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本論文では、生体機能の中で特に分子認識機能に着目し、そのモデルと なる機能性ホスト分子の設計、開発を目的とした。分子設計にあたっては、

3つのテーマを取り上げた。第 1は酵素類似の包接機能を持つホスト分子 の構築、第2は核酸塩基類似の分子認識機能を持つホスト分子の構築、そ して第

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は生体内で重要な役割を果たす糖質を認識、識別するホスト分子 の構築である。以下にそれぞれのテーマについて得られた成果をまとめる。

第2章では、酵素類似の分子認識機能を持ちうる分子としてカリックス アレーンに注目し、その機能化を行う上で重要な出発原料となりうる位置 特異的にデオキシ化されたカリックス[6]アレーンおよびジアミノカリック ス[4]アレーンの合成について検討を行った。カリックス [6]アレーンの位 置特異的デオキシ化反応は、脱離基となるジエチルリン酸エステル基を位 置特異的に導入することで可能となった。位置特異的ジエチルリン酸エス テル基の導入は、塩基の種類、量を制御することでモノ置換体からヘキサ 置換体まで合成できることが分かった。しかしながら、ジエチルリン酸エ ステル基の立体障害のため、1.4‑、1.2.4‑、1.2.4.5‑のそれぞれジ、 トリ、

テトラ置換体以外の位置異性体は生成しないことが分かつた。カリックス [4]アレーンのアミノ化反応は、競争して起こるアンモニアからの水素の引 抜きを百‑1Fの量を増加させ、抑制することでより効率よく進行することが 分かった。しかしながら、収率は最高で 9 %であり、これ以上の向上は見 られなかった。ジアミノカリックス[4]アレーンの分子内水素結合はカリツ クス[4]アレーンのそれと比べ弱くなっていることがlH‑NMRスペクトル、

Rスペクトル、 pKa測定から分かった。また、動的lH‑N:rvm.の測定から、カ リックス[4]アレーンとは反対にプロトン受容性溶媒中で"∞ne'型 構 造 の 安

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定化が見られた。これは、分子内水素結合に関与していないアミノ基の水 素とプロトン受容性溶媒との相互作用に起因する。この結果は、機能性カ

リックスアレーンを構築する上で重要な知見となる。

第3章では、核酸類似の分子認識機能を持つホスト分子を設計する上で 大きな制約となる分子内水素結合の形成をカリックス[4]アレーン上に金属 結合部位と分子認識部位を隣接して構築することで制御し、金属存在下、

非存在下における分子認識挙動を lH‑N:MRスペクトルおよび蛍光スペクト ルにより検討した。金属非存在下の場合、分子内水素結合を形成するため 分子認識部位は"閉じた"構造となり不活性であるが、金属存在下の場合、

分子認識部位は"開いた"構造となり活性となることが分かった。このとき 使う金属は、カリックス[4]アレーンエステル誘導体と強く錯化するナトリ ウムイオンが一番良いことも分かった。この挙動は生体内で見られるアロ ステリック効果に類似するものであり、非常に興味深い。

第4章では、多くの生体機能を司る糖質の認識、識別を行うため、ホウ 酸を導入したポルフィリンおよび金属ポルフィリンを合成し、検討を行っ た。ポルフィリン類の会合挙動を利用することで、分光学的に感度よく水 中の糖分子を検出できることが分かった。また、いくつかの系においては 認識過程を色を通じて視覚的に検知できることが分かつた。

このように本研究では、生体系で見られる分子認識機能のモデルとなる 機能性ホスト分子を設計し、分子認識機能を発現させることができた。よ り高度な分子認識系の開発において、本研究の成果が基礎となり更に発展 することを期待したい。

謝辞

本研究を行うにあたり、終始懇切なるご指導を賜りました九州大学工学 部新海征治教授に心より感謝の意を表します。

本論文の執筆にあたり、有益な御教示、御助言を頂きました九州大学工 学 部 松 尾 拓 教 授 、 永 井 進 教 授 に 深 く 感 謝 致 し ま す 。

九州大学大学院在学中にご指導下さいました九州大学工学部教授松田 易教授(現名誉教授)、和田富美夫助手(現メデイキット(株) )、有村 隆志助手(現通産省化学技術研究所)、長崎 健助手(現大阪市立大学生 物応用化学科講師)に感謝致します。

本実験を遂行する上でジアミノカリックス[4]アレーンの合成をご指導下 さいました新技術事業団新海包接認識プロジ、エクト大瀬戸文夫研究員、特 殊ガラス器具を製作して頂いた九州大学工学部堀内秀樹技官に厚く感謝致

します。

最後に新海研究室にあって、終始丁寧なご指導および暖かく励ましてく ださいました浜地 格助教授、荒木孝司助手、篠崎美加補佐員、森山美智 子補佐員、後藤利香補佐員、ならびに新海研究室学生諸君一向に感謝致し ます。さらに研究遂行に多大の便宜を図って下さいました九州大学工学部 合成化学科(現応用物質化学科分子システム工学コース)の職員の皆様に お礼申し上げます。

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