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機能性単分子膜保護金ナノ粒子を基盤とした分子認 識機構の構築

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

機能性単分子膜保護金ナノ粒子を基盤とした分子認 識機構の構築

冨田, 健太郎

https://doi.org/10.15017/1441286

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

氏 名:冨田 健太郎

論文題名:機能性単分子膜保護金ナノ粒子を基盤とした分子認識機構の構築

区 分:甲

論 文 内 容 の 要 旨

リン酸やカルボン酸、硫酸等の無機アニオン、および、それらの誘導体である有機アニオンは、

生命を維持するうえで重要な役割を担っている。例えば、アデノシン三リン酸は生体の発エルゴ ン反応を駆動する媒体として働き、カルボン酸や硫酸の誘導体は低分子量の代謝生成物成分中で 大きな割合を占めているため、生体内の異常を知らせる情報源として活用できる。既存の高感度 なアニオン分析法として、液体クロマトグラフィーが広く利用されているものの、機器分析であ ることに由来する測定者の技術差や、試料性状の制限等があり、アニオン分析の応用範囲を狭め る要因となっている。簡易分析手法としては、レセプター分子がアニオンと錯生成する際に生じ る色彩変化を利用した分析が知られている。しかし、尿などの生体由来の実サンプルに応用する 場合には、水和に起因する低感度化が深刻で、実用化には至っていない現状がある。そこで本研 究では、金ナノ粒子を用いてこれらのアニオンを簡易、選択的に検出する手法を創造し、既存の 分析手法では困難だったアニオン分析の応用を開拓することを目的とした。具体的には、金ナノ 粒子の表面に疎水場を形成し、そこにアニオンレセプター分子を埋め込むことで、水の溶媒和に よる低感度化を回避することを試みた。アニオンレセプター分子とアニオンが錯生成したことを 可視化するために、金ナノ粒子の凝集に伴う色の変化や二光子吸収に伴う蛍光、金クラスターの 一光子吸収に伴う蛍光を利用することに着目した。

1

章では、生体内で無機・有機アニオンが演じる役割を紹介し、簡易・高感度分析の重要性 と、既存の分析法の抱える問題点を解説した上で、研究の目的を明示した。

2

章では、本研究で題材として取り上げた金ナノ粒子や、アニオンレセプター分子の有する 光学的、物理的な性質についてまとめ、これら二つを組み合わせることで、アニオン指示薬とし ての機能を付与できることを提案した。

3

章では、バルクのアニオンレセプター分子アセトニトリル溶液の、各種無機酸テトラブチ ルアンモニウム塩(酢酸、リン酸二水素、塩酸、硫酸一水素、硝酸)に対する結合定数の大きさ を調べた。結果、ニトロ基などの電子吸引性の大きな置換基ほど、酢酸イオンや硝酸イオンに対 して大きな結合定数を持つのに対し、リン酸二水素イオンに関しては逆の傾向であることを見出 した。密度汎関数法による量子化学計算にて、気相中での各種置換基(ニトロ基、無置換)を導 入したレセプター分子と、アニオンの錯生成エネルギーを求めた。結果、実験で得た錯生成定数

(3)

の大きさの序列と、計算で得た錯体の錯生成エネルギーの大きさは対応しなかった。溶媒が存在 することで理論的な計算の結果からのずれが最も大きいのは、

5

つの無機酸(酢酸、リン酸、塩酸、

硫酸、硝酸)のー1価アニオンの中では、リン酸二水素イオンであることを明らかにした。

4

章では、アニオンレセプター分子とトリメチルアンモニウム系界面活性剤を混合修飾した 金ナノ粒子に、フェムト秒の近赤外パルスレーザーを照射し、生じた金ナノ粒子の二光子吸収に 伴う蛍光と、無機アニオン濃度等との対応関係を調べた。結果、530nm近傍にピークの極大を有 する金ナノ粒子の蛍光が、硫酸イオンに対してのみ特異的に増大することを明らかにした。トリ メチルアンモニウム系界面活性剤のみを修飾した金クラスターでは、共存するアニオンの種類に よらず、蛍光強度変化が生じなかった。金ナノ粒子の二光子蛍光強度は、入射光および蛍光波長 における、金ナノ粒子表面近傍と粒子内部の屈折率差の変化を反映したものと考えられる。本研 究で得た成果をもとに、検出目標のアニオンが分子膜内部のアニオンレセプター分子面に挿入さ れた際に生じる表面のイオンの分布の変化について、表面モデルを立案して議論した。

5

章では、N,N

-dimethylformamide(DMF)を還元剤兼溶媒として合成した金クラスターの、

神経伝達物質代謝物である

vanillylmandelic acid

および

homovanillic acid

の共存下での一光子 蛍光の強度変化を調べた。DMF 保護金クラスターおよびポリエチレングリコールモノメチルエ ーテルチオール(分子量

2000)保護金クラスターでは、バニリルマンデル酸の濃度増大に伴って

蛍光が消光したのに対し、後者にアニオンレセプター分子を混合修飾した金クラスターでは蛍光 強度に変化が現れなかった。この理由について電気化学測定や液体クロマトグラフィーを用いて 詳細に調べた。

6

章では、本研究の内容を総括し、本研究での成果の在宅疾病マーカー診断に対しての有用 性を展望した。

参照

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