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ラット実験的緑内障眼における交感神経β1選択性遮断薬の神経保護作用の検討

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Academic year: 2021

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Title

ラット実験的緑内障眼における交感神経β1選択性遮断薬の

神経保護作用の検討( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

辻, 明

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第442号

Issue Date

2000-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14688

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 辻 明(千葉県) 博 士(医学) 甲第 442 号 平成12 年 3 月 24 日 学位規則第4条第1項該当 ラット実験的緑内障眼における交感神経β1選択性遮断薬の神経保護作用の検討 (主査)教授 北 澤 克 明 (副査)教授 植 松 俊 彦 教授 坂 井 昇 論 文 内 容 の 旨 これまで治療困難とされてきたアルツハイマー病,パーキンソン病,などに代表される中枢神経系の変性疾患 や循環不全による障害にたいして細胞死,細胞変性の概念による新しい治療法が臨床応用されている0眼科領域 においても同様の概念に基き,神経網膜の細胞死の過程を修飾し視機能の維持や回復を目標とした試みがなされ ている。 慢性緑内障の本態は視神経症であり,緑内障性視神経症では網膜神経節細胞(Retinalganglioncell,RGC)の アポトーシスが生じている事が知られている。現在,緑内障の治療は,RGCの細胞死を防ぎ視野障害の進行を阻 止する事を目標として,房水の濾過手術や眼圧下降薬の点眼等の眼圧下降療法が行われている0眼圧が緑内障患 者の予後を決定する重要な因子である事は疑う余地がないが,良好な眼圧下降が得られているにもかかわらず視 野障害進行が抑制されないことがあるのも事実である○こうした状況を改善するために・視神経に直接作用して 障害を止める治療法,いわゆる神経保護治療の開発の必要性が論じられているが・臨床使用可能な薬剤のうち交 感神経β1選択性遮断薬べタキソロールが注目されている0 現在べタキソロール点眼液は眼圧下降の目的で広く使われているが,本剤はカルシウムチャンネル阻害作用に 基づく血管拡張作用も併せ持つ事が知られている0さらに,長期臨床応用で,他のβ遮断薬に比べ眼圧下降量が 少ないにもかかわらず視野障害の進行を抑制する作用がより強い事が報告されている0この事はべタキソロール が眼圧下降作用以外の何らかの機序によるRGC保護作用を有する可能性を示唆している。今回我々は再現性の ぁるラット眼圧上昇モデルを開発しこれを剛、てRGCを逆行性蛍光標識することにより,眼圧上昇によるRGC 障害へのべタキソロールの抑制効果を検討した。 [対象と方法]実験1:Wistar系白色ラット20匹を用いて右眼を処置眼,左眼を対照とした隅角光凝固後の眼圧 変動を調べた。レーザー照射直後の眼圧変動の測定を目的としたA群(n=10)では術前値として前房墨汁注入前, 術後値としてレーザー照射10分後,1,3,6,9,24時間後に,またレーザー照射後の眼圧のより長期の変動測定を 目的としたB群(n=10)では前房墨汁注入前,レーザー照射30分後,1,2,3,5,8,11,14,21・28日にPneumato nometer(Mentor社製)を用いて眼圧を測定した。緑内障眼はUedaらの方法を修飾して,房水と墨汁を置換後,隅 角光凝固を行うことにより作成した。墨汁注入4日後,右眼に対し隅角光凝固を施行した0光凝固条件は,凝固 出力150∼250mW,凝固径150∼200〃m,凝固時間0・2秒,輪部全周に90発とした。凝固後,適宜眼底検査を行い 網膜中心動脈の閉塞の無いことを確認した。 実験2:Wistar系白色ラット20匹を用いて高眼圧によるRGCの減少とべタキソロールによるその抑制効果につ いて調べた。眼圧上昇モデルは,実験1に準じて作製した0レーザー照射直後にべタキソロール投与群のうち低 濃度群(n=6)では体重1kg当たり2mg,高濃度群(n=6)では10mgを投与し,非投与群(n=8)では蒸留水2mlを 腹腔内に注入した。薬物投与の5日後に眼圧を測定し,蛍光物質である3%Fastbluel・5FLlを左右の上丘に注入し た。さらに3日後に,4%ホルマリンにて濯流固定衡眼球を摘出し網膜伸展標本を作製し,逆行性標識された RGCを蛍光顕微鏡にて観察した○蛍光顕微鏡撮影を,視神経乳頭緩から約1mm離れ,上下鼻側,耳側の4ケ所で 行い,NIHimagel.61を用いて細胞数をカウントしたoRGCの標識率を同一個体の,眼圧上昇眼と対側の対照 眼の比率として求めた。 [結果]実験1:A群の照射前の眼圧は右眼10・2±0・84mmHg(平均値±標準偏差)左眼10・8±1・1mmHgであっ た。処置眼(右眼)眼圧は,レーザー照射後1時間後から僚眼に比して有意に上昇し24時間後まで継続した(P< 0.004Mann-WhitneyU)。眼圧の最大の上昇は6時間後に生じ17・5±3・8mmHgであり・その上昇幅は照射前値に

