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5. 調査結果

5.3 海洋掘採施設撤去後の残留影響事前評価結果の検証

5.3.3 撤去工事直後の事前評価の考え方の再検討

評価結果を検証した結果に基づき、事前評価の内容の差異の有無を確認し、平成 22 年 度に実施された撤去工事直後の事前評価の考え方を再検討した。

(1) 事前評価の検証結果のまとめ

事前評価の検証結果内容を、検証まとめとしてとりまとめた(表5.3-6)。

評価結果を検証した結果、事前評価の内容に差異がみられた項目はなく、各項目の環 境への影響評価結果は、全ての項目で影響は軽微という事前評価の結果に合致していた と考えられる。

撤去から今年度の調査の間に東北地方太平洋沖地震があったため、その影響が懸念さ れたが、残留施設の周辺の海洋環境の大きな変化は、地盤の移動以外、明らかな変化は 確認できなかった。

(2) 事前評価の妥当性

今回の検証により、事前評価内容、考え方については、妥当であったと判断できた。

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①海水の 濁り

・残留した海洋掘採施設により海 底付近の流況が変化し、海底土の 巻上げが発生する場合、あるいは 残留する施設が海底で波浪等に より移動することがある場合に海底 土が巻き上げられて濁りが発生す る可能性が考えられる。

【その場に残留】

・施設の設置以後の状況からみて、施設の存在により海底 付近に濁りを生じる可能性は小さく、影響は軽微であると 考えられた。

【横倒して残留】

・横横倒して残留する施設の移動の可能性は小さく、その 存在による変化はその場に残留する施設と同様であり、海 底付近に濁りを生じる可能性は小さいと考えられる。濁り に関する影響は軽微であると考えられた。

・調査結果より、残留する海洋施設に起因す る流動変化等による濁りの舞い上がりは特定 されないことから、評価の妥当性は検証され たと判断できることから、事前評価どおりであ る。

②有害物 質 等 に よ る 海 水 の 汚れ

・残留する施設の性状、残留場所 となる海底の状況から、海水中に 溶出する有害物質について、ある いは海底土の巻き上げによる海底 土の有害物質による影響を検討 する。

・残留する施設の性状から有害物質等が海水に付加する 可能性は小さいものと考えられる。また、施設による海底の 巻き上げにより有害物質等による海水の汚れが生じる可 能性も小さいことが予測され、有害物質等による海水の汚 染の影響は軽微であると考えられた。

・撤去前、撤去工事中、今年度の調査結果よ り、水質に大きな変化は見られないことから、

事前評価どおり。

(

)2

ⅰ粒径組

・残留する施設の性状、残留場所 となる海底の状況から、海底付近 の流況変化が起こる可能性と底質 の粒径組成の変化の可能性を検 討し、予測評価する。

【その場に残留】

・施設の設置以後の状況からみて、海底撹乱を生じ広範 囲の粒径組成の変化が生じる可能性は小さく、残留によ る影響は軽微であると考えられた。

【横倒して残留】

・横倒して残留する施設の移動する可能性は小さく、海底 撹乱により粒径組成の変化が生じる可能性は小さい。そ の存在による変化はその場に残留する施設と同様であり、

粒径組成に関する影響は軽微であると考えられた。

・現地調査結果では撤去直後の状況と大き な違いはなく、事前評価どおり。

ⅱ有機物

・残留した海洋掘採施設に新たに 付着する生物に起因する有機物 質の増加、あるいは海底付近の流 況変化により海底の有機物質の変 化について検討する。

【その場に残留】

・施設の設置以後の状況からみて、施設の存在により海底 撹乱を生じ、広範囲の有機物質量の変化が生じる可能性 は小さく、残留による影響は軽微であると考えられた。

【横倒して残留】

・横倒して残留する施設の存在により海底撹乱を生じ、有 機物質量の変化が生じる可能性は小さいものと考えられ た。残留した施設の付着生物の落下による海底への有機 物の負荷は、撤去前の海底の状況から類推してごく近傍と 予測され、限定された範囲であることから影響は軽微であ ると考えられた。

