海に隣接する源流域沢水の栄養塩流出特性
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(2) 7-129. 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月). 総窒素と比べ溶存態総リンには測定日による濃度差が. 広範囲に広がる源流域を幾つかの集水域に分けて源流. 大きく,0.011mg/〜0.038mg/ ℓの範囲で 不安定な変動を. 水質の変化を検討した例と異なっていた.この結果は,. 示していた.このように溶存態総リンは,ケイ酸,溶存態. 本研究のように集水面積の小さな,流路延長 1km 程度. 総窒素が比較的安定した濃度を示す期間においても不. で 杉の植林を集水域に持つ沢を対象とした特徴なのか. 安定な濃度変化が目立ち,平均的な濃度を示すことは. は今後の検討課題で ある.. 難しかった.2004 年秋は台風が連続して上陸し,南三陸. 広葉樹の葉を散水濾床の濾材に見立てた室内実験の. も長雨が続いた.採水回数 22 回以降は秋の長雨の影響. 結果からは,葉(落葉)層を水が通過していくと溶存態. を受けた中で の調査になる.. 総窒素が増加する傾向が確認でき ている.また腐植土. 集水域から集まる沢水は,長雨の続くこの間それま. 層を水が浸透する過程で も溶存態総窒素は増加してい. で の挙動とは異なる特徴を示した.図 1 のケイ酸は,沢. った.このように,集水域に広がる森林土壌に雨が浸透. 水流量が大きくなったこの時期に最大 6.2 mg/ℓから最. していくと,溶存態総窒素は増加していく傾向が示さ. 小 2.1mg/ℓで 変化し,全体的に濃度の低下傾向が見られ. れ,この結果は長面浦の沢水に見られた降雨の続く期. た.ケイ酸に見られる最大と最小値の差は約 3 倍となっ. 間中の溶存態総窒素挙動を説明で きるものとなった.. ていた.一方,溶存態総窒素(図 2)からは 0.258mg/ℓから. ケイ酸濃度の変化は落葉層を濾材に見立てた実験系で. 1.248mg/ℓの範囲で 変化しその変動範囲は最小値,最大. 大きな増加傾向を示した.実験結果と現地観測結果は. 値で おおよそ 5 倍を示した.ケイ酸とは逆に,溶存態総. 異なった.この違いは,実験に用いた葉が広葉樹のもの. 窒素は長雨の期間中その濃度が大きくなっている傾向. で ,集水域には杉が多くの面積を占めている事から,樹. が読み取れる.溶存態総リン(図 3)の全体的な変化は. 種の違いが原因となっているかもしれない. 海と接す. 濃 度低 下傾 向を 示す もの の ,ケ イ酸の 挙動 とは 異な. る低山の沢水は幾つかの点で ,標高の高い広葉樹の生. り,0.038mg/ℓから 0.002mg/ℓへと変化し,最大と最小の. い茂る源流域とは異なる水質変化の特徴を示した.. 濃度範囲は 15 倍以上になり,対象とした水質項目の中. 4.おわりに. で 最も大きな値を示していた.このように,採水毎のば. 海と接するような低山には杉の植林が見られるところ. らつきの大きさや,出水時の特性といった点で ,溶存態. も多い.本報告は太平洋に面した南三陸石巻市の長面. 総リンは,ケイ酸や溶存態総窒素のように比較的分か. 浦を取り囲む集水面積 8km 2を流れる沢水水質中ケイ. りやすい変化を示す事が無く,ばらつきが大きく,他の. 酸,溶存態総窒素,溶存態総リンを対象に水質変化の特. 水質項目と異なる濃度変化を示す特徴が認められた.. 徴を冬から秋にかけ計 31 回採水した結果から述べた. 河川出水時に見られる濃度変化には幾つかの報告が. ものであ る.ケイ酸と溶存態総窒素は比較的安定した. あるが,それらは流量増加に伴う窒素・リン濃度の増加. 水質変動を示す傾向が見られた.しかし,降雨が長く続. といった報告が多い 1).ケイ酸に関する報告は少ないが,. く期間にケイ酸は減少傾向を示し,溶存態総窒素は増. ケイ酸は河川流量増加に伴って,減少していく報告が. 加傾向を示した.一方,溶存態総リンは全体的に濃度変. 2). それらの報告は河川の源流域で 観測されたも. 動範囲が大きく,長雨が続く期間の変化は減少傾向を. ので はなく,その点で 本報告の背景とは異なる.しかし,. 示した.このような傾向はこれまで 報告されてきた観. ケイ酸や溶存態総窒素の挙動に関しては,河川出水時. 測例と異なっていた.. の報告と雨が続き河川流量が大きくなった場合に見ら. 参考文献. れる濃度の変化といった点に関して,概ね一致してい. 1)梅本諭・駒井幸雄「山林域小河川における栄養塩類の. る.本報告の溶存態総リンは,既往の報告と異なった結. 濃度変動と流出特性」国立環境研究所報告書第 144 号. 果を示した.. (R-144-. ある.. 99). これまで 広範囲に広がる源流域を幾つかの集水域に. 2)稲葉護・高崎みつる・飯島眞治:「河川から沿岸域に対. 分け,採取した水質データからは,ケイ酸濃度域は,窒. する栄養塩類等供給特性の把握」河川技術論文集第 8. 素・リン以上に対象箇所による差が大きくなっている. 巻,2002 年 6 月 p483-489. 3). ことが確認されている. 本報告で は溶存態総リンの濃. 3)小川智右・高崎みつる:「源流域で の落葉の影響」土木. 度変化が他の項目に比べ大きくなっていたが,この点,. 学会東北支部技術研究発表会(平成 16 年度). -258-.
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