5. 調査結果
5.1 現地調査
5.1.4 底質調査
【 物性・含有量試験】
2012年調査の物性・含有量試験の結果概要(粒度組成を除く)を表5.1-10に示した。
2012年調査の物性・含有量試験では、シアン化合物、六価クロム、アルキル水銀および ポリ塩化ビフェニルが全測点を通じて定量下限値未満であった。
表5.1-10 2012年調査の物性・含有量試験の結果概要
最小値 最大値 平均値 標準偏差
密度 (g/cm3) 0.01 2.59 2.68 2.64 0.03
過マンガン酸カリウムによる酸素消費量 (mg/g) 0.5 4.6 6.4 5.5 0.6
有機体炭素 (mg/g) 0.01 3.66 5.82 4.70 0.75
硫化物 (mg/g) 0.01 <0.01 0.01 - -
乾燥減量 (%) 0.1 29.0 36.6 33.0 2.4
強熱減量 (%) 0.1 2.5 3.4 3.0 0.3
n-ヘキサン抽出物質 (mg/kg) 50 <50 60 - -
カドミウム (mg/kg) 0.05 <0.05 0.10 - -
シアン化合物 (mg/kg) 0.5 <0.5 <0.5 <0.5 -
鉛 (mg/kg) 0.2 5.5 9.3 7.1 1.4
六価クロム (mg/kg) 1.0 <1.0 <1.0 <1.0 -
ひ素 (mg/kg) 0.5 1.5 2.7 2.2 0.4
総水銀 (mg/kg) 0.01 <0.01 0.03 - -
アルキル水銀 (mg/kg) 0.01 <0.01 <0.01 <0.01 - ポリ塩化ビフェニル (mg/kg) 0.01 <0.01 <0.01 <0.01 -
銅 (mg/kg) 0.5 5.1 10 6.7 1.6
亜鉛 (mg/kg) 0.2 35 60 48 9
ふっ素化合物 (mg/kg) 5.0 52 86 69 10
セシウム134 (Bq/kg) 11~14 12 39 24 13 セシウム137 (Bq/kg) 12~15 23 68 46 21 注)セシウム134とセシウム137の値は、乾泥あたりの放射能濃度で示した。
項 目 定量下限値 測定値
(1) 粒度組成
2012 年調査の底泥の粒度組成の概要を表5.1-11に、2012年調査の各測点における底泥 粒子の中央粒径値を図 5.1-34、に示した。また、海洋掘採施設からの距離および方位別の 底泥粒子の中央粒径値を図5.1-35に示した。
撤去から2 年後の2012年 8月調査では、過年度の調査結果と同様に、底泥は中礫以下
(19mm以下)の粒子で構成され、砂分が約 68%、細粒分が約30%、礫分が約2%を占め ていた。また、最も卓越した砂分では、細砂の比率が高かった。
2012年8 月調査での底泥粒子の中央粒径値は0.11~0.26mm(平均値:0.15mm)の範 囲にあり、過年度調査の結果と同様に、海洋掘採施設からの距離に伴う明確な変化はみら れなかったが、N・E方向と比べてS・W方向の粒径が若干小さい傾向にあった。
海洋掘採施設の撤去の前後を通じて、本調査海域の底泥がほぼ同様の粒度組成を有して
68 いることが示唆された。
表5.1-11 2012年調査の粒度組成の概要
最小値(%) 最大値(%) 平均値(%) 標準偏差(%)
中礫(4.75~19mm) 0.0 2.0 0.3 0.7
細礫(2~4.75mm) 0.3 5.4 1.9 1.8
粗砂(0.85~2mm) 2.5 7.9 4.1 1.8
中砂(0.25~0.85mm) 17.3 39.6 26.4 6.5 細砂(0.075~0.25mm) 25.3 43.9 37.3 6.8 シルト(0.005~0.075mm) 15.7 27.7 22.5 4.1
粘土(<0.005mm) 6.9 8.4 7.6 0.5
0.11 0.26 0.15 0.05
砂分
細粒分
中央粒径値(mm) 粒径区分 礫分
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) 中央粒径値 (mm)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
0.26
0.15
0.11 0.14
0.13
0.15 0.14
0.14
図5.1-34 2012年調査の各測点における底泥粒子の中央粒径値
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25
200m 500m 1000m
中央粒径値(mm)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25
200m 500m 1000m
中央粒径値(mm)
海洋掘採施設からの距離
2008年 2010年 2012年 S・W方向
図5.1-35 海洋掘採施設からの距離・方位別の底泥粒子の中央粒径値
注)SE1はN・E方向の測点とした。
69 (2) 密度
2012年調査の各測点における底泥粒子の密度を図5.1-36に、海洋掘採施設からの距離・
方位別の底泥粒子の密度を図5.1-37に示した。
底泥粒子の密度は、撤去2年前の2008年調査では2.50~2.60g/cm(平均値:3 2.55g/cm3)、 撤去直後の2010年調査では2.58~2.66g/cm3(平均値:2.62g/cm3)の範囲にあった。
撤去から2年後の2012年調査では2.59~2.68g/cm3(平均値:2.64g/cm3)の範囲にあっ た。2012年調査の結果は過年度調査のものよりも若干高い傾向にあるが、2008年からの3 回の調査を通じて海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみられず、測点 間の差も小さかった。
