平成
24 年度
海洋掘採施設環境影響調査
報告書
平成
25 年 3 月
一般財団法人 エンジニアリング協会
石油開発環境安全センター
目 次
はじめに 1. 調査目的 ... 1 2. 調査体制 ... 1 3. 調査内容 ... 1 3.1 現地調査 ... 1 3.1.1 海底地形等調査 ... 1 3.1.2 流況観測 ... 1 3.1.4 底質調査 ... 2 3.1.5 生物調査 ... 2 3.2 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 ... 2 3.3 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 ... 2 3.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 ... 2 3.5 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 ... 3 3.6 調査のまとめ ... 3 4. 調査方法 ... 4 4.1 現地調査 ... 4 4.1.1 調査海域と使用船舶 ... 4 4.1.2 調査期間 ... 6 4.1.3 海底地形等調査 ... 7 4.1.4 流況観測 ... 12 4.1.5 水質調査 ... 15 4.1.6 底質調査 ... 17 4.1.7 生物調査 ... 19 4.2 机上調査 ... 21 4.2.1 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 ... 21 4.2.2 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 ... 21 4.2.3 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 ... 22 4.2.4 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 ... 24 5. 調査結果 ... 255.1 現地調査 ... 25 5.1.1 海底地形等調査 ... 25 5.1.2 流況観測 ... 29 5.1.3 水質調査 ... 53 5.1.4 底質調査 ... 67 5.1.5 生物調査 ... 88 5.2 現地調査結果の検討 ... 116 5.2.1 気象概況 ... 116 5.2.2 海象概況(流況、水温) ... 117 5.2.3 海底地形 ... 120 5.2.4 水質 ... 124 5.2.5 底質 ... 126 5.2.6 海生生物 ... 133 5.2.7 まとめ ... 142 5.3 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 ... 143 5.3.1 検証の方法 ... 143 5.3.2 撤去後の事前評価結果の検証 ... 143 5.3.3 撤去工事直後の事前評価の考え方の再検討 ... 172 5.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 ... 175 5.4.1 磐城沖海洋掘採施設撤去の概要 ... 175 5.5 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 ... 228 5.5.1 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ ... 228 5.5.2 海洋掘採施設の撤去時の留意事項のまとめ ... 242 6.まとめ ... 250 6.1 現地調査結果 ... 250 6.1.1 海底地形等調査 ... 250 6.1.2 流況観測 ... 250 6.1.3 水質調査 ... 250 6.1.4 底質調査 ... 251 6.1.5 生物調査 ... 252 6.2 机上調査結果 ... 254 6.2.1 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 ... 254 6.2.2 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 ... 256 6.2.3 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 ... 261 6.2.4 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 ... 272
6.2.5 ガイドラインの考え方の整理 ... 279 7. 4 年間の調査のまとめ ... 281 7.1 調査目的 ... 281 7.2 調査体制 ... 281 7.3 調査概要 ... 281 7.3.1 現地調査 ... 281 7.3.2 机上調査 ... 292 7.4 調査結果 ... 296 7.4.1 現地調査 ... 296 7.4.2 机上調査 ... 300 7.5 まとめ ... 347 7.5.1 現地調査 ... 347 7.5.2 机上調査まとめ ... 349 おわりに (参考資料)
はじめに
海洋石油・ガスの海洋掘採施設は世界で6000 基以上存在し、毎年 120 基以上が撤去、更 新されています。設置海域は沿岸域が圧倒的に多く、沖合海域の開発の歴史が浅いことも あり、鋼製大型海洋掘採施設の撤去作業は、世界的に見ても実施例が少なく、この規模の 海洋掘採施設については、撤去作業に係る鉱害防止のガイドライン策定のための科学的な 根拠が不足しています。 海洋石油・ガスの海洋掘採施設の撤去に係るガイドラインは、安全条件・技術条件・環 境条件・社会条件・経済条件を考慮して決められるものです。これらの条件の中でも、海 洋環境影響評価の重要性が指摘されていますが、その他の条件も相互に影響を及ぼすもの であることも指摘されています。海洋環境影響評価のガイドラインの要素としては、海洋 掘採施設を撤去した海底面を含めた現場海域の、物理・化学・生物特性や、種の保存、撤 去作業時の大気汚染・騒音・海洋汚染や、他の海洋利用者への干渉等があげられます。 本調査は、海洋石油・ガスの海洋掘採施設の撤去に係るガイドラインを想定しながら、 海洋石油・ガスの掘採施設がその使命を終了したのちの、海洋掘採施設の撤去に係る海洋 環境影響評価を行い、その結果を海洋掘採施設の撤去時における鉱害防止のガイドライン 策定に資することを目的に行っています。 調査対象とした海洋掘採施設は、沖合海域である福島県磐城沖(水深 150m の海域)の 海洋掘採施設で、平成20 年度に施設の撤去前の現地海域環境調査を行い、平成 22 年度に 施設の撤去時前・中・後の現地海域環境調査を行い、平成24 年度に施設の撤去後の現地海 域環境調査(モニタリング)を行ったものです。海洋掘採施設の撤去に係る海洋環境影響 評価のガイドライン策定の考え方をまとめるにあたっては、沖合海域である福島県磐城沖 の平成20 年度・21 年度・22 年度・24 年度の現地海洋環境調査結果(平成 23 年度は東日 本大震災のため調査中止)を中心にし、新潟県阿賀北沖(水深90m の海域)の海洋掘採施 設の撤去事例(平成3 年から 7 年までの現地調査結果)を参考としました。また、海洋掘 採施設等の撤去に係る国際的な考え方や、海外の事例も参考にしました。 国内・海外を含めて、沖合海域(水深約 100m 以深)での海洋石油・ガスの海洋掘採施 設の撤去事例が少ないので、本調査結果は今後、沖合海域での海洋掘採施設の撤去事例が 増加し、経験の蓄積が増加するに従い、その内容が改善されることが望まれます。 最後になりましたが、本年度の調査の取りまとめにあたって、海洋環境影響評価に必要 なデータの取得、分析、ならびに貴重なご意見を賜るなど、終始ご指導、ご支援をいただ いた委員各位、調査にご協力いただいた関係会社ならびに、限られた予算を有効活用して 報告書を取りまとめられた事務局各位に感謝いたします。 「海洋掘採施設環境影響調査」委員会 委員長 前田久明 (東京大学名誉教授、日本大学客員教授)1
1. 調査目的
本事業は、海域における石油及び可燃性天然ガスの採取を行うための海洋掘採施設が当 該海域の環境に及ばす影響に関する調査であり、採取終了時に行う海洋掘採施設の撤去作 業が海域の環境に及ぼす影響の評価を行い、当該作業に係る鉱害防止のガイドライン策定 に資することを目的とする。2. 調査体制
本業務は一般財団法人エンジニアリング協会石油開発環境安全センター(SEC)の委託 により実施した。調査に用いた船舶は、SEC が別途契約した株式会社オフショア・オペレ ーション所有の船舶を用いた。3. 調査内容
本年度は、海洋掘採施設の撤去から2 年後の海域環境を把握するための現地調査を実施 するとともに、過年度から継続的に行った現地調査の結果を取りまとめた。3.1 現地調査