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ー47-比して7.3±4.1mmHgであったoB群の照射前の眼圧は右眼10・3±0・80mmHg左眼10・9±0・95mmHgであった0 レーザー照射当日から僚眼に比して有意に上昇し照射後8日の眼圧は18±3・1mmHgと照射前に比して7・7±3・2 mmHg上昇した(P<0・001)0有意の眼圧上昇は照射後21日まで認められた(P=0・003)0 実験2:眼圧術前値は対照群では11・9±1・3mmHg,べタキソロール2mg/kgBW投与群では11・6±0・6mmHg, 10mg/kgBW投与群では11・6±1・7mmHgであった。また隅角光凝固5日後に測定した眼圧は,対照群では19・7 ±2.2mmHg,べタキソロール2mg/kgBW投与群では20・0±2・1mmHg・10mg/kgBW投与群では18・8±1・6 mmHgであり,3群間で有意差を認めなかった(ANOVA)0 上丘へfastblueを注入した逆行性染色にて8日後,標識されたRGC数は,対照群では処置眼1009±207個/m撼, 非処置眼1346±220個/md,betaxolo12mg/kg投与群では処置眼963±218個/m撼,非処置眼1203±275個/m撼, 10mg/kg投与群では処置眼1012±147個/md,非処置眼1128±146個/m踊あった・眼圧上昇眼の細胞数を分 子,正常対照眼を分母として計算したRGC標識率は,対照群では75・2±3・8%・べタキソロール2mg/kg投与群 では81.6±8.1%,10mg/kg投与群では95・2±18・2%であり,3群間で有意差が認められた(P=0・038;ANOVA)0 また対照群とべタキソか-ル10mg/kg投与群との問に統計学的有意差が認められた(P=0・011;Fisher,PLSD)。 [考察]ラット実験的眼圧上昇モデルを作製するUedaらの原法では25mmHgを越す眼圧値を得る目的で繰り返し 墨汁注入とレーザー照射を行っているが,我々は,レーザーの照射条件を調節することにより1回の墨汁注入と レーザー照射により21日間にわたり有意の眼圧上昇を確実に引き起こすことに成功した0本法により墨汁注入と レーザー照射を繰り返すことによる眼内組織変化を避けることができた0ラット眼圧上昇モデルは現在までに3つ の異なった方法が報告されている01・上強膜静脈への高脹液注入2・上強膜静脈焼灼3・隅角光凝固である03は・ レーザー照射範囲を変えることが可能であること,眼圧上昇の再現性が高いこと,眼内炎症反応が少ないことな どの優れた点を有している。 べタキソい-ルは,緑内障に対して眼圧下降点眼薬として用いられている。しかしながら今回隅角光凝固直後 に全身投与したべタキソか-ルは,眼圧に有意な影響を与えることなくRGC死を抑制した0この結果はべタキ ソか-ルが,眼圧下降効果とは別に直接的に神経保護作用を有していることを示唆している0全身投与されたべ タキソロールは,投与量の0.01%が眼組織へ移行する事が知られている00sborneは,14Cで標識したべタキソ か-ル点眼4時間後房水中にべタキソロールはほとんど存在しなかったにもかかわらず網膜には依然存在してい たことを示した。この成績はべタキソロールの良好な網膜への移行を持つことを示している0またOsborneは, べタキソO-ル点眼がNMDA投与あるいは虚血により誘導された網膜障害に対し神経保護的に作用することも 報告している。 今回の結果はべタキソロールの神経保護作用を示しているが本実験系において,べタキソロールが眼圧上昇に ょるRGC死を緩和した機序は不明である00sborneは,虚血によるRGC死に対してべタキソロールが神経保護 作用を発揮する3つの機序を想定している01・前シナプス神経細胞からのグルタミン酸放出抑制,2届位依存性チャ ンネルなどを介した直接的な細胞内[Ca2+]止昇低下,3・細胞質内[Ca2+]iのミトコンドリアへの流入抑制, である。しかしながら現在のところべタキソロールが神経保護的に作用する機序は明らかではなく,今後の検討 [結論]我々はラット眼圧上昇モデルを作製し,RGCの逆行性蛍光標識を行い,べタキソロール投与群では非投 与群に比較して有意に多数のRGCが標識されることを明らかにした0このことから,ラット眼圧上昇モデルに ぉいて,べタキソロールは眼圧上昇によるRGC障害への抑制効果があると考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者辻明は,既報のラット眼圧上昇モデルに改良を加え,眼内により侵襲の少ない再現性の高い眼圧上昇 モデルを作製することに成功した。更にこれを用いてべタキソロールが眼圧上昇による網膜神経節細胞障害の抑 制効果を有することを示した0この知見は,緑内障治療学の進歩に少なからず寄与するものと思われる0 [主論文公開誌] ラット実験的緑内障眼における交感神経β1選択性遮断薬の神経保護作用の検討 平成12年3月発行予定 岐阜大医紀48(2) -48一

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