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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学大学院. 先進理工学研究科. 博 士 論 文 概 要. 論. 文. 題. 目. Construction of Heterofunctional Nanosheets with Different Cytocompatibilities in Two Sides and Application as an Anti-adhesion Barrier 表裏で異なる細胞親和性を持つナノシートの調製と 癒着防止剤としての応用. 申. 請. 者. 丹羽. 大輔. Daisuke. Niwa. 生命医科学専攻 生体分子集合科学研究. 2010 年. 12. 月.

(2) No.0. ナノテクノロジーやナノマテリアルによる近年の技術革新は目覚しく、エレク トロニクス、オプトニクスなどの産業において様々な製品に応用されている。ま た、バイオテクノロジーとも融合したナノバイオテクノロジーへの進展も顕著で あ り 、 医 工 連 携 の 下 、 各 種 診 断 法 、 ド ラ ッ グ デ リ バ リ ー シ ス テ ム (DDS)、 再 生 医 療 工 学 分 野 に お い て 革 新 的 な 診 断 ・ 治 療 法 が 提 唱 さ れ て い る 。 Langer が 人 間 の 耳 を形取ったポリ乳酸をマウスに埋め込み、生分解性高分子を組織再生の足場とし て用いた研究に端を発し、岡野らは温度応答性高分子を被覆したシャーレから細 胞シートを作製し、角膜や心筋の損傷部に移植して組織再生させる「細胞シート 工 学 」 に 至 る 一 連 の 技 術 の 進 展 は 、 iPS 細 胞 か ら 自 己 の 組 織 や 臓 器 を 構 築 し て 移 植する近未来の個別化医療の核心に迫るものであろう。他方、申請者の所属研究 室では、生分解性及び生体適合性を兼備した厚さ数十ナノメートルからなる高分 子 超 薄 膜 (ナ ノ シ ー ト )を 新 し い 概 念 の 医 用 材 料 と し て 展 開 し て お り 、 動 物 実 験 に より外科的処置後の癒着防止機能を持つ創傷被覆材としての良好な知見を集積し ている。この生分解性・生体適合性のある医用高分子材料からなるナノシートの 特 徴 は 、 超 薄 膜 で あ る こ と に よ る 巨 大 ア ス ペ ク ト 比 (> 106)、 そ れ 故 の 高 い 柔 軟 性 と高い接着性、極少量で大面積の患部を被覆できるメリットやコストメリットな どが挙げられる。短時間で大量調製や滅菌が可能であり、緊急時にも対応可能で 誰にでも幅広い用途で安価に利用できる創傷被覆材として細胞シートとは異なる 展開が見込まれる。 当研究室ではポリカチオンとポリアニオンを亣互積層させることにより得られ る ポ リ イ オ ン コ ン プ レ ッ ク ス ナ ノ シ ー ト (キ ト サ ン /ア ル ギ ン 酸 、 コ ラ ー ゲ ン /ヒ ア ル ロ ン 酸 な ど ) と ポ リ 乳 酸 (PLLA) な ど の 高 分 子 溶 液 か ら ス ピ ン コ ー ト に よ り 得 ら れるナノシートを作成して、それぞれ肺損傷モデルや胃切開モデルにおいて創傷 被覆材としての有用性を立証している。ナノシートは表裏面で異なる性質を兼備 できるが、未だその検討はなされていない。そこで本論文では表裏面で異なる生 体親和能を持つナノシートの構築と癒着防止能の評価ならびに止血材との併用に よるナノシートの医療用途について評価を行った結果をまとめた。 本論文は 6 章から構成されている。第 1 章は序論、第 2 章ではナノシート上に おける細胞接着性、第 3 章では止血能を有するトロンビン担持ナノシートの開発 とその肝臓多量出血モデルにおける止血能及び癒着防止能評価、第 4 章では表裏 面でヘテロな機能を持つナノシートの作製とその表面構造及び物性評価、第 5 章 では止血材とナノシートの併用モデルにおけるナノシートの癒着防止能に関する 評価、そして第 6 章では本論文の結論とナノシートの将来展望について述べた。 各章の概説は以下の通りである。 第 1 章では、ナノシートの基礎である高分子の自己組織化現象に関して、その 原理、自己組織化によるナノ構造体の構造とそれに由来する物性に関して従来の.