現地調査は、海洋掘採施設の撤去作業が行われた夏季に実施した。調査海域は、磐城沖 海洋掘採施設の残置部を中心とした海域とした。 主な調査内容としては、海洋掘採施設の残置部および横倒部の周辺状況を把握するため の海底地形等調査と流況観測の他に、過年度から継続的に行っている水質、底質、海生生 物等の調査を実施し、これらの結果を取りまとめた。 3.1.1 海底地形等調査 本調査は、環境モニタリング調査のうち海底地形および海洋掘採施設の位置や横倒し後 の周辺所況を把握する目的で実施した。さらに東日本大震災の影響を考慮し、試料採取予 定地点が適切であることを確認することも目的に含めた。調査ではナローマルチビーム測 深機を用いて、海洋掘採施設の基部と切り倒された上部周辺の海底地形および構造物の位 置を観測した。今回得られた結果と、平成22 年度に撤去実施者が取得した海洋掘採施設撤 去直後の情報とを比較し、施設や海底地形の変動と、調査予定地点の適切性について調査 する。 3.1.2 流況観測 流況は、水塊の移動、浮遊物質の移流・拡散等を解析するための基本項目であり、魚類 等の生物の分布にも影響を及ぼすことから、物理的基礎環境を把握する上で重要である。 海洋掘採施設の撤去前の流況観測は平成20 年度調査で実施している。本年度は撤去後の流 況観測として平成20 年度調査とほぼ同内容の観測を実施した。2 3.1.3 水質調査 水質の観測は環境影響評価において最も基本的な項目である。水質は、法的には環境基 準が設けられており、植物プランクトンよる海域の基礎生産量を左右する重要な環境要素 でもあるため、環境影響評価のバックデータとしても重要である。 データの比較等の観点から、試料の採取層と分析項目については、撤去の直前、直後に 行った平成22 年度調査と同じとした。 3.1.4 底質調査 底質は水質とは異なり、海洋掘採施設の撤去に係る人為的な影響を保存しやすい環境要 素であると考えられる。測点は、施設から200m および 1000m 離れた地点に各 4 地点の合 計8 地点とし、分析項目については、撤去の直前、直後に行った平成 22 年度調査と同じと した。 3.1.5 生物調査 動植物プランクトン、魚卵・稚仔魚及び底生生物(ベントス)の微小な生物群は海域の 生態系を構成する基本的要素であるため、海域への環境影響を把握するうえで重要である。 特に底生生物は一般的に移動能力が低いため、局所的であっても環境負荷の影響を受けや すく、人為的な環境への影響を評価するうえで重要な指標となる。 生物調査においても底質と同様に、測点は施設から200m および 1000m 離れた地点に各 4 地点の合計 8 地点とし、試料の採取層と分析項目については、撤去の直前、直後に行った 平成22 年度調査と同じとした。
3.2 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討
取りまとめた現地調査結果について、既存の知見を参考にしながら海底地形等、流況、 水質、底質、生物等について各々確認し、環境への影響について検討する。3.3 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証
とりまとめた現地調査結果について検討した結果を参考にしながら、平成22 年度に実 施した海洋掘採施設の撤去後の残留影響事前評価結果と比較・検討する。3.4 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討
磐城沖の海洋掘採施設の撤去工事中、撤去後における環境影響評価について、事前評 価内容、現地調査結果との検証結果に基づき、海域環境への影響について総合的に検討 するとともに、環境影響評価の方法について考え方や枠組みを検討する。また、モニタ リング内容についても検討する。3
3.5 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討
今回検討した磐城沖海洋掘採施設撤去工事に係る環境影響評価結果に加え、本調査以 前に実施された海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価事例を参考にして、海洋掘採施設 の撤去に係る海域環境への影響について検討するとともに、環境影響評価の方法につい て考え方や枠組みを検討する。同時に浅海域となる沿岸域における施設についても検討 する。また、それらを基に海洋掘採施設を撤去する場合に必要な留意すべき事項につい て環境保全の観点から考察する。同時に、ガイドラインの考え方について整理する。3.6 調査のまとめ
撤去後の海域環境への残留影響を把握するため実施する現地調査結果をとりまとめる とともに、平成22 年度に実施した撤去後の残留影響事前評価結果の検証を行う。さらに、 磐城沖海洋掘採施設の撤去に係る総合的環境影響評価の検討と海洋掘採施設の撤去時の 環境影響評価の総括した結果をとりまとめて整理する。また、今までの全般にわたる調 査の概要とその成果についてとりまとめる。4 北緯37°18′00″、東経141°27′35″ 広野町 楢葉町 福島県
4. 調査方法
本章では、海洋掘採施設の撤去から2 年後の周辺海域の現況を把握するための現地調査 の方法を整理した。調査に際しては、設置された委員会の委員各位から、各々の調査内容、 調査の進め方及び結果の取りまとめ等について審議して頂き、評価や助言等を頂いて内容 の修正をしながら結果の取りまとめを行った。 なお、現地での試料採取とその分析、及び、作業船の運航と調査機器の投入・揚収作業 は、それぞれの専門会社に依頼し実施した。4.1 現地調査
ここでは、撤去の 2 年後に実施した流況、水質、底質、海生生物のデータ収集に加え、 深浅測量による海底地形等を把握するための現地調査の方法について述べる。 4.1.1 調査海域と使用船舶 調査海域を図4.1-1 に示した。調査海域は福島県双葉郡楢葉町沖合約 40km、水深約 154m に位置する海洋掘採施設の残置部(北緯37°18′00.175″、東経 141°27′34.589″)を中心とし た海域とした。なお、海洋掘採施設は平成22 年度に撤去された。 図4.1-1 調査海域(海上保安庁(平成19 年度 11 月刷)W1098 を基に作成) 本年度は、7 月と 8 月に調査を実施した。いずれの調査でも株式会社オフショア・オペレ ーションが所有する船舶を調査船とし、7 月調査では「第 18 海工丸」、8 月調査では「かい こう」を使用した。5 各調査地点の緯度・経度を表4.1-1 に示した。海洋掘採施設の残置部中心に、図 4.1-2 に 示す地点で調査を実施した。 表4.1-1 調査地点の緯度・経度 測点名 緯度(N) 経度(E) N1 37°18′06.666″ 141°27′34.589″ N3 37°18′32.631″ 141°27′34.589″ SE1 37°17′55.588″ 141°27′40.331″ NE3 37°18′23.111″ 141°28′03.303″ S1 37°17′53.684″ 141°27′34.589″ S3 37°17′27.719″ 141°27′34.589″ SW1 37°17′55.588″ 141°27′28.847″ SW3 37°17′37.239″ 141°27′05.878″ 係留系設置地点 37°17′53.684″ 141°27′26.466″ 海洋掘採施設(残置部) 37°18′00.175″ 141°27′34.589″ ・水質、プランクトン、魚卵・稚仔魚:N1、SW1 ・底質、底生生物:全測点(8 地点) 図4.1-2 調査地点
6 4.1.2 調査期間 各調査の工程を表4.1-2 と表 4.1-3 に示した。 7 月調査では、海底地形等調査と流況調査(係留系の設置)を行った。また、8 月調査で は流況調査(係留系の回収)、水質調査、底質調査および生物調査を実施した。 表4.1-2 7 月調査の工程 月 日 調査項目 作業内容 7 月 25 日 移動 東京→中の作港(いわき市) 7 月 26 日 艤装・回航 資材の積み込み、中の作港→調査海域 7 月 27 日 海底地形等調査 マルチビームによる深浅測量 流況調査 係留系の設置 回航 調査海域→中の作港 7 月 28 日 解装 資材の積み下ろし 移動 中の作港→東京 表4.1-3 8 月調査の工程 月 日 調査項目 作業内容 8 月 27 日 移動 東京→仙台港 8 月 28 日 艤装・回航 資材の積み込み、仙台港→調査海域 8 月 29 日 流況調査 係留系の回収 生物調査 ネット採集(魚卵・稚仔魚、動物プランクトン):2 測点 8 月 30 日 水質・生物調査 採水(水質、植物プランクトン):2 測点 底質・生物調査 採泥(底質、ベントス) :4 測点(S1、S3、SW1、SW3) 8 月 31 日 底質・生物調査 採泥(底質、ベントス) :4 測点(N1、N3、NE3、SE1) 回航 調査機域→塩釜港 9 月 1 日 解装 採資材の積み下ろし 移動 塩釜港→東京
7 4.1.3 海底地形等調査 音響測深にはナローマルチビーム測深機を使用した。この測深システムは海底面にむけ 扇形の音波を送受信し、広範囲の海底面から高密度な測深データを取得することができる システムである。 (1) 測定方法と使用機材