・現地調査結果では撤去直後の状況と大き な違いはなく、事前評価どおり。

ⅲ有害物 質 に よ る 汚れ

・海洋掘採施設からの有害物質等 の負荷、施設の移動等により海底 撹乱を起こした場合の土砂の再堆 積等による影響について検討す る。

・残留する施設の性状から考えて、有害物質等が海底に 付加する可能性は小さいく、海底土の性状からも残留によ る影響は軽微であると考えられた。

・現地調査結果では撤去直後の状況と大き な違いはなく、事前評価どおり。

ⅳ海底地

・新たに存在する海洋掘採施設に よる海底地形の変化を検討する。

残留した海洋掘採施設による流況 変化及び施設の移動による海底 撹乱に伴う海底地形の変化につ いても検討する。

【その場に残留】

・施設の設置以降、ジャケット海底面付近で局所的に洗掘 が生じているのみであり、施設の設置以降の状況から考え て残留後も同様の状況であることが予測され、海底地形へ の影響は軽微であると考えられた。

【横倒して残留】

・横倒して残留する施設は海底にわずかに凸部を生じさ せる。しかし、その範囲は最大で100mであり、海洋では狭 い範囲であり、今後それが増大することも考えられないこと から、影響は軽微であると考えられた。また、施設の海底 付近での洗掘による海底地形への影響についてもその場 に残留する施設同様、影響は軽微であると考えられた。

・水深の増加、残留する当該海洋施設の移 動が確認されたが、撤去工事後のH23年3月 11日に発生した「平成23年(2011年)東北地 方太平洋沖地震」により当該地域を含む広 範囲で地盤沈下、地盤の移動が観測されて おり、当該海域の海底面は東へ5~24m移 動していたことより、調査結果の比較で確認 された水深の増加と、海洋施設の移動は、大 震災によるものと考えられる。

流況

・海域に海洋掘採施設が残留し存 在する場合に、新たな海底付近の 流れの障害物となることが考えら れ、流況が変化する可能性が考え られる。残留をする施設の構造を 考慮したうえで検討する。

【その場に残留】

・施設の設置以降の流況変化の事例は見られていないこ とから、残留により当該海域の流況の変化はないものと予 測され、影響は軽微であると考えられた。

【横倒して残留】

・施設の残留により海底に新たに凸部が生じ、周辺の限ら れた範囲で流況が変化することが想定されるが、既存の 施設の設置以降の状況に鑑み変化は局所的であり、海域 の流況への影響は軽微であると考えられた。

・2008年調査時の流況と様相は若干異なる が、基本的に例年通りの傾向であり、海洋掘 採施設周辺の流況変化は残留の影響では なく海流の自然変化によるものと考えられ、

事前評価どおり。

評価内容 事前評価結果

評価項目

(

)3

評価の検証結果

(

)1

表5.3-6(1) 検証結果のまとめ-1

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① プ ラ ン クトン

・水環境の変化による植物プランク トン、動物プランクトンへの影響を 予測評価する。

・水環境の変化の可能性は小さいことが予測されることか ら、残留による影響は軽微であると考えられる。

・調査年次の違いにより出現量に多少ばらつ きはあるが、主要な構成生物群に変化は認 められず、事前評価どおり。

②遊泳生

・水環境への影響、あるいは海洋 掘採施設の存在そのものにより遊 泳生物への影響が考えられる場 合には、影響を予測評価する。

【その場に残留】

・残留前の施設に依存していた遊泳魚類相が一部変化す る可能性は考えられるが、残留部分周辺の生物は残留前 と同様の状態が継続し、大きな変化はないものと考えられ た。

【横倒して残留】

・横倒して残留する施設により平坦な海底が変化すること から違った魚類相が形成されるような変化が予測される が、その場に残留する施設の近傍であることから、残留さ れる施設周辺に形成される魚類相はこれまで同様と考え られる。この変化は、軽微なものと考えられる。

・漁獲量の比較などは実施できないものの、

水環境等の生息環境の変化は事前評価結 果の通り軽微なものであり、事前評価どおり。

③底生生

・海底環境への影響に基づきが底 生生物への影響を予測評価する。

残留した海洋掘採施設への付着 生物についても検討する。

【その場に残留】

・施設の残留により、底生生物に変化が生じる可能性は小 さく、付着生物についても、従来の状態から大きく変化す ることはないと予測され、影響は軽微であると考えられる。

【横倒して残留】

・横倒して残留する施設に新たな付着生物の基盤が出 来、そこから供給される有機物により海底の局所的な底生 生物層が変化することが考えられる。しかし、撤去前の底 生生物の状況から施設の周辺の生物相は場所により大き な変化が見られないことから、変化は局所的であり、環境 への影響という観点からは影響は軽微と考えられる。