(3) No.1 研究を調査した結果をまとめた。また、ナノ構造体を構築するためのナノテクノ ロジーの展開、特に高分子超薄膜の製造や応用展開、更には所属研究室における ナノシート開発の動向をまとめ、本論文の研究の位置付けを明確にした。 第 2 章ではナノシート上での細胞接着性を評価した。現在ナノシートと胃や肺 等の臓器との相互作用に関する知見は集積されているものの、細胞との親和性に 関 す る 評 価 は な さ れ て い な い 。 そ こ で マ ウ ス の 線 維 芽 細 胞 NIH3T3 を ポ リ 乳 酸 ナ ノ シ ー ト ( P L L A ) 上 に 播 種 し た と こ ろ 非 細 胞 接 着 性 が 明 ら か と な り 、動 物 実 験 に て 示された臓器との高密着性は物理吸着によるものであることが示唆された。 第 3 章 で は 、 ト ロ ン ビ ン (Thr) を PLLA に コ ー ト し た 止 血 能 担 持 ナ ノ シ ー ト (Thr-PLLA)の 構 築 に 関 す る 検 討 を 行 い 、 肝 臓 多 量 出 血 モ デ ル に て 評 価 を 行 っ た 。 動 物 実 験 で は P L L A と T h r - P L L A に は 有 意 差 は 認 め ら れ ず 、疎 水 性 P L L A の 表 面 に 親 水 性 球 状 タ ン パ ク の Thr を 担 持 さ せ る こ と の 難 し さ や 多 量 出 血 時 に お け る ナ ノ シート単独貼付の問題点に関する知見を得た。 第 4 章では、高機能性ナノシートとして、表裏面で異なる細胞親和性を持つナ ノ シ ー ト の 調 製 な ら び に そ の 特 性 に つ い て 記 述 し た 。 PLLA ナ ノ シ ー ト は 細 胞 接 着性を持たないことから、細胞接着の観点からコラーゲンを修飾することで細胞 接着性と非細胞接着性を併せ持つナノシートの構築を目的とした。細胞接着能を 期待してコラーゲンを修飾した面を臓器損傷面に、そしてコラーゲンを修飾して いないポリ乳酸の面を裏面に用いることで、損傷部に対しては創傷治癒のための 組織形成の足場として機能し、逆面は従前より確認されている癒着防止能を併せ 持つ癒着防止能を持つ新しい創傷被覆材の開発が見込まれる。更に、修飾したコ ラーゲンの高次構造が細胞接着特性に及ぼす影響を明らかにするために、コラー ゲ ン の キ ャ ス ト 膜 (Col -Cast -PLLA) と ス ピ ン コ ー ト 膜 (Col-Spin-PLLA) に つ い て 細 胞 親 和 性 を 検 討 し た 。 Col-Cast-PLLA で は 、 コ ラ ー ゲ ン の 均 一 な 表 面 修 飾 は 困 難 であった。これは疎水性のポリ乳酸ナノシートに親水性のコラーゲンをキャスト した際、コラーゲンの自己集合能が、コラーゲンと基板との相互作用よりも強い た め と 考 え ら れ る 。 他 方 、 Col-Spin-PLLA を 原 子 間 力 顕 微 鏡 に よ り 観 察 し た と こ ろ 、 5~ 10nm 程 度 の 薄 い コ ラ ー ゲ ン 層 が 均 一 に 形 成 さ れ て い た 。 ま た 、 接 触 角 の 測 定 か ら Col-Spin-PLLA が Col-Cast-PLLA よ り も 親 水 性 で あ っ た 。 細 胞 培 養 の 条 件 で は 、 イ ン キ ュ ベ ー ト 時 間 と と も に Col-Cast-PLLA は コ ラ ー ゲ ン 特 有 の 三 重 螺 旋 構 造 が 巨 大 化 し て い く の に 対 し 、 Col -Spin-PLLA は 表 面 構 造 の 変 化 は 認 め ら れ な か っ た 。こ れ は 、C o l - S p i n - P L L A 上 の コ ラ ー ゲ ン 担 持 量 が 極 め て 少 な い た め に 、 コラーゲンが自己集合できないためと考えられる。また、細胞接着性、細胞接着 面 積 、 細 胞 内 ア ク チ ン フ ィ ラ メ ン ト の 伸 張 の い ず れ も 、 Col-Spin-PLLA は C o l - C a s t - P L L A よ り も 良 好 な 結 果 を 得 た 。そ こ で 、C o l - S p i n - P L L A を 表 裏 折 り 重 ね た状態で細胞を播種したところ、ポリ乳酸側では細胞接着性は示さずコラーゲン 修飾側で細胞接着が確認された。今後新規創傷治癒材料への展開が見込まれる。.