測深時には動揺センサー、GPS を用いて、観測時の送受波器の動揺(Roll, Pitch, Heave)、 方位(Heading)の変化とその時々の精密な測位データを取り込むことにより、高精度の測深 データと位置データを同時に取得することが出来る。 さらにデータ処理時には、海水中の音の伝播速度自体の水深方向への変化と同変化によ る音波の屈折分を補正して、測深データの誤差を低減し測深精度を高めている。 作業の流れを図4.1-3、各センサー機器仕様を表4.1-4に示す. 本業務では、測量区域において高精度かつ高密度な水深データを取得するため、ナロー マルチビーム測深機 Sonic2024 を用いて面的な測深を行った。調査船の舷側にマルチビー ム音響測深機の送受波器(ソナーヘッド)を固定し、そこからの水深を測定した。測深時 の調査船の速度は4 ノット程度とし、可能な限り等速度で航走した。測線間隔は 50m、収 録設定音響ビーム角を30°とし、データの重複率 100%で測深を行った。調査船の動揺や船 首方向(ヘディングの向き)による水深値のずれを補正するために、調査船上に動揺セン サー、方位システムを配置し測深と同時にこれらのデータも取得した。測量区域内におい て、水中音速度計を用いて作業開始前に 1 回水中音速の鉛直方向分布データを測定し収録 した。収録した水中音速度データは、水深を求める際の水中音速度として使用した。 図4.1-4 にナローマルチビーム測深の概要図を示す。
8 図4.1-3 ナローマルチビーム測深 (Sonic2024) 観測・解析フロー 潮位補正 現場作業 SIM
(Sonar Interface Mod.) Sonic2024 ソナーヘッド GPS 測位・動揺・ 船首方向測定 POS MV PC (HYPACK) 音速度計 PC (HYPACK) パッチテストにて各補正値の決定 (Roll,Pitch,Yaw,Latency) データ処理,ノイズ除去 XYZ データ作成 等深線図 室内作業 GPS アンテナ,ソナーヘッド 計器のオフセット情報 イメージ図 水深図 海面水温
9 表4.1-4 使用機器一覧表 Sonic20245 動揺センサー 進行方向 GPSアンテナ GPS衛星 測深範囲 (0.5°×256ビーム) ヘッドセンサー MTSAT(補正情報受信) 補正情報 図4-1-4 ナローマルチビーム測深概要図 ① 測地系 今回使用した測量の測地系は、座標原点:北緯 37°18′00″ 東経 141°27′30″、縮尺係数 1.00 の世界測地系である。 ② 船位測定 測位は、位置の補正情報を静止衛星から受信する方式のD-GPS を用いて測定した。 機器名・型式 性能・諸元 ナローマルチビーム測深機 Sonic2024 型 周波数:200/400kHz 10kHz ステップ可変 ビーム数:256 本、スワッス幅:10~160°、フットプリ ント:左右0.5°×前後 1.0°、測深分解能:12.5 ㎜ 船位測定システムPOS MV (Position & Orientation System for Marine Vessel)
D-GPS 方式・(慣性計測)、測位:0.02~0.1m ロール・ピッチ:0.005°、ヒーブ:3.5cm(3.5%) 真方位:0.025°、船速:0.005m/s(RTK) 音速・圧力スマートセンサー SVPS 測定レンジ:1400~1550m/sec、測定精度:±0.05 m/sec、 測定分解能:0.015 m/sec、レスポンスタイム:143μs 解析ソフト Hypack2012
10 ③ 基準面 基準面は海図と同様の最低水面(C.D.L.)とした。 また潮位の補正は、気象庁所管の小名浜検潮所の潮位データを使用した。 (2) 調査位置 海洋掘採施設の既設および横倒しとなっている場所を中心に約 400m×400m の範囲を観 測した。観測機器は、水深500m までの海底地形が把握可能である。 (3) 観測時期 海底地形の観測は、平成24 年 7 月 27 日の係留系投入調査時に実施した。 (4) 解析方法 ナローマルチビーム測深で得られたデータを、図4.1-3 の観測・解析フローの室内作業に 従って成果を取りまとめた。 以下に主な作業について説明する。 ① パッチテスト 測量船にソナーヘッド(送受波器)を艤装する際に、鉛直且つ船首方向に平行に精度良 く取り付けることは難しく、若干の角度のずれを伴うことは避けられない。この“ずれ“は、 測深データに大きく影響するため、ソナーヘッドの取り付け角度を計測し補正するための パッチテストを行う必要がある。 パッチテストでは、Roll:ロール(船の進行方向に対して横方向の取り付け角度)、Pitch: ピッチ(船の進行方向の取り付け角度)、Yaw:ヨー(船の進行方向に対する送受波器の向 き)およびLatency:レイテンシー(GPS 等の測位機器のデータ処理時間遅れ)について 計測を行った。 以下に各要素についての計測方法を概説する。 ロール: 平坦な海域において、測量船を同一測線で往復航走して地形データを取得し、 モニター画面に表示される往復の海底地形断面が同一の平坦な海底となるよ うに補正するための取り付け角度の鉛直方向とのずれの値、すなわちロール方 向のオフセット値を求める。 ピッチ: 特徴的な地形がある海域において、測量船を同一測線で往復航走して地形デ ータを取得し、モニター画面に表示される往復測定の海底地形断面が同一と なるよう補正するための取り付け角度の鉛直方向とのずれの値、すなわちピ ッチ方向のオフセット値を求める。
11 ヨー : 地形の変化点など特徴的な地形がある海域において、特徴的な地形を挟む ように設定した平行な 2 測線について、同一方向に測量船を航走させて地形 データを取得し、モニター画面に表示される 2 回の測定結果で同一の特徴的 な地形にずれが無くなるようなヨーのオフセット値を求める。 レイテンシー: 地形の変化点など特徴的な地形がある海域において、同一測線を同じ 方向に2 回異なる速度で測量船を航走させてデータを取得し、モニター画面に 表示される同一の地形にずれが無くなるようなGPS 等位置測定機器の時間の 遅れを算出する。 以上の 4 項目について計測を行うことによって、ソナーヘッドの取り付け角度のずれを補 正する。 ② ノイズの除去 水中の漂流物、気泡や魚群といった物理的ノイズや、測深エコーの多重反射等により、 測得データにはノイズが含まれているため、これらを除去する必要がある。図4.1-5、図 4.1-6 にノイズ除去例を示す。 図4.1-5 ノイズ除去前
12 図4.1-6 ノイズ除去後 4.1.4 流況観測 (1) 観測期間と観測項目 2012 年 7 月 27 日~2012 年 8 月 29 日の 34 日間を観測期間とし、1 分間隔で流向・流速、 10 分間隔で水温・塩分の連続観測を行った。 (2) 使用機器 メモリー式電磁流向流速計(JFE アドバンテック社製、Compact-EM)およびメモリー 式CTD(JFE アドバンテック社製、Compact-CT)を搭載した係留系(写真 4.1-1、図 4.1-7) を使用した。 (3) 観測地点と観測層 海洋掘採施設の残置部から南西方向に約250m 離れた 1 地点(表 4.1-1、図 4.1-2)を観 測地点とし、表層(底上140m),中層(底上 75m)および底層(底上 5m)の 3 層を観測 層とした。
13
写真4.1-1 流況調査で使用した係留系
投入作業
14
140m
75m
5m
15 4.1.5 水質調査 (1) 採水方法 写真4.1-2 に示す CTD 付多筒採水器(ロゼットサンプラー)を用い、水圧(水深)測定 と連動させて所定の水深の海水を採取した。 写真4.1-2 水質調査で使用した CTD 付多筒採水器(ロゼットサンプラー) (2) 現地観測項目 採水時には、表4.1-5 に示す項目を観測した。 表4.1-5 採水時の現地観測項目と方法 観 測 項 目 測 定 方 法 採 水 位 置 採 水 時 の GPS 船 位 を 記 録 水 深 音 波 測 定 に よ り 採 水 時 の 水 深 を 記 録 海 象 状 況 目 視 観 察 に よ り 風 浪 ・ う ね り に つ い て 、 そ れ ぞ れ 波 高 と そ の 方 向 を 16 方 位 で 記 録 気 象 状 況 天 候 ・ 雲 量 は 目 視 観 察(雲 量 は 0~ 10 の 11 段 階 表 記 )。 風 向 風 速 計 を 用 い 、 風 向 は 16 方 位 、 風 速 は 0.5m/s 単 位 で 計 測
水 温 CTD メ ー タ ー (Sea-Bird Electronic 社 製 、 SBE21)を 使 用
気 温 ガ ラ ス 棒 状 温 度 計 を 用 い 、 甲 板 上 1.2-1.5m の 日 陰 に て 計 測
色 相 「 日 本 色 研 色 名 帳 :( 財 ) 日 本 色 彩 研 究 所 」 に よ る 目 視 観 測
濁 り JIS K0101(1998)9.2 に 示 す 方 法
臭 気 JIS K0102(1998)10.1 に 示 す 方 法
透 明 度 透 明 度 板 を 使 用
塩 分 CTD メ ー タ ー (Sea-Bird Electronic 社 製 、 SBE32)を 使 用
(3) 採水位置
図4.1-2(表 4.1-1)に示した N1 および SW1 の 2 測点を調査地点とし、各測点で 3 層(水 深0m、75m および底上 10m)の採水を行った。ただし、n-ヘキサン抽出物質量分析用の試料