海洋掘採施設の撤去の前後を通じて、本調査海域の底泥がほぼ均一な密度を有している ことが示唆された。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) 密度 (g/cm3) 1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
2.68
2.64
2.59 2.65
2.62
2.63 2.64
2.64
図5.1-36 2012年調査の各測点における底泥粒子の密度
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
200m 500m 1000m
密度(g/cm3)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
200m 500m 1000m
密度(g/cm3)
海洋掘採施設からの距離
2008年 2010年 2012年 S・W方向
図5.1-37 海洋掘採施設からの距離・方位別の底泥粒子の密度
注)SE1はN・E方向の測点とした。
70
(3) 過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODsed)
2012年調査の各測点における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量を図5.1-38に、海 洋掘採施設からの距離・方位別の過マンガン酸カリウムによる酸素消費量を図5.1-39に示 した。
底泥のCODsedは、撤去2年前の2008年調査では2.1~3.4mg/g(平均値:2.8mg/g)、 撤去直後の2010年調査では3.9~5.8mg/g(平均値:4.8mg/g)の範囲にあった。
撤去から2年後の2012年調査では、4.6~6.4mg/g(平均値:5.5mg/g)の範囲にあった。
2012年調査の結果は過年度調査のものよりも全体的に高い傾向にあるが、2010年調査との 差は小さく、2010年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化 はみられなかった。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) CODsed (mg/g)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
5.4
5.5
6.2 6.4
5.1
5.2 5.6
4.6
図5.1-38 2012年調査の各測点における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODsed)
0 1 2 3 4 5 6
200m 500m 1000m
CODsed(mg/g)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 1 2 3 4 5 6
200m 500m 1000m
CODsed(mg/g)
海洋掘採施設からの距離
2008年 2010年 2012年 S・W方向
図5.1-39 海洋掘採施設からの距離・方位別の過マンガン酸カリウムによる
酸素消費量(CODsed)
注)SE1はN・E方向の測点とした。
71 (4) 有機体炭素(TOC)
2012年調査の各測点における有機体炭素量を図5.1-40に、海洋掘採施設からの距離・方 位別の有機体炭素量を図5.1-41に示した。なお、有機体炭素は2010 年調査から測定を開 始した項目である。
底泥の有機体炭素量は、撤去直後の2010年調査では3.57~4.80mg/g(平均値:4.19mg/g) の範囲にあり、撤去から2年後の2012年調査では、3.66~5.82mg/g(平均値:4.70mg/g) の範囲にあった。2010年調査時よりも 2012 年調査時の方が高い傾向にあったが、両年と もに海洋掘採施設から離れるほど、わずかではあるが高くなる傾向にあった。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) TOC (mg/g)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
4.21
4.51
5.82 3.66
5.36
4.20 4.41
5.43
図5.1-40 2012年調査の各測点における有機体炭素量(TOC)
0 1 2 3 4 5 6
200m 500m 1000m
TOC(mg/g)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 1 2 3 4 5 6
200m 500m 1000m
TOC(mg/g)
海洋掘採施設からの距離
2010年 2012年
S・W方向
図5.1-41 海洋掘採施設からの距離・方位別の有機体炭素量(TOC)
注)SE1はN・E方向の測点とした。
72 (5) 硫化物
2012年調査の各測点における硫化物量を図5.1-42に、海洋掘採施設からの距離・方位別 の硫化物量を図5.1-43に示した。
底泥の硫化物量は、撤去 2 年前の 2008 年調査では全ての測点で定量下限値未満
(<0.01mg/g)であったが、撤去直後の 2010 年調査では<0.01~0.09mg/g の範囲にあり、
S・W方向では海洋掘採施設に近づくほど高くなる傾向にあった。
撤去から2年後の2012年調査では、<0.01~0.01mg/gの範囲にあり、測点間の差異は小 さく、撤去2年前の2008年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確 な変化はみられなかった。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) 硫化物 (mg/g)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
