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博士(工学)三浦潤一郎 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)三浦潤一郎 学位論文題名

金属錯体 の逆相高 速液体ク口マトグラフィー      の高 性能化に 関する 研究

学位論文内容の要旨

  超高感度,超微量分析技術への要求は工業分析の領域で依然として強 く,従来の機器分析技術では容易に解決し得ない問題への対応が求めら れている.たとえば,製造工程から半導体用高純度シリコンに混入する 極微量バナジウムの管理分析におぃて,現在の主流技術である原子スベ ク卜ル分析法や質量分析法では,材料マ卜リックスによる影響を回避で きなぃなどのため,煩雑な前分離技術を併用せざるを得ない状況にある・

このように既存の機器分析技術では,分離法の併用が避けられなぃ状況 を考慮して,.著者は分離分析技術として普及してきている吸光検出〜逆 相高速液体クロマ卜グラフィ―(RP―HPLC)に着目した.本論文は,

RP‐HPLCの 高性 能 化の ため の 新手 法 を提 案 して ,材 料 分析 な どで 問題視されるバナジウムなどの超微量分析技術の開発に至った経緯を まとめたものである・

  本諭文は9章から構成されており,各章の概要は以下のとおりである,

  第1章は緒諭であり,材料分析に要求される超微量分析技術の現状を ま と め , その 鬮 題点 の 解決 に金 属 錨体 のRPーHPLCが 有 望で あ るこ と を 諭 じ , 研 究 の 背 景 と 目 的 と を 明 ら か に し て い る .   第 2章 で は ,RP−HPLCの 発 展 を 述 ベ , 金 属 錯 体 のRP一HPL Cの高性能化をはかる上で,解決すべき問題点を論じている.最初に,

金属イオンを疎水性錯体に変換するには,アゾ.系3座配位子が吸光検 出 〜RP−HPLCに 有 利で ある こ とを 述 ペ, 続 いて 固定 相 (オ ク タデ シルシリル基化学結合型シリカ)への保持が最も強い陽イオン錯体と,

(2)

最 も 弱 い 配 位 不 飽 和 錯 体 の 制 御 がRP―HPLCの 高 性 能 化 の 鍵 で あ る と諭 じて いる .そこ で, これ らの 問題点 を分 配平 衡の見地から考察し,

前 者 の 対 策 に,疎 水性 第4級ア ンモ ニウ ム塩を 移動 相に 加えて .固 定衵 表 面 を 鋤 的 に 修 飾 す るRP−HPLCを . 後 者 の 対 策 に 非 イ オ ン 界 面 活 性 剤 ミ セ ル 水 溶 液 を 移 動 相 と す る ミ セ ルRP−HPLCを 提 案 し , そ れ らの可能性を諭じている・

  第3章 で は , ま ず , 溶 出し 難 い ア ゾ . 系3座 配 位 子 (L‑)の コ バ ル ト

(I・II)陽イオン錯体(COL2゛)の保持を,固定相に強く保持される疎水 性 第4級 ア ンモ ニウ ム塩に よっ て制 御す る着想 を検 証し ている .疎 水性 第4級 ア ン モニ ウ ム 塩 に よ っ て ,Co L2゛が 容 易に 溶出 するよ うに なる こと を実 験的 に明ら かに する とと もに, その 機構 を検討している.すな わ ち , 疎 水 性第4級 アンモ ニウ ム陽 イオ ンとシ リカ 表面 のシラ ノー ルプ ロ卜 ンと のイ オン交 換作 用に よル シラノ ―ル 基が 封鎖され,さらにオク タ デ シ ル シ リル基 との 疎水 性相互 作用 によ り, 第4級ア ンモニ ウム 陽イ オン が固 定相 に動的 に保 持さ れ, 固定相 表面 の極 性が増加することが,

コ バ ル 卜(III)陽イ オン錯 体の 溶出 を容 易にす る原 因で あると 論じ てい る . ま た , 第4級 ア ン モ ニ ウ ム 塩 を 移 動 相に 加 えると ,Co L2゛錯 体の 保持時間が大幅に短縮されるのみならず,ニッケル(II)錯体(Ni L2)の よ う な1:2中性 錯 体 や , 中 性 錯 体 で は ある が 配位 不飽 和な, バナ ジウ ム (V】 錯 体(VO L2L)の 保 持 も 制 御 で きる こ とを 明ら かにし てい る・

こ の よ う に 第4級ア ンモニ ウム 塩を 含む 移動相 を用 いる と,固 定相 担体 の製 造履 歴に よらず ,再 現性 に優 れたク ロマ 卜グ ラムが得られ.また金 属 錯 体 の 保 持 時 間 を 制 御 す る こ と も 可 能 に な り ,RP一HPLCの 高 性 能化がはかられると結諭している.

