取 し 、 無 水 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム で 乾 燥 後 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム を 液 別 し ク ロ ロ ホ ル ム を 減 圧 留 去 し た 。 残 溢 に メ タ ノ ー ル を 加 え 析 出 した白色沈澱を波別し、クロロホルムーメタノールで再結晶を行い、白色結 品の目的物を得た。収量 0.15g(58.0%); 融点 248~250oC; IR (001):V

32

cm1lH‑N民1R(250MHz, COC13, TMS, 30oC) ppm 1.17, 1.20, 1.27, 1.28 

(Bu¥各々 s,9H, 9H, 18H, 18H), 3.80~4.10 ("CH2Ar s, 12H), 7.01, 7.08,  7.10"‑'7.15,7.18 (ArH, s, s, m, d, m, 2H, 2H, 6H, 2H), 7.67,9.89, 10.02 (OH, 

(32)

各々 S,3H, 1H, 1H). 

(6)  5,11,17,23,29,35‑ヘキサーtert‑ブチルー37,38,40,41‑テトラヒドロキシカリ ツクス[6]アレーン(2.14)の合成久1012)

デユワー瓶型冷却管を取り付けた200mlの 三 口 フ ラ ス コ を 脱 気 窒 素 置 換 したO これをドライアイスーメタノールでー780Cに冷却し、アンモニアガス を吹き込み 50ml~留めた。カリウム 2.0g(51mmol)を加え 1 時間撹持後、乾燥

THF2印nlに溶かしたジリン酸体2.80.4g (0.32mmol)を滴下した。 1時 間 後過 剰の塩化アンモニウムを加えカリウムを失活させ、アンモニアを留去した。

反応器の中にクロロホルムを入れ塩化アンモニウムを濃別後クロロホルム とlN塩 酸 水 溶 液 で 抽 出 操 作 を 行 い 、 そ の 後 飽 和 食 塩 水 で2回洗浄した。有 機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後硫酸マグネシウムを渡別し クロロホルムを減圧留去した。残漬にメタノールを加え析出した白色沈澱 を濃別し、クロロホルムーメタノールで再結品を行い、白色結晶の目的物を 得た。収量 0.29g (96.3%);融 点 254‑‑‑‑‑‑2550C;IR (n吋01):V 327Ocm‑1; lH̲  NMR (250MHz, CDC13 , TMS, 30oC) O / ppm 1.16, 1.26 (Bu¥各々 s,18H,  36H), 3.77, 3.93 (ArCH2Ar,  s, 4H, 8H), 7.00, 7.12, 7.14, 7.60 (ArH, s, d, d, t,  4H, 4H, 4H, 6H), 7.29  (OH, s, 4H);元 素 分 析 C66H84U4としての計算値:C, 70.45; H, 8.15 %,実測値:C, 71.14; H, 8.25 %. 

(σ7)  5,11,1η7,23,29,35‑ヘキサ‑白伝ラT(‑ブチル‑37.38.40か‑トリヒドロキシカリツク ス[阿句]アレ一ン6 (σ2.1め)の合成5 幻5久川λ.ω1o

デデ、ユワ一瓶型冷却管を取り付けた20印叫の三口フラスコを脱気窒素置換 したO これをドライアイスーメタノールで‑780Cに冷却し、アンモニアガス

26 

(33)

を吹き込み5仇凶留めた。カリウム2.0g(51mmol)を加え1時 間 撹 祥 後THF2仇叫 に溶かしたトリリン酸体 2.9O.4g (0.29mmol)を滴下した。 1時間後過剰の 塩化アンモニウムを加えカリウムを失活させ、アンモニアを留去した。反 応器の中にクロロホルムを入れ塩化アンモニウムを滞、別後クロロホルムと

1N塩 酸 水 溶 液 で 抽 出 操 作 を 行 い 、 そ の 後 飽 和 食 塩 水 で2回洗浄した。有機 層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後硫酸マグネシウムを浦、別しク ロロホルムを減圧留去した。残溢をカラムクロマトグラフィー(シリカゲ ル、クロロホルム:ヘキサン=1:3vJv)により精製した。収量 0.15g(55.9%);  融点248‑‑‑‑‑2500

C ;

