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低眼圧緑内障における視野障害の経過と視野障害進行因子

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Academic year: 2021

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Title

低眼圧緑内障における視野障害の経過と視野障害進行因子(

内容の要旨(Summary) )

Author(s)

白井, 久行

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1069号

Issue Date

1996-07-17

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15203

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 白 井 久 行(岐阜県) 博 士(医学) 乙第1069 号 平成 8 年 7 月17 日

学位規則第4条第2項該当

低眼圧緑内障における視野障害の経過と視野障害進行因子 (主査)教授 北 澤 克 明 (副査)教授 植 松 俊

教授 清 水 弘 之 論 文 内 容 の 要 旨 低眼圧緑内障患者の視野障害の経過については,その40∼62%に進行がみられるとの報告がある。その視野障害 の進行に関与する臨床因子として,眼圧,視神経乳頭の血液循環不全などが考えられている。これまでの報告は, 動的視野計を使用したものが多く,近年開発された静的自動視野計を使用して,低眼圧緑内障患者の視野を長期間 測定し,視野障害の経過や視野障害進行因子について,定量的に検討した報告はない。 本研究は,静的自動視野計による低眼圧緑内障患者の視野検査の結果を使用して,その視野障害の経過を生命表 法により検討するとともに,視野障害の進行に関与する臨床因子について多変量解析を行なったものである。 対象と方法 対象はt岐阜大学眼科に通院中の低眼圧緑内障患者のうち,経過観察開始時の視野検査(Octopus201,GIprogram) の結果,Mean Defect(MD)およぴCorrected LossVariance(CLV)の値が,2dB<MD<10dBまたは7dB <CLVである視野障害の程度が比較的軽度な症例42例56眼である。 経過観察開始時に.氷水負荷試験法による末梢皮膚温測象 眼圧日内変動測定を行い,約1か月毎に,視野検査 眼圧測定,視神経乳頭検査,血圧・脈拍数測定を行なった。 視野障害の経過についての検討は,経過観察期間が症例により異なることから,Kaplan-Meier法による生命表 法を使用した。MDが,経過観察開始時より4dB以上増加した場合.視野障害進行と判定した。視野障害に対する 眼圧の影響を評価するため,眼圧日内変動の平均値および外来眼圧の平均値について,症例を2群に分け,両群の 間で視野障害の進行に差があるかを検討した。 解析方法はt年令,性視野の病期,視神経乳頭出血眼圧日内変動,外来眼圧.血圧,脈拍数,末梢皮膚温回 復率を背景因子として.MDの増加とこれらの背景因子との問のPearson法による相関分析と,これらの背景因子 を独立変数とし,MDの増加を従属変数とした正準判別分析を用いた。 結 果 42例56眼のうち12例14眠が,視野障害進行と判定された。生命表による生存確率は,24カ月で82.4±5.7%,36 カ月で69.4±7.7%,48カ月で55.5±10.7%となった。 眼圧日内変動の平均値について.15mmHg未満と15mmHg以上とに症例を2群に分けた場合のみ19カ月目より 両群の生存確率に有意差が認められt48カ月でそれぞれ67・2±11・5%と34・3±12・2%となった。15mmHg以外の眼 圧日内変動の平均値および外来眼圧の平均値で,症例を2群に分けても,両群間の生存確率に有意差はなかった。 相関分析では,MDの増加と視野の病期との間にのみ有意な正の相関(P=0.007)があった。その他,相関の高 い臨床因子として,末梢皮膚温回復率,平均血鼠眼圧日内変動の平均値があったが,有意ではなかった。正準判 別分析では,これら相関の高い4因子を使用した判別関数によって,視野障害進行症例が最もよく判別された。 (判別効率83.9%,鋭敏度85.7%,特異度78.6%) 考 察 本研究の生命表法による解析では,低眼圧緑内障の視野障害の進行が,2年で17.6%,3年で30.6%,4年で44.5 %にみられたことになりt これまでの報告とはぼ同じ値となった。これまでt低眼圧緑内障の視野障害の進行の判 定を数値的に行なった報告はなかったが,本研究で採用した"MDが4dB以上増加した場合を視野障害進行 と判 定するという定量的な判断基準が,低眼圧緑内障の視野障害の進行をより客観的に判定する1つの指針になりうる

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ー57-ことが明らかになった。 低眼圧緑内障の視野障害の進行には,眼圧が関与し,ある眼虹以上では,視野障害の進行が,眼圧に強く依存す ると言われている。本研究では,眼圧口内変動の平均値について15mmHg未満と15rnmHg以上とに症例を分けた 場合にのみ,両群の視野障害の進行に有意差が認められ,眼圧日内変動の平均値が15mmHg以上の低眼圧緑内障で は,視野障害が進行する確率が高いことが判明した。外来眼圧の平均値で症例を2群に分けた場合はt 両群の視野 障害の進行に有意差はなかった。したがって,低眼圧緑内障の視野障害進行の予後予測に眼圧を使用する場合,眼 圧目内変動を測定し,その平均値を使用することが重要である。 視野障害の進行と有意な相関があった臨床因子は.視野の病期のみであった。本研究の対象は,視野障害が比較 的軽度な症例であったが,その中でも視野障害が強い症例ほど,視野障害が進行することが判明した。 これまで低眼圧緑内障の明確な治療方針はなかったが,本研究により,視野障害の進行が認められ,眼圧日内変 動の平均値が15mmHg以上である低眼圧緑内障については,積極的に手術を含めた治療により,眼圧下降をはかる べきであることが明らかとなった。 論文審査の結果の要旨 申請者白井久行は,低眼圧緑内障患者の視野を静的自動視野計で長期間測定し,視野障害の進行を客観的に判定 する新しい定量的な判断基準を導入し,2年で17.6%,3年で30.6%,4年で44.5%に視野障害の進行がみられる こと,眼圧日内変動の平均値が15mmHg以上の低眼圧緑内障では,視野障害が進行する確率が高いこと,また相関 分析から視野障害が強い症例ほど視野障害が進行しやすいことを明らかにした。 本研究は,眼圧日内変動の平均値が15mmHg以上で,視野障害の進行が認められる低眼圧緑内障については,早 期から積極的な眼圧下降をはかるべきであることを示した。 本研究の成果は眼科学とくに緑内障治療学の進歩に寄与するところが大であると認められる。 [主論文公表誌] 低眼圧緑内障における視野障害の経過と視野障害進行因子 平成4年3月発行 日限会誌 96(3):352∼358

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