0.01
<0.01
0.01
<0.01
<0.01
<0.01
<0.01
0.01
図5.1-42 2012年調査の各測点における硫化物量
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
200m 500m 1000m
硫化物(mg/g)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
200m 500m 1000m
硫化物(mg/g)
海洋掘採施設からの距離
2008年 2010年 2012年 S・W方向
図5.1-43 海洋掘採施設からの距離・方位別の硫化物量
注1)SE1はN・E方向の測点とした。
注2)定量下限値未満の場合は0.01mg/gとして地点別の値を求めた。
73 (6) 乾燥減量
2012年調査の各測点における乾燥減量を図5.1-44に、海洋掘採施設からの距離・方位別 の乾燥減量を図5.1-45に示した。
底泥の乾燥減量は、撤去2年前の 2008年調査では 28.8~38.3%(平均値:33.0%)、撤 去直後の2010年調査では28.5~35.8%(平均値:32.2%)の範囲にあった。
撤去から2年後の2012年調査では29.0~36.6%(平均値:33.0%)の範囲にあり、2008 年からの 3 回の調査を通じて海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変化はみら れなかった。
海洋掘採施設の撤去の前後を通じて、底泥の間隙容積(水分量)に大きな変化のないこ とが示唆された。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) 乾燥減量 (%)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
29.0
34.1
36.6 34.4
33.7
32.9 33.1
30.5
図5.1-44 2012年調査の各測点における乾燥減量
0 10 20 30 40
200m 500m 1000m
乾燥減量(%)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 10 20 30 40
200m 500m 1000m
乾燥減量(%)
海洋掘採施設からの距離
2008年 2010年 2012年 S・W方向
図5.1-45 海洋掘採施設からの距離・方位別の乾燥減量
注)SE1はN・E方向の測点とした。
74 (7) 強熱減量(IL)
2012年調査の各測点における強熱減量を図5.1-46に、海洋掘採施設からの距離・方位別 の強熱減量を図5.1-47に示した。
底泥の ILは、撤去2年前の 2008 年調査では 2.5~3.7%(平均値:3.0%)、撤去直後の 2010年調査では2.3~3.3%(平均値:2.8%)の範囲にあった。
撤去から2年後の2012年調査では2.5~3.4%(平均値:3.0%)の範囲にあり、2008年 からの 3 回の調査を通じて、測点間の差は大きいものの、海洋掘採施設からの距離および 方位に伴う明確な変化はみられなかった。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) IL (%)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
2.5
3.1
3.4 3.1
3.2
3.1 3.1
2.7
図5.1-46 2012年調査の各測点における強熱減量(IL)
0 1 2 3 4
200m 500m 1000m
IL(%)
海洋掘採施設からの距離 N・E方向
0 1 2 3 4
200m 500m 1000m
IL(%)
海洋掘採施設からの距離
2008年 2010年 2012年 S・W方向
図5.1-47 海洋掘採施設からの距離・方位別の強熱減量(IL)
注)SE1はN・E方向の測点とした。
75
(8) n-ヘキサン抽出物質
2012 年調査の各測点における n-ヘキサン抽出物質量を図 5.1-48に、海洋掘採施設から の距離・方位別のn-ヘキサン抽出物質量を図5.1-49に示した。
底泥のn-ヘキサン抽出物質量は、撤去2年前の2008年調査では50~150mg/kg(平均値:
108mg/kg)、撤去直後の2010 年調査では<50~60mg/kgの範囲にあり、2010 年調査の結 果は2008年調査のものよりも全体的に低かった。
撤去から2年後の2012年調査では、<50~60mg/kgの範囲にあり、測点間の差異は小さ く、撤去直後の2010年調査時と同様に海洋掘採施設からの距離および方位に伴う明確な変 化はみられなかった。
n-ヘキサン抽出物質量は油分の指標であり、底泥の n-ヘキサン抽出物質に関しては水産 用水基準(2005年 社団法人日本水産資源保護協会)にのみ基準値が定められている。この 中でn-ヘキサン抽出物質量は0.1%以下(1000mg/kg以下)と定められている。海洋掘採施 設の撤去の前後を通じて、本調査海域の n-ヘキサン抽出物質量は水産用水基準よりも低い 値であった。
海洋掘採施設(横倒部)
海洋掘採施設(残置部) n-ヘキサン抽出物質 (mg/kg)
1000m
200m N
N1
SE1 S1
NE3
SW1 N3
SW3
S3
<50
<50
<50
<50 60
<50
<50
50
図5.1-48 2012年調査の各測点におけるn-ヘキサン抽出物質量