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中小多自然河川の河道断面形に関する一考察 中央大学理工学部

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Academic year: 2022

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(1)Ⅱ− 60. 第38回土木学会関東支部技術研究発表会. 中小多自然河川の河道断面形に関する一考察 中央大学理工学部. 学生会員. ○坂口. 達哉. 中央大学研究開発機構. フェロー. 福岡. 捷二. 1.序論 我が国の河川では,洪水流を安全に流下させるためだけで なく,自然性を考慮した多自然川づくりが行われている.し かし,中小河川の多自然川づくりでは,平水時の環境に重点 が置かれ,洪水時を考慮した川づくりには成り得ていない. 写真‐1 は,その代表例で河幅が狭く,河岸を護岸で固めて いる.土地利用の高度化が河幅の狭い最大の理由と考えられ るが,今後の中小河川の改修のあり方を考えると,治水と環 境の調和の面から河幅について検討することが必要である. しかし,河幅を決める明確な技術基準がないのが現状である. 福岡は. 1). 写真‐1. ,計画で対象とする洪水流量までを考慮した,自. 中小河川の河道断面. 然性の高い河道の具体的な設計法を確立することが,重要な技術課題であると指摘し,沖積地河川における 河道の安定な断面形状は,流域の特徴を表す河道形成流量,河道勾配,河床材料(粒度分布)に規定される と考えた.そこでは,安定河道を支配する独立な物理量から次元解析による検討を行い,自然河道の無次元 河幅,無次元水深は流域の河道形成流量および地形特性を表わす物理量により規定されることを明らかにし た.また,これらの関係が今後の多自然川づくりにおいて,治水と環境の調和した河道断面形状を決める際 の判断材料となることを示した. そこで,本研究では,自然性の高い河道断面形状である福岡の式を用い,異なる治水安全度を有する中小 河川の断面形状と比較検討し,中小河川の河道改修の問題を明らかにすることを目的とする. 2.現地調査概要 検討に用いたデータは,国土交通省河川局河川環境課,リバーフロント整備センターが行った中小河川の 調査結果を基にしている.その中では,河床材料に関するデータは集められていなかったことから,関東地 方の都道府県,地方自治体管理の代表的な中小 河川で河床材料調査を行った.対象河川は,計. 表‐1 河川名/地点. 都道府県. データ諸元. 3. Q〔m /s〕 B〔m〕. h〔m〕. d r〔m〕. I. 治水安全度. 画治水安全度が 1/2.5~1/50 の 10 河川,13 地点. 谷地川6.0k. 東京都. 100. 15.4. 2.2. 0.035. 1/150. 1/3. とし,河道横断測量,河床材料の調査を行った.. いたち川0.5k. 神奈川県. 90. 17.8. 2.4. 0.012. 1/800. 1/2.5. 和泉川0.7k. 神奈川県. 60. 14.6. 1.6. 0.053. 1/300. 1/10. 選定した 13 断面は,ほぼ計画断面が完成してい. 和泉川4.5k. 神奈川県. 60. 11.1. 1.6. 0.020. 1/300. 1/10. る河川である.河床材料調査はふるい分け試験. 和泉川6.2k. 神奈川県. 50. 12.9. 1.6. 0.018. 1/300. 1/10. を主としたが,河床材料が大きい河川では線格. 都幾川4.0k. 埼玉県. 1100. 136.0. 3.9. 0.086. 1/500. 1/50. 子法を用いた.表‐1 に調査地点と現地調査結 果を示す.流量 Q は当該地点における計画高水 流量,河幅 B,水深 h は横断図をもとに,計画 流量流下時の等流計算による水面幅,断面平均 水深である.河床材料の代表粒径 dr には 60%粒. 越辺川6.6k. 埼玉県. 340. 42.7. 2.5. 0.330. 1/250. 1/5. 小畔川11.5k. 埼玉県. 80. 21.0. 1.9. 0.059. 1/160. 1/3. 不老川3.2k. 埼玉県. 80. 11.6. 1.9. 0.053. 1/160. 1/3. 五行川10.0k. 栃木県. 290. 43.3. 2.5. 0.075. 1/460. 1/30. 永野川10.5k. 栃木県. 350. 41.5. 2.3. 0.075. 1/160. 1/30. 粕川12.8k. 群馬県. 535. 45.9. 2.7. 0.118. 1/150. 1/30. 粕川10.8k. 群馬県. 635. 44.8. 2.9. 0.117. 1/150. 1/30. 径 d60 を,勾配 I には計画河床勾配を用いた.た キーワード. 多自然川づくり,福岡の式,中小河川,現地観測,断面形状. 連絡先. 〒112-8551 東京都文京区春日 1-13-27-31214. 中央大学研究開発機構. TEL03-3817-1611.

