130 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(4) ノヤ ノモ ヘグノ ユ ミ コ馬場園由美子 (昭
博士(医学) 二二213号平成4年10月16日
学位溢血第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
脳梗塞における抗cardiolipin抗体陽性例の臨床的・凝血学的検討 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 高倉 公朋,溝口 秀昭論 文 内 容 の 要 旨
目的 抗燐酸脂質抗体は抗cardiolipin抗体(以下ACA), lupus anticoagulant(以下LAC)などがあり,最近血 栓症との関連が注目されているが,血栓形成において これらの関与する機序,抗体陽性例の臨床的特徴につ いては十分明らかにされていない.特に,基礎疾患と して膠原病を有さない脳梗塞患者での検討は極めて少 ない.本研究は,膠原病のない脳梗塞患者において ACAを測定し, ACA陽性群と陰性群の両吟間での臨 床的,凝血学的差異について比較検討を行った. 対象および方法 対象は本学神経内科に入院した膠原病を有さない脳血管障害症例で,頭部CTまたはMRIにより梗塞巣
が確認された連続72症例(男性50例,女性22例,29~90 歳,平均66±14歳)である.ACAはマイクロプレート を用いたELISAサンドイッチ法により測定した.同 時に,LAC,血小板機能の指標として血小板凝集能, β一thromboglobulin, platelet factor 4(PF4),11- dehydrothromboxane B2,6keto・prostaglandin F1α を,凝固系分子マーカーとしてantithrombin III (ATIII), protein C抗原量と活性値, thrombin-ATIII complex,茄rinopeptide A(FPA)を,線溶系分子マー カーとしてFPBβ15-42, plasmin一α2 plasmin inhlbitor comp正ex, D-dimerを測定した.脳梗塞の危険因子とし て,高血圧,糖尿病,喫煙歴,・高脂血症,心疾患の有 無について検討した. 結果 1)脳梗塞72例中,ACAは15例(21%,男性9例, 女牲6例)で陽性であった.2)脳梗塞初発年齢は ACA陽性群55±15歳,陰性群66±12歳で,陽性群で有 意に若年であった.3)脳梗塞の2回以上の発作例は陽 性群8例(53%),陰性群13例(23%)に認め,陽性群 で有意に多かった.4)危険因子のうち,高血圧は陽性 群では3例(20%)で,陰性群の37例(65%)より有 意に少なく,一:方心房細動または心弁膜症症例は陽性 群8例(53%),陰性群12例(20%)で陽性群で有意に 多かった.他の危険因子,画像所見(病巣の局在,数, 大きさ)では両群闘で差はなかった.5)血小板機能に 関連する因子,および凝固線溶系分子マーカーについ ては,PF4が陽性群で有意に高値であった. 考察 ACAは脳梗塞の21%で陽性で,陽性群では陰性群 に比較して脳梗塞がより若年で発症していた.また, ACA陽性群では非高血圧例,心疾患のあるもの,およ び脳梗塞再発例がその他に比して有意に多く認めら れ,ACA陽性群における脳梗塞発症には心腔内での 血栓形成が関与している可能性が示唆された.さらに, ACA陽性例では血小板活性化も認められ,それが血 栓形成機序における要因の一つと考えられた. 結論 膠原病を有さない脳梗塞患者においてもACAの測 定は脳梗塞の病態把握に有用である.’『 一764一131