16 は表層(水深0m)のみとし、クロロフィル a 分析用の試料については、植物プランクトン の採取層と同じ表層(水深0m)と中層(水深 75m)の 2 層とした。 (4) 採水時期 8 月調査時の 1 回とした。 (5) 分析項目と分析方法 分析項目および分析方法は、表4.1-6 に示す通りとした。採取した海水は所定の容器に収 容した後、分析に供するまで日本工業規格等各分析方法に定める方法により保管した。 表4.1-6 水質分析項目と方法 分析項目 分析方法 採水層 水素イオン濃度(pH) 昭和46 年 12 月 28 日付環境庁告示第 59 号【水質 汚濁に係る環境基準について】に定める測定方法 3 層 溶存酸素量(DO) 化学的酸素要求量 (COD) 浮遊物質量(SS) n-ヘキサン抽出物質量 1 層 濁度 日本工業規格K0101 9.2 に定める方法 全有機体炭素(TOC) 日本工業規格K0102 22.1 に定める方法 3 層 硝酸態窒素(NO3-N) 日本工業規格 K0102 43.2.3 に定める方法 亜硝酸態窒素(NO2-N) 日本工業規格 K0102 43.1.1 に定める方法 アンモニア態窒素 (NH4-N) 日本工業規格K0102 42.2 に定める方法 りん酸態りん(PO4-P) 日本工業規格 K0102 46.1.1 に定める方法 クロロフィルa 海洋観測指針(気象庁,1990)9.6.2 に準ずる方法 2 層
17 4.1.6 底質調査 (1) 採泥方法 写真4.1-3 に示すスミスマッキンタイヤー型採泥器(採泥面積:0.119m2)を使用し、「昭 和63 年 9 月 8 日付環水管第 127 号(底質調査方法の改定について)に定める方法」または これに準ずる方法により底泥を採取した。 (2) 現地観測項目 採泥時には、表4.1-7 に示す項目を観測した。 (3) 採泥位置 採取位置は図4.1-2(表 4.1-1)に示す 8 測点とした。 (4) 採泥時期 8 月調査時の 1 回とした。 写真4.1-3 底質調査で使用したスミスマッキンタイヤー型採泥器 表4.1-7 採泥時の現地観測項目と方法 観測項目 測定方法 色相(泥色) 「標準土色帖」(財)日本色彩研究所により測定 泥温 ガ ラ ス 棒 状 温 度 計 を 使 用 臭気(泥臭) 現地観察 泥状・夾雑物 目視観察
18 (5) 分析項目および分析方法 分析項目および分析方法は、表4.1-8 に示す通りとした。採取した底泥は所定の容器に 収容した後、分析方法を記載したそれぞれの規格・法令に定める方法により保管した。 なお、放射性セシウムの分析は、海洋掘採施設の残置部から1000m 離れた 4 測点(N3、 NE3、S3、SW3)で採取した底泥でのみ行った。 表4.1-8 底質分析項目と方法 分析項目 分析方法 物性・ 含有 量試 験 粒度組成 日本工業規格A1204 に定める方法 密度 日本工業規格A1202 に定める方法 化学的酸素要求量(CODsed) 昭和63 年9月8日付環水管第 127 号【底質調査方法 の改定について】に定める方法 硫化物 乾燥減量 強熱減量(IL) 有機体炭素(TOC) JGS 0231-2000 4.2 に定める方法 n-ヘキサン抽出物質量 ソックスレー抽出法 カドミウム 昭和63 年9月8日付環水管第 127 号【底質調査方法 の改定について】に定める方法 シアン化合物 鉛 六価クロム ひ素 総水銀 アルキル水銀化合物 ポリ塩化ビフェニル 銅 亜鉛 ふっ素化合物 昭和46 年 12 月環境庁告示第 59 号付表6に掲げる 方法 放射性セシウム (Cs134、Cs137) 放射能測定シリーズに掲げる方法 溶 出 試 験 カドミウム又はその化合物 昭和48 年2月 17 日環境庁告示第 14 号【 海洋汚染 及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一 項に規定する埋立場所等に排出しようとする廃棄物 に含まれる金属等の検定方法 】に定める方法 シアン化合物 有機りん化合物 鉛又はその化合物 六価クロム化合物 ひ素又はその化合物 水銀又はその化合物 アルキル水銀化合物 ポリ塩化ビフェニル 銅又はその化合物 亜鉛又はその化合物 ふっ化物
19 4.1.7 生物調査 (1) 採取項目と採取方法 採取項目と採取方法を表4.1-9 に示した。 (2) 採取位置 動植物プランクトンと魚卵・稚仔魚は図4.1-2(表 4.1-1)に示した N1 および SW1 の 2 測点、マクロベントスとメイオベントスは図4.1-2(表 4.1-1)に示した 8 測点とした。採 取層は表4.1-9 に示したように、動物プランクトンは表層、中層および底層の 3 層、植物プ ランクトンは表層および中層の2 層、魚卵・稚仔魚は表層のみ(1 層)とした。 (3) 採取時期 8 月調査時の1回とした。 表4.1-9 生物調査の採取項目と採取方法 分 析 項 目 採 取 方 法 採 取 層 動 物 プ ラ ン ク ト ン 北 原 式 定 量 プ ラ ン ク ト ン ネ ッ ト ( 写 真 4.1-4) を 用 い た 鉛 直 曳 表 層 :0~50m 中 層 :50~ 100m 底 層:100~ 底 上 10m 植 物 プ ラ ン ク ト ン ロ ゼ ッ ト サ ン プ ラ ー に よ る 各 層 2L 採 水 表 層 :0m 中 層 :75m 魚 卵 ・ 稚 仔 魚 MTD ネ ッ ト( 写 真 4.1-5)を 用 い た 2 ノ ッ ト 10 分 間 の 水 平 曳 表 層 :0m マ ク ロ ベ ン ト ス ス ミ ス マ ッ キ ン タ イ ヤ ー 型 採 泥 器 を 用 い 、0.1m2程 度 採 泥 海 底 面 メ イ オ ベ ン ト ス ス ミ ス マ ッ キ ン タ イ ヤ ー 型 採 泥 器 で 採 取 し た 底 泥 に 直 径 30mm の コ ア を 差 し 込 み 30mm 厚 の 表 層 泥 を 分 取 海 底 面 写真4.1-4 動物プランクトンの採取で使用した北原式定量プランクトンネット
20 写真4.1-5 魚卵・稚仔魚の採取で使用した MTD ネット (4) 分析方法 各分析項目の分析方法を表4.1-10 に示した。試料採取後の保管については、中性ホルマ リンを用い、動物プランクトンは終濃度5%、植物プランクトンは終濃度 2%、魚卵・稚仔 魚、マクロベントスおよびメイオベントスは終濃度10%となるよう固定した。 表4.1-10 各分析項目の分析方法 分 析 項 目 分 析 方 法 動 物 プ ラ ン ク ト ン 生 物 顕 微 鏡 に よ る 種 の 同 定 ・ 計 数 植 物 プ ラ ン ク ト ン 生 物 顕 微 鏡 に よ る 種 の 同 定 ・ 計 数 魚 卵 ・ 稚 仔 魚 生 物 顕 微 鏡 や 実 体 顕 微 鏡 に よ る 種 の 同 定 ・ 計 数 マ ク ロ ベ ン ト ス 1mm メ ッ シ ュ の フ ル イ 上 に 残 る 生 物 に つ い て 実 体 顕 微 鏡 を 用 い 種 の 同 定 ・ 計 数 及 び 種 毎 の 湿 重 量 の 測 定 メ イ オ ベ ン ト ス 0.03mm(30μm)メ ッ シ ュ の フ ル イ 上 に 残 る 生 物 に つ い て 実 体 顕 微 鏡 や 生 物 顕 微 鏡 に よ る 種 の 同 定 ・ 計 数
21
4.2 机上調査
4.2.1 海洋掘採施設撤去後の現地調査結果の検討 撤去後の残留影響の事前評価の検証のための基礎作業として、現地調査結果の検討を 行う。取りまとめた現地調査結果について、過去の知見、あるいは、撤去工事前、撤去 工事直後の現況と比較し、海洋施設の残留時の環境への影響について検討する。検討に 当っては平成20 年度及び平成 22 年度調査結果並びに他の既存の知見を参考にし、特に 次の点に着目して行う。 ・震災による地形変化等の有無の確認 ・既存の知見との差異についての確認 ・差異がある場合には、その要因の検討 検討項目は原則として平成24 年度に実施する現地調査項目とする。具体的には、以 下の項目となる。 ①海底地形等 ②流況 ③水質 ④底質 ⑤生物(浮遊生物、魚卵・稚仔魚、底生生物) 検討結果は、事前評価の検証のための資料となる。 4.2.2 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証 撤去後の残留影響事前評価結果の検証は、とりまとめた現地調査結果に基づき、調査 結果の検討結果を参考にしながら、平成22 年度に実施した残留影響の事前評価結果との 比較・検討により行う。その際、平成23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災による地 形変化などの有無の確認をしたうえでとりまとめた撤去後の現地調査結果と事前評価の 内容と比較する。比較の結果、事前評価内容と差異が見られた場合には、その程度につ いて確認し、理由について検討した上で、検討結果に基づき残留時の事前評価の考え方 を再検討する。 (1) 撤去後の現地調査結果と事前評価結果の比較 撤去後の残留影響の現地調査結果の各項目について、平成 22 年度に実施した残留影 響の事前評価結果と比較する。 比較に当たっては、現地調査結果の検討結果を参考にし、撤去後の海洋掘採施設の状 態から影響内容について判断し、事前評価結果との差異について確認する。事前予測結 果が定性的な場合には、現地調査結果の検討結果の差異に着目して変化の程度の把握及 び影響評価の確認を行う。22 (2) 撤去後の事前評価結果の検証 撤去後の現地調査結果と事前評価内容との比較の結果から、事前評価内容が妥当であ ったかどうかを検証する。なお、平成23 年 3 月 11 日の地震により海域の状況が変化し ている可能性があり、検証においてはこの影響も配慮して実施する。 検証は、変化が予測されたものは予測の範囲内に収まっているかどうかを確認する。 また、撤去後の海洋掘採施設の状態から判断される撤去後の影響内容について、事前評 価結果と差異が見られるものはその程度の差について確認したうえで、差異が見られた 原因について検討する。 (3) 撤去後の事前評価の考え方の再検討 評価結果の検証結果をもとに、事前評価の内容に差異が見られた項目について、平成 22 年度に実施した撤去後の事前評価の考え方を再検討する。再検討に当っては、次の内 容に留意して行う。 1) 評価の過程及び評価結果に不確実性の高い評価項目を確認する。残留された海洋掘採 施設の海域での情報を入手し、事前に想定した影響要因との差異はないか検討する。 2) 既存事例において、今回の事前評価結果と違っていると想定されるものについては予 測評価手法について、再確認する。 3) 差異の原因を検討する。 4.2.3 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る総合的な環境影響評価の検討 大水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去工事及び撤去後の残留時の環境影響につ いて、磐城沖海洋掘採施設を事例にしてこれまで実施した事前評価内容、現況調査結果 による検証結果などに基づき総合的に評価し、事前評価の適切な考え方、評価の枠組み の検討を行う。 尚、本報告書における、「大水深」という言葉は、通常、石油開発業界で使用される意 味ではなく、海洋掘採施設の中で比較的深い深度(ここでは、100m 以深)に設置された 場合の水深を意味する。 (1) 撤去工事時の環境影響評価の検討 事例とした磐城沖海洋掘採施設の撤去工事中の環境影響評価結果をとりまとめるとと もに、撤去工事時の環境影響評価を実施する際の基本的考え方、事前評価項目、予測評 価の方法について、現地調査結果に基づき検証した結果を反映し、評価の枠組みをまと
23 める。評価の枠組みには、対象とすべき評価項目と、各評価項目についての評価の考え 方をとりまとめて示す。 (2) 撤去後の残留影響事前評価の検討 事例とした磐城沖海洋掘採施設の撤去後の残留影響評価結果をとりまとめるとともに、 撤去後の残留影響事前評価を実施する際の基本的考え方、事前評価項目、予測評価の方 法について、現地調査結果に基づき検証した結果を反映し、評価の枠組みをまとめる。 (3) 磐城沖の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の総括 磐城沖海域での海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果を総括するとともに、そ の環境影響評価結果を大水深海域の海洋施設撤去に係る環境影響評価に展開し、環境影 響評価の考え方をとりまとめる。 (4) モニタリング内容の検討 海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価結果に基づき、撤去工事中、撤去後の鉱害防 止の観点から、確認すべき項目、時期などの必要なモニタリング内容について検討する。 1) モニタリング計画に係る基本的考え方の検討 海洋掘採施設の撤去に係るモニタリング計画をどのような考えで検討、設計するかに ついて、事前評価の内容から、一般的な環境影響評価の事例を参考に、基本的考え方を まとめる。 2) モニタリング項目の検討 撤去工事中、撤去後にモニタリングが必要な項目及びその内容について、事前評価の 結果から検討する。対象とする項目は、(1) の考え方に基づき、特に予測が不確実な項 目を重点的に検討する。 3) モニタリングの時期、期間に関する検討 2) のモニタリングの項目について、適切な実施時期、頻度、期間などについて、既存 の環境影響評価事例などを参考に検討する。 4) モニタリング計画案 2) 、3)で検討したモニタリングの項目、方法および頻度などに基づき、モニタリング 計画案をとりまとめる。
24 4.2.4 浅海域も含めた海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討 既存の海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価の検討事例を参考にし、海洋掘採施設の撤 去の際の鉱害防止の観点から工事に係る海域環境への影響について検討し、浅海域及び大 水深海域に設置された海洋掘採施設の撤去時の環境影響評価の考え方、内容について総括 を行い、我が国において海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事 項をとりまとめる。これらは、鉱害防止のためのガイドライン策定の基礎資料となると考 えられる。また、同時にガイドラインの考え方について整理する。 (1) 海洋掘採施設撤去時の環境影響評価のまとめ 今回検討した事例及び既存の事例を参考にして、海洋掘採施設撤去に係る環境影響評価 の考え方、評価項目、予測評価方法などの枠組みについて整理する。その上で海洋掘採施 設撤去に係る環境影響評価において考慮すべき点についてとりまとめる。 (2) 海洋掘採施設撤去時の留意事項のまとめ 海洋掘採施設の撤去に係る環境影響評価の枠組みの検討結果に基づき、我が国において 海洋掘採施設を撤去する場合に環境保全の観点から留意すべき事項をとりまとめる。また、 ガイドラインの考え方について整理する。
25
5. 調査結果
5.1 現地調査
本章では、撤去から2 年後における海域環境への影響を把握するために実施した現地調 査結果を示した。なお、各調査の詳細データは、巻末に参考資料として添付した。 5.1.1 海底地形等調査 (1) 海底地形測量結果 今回の調査データから1m メッシュの水深データを作成し、それをもとに当該海域の等深 線図を図5.1-1 に、イメージ図を図 5.1-2 に示した。いずれの図面でも調査海域全般は多少 の凹凸はあるものの水深は 155m 程度の平坦な地形であることがわかる。図面中央部の西 側には海洋掘採施設残留部、東側に切倒した後の施設上部が顕著な突起形状を示していた。 図5.1-1 で赤丸「●」・赤四角「■」の地点が今回の調査で確認された、それぞれ海底面設置部 と構造物頂部の位置である。また図5.1-2 イメージ図中の黒丸「○」・黒四角「□」は平成 22 年 度の位置情報をプロットしたものである。 (2) 主要点の移動距離算出結果 過去に測量された位置データ(旧座標⇒世界測地系へ変換)と今回(2012 年 7 月 27 日) の測位データをプロットし図5.1-3 に海洋掘採施設の移動距離図を作成した。この結果から 各点の移動状況を検討した。 前出イメージ図に両測量時期の点を重ねてプロットしたところ、各点それぞれに数10cm ~数m オーダーで移動が認められたが、移動方向は東~南方向が多いものの必ずしも同じ ではない。そこで、上部・下部それぞれの海洋掘採施設の上面の点について着目し、上面 のそれぞれの4 点が作る 2 本の対角線の交点の位置と既存データの同じ交点の位置との比 較を行った。その結果では、上部海洋掘採施設・下部海洋掘採施設とも、方向角80°程度の 方向に6.5m 程度移動していることが分かった(東北地方太平洋沖地震に伴う地盤の移動と 考えられる)。26
27
28 図5.1-3 海洋掘施設移動距離図 AU AL D2 D1 A2 DL DU A1
29 5.1.2 流況観測 (1) 水温、塩分(実用塩分)*、σt**の経時変化 流況観測時の水温の経時変化(10 分間の平均値)を図 5.1-4 に示した。 表層の水温は約12~24℃の範囲で推移し、観測期間中、緩やかに上昇する傾向を示した。 中層の水温は約10~16℃、底層の水温は約 8~10℃の範囲で推移した。観測期間を通じて 中層および底層の水温には一定の増減傾向は認められなかった。 2008 年調査(観測期間:7/14~8/24)時の水温は、表層で約 14~28℃、中層で約 6~14℃、 底層で約4~10℃の範囲であった。表層の水温は 2008 年調査時よりも 2012 年調査時の方 が低い傾向にあったが、中層と底層の水温は2012 年調査時の方が高い傾向にあった。 0 5 10 15 20 25 30 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 水温 ( ℃ ) 観測期間 (月日) 表層 中層 底層 7/27 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/29 図5.1-4 流況観測水深の水温の経時変化(10 分間の平均値) 流況観測時の塩分の経時変化(10 分間の平均値)を図 5.1-5 に示した。 表層の塩分は約33.2~34.3、中層の塩分は約 33.7~34.3、底層の塩分は 33.9~34.1 の範 囲で推移し、いずれの層においても観測期間を通じての変動は小さかった。中層および底 層の塩分値から、本調査海域が黒潮系水(塩分が35 程度)の影響をほとんど受けていない ことが示唆された。 2008 年調査では、表層では塩分センサーに汚れが付着したために信頼できる観測値を得 ることができなかったが、中層および底層の塩分は2012年調査とほぼ同程度の値であった。