(4) No.2 第 5 章では、多量出血を伴う臓器損傷時における、止血材とナノシートの併用 による実用的な医療応用について検討した。胃切開モデル、肺気胸モデルなどの 知見からナノシートの癒着防止性についての可能性が示されている。しかしなが ら、肝臓や腎臓などの血液や浸出液が多量に流出する部位での創傷被覆材として の検討はなされていない。多量出血を伴う臓器の損傷においては、フィブリンか ら 成 る 止 血 材 を 用 い る の が 一 般 的 で あ り 、 タ コ コ ン ブ ( Ta c h o C o m b ) の 製 品 名 で 広 く臨床使用されているが、術後癒着などの副作用を引き起こすことが知られてい る。術後癒着はイレウスや不妊、骨盤痛など重篤な副作用を伴い、特に腸閉塞な ど は 死 亡 の 原 因 と も な り う る 。 他 方 、 癒 着 防 止 材 と し て SepraFilm な ど の 優 れ た 癒 着 防 止 材 が 臨 床 使 用 さ れ て い る 。し か し な が ら 、癒 着 防 止 能 は 充 分 と は 言 え ず 、 特にタココンブとの併用においては、厚みが大きいことによる物理的接着性の低 減などが要因で困難との指摘がなされている。本章では肝臓損傷多量出血モデル においてタココンブとナノシートの併用モデルについて、ナノシートの癒着防止 能 に 関 す る 評 価 を 行 っ た 。 具 体 的 に は Slc:SD ラ ッ ト (8 ~ 9 週 齢 ) の 肝 臓 に 直 径 1.5cm 程 度 の 穴 を 開 け 、 タ コ コ ン ブ を 貼 付 し て 止 血 を 行 っ た 後 に ポ リ 乳 酸 ナ ノ シ ートを被覆し、術後 5 日における癒着スコアを 4 段階に分けて評価した。なお、 肝 臓 に 穴 を 開 け た の み (未 処 置 )を コ ン ト ロ ー ル と し た 。 未 処 置 群 及 び タ コ コ ン ブ 貼 付 群 ( Ta c h o C o m b ) に 関 し て は 強 固 な 癒 着 が 確 認 さ れ 、 ポ リ 乳 酸 と タ コ コ ン ブ の 併 用 型 ( Ta c h o C o m b + P L L A ) に 関 し て は 癒 着 の 軽 減 が 認 め ら れ た 。 ま た 病 理 切 片 ( H & E 染 色 ) か ら は 未 処 置 群 及 び Ta c h o C o m b 群 で は 繊 維 芽 細 胞・炎 症 細 胞 の 浸 潤 が 認 め ら れ 、Ta c h o C o m b + P L L A 群 で は ナ ノ シ ー ト は 目 視 で の 確 認 は で き な い も の の 、 繊維芽細胞や炎症細胞の浸潤が阻止されていた。走査型電子顕微鏡では、ナノシ ートの存在が血球細胞及び繊維芽細胞の浸潤を阻止していた。以上の結果から、 細 胞 親 和 性 の 低 い PLLA が 癒 着 防 止 能 を 発 現 し て い る と 考 察 さ れ る 。 し か し な が ら 1 4 日 後 で は Ta c h o C o m b + P L L A 群 で も 癒 着 が 認 め ら れ た 。P L L A ナ ノ シ ー ト 表 面 の至るところに小さな穴が認められ、ナノシートが分解していた。これが癒着亢 進 に 直 接 関 係 が あ る と 考 え ら れ 、タ コ コ ン ブ 使 用 時 に 癒 着 を 併 発 し な い た め に は 、 タココンブより分解の遅い生分解性高分子からなる生体適合性ナノシートの開発 が課題であることを明らかにした。 第 6 章では、本論文の総括と将来展望について述べた。本論文では、疎水性相 互作用などのソフトな結合により、従来困難であるポリ乳酸上での親水性タンパ ク質担持を可能とし、細胞接着性において、表裏面で異なる機能を兼ね備えた均 一 な 新 規 ナ ノ シ ー ト を 構 築 し 、 そ の 機 能 を i n v i t ro に て 評 価 し た 。 更 に 、 多 量 出 血を伴う臓器損傷時におけるナノシート単独貼付の問題点を明らかにするととも に、止血材との併用モデルにおいて、ナノシートが癒着防止バリアーとして機能 し 得 る こ と を i n v i t ro 及 び i n v i v o 評 価 系 か ら 確 認 し た 。 最 後 に 医 用 材 料 と し て 期 待される新規機能性超薄膜に関する将来展望を纏めた。.