・現地調査結果では、調査年次の違いにより 量的には多少ばらつきはあるが、主要な構 成生物群に変化は認められず、事前評価ど おり。

ⅰ脆弱な 生態系

・近傍には影響を受ける藻場、干潟、サンゴ群落その他の 等の脆弱な生態系は存在していないことから、残留による 影響はないものと考えられる。

・震災等の影響により情報が不足している部 分はあるものの、残留海域の周辺において は事前評価時から水環境等の現況に大きな 変化がないことから、事前評価どおり。

ⅱ海洋生 物の生息 に と っ て 重要な海

【その場に残留】

・残留する施設は、1983年の設置以降、保護区あるいは 海産哺乳類の生息海域の環境に特段の問題を生じてい ない。そのため、施設の残留によるこれら重要な海域への 影響は軽微であると考えられる。

【横倒して残留】

・当海洋掘採施設、あるいは魚礁に転用された他地点事 例からは、新たに存在することによって周辺環境への特段 の影響が生じたという事実は見られていないことから、影 響は軽微であると考える。

・資源量の目安となる漁獲量についての比較 などは実施できないものの、水環境等の生息 環境の変化は事前評価結果の通り軽微なも のであり、残留による影響はほとんどみらな いことから、事前評価どおり。

ⅲ特殊な 生態系

・残留する海洋掘採施設近傍には影響を受ける化学合成 生態系その他の特殊な生態系は存在していないことから、

残留による影響はないものと考えられる。

・災により地形等に変化はあったものの、残 留海域においては事前評価時から環境の現 況に大きな変化がないことから、事前評価ど おり。

1海洋レクリ エーション

・海洋掘採施設の残留により影響を受ける海水浴場その 他の海洋レクリエーションの場としての利用はないことか ら、残留による影響はないものと考えられる。

・現時点では海洋レクリエーションが実施され る状況にないため検証は不可能であるもの の、残留海域においては事前評価時から環 境の現況に大きな変化がないことから、事前 評価どおり。

ⅱ海中公 園等

・海洋掘採施設の残留により影響を受ける海中公園その 他の自然環境の保全を目的として設定された区域として の利用はないことから、残留による影響はないものと考え られる。

・震災により地形等に変化はあったものの、

残留海域においては事前評価時から環境の 現況に大きな変化がないことから、事前評価 どおり。

ⅰ漁場

・海洋掘採施設を残留する場所は漁場の一部に及んでい るが、地元漁業者と調整済みであること、保安部への届け により海図にその存在が記載されることから、当該海域の 漁業に及ぼす影響は軽微であると考えられる。

・漁業は実施されていないが、震災に伴うも のであり、残留によるものではないと考えられ る。

ⅱ航路

・残留する海洋掘採施設近傍には主要な航路はなく、海 面までの水深を90m以上確保しIMOのクリアランス基準

(55m)を担保していることから、漁船等の航行があったとし ても、航路利用への影響はないものと考えられる。

・対象海域に航路の利用はなく、当該海域の 航路利用への影響は見られず、事前評価ど おり。

ⅲ海底 ケーブル 敷設

・海洋掘採施設の残留場所近傍には海底ケーブルの敷 設はないことから、海域の海底ケーブルへの影響はないも のと考えられる。

・海域の状況は事前評価時の状況と同様で あり、影響はないと考えられる。

ⅳ海底資 源等

・現在その他の海底の利用はないことから、海底資源の探 査又は掘削その他の海底の利用への影響はないものと 考えられる。

・海域の状況は事前評価時の状況と同様で あり、影響はないと考えられる。

a.評価内容

評価の検証結果 d.事前評価結果

評価項目

・脆弱な生態系、海洋生物の生息 にとって重要な海域及び特殊な生 態系の存在の有無を確認した上 で、水環境、海底環境、流況の変 化の程度から、対象となるものの 変化を定性的に予測評価する。

(

)7

・当該海域での海域利用の状況を 確認した上で、水環境、海底環 境、流況の変化、施設の残留の状 態から、影響を定性的に予測評価 する。

(

)4

(

)5

(

)6

・海洋レクリエーションの利用、海 中公園等の存在の有無と、水環 境、海底環境、流況の変化の程度 から、対象となるものの変化を定性 的に予測評価する。

表5.3-6(2) 検証結果のまとめ-2