30 30 31 32 33 34 35 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 塩分 観測期間 (月日) 表層 中層 底層 7/27 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/29 図5.1-5 流況観測水深の塩分の経時変化(10 分間の平均値) 流況観測時のσt の経時変化(10 分間の平均値)を図 5.1-6 に示した。 表層のσt は約 23.2~26.63、中層の σt は約 25.5~27.2、底層の σt は 27.1~27.4 の範囲 で推移し、いずれの層においても観測期間を通じての変動は小さかった。 2008 年調査では、表層では塩分センサーに汚れが付着したために信頼できる σt 値を得る ことができなかったが、中層および底層のσt は 2012 年調査とほぼ同程度の値であった。 20 22 24 26 28 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 15:00 σ t 観測期間 (月日) 表層 中層 底層 7/27 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/29 図5.1-6 流況観測水深の σt の経時変化(10 分間の平均値) *:塩分は、1気圧、15℃の塩化カリウム標準溶液(1kg中に 32.4356gの塩化カリウムを含んだ水溶液) との電気伝導度比で表されるため、無次元の値(単位なし)である。 **:σt 海水の密度を便宜的に表したものがσt(シグマティー)である。海水の密度が 1000~1031kg/m3 の間にあることから、σtは海水を1気圧下に置いた場合の密度から 1000 を差し引いた値として表 される。このため、σtは無次元の値(単位なし)である。
31 (2) 流向・流速の経時変化 ① 流速の北方分速および東方分速の時系列解析 表層、中層、底層の北方分速および東方分速の時系列変化について図5.1-7 および図 5.1-8 に示した。また、潮汐の影響を除くため25 時間移動平均処理し、同様に図化した(図 5.1-9)。 北方分速の平均値は、‐6.1cm/s(表層)、‐6.3cm/s(中層)、‐1.3cm/s(底層)、全層平 均では‐4.6cm/s で相対的に南方方向への流速が卓越していた。一方、東方分速の平均値は、 ‐4.5cm/s(表層)、‐4.0cm/s(中層)、0.5cm/s(底層)、全層平均では‐3.0cm/s で相対的 に西方方向への流速が卓越していた。 ② 流速ベクトルの時系列解析 全層(表層、中層、底層)の流速ベクトルの生データの時系列変化を図5.1-10 に、13 時 間および25 時間移動平均処理したものを図 5.1-11 および図 5.1-12 に示した。表層、中層 では南から南西方向のベクトルが卓越し、底層では南から南西方向および北東方向のベク トルが卓越していた。潮汐成分(12 時間、24 時間)の影響を除去した流れ(13 時間、25 時間移動平均処理後)は、表層および中層は南西方向であった。底層は、相対的に流速が 遅く南西方向の他に北方向の流れも確認できた。 ベクトル長は北方流速と東方流速の合成であるため、ベクトル長の時系列変化は各分速 と同様の傾向を示した。 ③ 流向のスパイダーグラフ解析 全層の流向のスパイダーグラフ(頻度図)を図5.1-13 に示した。表層は SW 方向の頻度 が最も高く14%で、S 方向から WSW 方向で 10%以上の頻度があった。中層は SW の頻度 が最も高く19%で、SSW 方向から WSW 方向で 10%以上の頻度があった。 底層は表層および中層と比較すると全方向で10%以内の頻度であり、SE 方向の頻度が最 も高かったが(10%)、表層および中層と同様に SW 方向(9%)から SSW 方向(8%)の 頻度も続いて高かった。全層を通じて南西方向の流れが卓越していることがスパイダーグ ラフからも確認できた。 ④ 進行ベクトル解析 全層の進行ベクトルを図5.1-14 に示した。進行ベクトルは流速および流向頻度の傾向に 対応して、表層および中層では進行ベクトルは南西の方向に進む進行パターンを示したが、 底層では表層および中層と比較して流速が小さく流向頻度が全方向 10%以内であるため、 異なる進行パターンを示した。解析期間(約33 日間)における進行距離は、表層では東西 方向に127km、南北方向に約 173km、中層では東西方向に 114km、南北方向に約 178km、 底層では東西方向に13km、南北方向に約 37km であった。全層ともに潮汐周期が確認でき た。
32 ⑤ 調和解析 全層の解析期間を対象として、主要 4 分潮(日月合成日周潮;K1、主太陰日周潮;O1、 主太陰半日周潮;M2、主太陽半日周潮;S2)について調和解析を行い、調和定数を表 5.1-1、 表5.1-2 および表 5.1-3 に示し、潮流楕円を図 5.1-15 に示した。各分潮の分速の変化を図 5.1-16(北方分速)および図 5.1-17(東方分速)に示した。 表層では12 時間周期(M2)が卓越し、中層および底層では 24 時間周期(O1、K1)が 卓越する結果となった。表層では 12 時間周期(M2)が北北東-南南西を軸とする楕円を 形成し、24 時間周期(K1)では北-南を軸とする楕円を形成した。中層では 24 時間周期 (O1)が北東-南西を軸とする楕円、12 時間周期(M2、S2)が東北東-西南西を軸とす る楕円を形成した。底層では12 時間周期の M2 と S2、24 時間周期の K1 と O1 で楕円を 形成する軸に90 度のずれが確認できた。12 時間周期(M2)においては、表層と中層およ び底層で位相のずれが確認できた。
33 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 7/27 9:00 7/28 9:00 7/29 9:00 7/30 9:00 7/31 9:00 (c m/ s) 2012/7/27 ~ 2012/8/1 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 8/1 0:00 8/3 0:00 8/5 0:00 8/7 0:00 8/9 0:00 8/11 0:00 8/13 0:00 8/15 0:00 (c m/ s) 2012/8/1 ~ 2012/8/15 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 8/15 0:00 8/17 0:00 8/19 0:00 8/21 0:00 8/23 0:00 8/25 0:00 8/27 0:00 8/29 0:00 (c m/ s) 2012/8/15 ~ 2012/8/29 図5.1-7 北方分速の時系列変化 表層 中層 底層
34 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 7/27 9:00 7/28 9:00 7/29 9:00 7/30 9:00 7/31 9:00 (c m/ s) 2012/7/27 ~ 2012/8/1 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 8/1 0:00 8/3 0:00 8/5 0:00 8/7 0:00 8/9 0:00 8/11 0:00 8/13 0:00 8/15 0:00 (c m/ s) 2012/8/1 ~ 2012/8/15 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 8/15 0:00 8/17 0:00 8/19 0:00 8/21 0:00 8/23 0:00 8/25 0:00 8/27 0:00 8/29 0:00 (c m/ s) 2012/8/15 ~ 2012/8/29 図5.1-8 東方分速の時系列変化 表層 中層 底層
35 -30 -20 -10 0 10 20 30 7/27 9:00 8/1 9:00 8/6 9:00 8/11 9:00 8/16 9:00 8/21 9:00 8/26 9:00 (c m/ s) 表層 -30 -20 -10 0 10 20 30 7/27 9:00 8/1 9:00 8/6 9:00 8/11 9:00 8/16 9:00 8/21 9:00 8/26 9:00 (c m/ s) 中層 -30 -20 -10 0 10 20 30 7/27 9:00 8/1 9:00 8/6 9:00 8/11 9:00 8/16 9:00 8/21 9:00 8/26 9:00 (c m/ s) 底層 図5.1-9 25 時間移動平均処理を行った東方成分・北方成分の時系列変化 東方成分 北方成分
36 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 30 30 30 30 40 40 40 40 N N S S 流速 (cm /s ) 表層 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 30 30 30 30 40 40 40 40 N N S S 流速 (cm /s ) 中層 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 30 30 30 30 40 40 40 40 N N S S 流速 (cm /s ) 底層 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 図5.1-10 流速ベクトルの時系列変化
