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海に隣接する源流域沢水の栄養塩流出特性

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Academic year: 2022

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(1)7-129. 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月). 海に隣接する源流域沢水の栄養塩流出特性. 1.はじめに. 石巻専修大学理工学研究科. 学生員. ○菅野邦昭. 石巻専修大学理工学研究科. 正会員. 高崎みつる. を用いた.容器の約半分まで 腐植土を詰め,河川水は微. 森に降った雨は沢から川を通じて海へと運ばれる.河川. 量定量ポンプで 滴下した.腐植土層を浸透した河川水. から海へと注がれる栄養塩類供給に関しては多くの研究が. をフラスコに集め,試水とし数時間おきに計 8 回栄養塩. 報告されている.森から流出した沢水が直接海の栄養にど. 類を測定した.河川水のみ,腐食土,約 1 年間地上に堆積. う影響するかに関して検討された例は殆ど見当たらない.. していた落葉を充填した計 3 系の実験を行った.. 本研究で は直接海とつながる源流域において現地調査を. 3.結果及び考察. 行い,山に降った雨が沢水になり,やがて海へ流出するとき,. 7. 25. 6. 栄養塩類はどのような挙動を示すのか水質変化の特徴を検. 20. 討した.また,現地調査の結果から降雨量によって流出量が. 15. 4 3. 10. 変化する事から,現場で 雨が続く時,まとまった雨が降った. mg/l. m m. 5. 2 5. 時を想定し,源流域内の土壌表面,河床にある葉に浸透する. 図1. するために室内実験を行った.. 0. 31. 29. 27. 25. 23. 21. 19. 17. 15. 13. 9. 11. 7. 5. 3. 過程で ,栄養塩類はどのような挙動を示すのかを明らかに. 1. 1 0. 降雨量とケイ酸の濃度変化. 2.調査地点及び実験方法 25. 長面浦は宮城県北東部の北上川河口近くに位置し,. 1.4 1.2. 20. 集水面積約 8km2 ,長面浦海面積約 1.42km2 ,最大水深約 10.5mの海跡湖で ある.長面浦面積に対して 99%が山に. 0.8. 10. 0.6. mg/l. mm. 1 15. 0.4 0.2. 31. 28. 25. 22. 1 9. 16. 13. 0 10. 0 7. 荷はない.集水域からは数本の沢水流入があり,浦海に. 4. 5. 1. なっているが,周囲には田畑がなく浦海への人為的負. 直接流入している.沢水採水箇所は杉の針葉樹に覆わ 図2. れており,一年中枯れない沢,降雨の有無により流出す. 降雨量と DTN の濃度変化. る沢が約 6 箇所点在する.調査期間は 2004 年 1 月から 25. 10 月末にかけて基本的に降雨後に採水を行った.調査. 0.04 0.035. 20. 0.03 0.025. 15. 0.02 10. ち帰り,分析を行った. 現地観測の栄養塩流出の特徴を. mg/l. 類は現場で ろ過を行い,氷冷保存した後に実験室に持. mm. 項目は水温,pH,ORP, EC,栄養塩類を測定した.栄養塩. 0.015 0.01. 5. 31. 29. 27. 25. 23. 21. 19. 17. 15. 13. 9. 7. 11. が葉を浸透する時に起こる水質変化実験を行った.試. 5. 3. 0. 1. 0.005. もとに,広葉樹の葉を散水濾床の濾材に見立て,河川水. 0. 料は黒,茶色の葉を用いた. ライシメーター内に細かく. 図3. 刻んだ葉を入れ, ポンプで エアリフトし河川水を循環. 長面浦の浦海流入直前の箇所で 採水した沢水中に含ま. させた . 採水頻度は数時間おき 10 回栄養塩類を測定し. れるケイ酸,溶存態総窒素,溶存態総リンの採水毎の濃. た.コントロールは河川水のみを循環させた,茶色の葉. 度変化を図 1 から図 3 に示す.ケイ酸と溶存態総窒素は. を入れた系, 黒色の葉を入れた系の計 3 系の実験を行. 秋の台風シーズンに伴う長雨が始まるまで (22 回目). った. また腐葉土,葉を河川水が浸透することにより起. の期間に見られる変化は安定し,ケイ酸は 4.6mg/ ℓ〜. こる栄養塩の溶出実験を行った. 洗浄後に下部を切り. 6.6mg/ℓ,溶存態総窒素で 0.27mg/ℓ〜0.66mg/ℓとその濃. 取った2L 容器,腐植土,堆積した落葉,微量定量ポンプ. 度範囲に大きなばらつきは無かった.ケイ酸や溶存態. キーワード. 〒986-8580. 源流域 沢水 降雨 葉. 栄養塩. -257-. 降雨量と DTP の濃度変化. 宮城県石巻市南境新水戸 1 地番 225(22)7711.