(2) Ⅱ− 60. 第38回土木学会関東支部技術研究発表会. だし,東京都の谷地川における調査では,河道横. 谷地川6.0k(1/3) 和泉川4.5k(1/10) 越辺川6.6k(1/5) 五行川10.0k(1/30) 粕川10.8k(1/30). 断測量は実施できなかったため,河幅,水深には 105. 計画河道断面の諸元を用いた. 3.無次元計画流量と無次元河幅,無次元水深の 関係 図‐1,2 に無次元計画流量と無次元河幅,無次. いたち川0.5k(1/2.5) 和泉川6.2k(1/10) 小畔川11.5k(1/3) 永野川10.5k(1/30). 和泉川0.7k(1/10) 都幾川4.0k(1/50) 不老川3.2k(1/3) 粕川12.8k(1/30). ※()内は治水安全度を示す.. 10 4. B dr. 103. 元水深の関係を示す.図中に示す線は,式(1),(2) 10 2. に示す福岡の河幅の式,水深の式である.  Q  B  = 4.25  gId 5  dr r  .  Q  B  = 4.25  gId 5  dr r  . 0.40. 0.40. 10. (1). 103. 10 4. 105. 106. 107. 108. 109. Q 0.38.  Q  h  = 0.13 (2)  gId 5  dr d   ここに,B:河幅,h:断面平均水深,Q:河道形. gId r5. 図‐1. 谷地川6.0k(1/3) 和泉川4.5k(1/10) 越辺川6.6k(1/5) 五行川10.0k(1/30) 粕川10.8k(1/30). 成流量,g:重力加速度,I:勾配,dr:代表粒径 10 4. である.埼玉県の都幾川を除き,中小河川の無次 元河幅は,自然河川,現地および拡幅水路実験の 河道形成流量に対して導かれた福岡の河幅の式よ りも下にプロットされる.これは,現在の中小河. 無次元流量と無次元河幅の関係 和泉川0.7k(1/10) 都幾川4.0k(1/50) 不老川3.2k(1/3) 粕川12.8k(1/30). いたち川0.5k(1/2.5) 和泉川6.2k(1/10) 小畔川11.5k(1/3) 永野川10.5k(1/30) ※()内は治水安全度を示す.. 103. h dr 10 2. 川の河幅が,計画高水流量,河床勾配,河床材料 に見合った河幅に比べ狭いことを示している.そ. 101.  Q  h  = 0.13  gId 5  dr r  . のため,無次元水深は福岡の水深の式よりも大き な値となり,非常に歪んだ断面形状になっている. 1 10 4. 103. 幅が広げられず,河道を掘り下げざるを得ない中. 105. 106. 107. 108. 109. Q. ことを示している.これは,流下能力向上のため の河道拡幅に必要となる土地の制約が大きく,河. 0.38. gId r5. 図‐2. 無次元流量と無次元水深の関係. 小河川の特徴が原因と考えられる. 治水安全度に着目すると,治水安全度が 1/2.5~1/10 の東京都の谷地川,神奈川県のいたち川,和泉川,埼 玉県の不老川などは,福岡の式からのずれが大きい.また,治水安全度が 1/30 の栃木県の五行川,永野川, 群馬県の粕川においても,前述の治水安全度が 1/2.5~1/10 の河川に比べ,無次元河幅,無次元水深は福岡の 式に近付くが,それでも計画高水流量,河床勾配,河床材料に見合う河幅,水深に成り得ていない.一方, 治水安全度が 1/50 の都幾川では,福岡の式の値と概ね一致する. 4.まとめ 本研究では,現地調査により得られた河床材料と河道断面データをもとに,中小河川における無次元計画 流量と無次元河幅,無次元水深の関係について比較検討した.現在の中小河川の断面形状は,治水安全度が 1/2.5~1/10 はもとより,1/30 の河川においても,計画高水流量,河床勾配,河床材料に見合う断面形状に成 り得ていないことを福岡の式をもとに議論した. 謝辞:本研究を進めるに当たり,国土交通省河川局河川環境課,財団法人リバーフロント整備センターから 資料を提供していただいた.また,現地調査を行うに当たっては,東京都,横浜市,埼玉県,栃木県,群馬 県からのご協力をいただいた.ここに記して謝意を表します. 参考文献. 1)福岡捷二:招待論文,温暖化に対する河川の適応技術のあり方-治水と環境の調和した多自然川づくりの普遍化に向けて,土木学. 会論文集,F.Vol.66 No.4,pp.471-489,2010..

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