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博士(工学)三浦 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)三浦 学位論文題名

ステッピングモータの回転子振動抑制に関する研究

学位論文内容の要旨

  近 年 、FA.OA機器 や 家 電 製 品等 に 用 い ら れる 小 形 モ ータ に対 して、 高い制 御陞功 ミ要求 され てい る 。 制 御 用 小形 モ ー タ の 中で も 、 ス テ ッ ピン グ モ ー タ は、 スイッ チング により 励磁を 順次 切り換 え て い く と い う方法 で駆動 が可能 であ り、デ ィジタ ル量の みで 動作指 令を与 えるこ とがで きる 。また 、 開 ル ー プ で 角度 お よ び 速 度制 御 が 可 能 と なる と い う 利 点も 有して いる。 ただし 、その 駆動 時には 、 回 転子の 慣陛 に起因 して振 動が現 れる という 大きな 問題も 生じる 。

  本 論文 に お い て 著者 は 、 上 記 のよ う な ス テ ッ ピン グ モ ー タ の回 転 子 振 動 を抑 制 す る 手 法の 構 築 にi謝 → る 検討 を 行 っ て いる 。 こ こ では特 に、駆 動条件 の変 化に柔 軟に対 応でき るソフ トウ ェア的 な 手 法 を 用 い 、従 来 あ ま り 考慮 さ れ て こ な かっ た 負 荷 の 変化 等によ る機器 パラメ ータの 変動 に対す る ロ バ ス ト 性 を保 証 す る こ とを 目 的 と し て いる 。 具 体 的 には 、振動 特陸へ の影響 が大き い回 転子の 隕

´ 陸モー メン トの変 動を考 慮し、ステッピングモータの代表的な駆動法である開ル^一プ駆動、閉ル^一 プ 駆 動 お よ びマ イ ク ロ ス テッ プ 駆 動 の そ れぞ れ に 対 し て、 以 下 に 述 べる4つ の アプロ ーチ を行い 、 そ の効果 を検 討して いる。

  ま ず 、 第1の ア プ ロ ーチ と し て 、 ステ ッ ピ ン グ モー タ の 開 ル ^ー プ 駆 動 に お いて、 そのス イッチ ン グ の 順 序 およ び タ イ ミ ング を 決 定 す る 励磁 シ ー ケ ン スを 調整し て回転 子振動 を抑制 する 方怯に 関 し て 検 討 を 行っ て い る 。 励磁 シ ー ケ ン ス の調 整 に よ る 振動 抑制法 は従来 から用 いられ てき たが、 本 手 法 に お い ては 特 に 、 負 荷の 変 動 に 対 応 する た め 、 各 ステ ップの 励磁タ イミン グを駆 動状 況に合 わ せ て 自 動 的 に調 整 す る こ とを 試 み て い る 。具 体 的 に は 、励 磁シー ケンス の調整 による 振動 抑制法 の 中 で も 調 整 パラ メ ー タ が 最も 少 な い ハ ー フス テ ッ ブ 励 磁シ ーケン スによ る方法 を採用 し、 現代制 御 理 論 に お け るレ ギ ュ レ ー タの 理 論 に 基 づ いて そ の 励 磁 タイ ミング を自動 調整す るアル ゴリ ズムを 構 築 し て い る 。ま た 、 励 磁 タイ ミ ン グ は 、 各ス テ ッ プ に おけ る回転 子角度 の応答 波形に 基づ ぃて修 正 さ れ る が 、 角度 セ ン サ が 不要 で あ ると いう開 ルk一プ駆 動の 長所を 維持す るため 、この 波形 を巻線 の 励 磁 電 流 波 形か ら ニ ュ ー ラル ネ ッ ト ワ ー クを 用 い て 推 定す るとい う方法 も提案 してい る。 実験シ ス テ ム に こ れ らの 手 法 を 適 用し た と こ ろ 、 駆動 状 況 の 変 動に 対して 励磁タ イミン グが逐 次適 切な値 に 修 正され 、回 転子振 動が抑 制され た。