IR (nujol): V 327Ocm‑1;1H‑NMR (400MHz, COC13, TMS, 30  OC) O / ppm 1.23, 1.24, 1.25, 1.26 (Bu¥各々 s,9H, 9H, 18H, 18H), 3.82, 3.83,  3.92, 3.94, 3.95 (ArCH2Ar,各々 S,2H, 2H, 2H, 4H, 2H), 4.60, 6.22 (OH,各々

S, 1H, 2H), 6.85, 6.91, 7.00, 7.06, 7.11, 7.15, 7.18 (ArH, S, t, m, m, t, d, d, 2H,  1H, 4H, 5H, lH, 1町;元素分析C66H84U3としての計算値:C, 85.66; H, 9.15 

%,実測値:C, 85.14; H, 8.90 %. 

(8)  5,11,17,23,29,35‑ヘキサーtert‑ブチルカリックス[6]アレーン(2.18)の合 成51012)

デ、ユワー瓶型冷却管を取り付けた30伽吐の三口フラスコを脱気窒素置換 した。これをドライアイスーメタノールでー780

C

に冷却し、アンモニアガス を吹き込みl

mU留め、カリウム9.0g(225mmol)を加え 1時 間 撹 祥 後 脱 水 エ ーテル15m!に溶かしたヘキサリン酸体 2.121.0g (0.6mmol)を30分かけて加 えた。 1時 間 後 、 過 剰 の 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム を 加 え た 後 ア ン モ ニ ア を 留 去 し た。反応器の中にエーテルと水を入れ抽出操作を行い、有機層を分取し、

無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを波別後エーテルを

(34)

減圧留去した。残溢をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホ ルム:ヘキサン=1:3 v / v) により精製し、白色結晶の目的物を得た。 収 量 0.05g (9.5%);融点 199‑‑‑201

t; 

IR (nujol): V佃の消失;lH‑NMR (400MHz, 

C以ご13,TMS, 300C) 

8  / 

ppm 1.33 (Bu¥ s, 54H), 3.88 (ArCH2Ar,  s, 12H), 6.74,  7.04 (ArH, d, S, 6H, 12H). 

副生成物として5,11,17,23,29,35‑ヘキサ‑ter

ι

ブチル‑37‑ヒドロキシカリツ クス[6]アレーン(2.17)が生成した。

5,11,17,23,29,35‑ヘキサーtel千ブチルー37‑ヒドロキシカリックス[6]アレーン (2.1 7) 

収量 0.35g;融点 234‑‑‑2350C;IR (nujol):  V 358Ocm‑l;lH‑NMR (400MHz,  CDC13 , TMS, 300C) 

8  / 

ppm 1.24, 1.25, 1.26 (Bu¥各々 S,18H, 27H, 18H),  3.85, 3.87, 3.98 (ArCH2Ar,各々 S,各々 4H),4.48 (OH, S, lH), 6.78, 7.04,  7.06, 7.12 (ArH,各々 S,5H, 4H, 6H, 2H);元 素 分 析 C66H840としての計算 値:C, 88.73; H, 9.48 %,実測値:C, 88.81; H, 9.34 %. 

2‑2‑3  測 定

(1)  環反転速度の測定

I

測定条件][2.1] 5.0xI0‑3M, CDCI3, THF‑d8,ピリジンーの,トルエンーd8,ア セトンーd6.

I

操作] 1つの試料について融合温度を挟んで最低5点以上の温度で測定を 行い、完全線形解析法問を用いて解析を行った。このような動的lH‑NrvtRに

28 

(35)

基づく動力学解析の最大の特徴は、化学的に平衡に達している系での動力 学の検討が行える点である。

ジアミノカリックス[4]アレーン2.1が"cone"構造のコンホメーションでの み存在し、 H∞ne"‑"∞ne"間だけでの反転が起こっていると仮定すると、メ チレン基の 2個のプロトンの組は反転に伴って互いに磁気的環境が交換す る(図2‑1)。すなわち、この系では、"∞ne"‑"∞ne"聞の反転とプロトンの 相互交換が完全に対応する。したがってプロトンの交換速度を求めること

によって、 "cone"‑" cone"聞の反転速度を得ることができる。

図2‑1 "cone"‑'cone"聞の分子内反転に伴う架橋メチレン のプロトン交換

(2)  非プロトン性有機溶媒中での2.1の酸性度の評価

I

測定条件] a)水酸基のプロトンの第一解離:[2.1] 0~5.0xl0-4M , [4‑ニト

ロフェノラート(NP‑)]1.0xl0‑5M, THF, 250C; b)アミノ基の第一プロトン

イヒ:[2.1] 

O~ 1.3xl0‑4M, [ピクリン酸(PH)]

1.0xl0‑5M, THF, 250C. 

