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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

1 研究の目的

現在,LEDの発光効率や放熱技術の向上により,LED照明の光量は在来光源と比べて遜 色ないレベルに達しており,今後は光の質がさらに重要になる。本研究では,LED 照明の 中でもLED電球を対象とし,光の質としてフリッカ低減,配光改善,白熱電球向け調光器 対応の三点に着目して研究を行う。まず,フリッカ低減には,点灯回路の出力電流脈動を 低減することが要求される。一般的なLED照明の点灯回路は,商用電源を全波整流して利 用するため,商用周波数の2倍周波数の出力電流脈動が発生するという課題がある。次に,

LED 電球では,点灯回路の搭載スペースを削減することによって,配光を白熱電球に近づ けることができるため,配光改善には点灯回路の小型化が重要な課題となる。また,小型 化によって点灯回路の周囲が高温になると,平滑コンデンサ(以下,平滑コン)として使用す る電解コンデンサの寿命が問題となる。また,LED 電球を白熱電球向け調光器に対応させ るためには,調光器が生成する位相制御電圧に従って点灯回路の出力電流を変化させる必 要がある。しかし,既存のLED電球では正弦波電圧の入力が前提の点灯回路となっている ために,調光器付き器具では適用できないLED電球が多く,このことが普及促進の妨げに なっている。

本研究では,1コンバータコンデンサインプット(Cインプット)方式の点灯回路に着目し て,フリッカ低減,配光改善,白熱電球向け調光器対応の三点の課題解決を行うことを目 的とする。本研究の点灯回路では,全波整流電圧をコンデンサで平滑した後,DC/DC コン バータによって出力電流を制御する。部品数が少なく,小型の平滑コンによって出力電流 脈動を低減できるため,フリッカ低減と点灯回路の小型化を同時に実現できる。しかし,C インプット方式の点灯回路は白熱電球と異なるインピーダンス特性を示すために,調光器 に使用される半導体素子の誤動作が課題となる。このような C インプット方式に特有の課 題を解決し,調光による光の質の更なる向上を実現する。さらに,電解コンデンサを他種 のコンデンサに置き換えることによって,小型化と長寿命化の両立を実現する。

2 研究の方法と結果

(1) 本研究の対象である調光器対応LED点灯回路,及び電解コンデンサレスLED点灯回 路について従来研究の調査を行った。また,本研究が着目する 1 コンバータ方式の回路を 対象としてCインプット方式とCアウトプット方式を比較し,Cインプット方式の優位性 を明らかにした。

(2) Cインプット方式に基づく調光器対応LED点灯回路を提案した。まず,電源から負荷

電流と追加で電流を引き込み,調光器内の半導体素子を安定動作させるブリード回路に着 目した。しかし,従来のブリード回路をそのまま利用する場合,調光レベルが大きい条件 において突入電流の課題が発生した。そこで,この課題の原理を解明し,課題解決を目的

(2)

とした新しいブリード回路を提案した。提案方式の有用性を明らかにするために,定格出 力5.7 Wの点灯回路を試作し,調光器による調光動作を確認した。また,電源周波数50 Hz,

及び,最大調光レベルの条件において出力電流の脈動度は4.3 %となり,IEEE 標準化グル

ープP1789の推奨上限値8%より小さくなることを実験により明らかにした。最後に,提案

ブリード回路の突入電流低減効果によって最大入力電流が37 %減少し,これによって点灯 回路の小型化が可能となることを示した。

(3) 1コンバータCインプット方式に基づく電解コンデンサレスLED点灯回路を提案した。

電解コンデンサの代替として高誘電率のセラミックコンデンサを利用することによって,

既存の回路とほぼ同等の体積,及び,定格容量の平滑コンを構成する。しかし,セラミッ クコンデンサのDCバイアス特性によって実質的な容量は定格値より小さくなるため,直流 電圧脈動の増大に伴うフリッカ発生が避けられない。そこで,フリッカ低減を目的として 点灯回路に昇降圧チョッパを適用し,電流不連続モードに基づくフリッカ低減方法を提案 した。最後に,出力5.7 Wの点灯回路を試作して提案方式の有用性を検証した。平滑直流電 圧の脈動幅は92 Vとなり,その電圧脈動度が49 %となったことに対して,出力電流の脈動

度は4.4 %となり,推奨上限値8 %以下に低減できることを明らかにした。

3 審査の結果

本研究では,LED電球を対象として,1コンバータCインプット方式の点灯回路を適用 し,光の質の改善について研究を行った。その結果,Cインプット方式とすることで,フリ ッカ低減,及び,配光改善に向けた回路の小型化を同時に実現することが可能であること を示した。本方式を基本として,調光によって光の質を更に向上させるために,既存の白 熱電球に使用されている調光器に対応可能な点灯回路を提案し,実験によりその妥当性を 明らかにした。提案する点灯回路は,調光器の誤動作を防ぎ,さらに平滑コンへの突入電 流を低減できる点に特長がある。また,光の質向上と長寿命化を両立するために,Cインプ ット方式に基づく電解コンデンサレス点灯回路を提案し,実験によりその有効性を明らか にした。この回路は,昇降圧チョッパ採用することによって小型化とフリッカ低減を同時 に実現できることに特長がある。いずれの研究においても実際のLED電球を想定した実験 検証が行われており,本論文の研究成果は実用的な手法であることを明らかにした。

なお,本論文を構成する技術要素については,厳正な査読を経て権威ある学術雑誌に掲 載され,一般に公開されている。以上から,本論文は博士(工学)の学位を授与するに十 分価値あるものと認められる。

4 最終試験の結果

本学の学位規定,および電気電子工学専攻の申し合わせに従って論文審査会を開催して,

専門分野に関する筆答および口頭の試問を行うと共に,論文内容について慎重に審査を行

(3)

った。また,本論文に関する公開の発表会を開催し,学内外から多数の出席者を得て多角 的な質疑・討論を行った。専門分野に関して,筆答および口頭による試問を行い十分な学 力があることを確認した。以上の結果を総合的に考慮し,慎重に審議した結果,合格と判 定した。

参照

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