  上 記 の アプ ロ ー チ にiま 、 制 御 開 始時 や 負 荷 変 動時 に は 励 磁 タイ ミ ン グ を 適 正な値 に修正 するた め の 調 整 期 間が 必 要 に な ると い う 欠 点 を 持っ て い る 。 これ を 解 消 す るた め 、 第2のア プロ ーチと し て 、 開 ル ー プ駆動 に用い る励磁 シー ケンス そのも のに機 器パ ラメー タに対 するロ バスト 性を 持たせ 、 タ イミン グ調 整を不 要とす る方法 につ いての 検討を 行って いる。

  ス テッ ピ ン グ モ ータ の 回 転 子 はト ル ク 平 衡 点 の移 動 に 伴 っ て回 転 す る 。 特に 、 負 荷 の 慣陸 が 大 き い 場 合 に は、 各 ス テ ッ プに お い て 回 転 子は ト ル ク 平 衡点 のステ ッブ次 の変化 に対し て追 従でき な く な り 、 こ のず れ が 振 動 とい う 形 で 現 れ る。 こ の と き 、ト ルク平 衡点の 移動に 含まれ る周 波数成 分 は 、 回 転 子 が追 従 可 能 で ある 周 波 数 領 域 を逸 脱 し た 高 い領 域のも のを含 んでい る。本 手法 では、 負 荷 の 慣 陛 モ ーメン トに最 大値を 設定 し、こ の条件 におい て、 回転子 がトノ レク平 衡点に 接近 した状 態 で 追 従 可 能 であ る 周 波 数 の上 限 を モ ー タ の周 波 数 特 幽 こ基 づぃて 導き、 トルク 平衡点 の時 間変化 波 形 を そ の 上 限周 波 数 以 下 の成 分 の み を 持 つ非 振 動 的 な 形状 とする ように 励磁シ ーケン スの 調整を 行 う 。 負 荷 の 慣陸 が 最 大 で ある 状 況 に お い て回 転 子 が ト ルク 平衡点 の移動 に追従 可能で あれ ば、そ れ

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(2)

以外 の駆動 条件 におい ても追 従は可能となるので、結局ロバスト´陞カミ保証されることになる。また、

励 磁 シ ーケ ン ス の 調 整過 程 を 最 適 化問 題 と 見 な し 、そ の 解 法と して遺 伝的ア ルゴリ ズム を用い るこ と に よ りそ の 調 整 を 自動 化 し て い る。 こ れ ら の 手 法を 実 験 シス テムに 適用し たとこ ろ、 回転子 贋陸 の 変 動 に対 し て ロバス トに振 動を 抑制で きる励 磁シー ケン スを実 際に得 られる ことが 確か められ た。

  以 上 二 つの ア プ 口 ー チは 、 開 ル ー プ 駆動 を 行 う 場 合に 対 す る も ので あ っ た 、 他方 で 、 特 に 信 頼 陸 や 高い 制 御 阯能を 重視す るシ ステム におい ては、 回転 子の角 度をフ イード バック して 駆動を 行う 閉 ル ー プ制 御 が 採 用 され る 。 本 論 文に お け る 第3の ア プ ロ ー チ とし て 、 上 記 のよ う な閉 ループ 系に お い て 回 転 子 慣 性 の 変 動 に 対 し て ロ バ ス ト に 振 動 抑 制 を 行 う 方 法 の 検 討 を 行 う 。   閉 ル ー プ駆 動 を 行 う 場合 に は 、 各 々 の時 刻 に お け るフ イ ー ド バ ック 量 を 元 に して そ の 時 刻 に お け る ス イッ チ ン グ の 状態 を 決 定 す る適 切 な 制 御 則 を与 え れ ぱよ い。本 手法に おいて は、 スライ ディ ン グ モ ード 制 御 の 理 論に 基 づ い て この 制 御 則 を 与 える 。 ス ライ ディン グモー ド制御 を用 いれば 、切 換 面 を 境界 と し た ス イッ チ ン グ に より 制御 貝uを与え るこ とが可 能にな るので 、スイ ッチ ングに よる 駆 動 が 行わ れ る ス テ ッピ ン グ モ ー タへ の 適 用 に 関 して 好 都 合と なる。 本シス テムに おい ては、 角度

