294 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(86) タカ ハシ カオル 高 橋 薫 博士(医学) 乙第1333号.平成5年1月22日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
冠動脈狭窄犬における大動脈遮断時のジルチアゼムの血行動態に及ぼす影響 (主査)教授 鈴木 英弘 (副査)教授 細田 瑳一,香川 順論 文 内 容 の 要 旨
研究目的 胸部動脈瘤患者は,虚血性心疾患を合併することが 多く,大動脈遮断時には適切な血管拡張薬の選択が重 要となる.実験的に,冠動脈狭窄犬を作製し,胸部下 行大動脈遮断時の血圧上昇に対しジルチアゼムを投与 し,循環動態及び心筋組織血流量,心筋代謝の変化か ら,虚血心に対する効果をニトログリセリンと比較検 討した. 方法 雑種成犬15頭(体重10~15kg)を用い;50%笑気と ベントバルビタール,パンクロニウムで麻酔を維持し た.実験手順は,まず,ジルチアゼム及びニトログリ セリンの用量反応実験から,平均動脈圧を20%低下さ ぜる投与速度をそれぞれ15μg/kg/minおよび10μg/ kg/minに決定した.冠動脈前下行枝50%狭窄を行い, 胸部下行大動脈を遮断し,ジルチアゼムまたはニトロ グリセリンを15分間点滴静注した.薬剤の投与の中止 と同時に下行大動脈の遮断を解除し,血行動態の回復 を確認後,コントロールの測定を行い,もう一方の薬 剤を投与した.また,冠静脈洞から採血を行い,血液 ガス分析値,乳酸値,ピルビン二値を測定し,心筋酸 素摂取率,心筋乳酸摂取率,および,乳酸/ピルビン酸 比を算出した. 結果及び考察 ジルチアゼム群では,大動脈遮断後の平均動脈圧, 脈拍数の低下がみられ心拍出量は増加した.また,左 室仕事量,左室dp/dtおよび肺動脈懊入圧は増加した が,脈拍血圧積は低下した.従って,大動脈遮断によ る後負荷の上昇がジルチアゼム投与後も継続している と考えられた.一方,ニトログリセリンでも,同様の 傾向を示したが,脈拍血圧積は変化がなく,また,酸 素需要の増加が認められた. 心筋組織血流量は,両界とも同様の傾向を示し,虚 血心においても充分な血流量が保たれていた.また, 薬剤投与後の内膜側/外膜側の血流比は,両開とも変化 がなく,心筋血流は維持されていると考えられた. また,ジルチアゼム群では,心筋酸素摂取率は変化 なく,心筋乳酸摂取率の低下は軽度であり,心筋代謝 は維持されていると考えられた.一方,ニトログリセ リン群では,心筋酵素摂取量の上昇が見られ,心筋代 謝の悪化が示唆された. 結語 ジルチアゼムは,速やかな降圧作用を示し,その心 拍数低下作用が,心筋代謝に好影響を与え,大動脈遮 断時の循環管理において,有用な薬剤である事が示唆 された. 一928一295