I

操作

l

テトラエチルアンモニウム‑4‑ニトロフェノラート(NP一)またはピ

クリン酸(PH)のTHF溶 液 3mlに2.1の3.0xl0‑3M THF貯蔵液を10μlづ、つ添加

し、このときの吸収スペクトルの変化を測定した。そして、 2.1の濃度変

(36)

化に伴う吸収スペクトル変化のプロットからpKappを求めた。

これらの色素を用いた理由として第一に、これらの色素はカリックスア レーンと同様にフェノール性の水酸基が解離し、電荷が‑1価と例面の間で平 衡が存在する、第二に解離に伴って吸収スペクトルが大きく変化し、カリ

ックスアレーンの吸収領域と重ならない、などが挙げられる。

2.1の非解離種を2.1H2で表すと、 2.1H2をNPーで 滴 定 す る 場 合 、 溶 液

( T H F )

中、(1)式の平衡が成立する。

Kdp 

2.1H2 + NP‑

2.1H‑+ NPH  (1)  [NP‑]の減少量は422nmのNPーの吸光度変化により容易に算出できるので、

(1)式より平衡定数Kdpが決定される。したがって、 2.1H2の第一解離に対す る酸解離定数は(2)式で定義される。

Kapp 

Kdp . Ka  (2)  また、プロトン化されていない2.1を2.1NH2で表すと、 2.1NH2をPHで滴 定する場合、溶液

( T H F )

中、 (3)式の平衡が成立する。

Kp 

2.1NH2 + PH 

2 .INH3+ + P‑ (3)  [PH]の減少量は371nmのPの吸光度変化により容易に算出できるので、

(3)式 よ り 平 衡 定 数Kpが決定される。したがって、 2.1NH2の第一プロトン 化に対する酸解離定数は(4)式で定義される。

Kapp 

Kp . Ka  (4)  このとき、 Kaは水中におけるNPHまたはPHの酸解離定数である。

30 

(37)

2‑3  カリックス [4Jア レ ー ン の ア ミ ノ 化 反 応 と カ リ ッ ク ス [6Jアレーンの 位置特異的デオキシ反応

2‑3‑1  カリックス [4Jアレーンのアミノ化反応

フェノールの水酸基をアミノ基に変換するためには二段階の反応が必要 である。第一段階は脱離基となるジエチルリン酸エステル基の導入である。

通常、カリックス[4]アレーンの水酸基に置換基を導入する際、炭酸カリウ ムーアセトン系で反応を行うと選択的に向い合ったフェノール単位に置換基 が導入されたジ置換体が生成するヘ同様の方法でジエチルリン酸クロリ

ドをエステル化剤として反応を行った結果、高収率で目的とするジリン酸 体を得た。

第二段階は液体アンモニア中、カリウムとカリウムアミドを用いた脱リ ン酸アミノ化反応である。通常ジエチルリン酸フェニルは液体14)なのでそ のまま反応に用いることができるが、 2.3は国体であり液体アンモニアに 不溶であるため副溶媒としてエーテル(液体アンモニア:エーテル=150 : 6  vJv) を用いて反応を行った。しかしながら得られたアミノ体はモノデオキ

シモノアミノ体2.4であり、収率もわずか19%であった。このときの主生 成物はジデオキシ体2.5であった。

ジエチルリン酸フェニルの脱リン酸アミノ化反応は図22にしたがって起 こる問。このときArNH2を生成するためのアミノ化反応は基本的にAr

H

を生 成する水素化反応との競争で起こる。 2.3のアミノ化において、もし一つ または二つの水酸基が解離するとアニオン性カリックス[4]アレーンラジカ ル2.3‑(または2ー)とアミドNH2ーとの問に静電的反発が生じ、アミノ化は進行し ずらくなる。これがアミノ体の収率低下の原因であろう。

