98 (36) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
テラダマサツグ
寺田正次(昭和3
博士(医学) 乙第1200号平成3年9月20日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
先天性大動脈狭窄症に対する今野法術後の左室機能 (主査)教授 今井 康晴 (副査)教授 門間 和夫,澤口 彰子論 文 内 容 の 要 旨
目的 今野法を施行した先天性大動脈狭窄症の患者に対し て,術後遠隔期に心プール法を行い,安静時と運動中 の左室駆出率(LVEF)から左室機能を評価すると共 に,術前の左室肥大の重症度と術後の左室駆出率との 関係について検討した. 対象および方法 今野法術後遠隔期に心プール法を施行した先天性大 動脈狭窄症14例を対象とし,術前の心エコー法から計 測した収縮期の左室内径に対する左室後壁厚の比(r= LVPWTs/LVIDs)が1以上の7例を1群(r=1.26± 0.20),1歳未満の7例をII群(r=0.75±0.09)とした. 手術時年齢は1群11.3±4.5歳,II群9。6±2.4歳,1群 の7例中5例に弁性および弁下狭窄を,II群の7例中 6例に弁性狭窄のみを認めた.術前の左室流出路圧較差は1群114±28mmHg, II群119±72mmHgで両群
に差はなかったが,1群に左室拡張末期圧の上昇(22± 4mmHg)と心電図上の広範な虚血性変化を認めた.術 前の選択的左室造影によるLVEFは1群84±5%, II 群80±6%で両群に差を認めなかった.術後遠隔期 (24±9ヵ月)に99mTc・04標識赤血球を用いた心電図 同期型平衡磁心プール法を行い,安静時LVEFと臥位 エルゴメーターによる運動中のLVEFを算出した.冠 動脈造影を含む心血管造影検査など諸検査にて正常所 見を示した川崎病既往患者9例(15.2±3.1歳)を対照 群として比較検討した.術後の左室流出三朔較差はド プラー心エコー法を用いて測定した. 結果 1)術後のドプラー心エコー検査から求めた左室流 出路圧較差は1群10±6mmHg, II群5±:4mmHgで, 両群とも狭窄解除は良好であった. 2)心プール法から求めた術後の安静時LVEFは1 群78±11%,II群68±7%で,1群の7例中5例が正 常範囲(62±14%,対照群のm±2SD)以上のLVEF を示したのに対し,II群は7例中6例が正常範囲内で あった. 3)運動中のLVEFは1群81±12%, II群76±8%, 対照群70±7%で,運動中にLVEFが低下した症例は なかったが,運動に対するLVEFの反応は1群よりII 群の方が良好であった. 考察 先天性大動脈狭窄症患者は,求心性左室肥大によっ て正常以上のLVEFを示すが,効果的な狭窄解除に よって,左室肥大の軽減,左室駆出率の正常化が期待 される.しかし,今回の研究から,心電図上の広範な 虚血性変化,左室拡張末期圧の上昇を伴う高度左室肥 大例は今野法によって十分に狭窄解除がなされても術 後2,3年の時点では術前と同様に正常以上のLVEF が持続することが判明した.より長期的な術後経過観 察の必要性と左室肥大が重症化する以前の確実な外科 的狭窄解除の重要性が示唆された. 結論 先天性大動脈狭窄症に対する今野法術後遠隔期の安 静時,運動中の左室駆出率は良好であった.左室肥大 の軽度な症例では左室駆出率の正常化が見られたが,. 高度な左室肥大例の多くが依然として正常範囲以上の 一702一99 駆出率を示した.