― ト ル ク特 性 を あ る 直線 上 に 拘 束 する こ と に よ り 振動 の 抑 制が 可能と なるこ とを利 用し て切換 面の 設 計 を 行っ て い る 。 実験 シ ス テ ム にこ の 手 法 を 適 用し た と ころ 、回転 子慣陸 の変動 に対 して口 バス ト に 振 動 が 抑 制で き る こ と が実 証 さ れ た 。ま た 、 先 に 述べ た 第1お よび 第2の ア プロ ー チ に 比 較 し た 場 合 、本 手 法 の方が 振動抑 制の 効果が 高いこ とが示 され 、開ル ープ駆 動に対 する閉 ノレ ープ駆 動の 優位 陸も確 認さ れた。

  上 記3つ の ア プ ロ ー チ は 、 ス テ ッ ピ ング モ ー タ を スイ ッ チ ン グ によ り 駆 動 す る場 合 に 関 す る も の で あ った 。 他 方 で 、励 磁 電 流 値 を微 小 量 ず つ 変 化さ せ 、 回転 子を微 小角度 ずつ移 動さ せるマ イク ロ ス テ ップ 駆 動 に 関 して も 、 励 磁 電流 値 を 適 切 に 調整 す れ ぱ、 駆動時 のトル ク脈動 が減 少し、 結果 と し て 振動 の 抑 制 が 可能 と な る 。 この 場 合 に は 、 発生 ト ル クそ のもの の振動 分が減 少す るので 、回 転 子 慣 性の 変 動 に 無 関係 に あ ら ゆ る状 況 に お い て 振動 分 が 減少 するこ とにな り、ロ バス ト性の 保証 に っ な がる 。 こ れ を 考慮 し 、 本 論 文に お け る 第4の ア プ ロ ー チ とし て 、 マ イ クロ ス テッ プ駆動 を行 う 場 合 に関 し 、 モ ー タの 動 的 な 特 陸を 支 配 す る 角 度一 ト ル ク特 陸を考 慮した 上で励 磁電 流値を 調整 し、 これを 用い て駆動 を行う 方法を 提案 してい る。

  実 際 に は、 各 マ イ ク ロス テ ッ プ に お ける ト ル ク 平 衡点 の 移 動 を 等間 隔 に し て その 移 動 速 度 を 一 定 と す るこ と に よ り 発生 ト ル ク の 脈動 を 減 少 さ せ るこ と を 考慮 し、調 整過程 全体を 現代 制御理 論に おけ るレギ ュレ ータと してモ ラシレ イヒ して励 磁電流 調整シ ステム を構 築している。これを用いて実際 に 励 磁 電流 値 の 調 整 をっ た と こ ろ 、ト ル ク 平 衡 点 の移 動 が 等間 隔とな るよう な励磁 電流 値が自 動的 に 得 ら れる こ と が 確 認さ れ た 。 ま た、 調 整 さ れ た 励磁 電 流 値を 用いて モータ を連続 的に 駆動し たと こ ろ 、 回転 子 慣 幽 ミ 変化 し た 場 合 でも 、 常 に 振 動 が減 少 す ると いう結 果が得 られ、 回転 子隕性 の変 動 に 対 す る ロ バ ス ト 性 を 保 証 す る 上 で 実 際 に 効 果 的 と な る こ と が 示 さ れ た 。   以 上 の よう に 、 ス テ ッピ ン グ モ ー タ の回 転 子 振 動 抑制 の ソ フ ト ウェ ア 的 な 手 法に 関 し 、 特 に 回 転 子 慣 陸の 変 動 に 対 する ロ バ ス ト 性を 考 慮 し て4つ の ア プ ロ ー チを 試 み 、 そ のい ず れに おいて も高 い効 果が得 られ ること が確認 された 。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査    教 授    土谷武士 副査    教 授    島    公脩 副査   教授   長谷川   淳 副査    教 授    酒井洋輔

学 位 論 文 題 名

ステッピングモータの回転子振動抑制に関する研究

  

近年、FA .