  第4章 で は . 疎 水 性 第4級 ア ン モ ニ ウ ム 塩 の 効 果 を 利 用 す るRP−H PLCを鉄(‖r),コバル卜(III),ニッケル(II),バナジウム(v)錯休 の分 離に 応用 し.超 微量 分析 に有 効であ るこ とを 検証している.この方 法はバナジウムとコバル卜に対して,従来捉案されている分析法の巾で,

最も高感度な方法であることをlwかにしている.突際に,半欝体J羽・商純 度シリコンなど多数の実言式料の分析に適用し,その有効性と信頼性を確 かめている.

  第5章では ,第3章 の 結果をピコグラムレベルのバナジウム(v)の分析 技術 に発 展さ せた結 果を 述べ てい る.す なわ ち, 固定相表面に動的に保 持 さ れ た 疎 水性第4級アン モニ ウム 陽イ オンに よっ て, 過剰に 共存 する アゾ.系3座配位子(錯形成剤)の保持時間は大きく変化するが,バナジウ

(3)

ム(V)錯体のそれは変化せず,これによルバナジウム川錯体は選択的に 分 離 さ れ , 試 料 溶 液 1cIT13中 の2. 6pgの バ ナ ジ ウ ム の 分 析 が 可能になることを明らかにしている.この方法を石炭灰中などの超微量 バ ナ ジ ウ ム の 分 析 に 適 用 し , そ の 実 用 性 を 確 認 し て い る ・   第6章では,保持が弱く,過剰に共存する錨形成剤と分離し難い,バ ナジウム(V】錯体の保持挙動を制御するために,第2牽で提案した非イオ ン界面活性剤ミセル溶液を移動相とする着想を検証している.まず独立 に,非イオン界面活性剤ミセル水溶液中のミセルと外部水相間における,

錯形成剤とその金属錯体の分配定数を分光学的手法で測定し,錯形成剤 の分配定数が非イオン界面活性剤のエチレンオキシド鎖の増加と共に、

小さくなることを見いだしている.さらに,この分配定数がミセルRP― HPLCの 保 持 比 と 相問 関係に ある ことを 示し て.非 イオ ン界面 活性 剤 の選択指針を与え,錯形成剤とバナジウム(Y】錯体の保持を制御する移動 相の設計法を提案している・

  第7章 で は , 第6章 で 提 案 し た ミ セ ルRP−HPLCが 超 微 量 パ ナ ジ ウムの分析に有効であることを検証している.すなわち,適当なエチレ ンオキシド鎖長の非イオン界面活性剤を選択すると,過剰に共存する錯 形成剤の溶出を抑制しながら,バナジウム錯体を優先的に溶出し得るこ と を 実 証 し . ミ セ ル が 金属 錯 体 のRP−HPLCの高 性 能 化 に き わ めて 有効であることを明らかにしている.この方法を実試料中の超微量バナ ジ ウ ム の 分 析 に 応 用 し , そ の 有 効 性 を 確 か め て い る ・   第8竃で は,第2章に 示し たニつ の着 想を組 み合 わせ,疎水性第4級 ア ン モ ニ ウ ム 塩 を 併 用 する ミ セ ルRPーHPLCを試 み て い る . そ の結 果,クロマトグラムの伸縮や錯体の溶出順の制御が一層自由になること を 明か に し ,RP−HPLCの商 性能 化がは から れるこ とを 示して いる .   これをコバル卜陽イオン錯体の選択的・迅速分離に応用して.樔準試料 中の超微量コバルトの分析を行い,この方法の有効性,信頼性を確認し ている.

  第9章では,本研究を総括すると共に,本研究の成果が金属錯体にと どまらず,一般の逆相高速液体クロマ卜グラフィーの高性能化にも応用 し得るものであることを述べている.

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    渡 辺 寛 人 副 査    教授    古市隆三郎 副 査    教 授    横 田 和 明 副 査    教 授    大 橋 弘 士

学 位 論 文 題 名

金 属 錯体 の 逆 相高速 液体ク口マ トグラフィ ーの高性能 化に関する 研究

  近 年 ,微 量 分 析へ の要 求はますま す高度化レ ,レばしぱ 現行の最先 端の 分析技 術をもって レても,迅 速に対応しきれない問題が多。ヽ.たとえば,

高 純度 シ リコ ン に混 入 する極微量 バナジウム の管理分析 において, 原子ス ベ クト ル 分析 法 や質 量 分析法をも ってしても 感度の不足 や.材料マ 卜リッ ク スに よ る影 響 は避 け られず,煩 雑な前分離 技術を併用 せざるを得 ない・

  本 論 文は , こ うレ た状 況に対応す るため,分 離分析技術 として普及 レて き て い る 吸 光 検 出 〜 逆 相 高 速 液 体 ク 口 マ ト グ ラ フ ィ ー (RPーHPLC)の 高性能 化を試み, 材料分析な どで問題が多。ソヾナジウムなどの超微量分析 技術の 開発に至っ た研究成果 をまとめた ものである ・

  ま ず . 金 属 錯 体 のRP―HPLCの 高 性 能 化 を は か る 上 で , 解 決 す べ き 問 題点 を 諭じ て いる . 最初に.金 属イオンを 疎水性錯体 に変換する には・