37 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 N N S S 流速 (cm /s ) 表層 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 N N S S 流速 (cm /s ) 中層 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 N N S S 流速 (cm /s ) 底層 <2012/07/27 09:00~2012/08/29 00:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 図5.1-11 13 時間移動平均処理を行った流速ベクトルの時系列変化
38 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 N N S S 流速 (cm /s ) 表層 <2012/07/27 09:00~2012/08/28 15:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 N N S S 流速 (cm /s ) 中層 <2012/07/27 09:00~2012/08/28 15:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 0 0 10 10 10 10 20 20 20 20 N N S S 流速 (cm /s ) 底層 <2012/07/27 09:00~2012/08/28 15:00> 7/28 7/30 8/01 8/03 8/05 8/07 8/09 8/11 8/13 8/15 8/17 8/19 8/21 8/23 8/25 8/27 図5.1-12 25 時間移動平均処理を行った流速ベクトルの時系列変化
39
NE
SE
SW
NW
NNE
ENE
ESE
SSE
SSW
WSW
WNW
NNW
10 20% Calm 0.0%N
S
E
W
NE
SE
SW
NW
NNE
ENE
ESE
SSE
SSW
WSW
WNW
NNW
10 20% Calm 0.0%N
S
E
W
図5.1-13 流向頻度分布 表層 中層40
NE
SE
SW
NW
NNE
ENE
ESE
SSE
SSW
WSW
WNW
NNW
10 20% Calm 0.0%N
S
E
W
NE
SE
SW
NW
NNE
ENE
ESE
SSE
SSW
WSW
WNW
NNW
10 20% Calm 0.0%N
S
E
W
図5.1-13(続き) 流向頻度分布 表層 中層 底層 底層 全層41 -200 -150 -100 -50 0 50 -150 -100 -50 0 50 南北成分 (k m) 東西成分(km) 表層 -200 -150 -100 -50 0 50 -150 -100 -50 0 50 南北成分 (k m) 東西成分(km) 中層 図5.1-14 進行ベクトル図
42 -40 -30 -20 -10 0 10 -20 -10 0 10 20 南北成分 (k m) 東西成分(km) 底層 -200 -150 -100 -50 0 50 -150 -100 -50 0 50 南北成分 (k m) 東西成分(km) 全層 図5.1-14(続き) 進行ベクトル図 表層 中層 底層
43 表5.1-1 表層の調和解析結果 分潮 分速 振幅(cm/s) 初期位相(deg) M2 北方 4.3 282.9 東方 1.2 341.9 S2 北方 0.7 323.8 東方 0.7 73.6 O1 北方 1.4 41.4 東方 1.7 91.2 K1 北方 1.8 329.5 東方 0.4 50.2 表5.1-2 中層の調和解析結果 分潮 分速 振幅(cm/s) 初期位相(deg) M2 北方 1.1 227.6 東方 1.2 184.6 S2 北方 0.7 71.4 東方 1.3 44.5 O1 北方 2.4 45.2 東方 2.3 99.5 K1 北方 2.4 307.5 東方 1.5 341.1 表5.1-3 底層の調和解析結果 分潮 分速 振幅(cm/s) 初期位相(deg) M2 北方 1.2 290.3 東方 0.9 135.6 S2 北方 1.4 104.9 東方 0.7 105.1 O1 北方 2.1 62.7 東方 1.6 169.0 K1 北方 1.8 293.4 東方 1.4 350.2
44 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 -10 -5 0 5 10 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 -10 -5 0 5 10 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 -10 -5 0 5 10 図5.1-15 各層別の潮流楕円(両軸の単位は cm/s) :M2 :S2 :K1 :O1 ●:M2 始点 ●:S2 始点 ●:K1 始点 ●:O1 始点 表層 中層 底層 (cm/s) (cm/s) (cm/s)
45 【表層】 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 cm/ s 時間 【中層】 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 cm/ s 時間 【底層】 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 cm/ s 時間 図5.1-16 各分潮の北方成分の分速 ●:M2 分潮 ●:S2 分潮 ●:K1 分潮 ●:O1 分潮
46 【表層】 -2 -1 0 1 2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 cm/ s 時間 【中層】 -3 -2 -1 0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 cm/ s 時間 【底層】 -2 -1 0 1 2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 cm/ s 時間 図5.1-17 各分潮の東方成分の分速 ●:M2 分潮 ●:S2 分潮 ●:K1 分潮 ●:O1 分潮
47 (3) 2008 年と 2012 年の流向・流速計解析との比較 本事業では、2008 年の同時季に流向・流速計調査が行われている。ここでは、2008 年(撤 去前)と2012 年(撤去後)の対象海域の流向・流速を比較検討した。 なお、2008 年の調査期間は、2008 年 7 月 14 日~8 月 24 日の 42 日間で、2012 年の調 査期間(2012 年 7 月 26 日~8 月 29 日の 35 日間)より長い。調査機器は、両年ともにア レック電子社製Compact EM(電磁式)を使用し、表層・中層・底層の各観測層の内臓メ モリに毎10 分間隔で記録・保存された測定データを利用した。 ① 各層別の平均流速の比較 2008 年および 2012 年の解析期間における各層別のスカラー平均流速およびベクトル平 均流速を算出し表5.1-4 に示した。また、両平均流速より流れの方向が安定しているかどう かを判定する1 つの指標である安定度を算出した。 安 定 度 は 、( ベ ク ト ル 平 均 流 速 / ス カ ラ ー 平 均 流 速 )×100 ( % ) で 定 義 さ れ る (JODC: http://jdoss1.jodc.go.jp/data/current/stat-o-cur_j.html 2012 年 12月現在)。 表層では、2012 年が 59%、2008 年が 46%、中層では、2012 年が 63%、2008 年が 43%、 底層では、2012 年が 17%、2008 年が 33%の安定度となり、両年ともに表層および中層で は50%近くの安定度となったが、底層では安定度が低くなる傾向となった。 表5.1-4 各層別の平均流速の比較 cm/s 2008 年 2012 年 スカラー 平均流速 ベクトル 平均流速 北方成分 平均流速 東方成分 平均流速 スカラー 平均流速 ベクトル 平均流速 北方成分 平均流速 東方成分 平均流速 表層 18.4 8.5 -7.2 -4.6 13.0 7.6 -6.1 -4.5 中層 11.3 4.9 -4.3 -2.3 11.9 7.5 -6.3 -4.0 底層 8.0 2.6 -2.6 -0.4 8.1 1.4 -1.3 0.5 ② 各層別の流向頻度の比較 2008 年および 2012 年の解析期間における各層別のスパイダーグラフ(頻度図)を図 5.1-18 に示した。2008 年および 2012 年の流向頻度は、S から WSW が卓越していること が分かった。また、各層毎の最多流向の順に1 位から 3 位の頻度およびそのベクトル平均 流速を表5.1-5 に示した。 表層においては、2008 年と 2012 年ともに概ね同じ流向頻度を示し、2012 年の流速が約 30%小さい傾向を示した。中層においては、両年ともに流速は同等の速さとなり、流向も概 ね一致する傾向を示した。底層においては、2012 年は南向きの頻度が若干他の流向より多 くなったものの、全方向で同等の流向頻度を示したのに対し、2008 年は南向きの流れが卓