OA

機器や家電製品等に用いられているステッピングモ一夕は、スイッチン グにより励磁を順次切り換えていくという方法で駆動が可能であり、ディジタル量のみで 動作指令を与えることができる。ただし、その駆動時には、回転子の慣性に起因して振動 が現れるという大きな問題も生じる。

  

本論文に おいて 著者は、上記のような回転子振動を抑制する手法に関する検討を行っ ている。ここでは特に、駆動条件の変化に柔軟に対応できるソフトウェア的な手法を用い、

従来考慮されてこなかった機器

/t

ラメータの変動に対する口バスト性を保証することを目 的としている。具体的には、振動特性への影響が大きい回転子慣性の変動を考慮し、代表 的な駆動法である開ループ駆動、閉ループ駆動およびマイクロステップ駆動に関して、以 下に述ぺる4 っのアプローチを行っている。

  

まず、第

1

の アプロー チとし て、ステ ッピングモータの開ループ駆動において、励磁 シーケンスを調整して回転子振動を抑制する方法に関して検討を行っている。本手法にお いては特に、負荷の変動に対応するため、ハーフステップ振動抑制励磁シーケンスに関し て、レギュレ一夕の理論に基づぃてその励磁夕イミングを自動的に調整し、負荷変動に対 応するアルゴリズムを構築している。また、このとき用いるステップ毎の角度情報を励磁 電流波形からニューラルネットワークを用いて推定するというセンサレス化手法も提案し ている。実験により、駆動状況の変動に対して励磁夕イミングが逐次適切な値に修正され ることが確かめられた。

  

上記のア プ口ー チには、励磁夕イミングの調整期間が必要になるという欠点がある。

これを解消するため、第2 のアプ口ーチとして、開ループ駆動に用いる励磁シーケンスそ のものに 口バス ト性を持たせ、再調整を不要とする方法についての検討を行っている。

  

ステッピ ングモ ータの駆動時において、負荷の慣性が大きい場合には、回転子はトル ク平衡点の位置変化に対して追従できなくなり、このずれが振動という形で現れる。本手 法では、負荷慣性に最大値を設定し、この条件において、回転子がトルク平衡点からずれ を生じない状態で追従可能である周波数の上限をモータの動特性に基づぃて導き、トルク 平衡点の時間変化波形をその周波数以下の成分のみを持つ非振動的な形状とするように励 磁シーケンスの調整を行う。最大負荷時に回転子がトルク平衡点の移動に追従可能であれ ば、それ以外の場合条件でも追従は可能となるので、結局口バスト性が保証されることに なる。また、励磁シーケンスの自動調整法として遺伝的アルゴリズムを用いている。本手 法を実験システムに適用したところ、回転子慣性の変動に対して口パストに振動を抑制で きる励磁シーケンスを実際に得られることが確かめられた。

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(4)

  

以上二つのア プ口ーチは、開ループ駆動を行う場合に対するものであった、他方で、

信頼性や高い制 御性能を重視する場合は閉ループ制御が採用される。本論文における第3 のアプローチとして、このような閉ループ系において回転子慣性の変動に対してロバスト に振動抑制を行 う方法の検討を行う。

  

本手法におい ては、スライディングモード制御の理論に基づぃて制御則を与える。こ れを用いれぱ、切換面を境界としたスイッチングにより制御則を与えることが可能になる ので、スイッチングによる駆動が行われるステッピングモータへの適用に関して好都合と なる。本システムにおいては、角度一トルク特性をある直線上に拘束することにより振動 の抑制が可能となることを利用して切換面の設計を行っている。実験により、実際に回転 子 慣 性 の 変 動 に 対 し て ロ バ ス ト に 振 動 が 抑 制 で き る こ と が 確 認 さ れ た 。

  

上記3 つのアプローチは、ステッピングモ ータをスイッチングにより駆動する場合に 関するものであった。他方で、励磁電流値を微小量ずつ変化させ、ステップ角を細分化す るマイク口ステップ駆動に関しても、ステッブ毎の移動量を一定とすれば、駆動時のトル クそのものの脈動が減少するので、回転子慣性の変動に無関係に振動が抑制されることに なり、ロバスト 性の保証にっながる。これを考慮し、本論文における第4 のアプローチと して、マイクロステップ駆動を行う場合に関し、モ一夕の角度一トルク特性を考慮した上 で励磁電流値を自動調整する方法を提案している。調整された電流値を用いて実際にモー タを駆動したところ、回転子慣性の変動に対する口バスト性を保証しつつ振動が抑制され ることが実証さ れた。

  

これを要するに、著者は、ステッピングモータの回転子振動抑制に関して検討を加え、

性能改善のための新知見を得たものであり、ステッピングモータの駆動技術の進歩に対し て貢献するとこ ろ大なるものがある。

  

よって著者は 、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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