(5) No.1. 早稲田大学 氏 名. 丹羽 大輔. 博士(工学). 学位申請. 研究業績書. 印 (. 種 類 別 1. 論文 原著 1.. 2.. 2. 講演 1.. 2.. 3.. 4.. 1.. 2.. 題名、. 発表・発行掲載誌名、. 発表・発行年月、. 2010. 年. 11. 月. 現在). 連名者(申請者含む). “Heterofunctional nanosheet controlling cell adhesion properties by collagen coating”, J. Biomater. Appl., (印刷中). Daisuke Niwa, Toshinori Fujie, Throsten Lang, Nobuhito Goda, Shinji Takeoka. “A nano-fibrous assembly of collagen-hyaluronic acid for controlling cell-adhesive properties”, Soft Matter, 6, 4672-4676 (2010). Toshinori Fujie, Sho Furutate, Daisuke Niwa, Shinji Takeoka. A. 国際会議での講演発表 “Analysis of the interaction between cells and the different types of nanosheets”, American Chemical Society 239th National Meeting & Exposition, San Francisco, 2010 年 4 月, Daisuke Niwa, Toshinori Fujie, Throsten Lang, Nobuhito Goda, Shinji Takeoka. “The analysisi of „nano-adhesive plaster‟ in the molecular biological way”, The 3rd Global COE International Symposium on „Practical Chemical Wisdom‟, Tokyo, 2009 年 1 月, Daisuke Niwa, Nobuhito Goda, Thorsten Lang, Shinji Takeoka. “The analysis of the interaction between Cells and Hetrofunctional Nanosheets”, The 4th Global COE International Symposium on „Practical Chemical Wisdom‟, Tokyo, 2010 年 1 月, Daisuke Niwa, Nobuhito Goda, Thorsten Lang, Shinji Takeoka. “Application of nanosheet as an anti-adhesion barrier in liver defect model.”, The 2nd NIMS (MANA)-Waseda Interventional Symposium, Tsukuba, 2010 年 12 月, Daisuke Niwa, Masatsugu Koide, Toshinori Fujie, Yosuke Okamura, Nobuhito Goda, Shinji Takeoka. B. 学会関連での講演発表 「物性の異なる高分子超薄膜の構築と細胞との相互作用解析」日本化学会 第 3 回関東 支部大会(2009 年 9 月, 東京) 丹羽大輔, 藤枝俊宣, 合田亘人, 武岡真司. 「細胞接着性表面を有する自己支持性コラーゲン/ヒアルロン酸ナノシートの構築」日本 化学会 第 3 回関東支部大会(2009 年 9 月, 東京) 古舘祥, 藤枝俊宣, 丹羽大輔, 武岡真司. 3. 「細胞接着性コラーゲン/ヒアルロン酸ナノシートの構築」 第 31 回日本バイオマテリア ル学会大会 (2009 年 11 月, 京都) 古舘祥, 藤枝俊宣, 丹羽大輔, 武岡真司.

(6) No.2. 早稲田大学 種 類 別. 題名、. 博士(◇◇学) 発表・発行掲載誌名、. 学位申請 発表・発行年月、. 研究業績書 連名者(申請者含む).

(7) No.3. 早稲田大学 種 類 別. 題名、. 博士(◇◇学) 発表・発行掲載誌名、. 学位申請 発表・発行年月、. 研究業績書 連名者(申請者含む).

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