48 越する傾向となった。表層、中層と比較して相対的に流速は遅い。 両年ともに全層を通じてS から WSW の流向頻度が高いことが確認できた。 NE SE SW NW NNE ENE ESE SSE SSW WSW WN NNW 10 20% Calm 0.0% N W E S NE SE SW NW NNE ENE ESE SSE SSW WSW WNW NNW 10 20% Calm 0.0% N S E W 図5.1-18 2008 年および 2012 年の流向頻度分布 表5.1-5 2008 年および 2012 年の各層毎の頻度順位別の平均流速 2008 年 2012 年 単位 cm/s 順位 最多 流向 頻度 ベク トル 平均 流速 東方 平均 流速 北方 平均 流速 順位 最多 流向 頻度 ベク トル 平均 流速 東方 平均 流速 北方 平均 流速 表層 1 SSW 12.6% 21.2 -8.2 -19.6 1 SW 14.5% 15.3 -10.9 -10.7 2 S 11.3% 20.0 0.1 -20.0 2 SSW 13.3% 15.7 -5.9 -14.6 3 WSW 10.7% 20.3 -18.8 -7.8 3 S 13.2% 15.2 -0.3 -15.2 中層 1 SSW 14.9% 13.8 -5.4 -12.7 1 SW 19.0% 13.6 -9.7 -9.5 2 SW 13.3% 12.7 -8.7 -9.3 2 WSW 15.2% 13.5 -12.4 -5.4 3 S 9.6% 12.0 -0.3 -12.0 3 SSW 14.2% 13.0 -5.0 -12.0 底層 1 SSW 13.8% 8.6 -3.2 -8.0 1 SE 9.6% 10.6 7.4 -7.6 2 S 12.7% 8.6 -0.1 -8.6 2 SSW 9.2% 7.9 -3.2 -7.2 3 SSE 9.4% 8.4 3.1 -7.9 3 SW 8.2% 7.8 -5.3 -5.7 表層 中層 底層 2012 年 2008 年
49 ③ 各層別の進行ベクトルの比較 2008 年および 2012 年の解析期間における各層別の進行ベクトルを比較する形で図 5.1-19 に示した。調査地点での流速ベクトルを繋げていったものである。なお、両年の調 査期間(2012 年:34 日、2008 年:42 日)が異なるため、2008 年の図中に 2012 年と同じ 34 日目を矢印で示した。 ここでは、仮に中性浮力の物質がこの流れに乗って輸送されることを想定して考察した。 表層では、2008 年と比較すると 2012 年は、西向きの流れが強い傾向を示しているが概 ね同方向であり、輸送距離は短くなった。この輸送距離の差は、前述したとおり2008 年に 比べ2012 年の流速が遅いためである。 中層では、2008 年と比較すると 2012 年は、表層同様に若干西向きの流れが強い傾向で あったが、概ね同じ方向、同じ輸送距離となった。 底層は、両年ともに表層および中層と比較すると異なる傾向を示した。また、2012 年は 2008 年よりも最多流向の頻度が 10%を超える流向がないため調査地点付近を漂う傾向とな り、輸送距離も短くなった。 -250 -200 -150 -100 -50 0 50 -250 -200 -150 -100 -50 0 50 南北成分 (k m) 東西成分(km) -250 -200 -150 -100 -50 0 50 -250 -200 -150 -100 -50 0 50 南北成分 (k m) 東西成分(km) 2008 年の図中の→印は始点から 34 日目を示す。 図5.1-19 2008 年および 2012 年の進行ベクトル図 表層 中層 底層 2012 年 2008 年
50 ④ 各層別の調和解析結果の比較 2008 年および 2012 年の解析期間の主要 4 分潮について調和解析を行い、各層の調和定 数および恒流成分(平均流)を表5.1-6、表 5.1-7 および表 5.1-8 に示し、潮流楕円を図 5.1-20 に示した。表層は、2008 年および 2012 年ともに 12 時間周期(M2)が、中層および底層 は24 時間周期(K1、O1)が卓越する傾向が一致した。 恒流成分は、水深が深くなるほど流速が小さくなる傾向を示し、流向については、2012 年および2008 年ともに全層で南西向きとなり一致した。 表5.1-6 2008 年および 2012 年の表層の調和解析結果 分潮 分速 2008 年 2012 年 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 恒流成分 北方 -7.2 ― -6.2 ― 東方 -4.6 ― -4.5 ― M2 北方 3.8 180.0 4.3 282.9 東方 5.3 283.2 1.2 341.9 S2 北方 3.3 273.5 0.7 323.8 東方 5.3 41.1 0.7 73.6 O1 北方 2.0 240.5 1.4 41.4 東方 0.8 283.1 1.7 91.2 K1 北方 3.4 278.8 1.8 329.5 東方 3.0 308.2 0.4 50.2 表5.1-7 2008 年および 2012 年の中層の調和解析結果 分潮 分速 振幅 2008 年 2012 年 (cm/s) 初期位相 (deg) 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 恒流成分 北方 -4.3 ― -6.3 ― 東方 -2.3 ― -4.1 ― M2 北方 2.7 16.2 1.1 227.6 東方 0.9 92.6 1.2 184.6 S2 北方 1.5 146.2 0.7 71.4 東方 0.8 212.8 1.3 44.5 O1 北方 1.6 202.4 2.4 45.2 東方 1.4 233.2 2.3 99.5 K1 北方 3.1 265.2 2.4 307.5 東方 2.5 327.5 1.5 341.1
51 表5.1-8 2008 年および 2012 年の底層の調和解析結果 分潮 分速 2008 年 2012 年 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 振幅 (cm/s) 初期位相 (deg) 恒流成分 北方 -2.6 ― -1.3 ― 東方 -0.4 ― -0.5 ― M2 北方 2.0 30.8 1.2 290.3 東方 0.3 93.6 0.9 135.6 S2 北方 0.9 212.2 1.4 104.9 東方 0.1 218.0 0.7 105.1 O1 北方 1.8 214.1 2.1 62.7 東方 1.6 261.0 1.6 169.0 K1 北方 3.2 288.7 1.8 293.4 東方 1.8 3.4 1.4 350.2
52 【表層】 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 【中層】 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 【底層】 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 -10 -5 0 5 10 図5.1-20 2008 年および 2012 年の各層別の潮流楕円(両軸の単位は cm/s) :M2 :S2 :K1 :O1 :恒流 ●:M2 始点 ●:S2 始点 ●:K1 始点 ●:O1 始点 2008 年 2012 年
53 5.1.3 水質調査 2012 年の水質調査の結果概要を表 5.1-9 に示した。 表5.1-9 2012 年の水質調査の結果概要 水深 0m 75m 底上10m 平均値 平均値 平均値 水温 (℃) 25.25 12.32 9.27 -6.0 塩分 33.64 34.07 33.99 0.01 濁度 (度(ホルマジン)) <1 <1 1 1 水素イオン濃度 8.2 8.0 8.0 0.1 溶存酸素量 (mg/L) 6.3 7.7 7.5 0.5 化学的酸素要求量 (mg/L) 1.8 1.7 1.1 0.5 有機体炭素 (mg/L) 1.59 1.33 1.36 0.01 浮遊物質量 (mg/L) <1 <1 <1 1 ノルマルヘキサン抽出物質 (mg/L) <0.5 調査せず 調査せず 0.5 硝酸態窒素 (mg/L) <0.01 0.11 0.14 0.01 亜硝酸態窒素 (mg/L) <0.001 <0.001 <0.001 0.001 アンモニア態窒素 (mg/L) <0.01 <0.01 <0.01 0.01 リン酸態窒素 (mg/L) 0.004 0.021 0.028 0.002 クロロフィルa (μg/L) 0.12 0.06 調査せず 0.01 定量下限値 項 目 (1) 水温 水温の鉛直分布を図5.1-21 に示した。 撤去2 年前の 2008 年の調査では、水深 20~40m 付近に水温躍層が認められ、水面付近 の水温は7 月調査で約 18℃、8 月調査で約 21℃であった。また、撤去直後の 2010 年 7 月 調査では水面付近の水温が約24℃と高い傾向にあるものの、水深 20~40m 付近に水温躍層 が認められ、2008 年と同様の鉛直分布を示した。 撤去の2 年後にあたる 2012 年 8 月調査では、水面付近の水温が約 25℃と過去の調査時 よりも高い傾向にあり、水深20m 以浅に水温躍層が認められたが、2010 年 7 月調査と類 似した鉛直分布を示した。 なお、撤去直前の2010 年 4 月調査時は低水温期にあったため、海水が鉛直的に混合され、 水温の鉛直的な変化が小さかったと考えられる。