(38)

ArOP(O)(OEth + e 工[ArOP(O)(OEt)2]・ [ArOP(O)(OEthJ ・ と A r~ + (EtO)2P02‑

ゲーく m ;

ArArNHNH; (水素化)

+ピ(アミノ化) 図2‑2 脱リン酸アミノ化の反応機構

この原因を解決するため種々の実験条件下で反応を行った。結果を表2‑1 に示す。

表2‑1 2.3の脱リン酸アミノ化反応司

2.3  NH3  副溶媒 K (KNH2) K (e 収率J%

Jmmol Jmmol  Jmmol  Jmmol  2.5  2.4  2.1  3.3  150  エーテル(6ml)

200  74.6  痕跡量

1.1  50  エーテル(5ml) 25  25  73.2  19.0  痕跡量 2.2  40  THF(3nl) 50  50  52.2  42.3  4.3 

1.1  25  25  46.3  44.5  7.8  HMPA(1Oml) 

a) ‑780C, 1.0"‑‑1.2時間

表2‑1を見てみると、副溶媒の量を増加させたときアミノ体の収率が向上

し、 2.4 (42.3%)だけでなく 2.1 (4.3%)も生成することが分かる。また、

2.1の収率はHMPAを加えることで更に向上した。なぜ副溶媒の量を増や

すことでアミノ体の収率を向上させることができるのであろうか? 図2‑2 を見てみると、 NH2ーを用いたアミノ化反応、と競争してNぬからの水素の引 抜きが起きていることが分かる。したがって、副溶媒の量を増加させるこ

32 

(39)

とで液体アンモニアが希釈され、その結果NH3からの水素引抜きが抑制さ れてアミノ化が進行しやすくなったものと考えられる。

2 ‑ 3 ‑ 2  

カリックス

[ 6 ]

アレーンの位置特異的デオキシ化反応

カリックス[6]アレーンの位置特異的デオキシ化反応を行う場合、脱離基 となるジエチルリン酸エステル基の位置特異的導入が最大の問題点となる。

これはカリックス[6]アレーンの位置特異的置換基導入法についてほとんど 解明されていないためである。そこで、アルカリ金属炭酸塩ーアセトン系で 反応を行い、塩基とジエチルリン酸クロリドの量を制御することでカリツ

クス[6]アレーンの位置特異的リン酸化反応を検討した。得られた低置換体 はすべてlH‑NMRスペクトルおよび元素分析によって同定した。結果を表 2‑2に示す。

表22 低置換ジエチルリン酸エステル体の生成分布ゆ エステル 低置換体の生成比/%。

塩基(当量) イヒ剤b)

/当量 原 料 モ ノ ジ ト リ テ ト ラ ペ ン タ ヘ キ サ K2D3(1) 1  34.1  32.3  28.7  4.9 

K2C03(2)  2  5.8  20.9  46.5  22.1  4.7  K2D3(3) 3  0  9.1  21.2  61.8  7.3 

K2C03(5)  5  0  2.0  12.7  37.2  42.3  5.8d

CS2C03(14)  14  0  0  0  0  0  4.7d 95.3  a)  [2.6] 3.4xl0‑2M,アセトン,室温, 2時間;b)ジエチルリン酸クロリド;c)  HPLCにより求めた, ODS, CHC13 : MeOH 

1 : 5 v/v, 254nm; d)同定はしてい

ないが、 HPLCの流出順序よりペンタ体以外考えられる化合物はない.

表2‑2を見て分かるように、‑塩基とジエチルリン酸クロリドの量を制御す ることで目的とする低置換体が主生成物となるものの、他の低置換体との

表 2 ‑ 4 各溶媒中での 2 . 1 と 2 . 2 の融合温度 ( T c/  o C) a )   ピリジンー d 5 トルエンー d 8 CDCl3  アセトンー d 6 THF‑d8  2
表 2 ‑ 6 スペ クトル と pK a 化合 物 V 佃又は V 悶 8αf 又は 8NH pKa  I R ( 叫 0 1 ) j  cm  lH_N~依 jppm司 水中 b ) THF 中 2.1  3270 ,  3340  7

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