ア ゾ ゛ 系3座 配 位 子 が 吸 光 検 出 〜  RP ‑HPLCに 有 利 で あ る こ と を 指 摘 し,続 いて固定相 (オクタデ シルシリル基化学結合型シリカ)への保持が最 も 強く , 溶出 し 難い 陽 イオン錯体 と,保持が 最も弱く, 過剰配位子 と分離 し 難 い 配 位 不 飽 和 錯 体 の 制 御 がRP−HPLCの 高 性 能 化 の 鍵 で あ る と 諭 じ てい る ,次 い で, 前 者の 対 策 に, 疎 水性 第4級 ア ンモ ニウム塩を 移動相 に 加 え て , 固 定 相 表 面 を 動 的 に 修 飾 す るRP−HPLCを , 後 者 の 対 策 に 非 イ オ ン 界 面 活 性 剤 ミ セ ル 水 溶 液 を 移 動 相 と す る ミ セ ルRPーHPLCを 提 案 し , そ れ ら の 可 能 性 を 分 配 平 衡 の 見 地 か ら 検 討 レ て い る .

(5)

  最初に.溶出し難いアゾ.系3座配位子(L‑)ーコバル卜(III)陽イオン錯 体(CoLz゛)の 保持 を, 固定相 に強 く保 持さ れる疎 水性 第4級ア ンモ ニウ ム塩 によ って制 御す る着 想を検 証し てい る. 先ず. 疎水 性第4級 アン モニ ウム塩 によ って ,CoLーc゛ が迅 速に 溶出す るようになることを実験的に確 認して いる .そ の機構 は. 固定 相の シリカ 表面に残存するシラノール基プ 口卜 ンと のイオ ン交 換作 用によ り. 疎水 性第4級 アン モニウ ム陽 イオ ンが 固定相 に動 的に 保持さ れる こと にあ ること を,残存シラノールの量が異な る種 々の 固定相 担体 を用 いて, 実験 的に 明ら かにし てい る. また .第4級 アンモ ニウ ム塩 を移動 相に 加え ると ,二ッ ケル(II)錯体(Ni L2)のよう な1:2中 性 錯 体 や , 中 性 錯 体で は あ るが配 位不 飽和 なバナ ジウ ム(V)の1

:1錯体 (V02L) の制御 も可 能に なる ことを 示し てい る.こ れに より ,固 定相担 体の 製造 履歴に よら ず, 優れ た分解 能のクロマトグラムが再現性良 く 得 ら れ る よ う に な り , 金 属 錯 体 のRP一HPLCの 高 性 能 化 を 達 成 し て いる・

  次 に. 過剰に 共存 する 錯形成 剤と 分離 レ難 いバナ ジウ ム(V)錯 体の 保持 を 制 御 す る た め に . ミ セ ルRP−HPLCを 検 討 し て い る . ま ず 独 立 に , 非イオ ン界 面活 性剤ミ セル 水溶 液中 のミセ ルと外部水相間における.錯形 成剤と その 金属 錯体の 分配 定数 を分 光学的 に測定する方法を提案し.その 結果, 錯形 成剤 の分配 定数 が非 イオ ン界面 活性剤のエチレンオキシド鎖長 の増加 と共 に、 減少す るの に対 し, 金属錯 体の分配定数はほとんど変化し ない こ と を 見 出 し て い る . 次い で , 錯 形 成 剤 の 分 配 定 数 がミ セ ルRP−H PLCに ぉ け る 保 持 比 と 逆 相 間 関係 に あ る こ と を 示 し て , 長い エ チ レ ンオ キシド 鎖の 非イ オン界 面活 性剤 を用 いると ,錯形成剤の溶出を抑制しなが ら.バ ナジ ウム 錯体を 迅速 且つ 優先 的に溶 出できることを明らかにし.こ れ ら の 結 果 を 基 に . ミ セ ルRP−HPLCに お け る 移 動 相 の 設 計 方 法 を 与

る・

  最 後 に , 第4級 ア ン モ ニ ウ ム 塩 を 用 い るRP−HPLC. ミ セ ルRPー HPLC. 第 4級 ア ン モ ニ ウ ム 塩 を 併 用 す る ミ セ ル RP―HPLCの そ れ ぞ れを ,高 純度 シリコ ン, フラ イア ッシュ ,環境試料,標準試料などの分 析 に適 用し ,数 ピコグ ラム レベ ルの バナジ ウム.コバル卜等の超微量分析 が 可 能 で あ る こ と を 明 か に レ , 信 頼 性 と 有 効 性 を 確 認 し て い る .   これ を要 する に本論 文は ,ク 口マ トグラ ムの分解能の向上に有効な新手 法 を 提 案 し て , 金 属 錯 体 のRP−HPLCの 高 性 能 化 と 新 規 な 超 微 量 分 析 技 術の 開発 に成 功レて おり ,工 業化 学,工 業分析化学の進歩に寄与すると ころが大きい.よって著者は.博士(工学)の学位を授与されう資格あるも のと認める.

                                    4       C    L    P    H    C    L P    P R    H

  

   P    R         

   

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