180 (29) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
アオ キ ノブ オ青木伸夫(昭和2
二丁(医学) 二二1276号平成4年5月15日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
ウイリス動脈輪閉塞症(モヤモヤ病)に関する研究 一側血止行路の変化に基づく発症病態について一 (主査)教授 丸山 勝一 (副査)教授 高倉 公朋,高桑 雄一論 文 内 容 の 要 旨
月的 虚血発症と出血発症どいう二つの異なった発症様式 を示すモヤモヤ病について,その原因となる病態の変 化と発症時期及び発症様式の関連を解明することを目 的とした. 対象及び:方法 当科で経験したモヤモヤ病早早例は65例で,小児例 19例平均年齢7.5歳,成人例46例平均年齢37.8歳であっ た.小児例中17例が虚血発症,2例が出血発症であり, 成人野中18例が虚血発症,28例が出血発症であった. これらの症例について以下の項目を分析し,その結果 に基づき発症病態について検討した. 1)発症年齢の分布と発症様式,2)脳血管撮影所見 によるStage分類,3)脳血管撮:影上の主要な側副血 行路に基づく分類,4)脳血管構築に関する知見に基づ くCT分類,5)Dynamic CT, Xenon CTによる脳循 環動態. 結果及び考察 1)幼小児期に虚血発症を生じた例は,Stage分類に 反映される主幹動脈の閉塞性病変の進行に加えて脳循 環動態から皮質枝領域の血管床の減少と血流の低下が 示唆され,側副血行路としてのleptomeningeal anas- tomosisの発達も悪く,閉塞性病変が急速に皮質枝領 域まで進行したと考えられた.’ 2)成人期の出血発症例では,皮質枝領域の血管床, 血流は比較的保存されており,閉塞性病変が皮質枝に は及んでいなかった.それに関連してleptomeningeal anastomosisの発達も不良であった.そのため基底部モヤモヤ血管が消退する段階で穿通枝領域に
hemodynamic stressが生じ,・出血したものと考えら れた. 3)成人期に虚血発症を生じた例では,閉塞性病変の 進行の程度は様々であり,閉塞性病変が一部皮質枝領 域まで緩徐に及んだものと考えられた.そのためIe- ptomeningeal anastomosisの発達は良好で,それに伴 い基底部モヤモヤ血管のhemodynamic stressが軽減 し,破綻出血は生ぜずに皮質の虚血に対応して虚血発 症を生じたものと考えられた. 4)主幹動脈から皮質枝へかけての閉塞性病変の進 行様式から病期を3段階に分けて検討した.その中期に相当する第2段階は側副血行路がdynamicに変化
する時期で,その際の1eptomeningeal anastomosisの 発達の成否により虚血性変化,出血性変化のいずれか を呈するものと推測された. 結論 モヤモヤ病における虚血もしくは出血の発症病態 は,閉塞性病変の皮質枝への波及の有無と,それに伴 う後大脳動脈からのleptomeningeal anastomosisの 発達の程度とによって決定されると考えられた.これ らを反映して作成される新しい病期分類は,虚血もし くは出血の発症様式をある程度予測可能で,外科的治 療の選択に際して,重要な指標の一つになると考えら れた. 一814一181