77 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(10) イシ グロ ヒサ タカ石黒久貴(昭和31
医学博土 甲第186号平成2年3月16日
学位規則第5条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了老) 主膵管閉塞症例の病理学的並びに臨床的検討 (主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 羽生富士夫,重田 冊子論 文 内 容 の 要 旨
目的 内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)でみられる主 膵管閉塞像は最も主要な所見の一つであるがその意義 に関しては,必ずしも明らかでない.閉塞所見の成立 機転を検索し,各種膵疾患におけるその特徴と頻度を 把握する目的で,病理学的並びに臨床的検討を行った. 対象並びに方法 1)病理学的検討:対象はERCP所見で主膵管閉塞 を示し,膵切除標本により主膵管閉塞部を検索し得た 50例である.その内訳は膵癌23例,慢性膵炎13例,そ の他14例である.主膵管閉塞部位の同定は,ゾンデに よる確認,標本造影,標本切片中の主膵管部の追跡等 によった.病理組織標本に基づく主膵管閉塞機転を, 主膵管内腔の障害物によるもの(obstruction),主膵管 壁の病変によるもの(occlusion),主膵管壁に病変はな く周囲からの圧排によるもの(compression),の3群 に分類し,各疾患における閉塞様相を分析した. 2)臨床的検討:対象は,ERCPにおいて主膵管閉 塞を呈し,手術及び剖検により診断が確定した151例で ある.主膵管閉塞部の膵管像の形態を4型に分類し, 各疾患における頻度を検討した.さらに閉塞部位,閉 塞部膵頭側の膵管像の特徴,胆管像の所見等も検討し た. 結果と考察 1)主膵管閉塞の成立機転は膵癌ではほとんどが occlusionであり,1例のみがcompressionであった. 慢性膵炎ではobstructionとcompressionが主体であ りocclusion症例はなく,obstructionの原因は全て膵 石であった.膵嚢胞は全てcompressionであった.膵 ラ島腫瘍,膵嚢胞腺癌・膵嚢胞腺腫は全てocclusionで あった.進行膵癌の中にcompression症例が存在した ことはきわめて重要であり,今後,膵管鏡検査・主膵 管擦過胞診などによる鑑別診断の上でも,留意すべき ことと思われる. 2)主膵管閉塞症例の原因疾患は79.5%が悪性腫瘍 であった.閉塞部の膵管形態は膵嚢胞腺癌にのみ凹型 の特徴的な所見がみられた.主膵管閉塞を呈した膵癌 例の膵頭側膵管像の有意な特徴は拡張,壁不整がなく, 閉塞部近傍の分枝の描出が少ないことであり,漫性膵 炎例における特徴は,拡張及び主膵管の壁不整が認め られ,閉塞部近傍の分枝の描出が良好なことであった. なお,胆管像はいずれの疾患においても特徴的な所見 はなかった. 結語 主膵管の閉塞機転は,各種膵疾患において特徴が認 められ,それを反映した膵管像所見を仔細に分析する ことにより,質的診断能を高めることが可能である. 一679一78
論 文 審 査 の 要 旨
膵管の閉塞性疾患には種々なものがあるがその鑑別法は未だ十分でない. 本論文は内視鏡的逆行性膵・胆管造影法による主膵管閉塞像を病理所見と併せて詳細に分析検討し,その診 断的意義を明らかにしたものである.学術的に価値ある論文と認める. 主論文公表誌 4)経口膵管鏡にて観察しえた膵管上皮過形成の1 主膵管閉塞症例の病理学的並びに臨床的検討 例 東京女子医科大学雑誌 第60巻 第3号 腹部画像診断 8(4):326-329,1988 272-280頁(平成2年3月25日発行) 5)粘液を伴った乳頭口の開大が認められた膵胆道 副論文公表誌 疾患の4例 1)ファロー四徴症と膵癌を合併した膵管非癒合の Gastroenterol Endosc 29(7):1506-1512, 1例 1987Progress of Digestive Endoscopy 30: 6)膵癌と慢性膵炎の鑑別ERCP 378-381,1987 外科MOOK 49:97-111,1988
2)ERCPの適応とその問題点 7)膵疾患におけるFecal Amylaseの検討
消化器科 5(5):528-534,1986 膵臓 3(3):24-30,1988 3)慢性膵炎の診断の有用性と限界一ERCP一とく
に主膵管閉塞例を中心に
腹部画像診断 9(9):745-752,1989