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マルトビオン酸カルシウムの機能特性とその利用

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Academic year: 2021

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(1)大会特別シンポジウム「応用糖質科学研究の新時代を拓く」. S1-3. 講演要旨集●(25)●. 糖鎖チップの新時代 農研機構食品総合研究所 今場司朗. 【背景】 バイオチップに代表される物として DNA チップがあるが、糖鎖チップもその有用性が期待されており、盛んに研究されている。 DNA チップはその作製法により大きくスタンフォード型と、Affymetrix 型の2種類に分けられる。スタンフォード型は、出来上がった DNA をスポッターによりガラス基板にスポットしてチップを作製する。スポッターにはピン方式、インクジェット方式、バブルジェット方 式、キャピラリー方式などがあり、スポッターの性能に集積化度が依存する。一方 Affymetrix 型はガラス基板上でフォトリソグラフィ ー技術を用いて、一つずつ DNA 鎖を延ばして作製する。集積化度は、光の当たる面積に依存し、光の当たる面積を小さくしていく だけで、集積化が可能になり、集積化及び低コスト化においてスタンフォード型より優れている。ここで現在の糖鎖チップ作製法は というと、すべていわゆるスタンフォード型であり、できあがった糖鎖を基板に結合させて作製している。今後、より集積化、多種類 化が糖鎖チップにも求められるようになると考えると、やはり糖鎖チップにおいても Affymetrix 型のようにオンチップ合成が必要にな ってくる。そこで、独自に開発した糖鎖合成手法である「だるま落とし保護法」を用いてオンチップ合成を検討した。 【結果】 一枚の基板上に構造の違う糖鎖を組み上げていく為には、基板の目的の位置のみ選択的に反応させる必要がある。目的の位 置に選択的に光を照射する事により、それが可能になる。光照射により細密構造を制御する技術として集積回路作製技術である フォトリソグラフィー技術がある。フォトリソグラフィー技術を用いて糖鎖をオンチップ合成する為には、光により反応する試薬が必要 である。光で除去可能な光切断保護基と、独自の糖鎖合成手法である「だるま落とし保護法」を組み合わせる事により、一枚の基 板上で構造の違う糖鎖を組み上げる事に成功した。. S1-4. マルトビオン酸カルシウムの機能特性とその利用 サンエイ糖化(株) 深見 健 日本人のミネラル不足は深刻化しており、特にカルシウム、マグネシウム、鉄の不足が目立つ傾向にある。中でもカル シウムは最も基本的なミネラルでありながら、日本人において必要摂取基準に満たない唯一の栄養素である。 カルシウムは人体で五番目に豊富な元素であり、体重の 1~2%の重さで体内に存在している。体内のカルシウムは、99% が歯と骨に存在し、人間の骨格を形成している。残りの 1%は血液や細胞内に存在し、心臓の機能調整、筋肉の収縮や弛緩 など重要な働きをしている。このためカルシウムが不足することで、骨粗鬆症、高血圧や大腸癌等の重大な疾患の原因と なることが広く知られている。日本での骨粗鬆症は、現在 1 千万人以上であり、中高年の骨粗鬆症からくる骨折や高齢者 の寝たきり問題は深刻化している。そのためこれまで種々のカルシウム剤が開発されてきたが、安価で吸収効率に優れた カルシウム素材については、更なる需要が見込まれる。 グルコン酸にグルコースが付加したマルトビオン酸(4--α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸)は、分子内に複数の 水酸基と一個のカルボキシル基を有しているため、糖質としての性質と、酸としての性質を併せ持っている。また、カル シウムやナトリウムなどの無機カチオンと安定な塩を形成する特徴を持つが、物理特性並びに生理機能特性に関する報告 は殆どないのが現状である。そこで我々は、マルトビオン酸カルシウムに着目し、機能性素材としての可能性について検 討を進めている。 炭酸カルシウムやグルコン酸カルシウムなどの既存カルシウム素材に比べ、マルトビオン酸カルシウムは溶解度が極め て高く、各種緩衝液(pH4、pH7、pH10)下でも高い溶解安定性を示した。また、吸収性については、5mmol/kg 体重のマル トビオン酸カルシウムを、一晩絶食した 6 週齢の ddY 系雌性マウスへ経口投与し、血中カルシウム濃度の経時変化を評価 したところ、対照として用いた炭酸カルシウム投与群に比べ、投与後 30 分で高い傾向を示し、60 分後では有意な高値を 示した。これらの結果より、マルトビオン酸カルシウムは溶液安定性に優れ、且つ体内への吸収性の向上が期待されるカ ルシウム剤としての可能性が示された。 マルトビオン酸カルシウムはマルチトールと同様に難消化性で、腸内細菌増殖選択性においては、マルチトールやグル コン酸塩類とは資化性が異なり、Bacteroides 属や Eubacterium 属細菌などには殆ど資化されないことを確認した。また、 5%マルトビオン酸カルシウム添加飼料を BALB/c マウスに投与し、盲腸での発酵パラメータを解析したところ、盲腸内容物 及び盲腸壁重量の増加や、盲腸内容物中の酢酸、酪酸及びプロピオン酸の増加が観察された。以上の結果より、マルトビ オン酸カルシウムには腸内環境改善効果も期待される。 食品加工適性としての可能性を探るために、マルトビオン酸カルシウム添加による製パン改質効果について評価したと ころ、マルトビオン酸カルシウム添加パンは、キメが細かく柔らかいクラムに仕上がり、保存後の硬さ変化量も対照とし て用いた炭酸カルシウム添加パンの7割程度となった。その他、野菜を調理・レトルト処理する過程で、マルトビオン酸 カルシウムを添加することで、食味・食感へ大きく影響を及ぼすことなく煮崩れを防止する効果等も確認した。このよう にマルトビオン酸カルシウムには、カルシウム吸収増進作用等の生理機能性素材としての利用以外に、食品加工用途への 利用も期待される。 応用糖質科学. 第1巻. 第3号. (2011).

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