(2) 7-129. 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月). 総窒素と比べ溶存態総リンには測定日による濃度差が. 広範囲に広がる源流域を幾つかの集水域に分けて源流. 大きく,0.011mg/〜0.038mg/ ℓの範囲で 不安定な変動を. 水質の変化を検討した例と異なっていた.この結果は,. 示していた.このように溶存態総リンは,ケイ酸,溶存態. 本研究のように集水面積の小さな,流路延長 1km 程度. 総窒素が比較的安定した濃度を示す期間においても不. で 杉の植林を集水域に持つ沢を対象とした特徴なのか. 安定な濃度変化が目立ち,平均的な濃度を示すことは. は今後の検討課題で ある.. 難しかった.2004 年秋は台風が連続して上陸し,南三陸. 広葉樹の葉を散水濾床の濾材に見立てた室内実験の. も長雨が続いた.採水回数 22 回以降は秋の長雨の影響. 結果からは,葉(落葉)層を水が通過していくと溶存態. を受けた中で の調査になる.. 総窒素が増加する傾向が確認でき ている.また腐植土. 集水域から集まる沢水は,長雨の続くこの間それま. 層を水が浸透する過程で も溶存態総窒素は増加してい. で の挙動とは異なる特徴を示した.図 1 のケイ酸は,沢. った.このように,集水域に広がる森林土壌に雨が浸透. 水流量が大きくなったこの時期に最大 6.2 mg/ℓから最. していくと,溶存態総窒素は増加していく傾向が示さ. 小 2.1mg/ℓで 変化し,全体的に濃度の低下傾向が見られ. れ,この結果は長面浦の沢水に見られた降雨の続く期. た.ケイ酸に見られる最大と最小値の差は約 3 倍となっ. 間中の溶存態総窒素挙動を説明で きるものとなった.. ていた.一方,溶存態総窒素(図 2)からは 0.258mg/ℓから. ケイ酸濃度の変化は落葉層を濾材に見立てた実験系で. 1.248mg/ℓの範囲で 変化しその変動範囲は最小値,最大. 大きな増加傾向を示した.実験結果と現地観測結果は. 値で おおよそ 5 倍を示した.ケイ酸とは逆に,溶存態総. 異なった.この違いは,実験に用いた葉が広葉樹のもの. 窒素は長雨の期間中その濃度が大きくなっている傾向. で ,集水域には杉が多くの面積を占めている事から,樹. が読み取れる.溶存態総リン(図 3)の全体的な変化は. 種の違いが原因となっているかもしれない. 海と接す. 濃 度低 下傾 向を 示す もの の ,ケ イ酸の 挙動 とは 異な. る低山の沢水は幾つかの点で ,標高の高い広葉樹の生. り,0.038mg/ℓから 0.002mg/ℓへと変化し,最大と最小の. い茂る源流域とは異なる水質変化の特徴を示した.. 濃度範囲は 15 倍以上になり,対象とした水質項目の中. 4.おわりに. で 最も大きな値を示していた.このように,採水毎のば. 海と接するような低山には杉の植林が見られるところ. らつきの大きさや,出水時の特性といった点で ,溶存態. も多い.本報告は太平洋に面した南三陸石巻市の長面. 総リンは,ケイ酸や溶存態総窒素のように比較的分か. 浦を取り囲む集水面積 8km 2を流れる沢水水質中ケイ. りやすい変化を示す事が無く,ばらつきが大きく,他の. 酸,溶存態総窒素,溶存態総リンを対象に水質変化の特. 水質項目と異なる濃度変化を示す特徴が認められた.. 徴を冬から秋にかけ計 31 回採水した結果から述べた. 河川出水時に見られる濃度変化には幾つかの報告が. ものであ る.ケイ酸と溶存態総窒素は比較的安定した. あるが,それらは流量増加に伴う窒素・リン濃度の増加. 水質変動を示す傾向が見られた.しかし,降雨が長く続. といった報告が多い 1).ケイ酸に関する報告は少ないが,. く期間にケイ酸は減少傾向を示し,溶存態総窒素は増. ケイ酸は河川流量増加に伴って,減少していく報告が. 加傾向を示した.一方,溶存態総リンは全体的に濃度変. 2). それらの報告は河川の源流域で 観測されたも. 動範囲が大きく,長雨が続く期間の変化は減少傾向を. ので はなく,その点で 本報告の背景とは異なる.しかし,. 示した.このような傾向はこれまで 報告されてきた観. ケイ酸や溶存態総窒素の挙動に関しては,河川出水時. 測例と異なっていた.. の報告と雨が続き河川流量が大きくなった場合に見ら. 参考文献. れる濃度の変化といった点に関して,概ね一致してい. 1)梅本諭・駒井幸雄「山林域小河川における栄養塩類の. る.本報告の溶存態総リンは,既往の報告と異なった結. 濃度変動と流出特性」国立環境研究所報告書第 144 号. 果を示した.. (R-144-. ある.. 99). これまで 広範囲に広がる源流域を幾つかの集水域に. 2)稲葉護・高崎みつる・飯島眞治:「河川から沿岸域に対. 分け,採取した水質データからは,ケイ酸濃度域は,窒. する栄養塩類等供給特性の把握」河川技術論文集第 8. 素・リン以上に対象箇所による差が大きくなっている. 巻,2002 年 6 月 p483-489. 3). ことが確認されている. 本報告で は溶存態総リンの濃. 3)小川智右・高崎みつる:「源流域で の落葉の影響」土木. 度変化が他の項目に比べ大きくなっていたが,この点,. 学会東北支部技術研究発表会(平成 16 年度). -258-.

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