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そして、 約1/5以上の勾配になると管水路が使用される傾向にあ る

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Academic year: 2022

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急勾配地に施工する開水路の流水を直角に屈曲させる制御方法について

正会員 201022681 秋吉 康弘

1. まえがき

本報告は、狭小で急峻かつ屈曲している地形に施工さ れる水路工の流水制御について究明したものである。

九州管内各県からのアンケートによれば、傾斜地勾配 が約 1/15 以下の場合には、通常平地で用いられる開水 路の矩形水路や台形水路が計画されるが、傾斜地勾配が 約1/15~1/5程度になると水路底に自然石を埋込み粗度 係数を高めたり、高さ0.10m程度の小段を階段状に施工 し簡単な落差工を施工して流水を減勢している。そして、

約1/5以上の勾配になると管水路が使用される傾向にあ る。しかし、管水路の場合、内部に流木や土砂等が混入 して閉塞すると、流水は流入口を溢れ水路を崩壊させる。

これらの混入物を除去するには一旦埋設した管水路を 掘り起こして除去する必要等があり、維持管理上非常に 問題であり工事費も掛かる。また、急峻で屈曲する地形 に矩形水路を施工すると、屈曲する部分で流水は対岸側 壁に衝突し、水路側壁を溢水して水路崩壊が懸念される。

そこで、筆者は急傾斜地に施工される矩形水路が屈曲 する場合、流水が側壁に衝突して溢水する流況を Fig.1 に示すように矩形水路側壁を 210°の円弧状側壁に改良 することで、側壁に衝突して水路外に飛び出す上向きの エネルギーをらせん流の回転エネルギーに変換させて、

流水をスムーズな流れに制御しようとするものである。

このらせん流方式では開水路であるために混入する 流木や土砂等も人力で簡単に除去出来、大きな壁の施工 も必要無く、工事費も約40%弱もの軽減が可能である。

このようならせん流方式の水路技術の適用は、山肌に 沿った急傾斜で屈曲する水路や急流工、林道での側溝、

狭小な地形に位置するため池やダム等の余水吐に適用 することが可能である。さらに傾斜勾配が急であればあ るほど上流側水路の流況は射流を呈し、上流側水路末端 部での水深は小さくなり、円弧状水路内に流入する流積 が小さくなるため、らせん流水路の直径も小さくするこ とが出来、工事費の軽減に繋ぐことが出来る。

現在の施工実績は10数箇所以上であり、屈曲角度を 45°、65°、90°に屈曲させて施工している。

特に、ため池余水吐に隣接して肥沃な耕地や道路等が 存在する時に余水吐を屈曲させる必要時に有効である。

Fig.1 らせん流水路側壁構造

Ⅱ.実験装置

実験では、上・下流水路の勾配と連結部の屈曲角度を 変化させながら行った。(上流側水路勾配が1/2.5と1/3.5 の2 段階に対して下流側水路勾配を1/2.5、1/5、1/10、水 平の4段階とし、それぞれの上・下流水路勾配に対して 上・下流水路連結部の屈曲角度を15°、30°、45°、65°、90°

の5段階に変化させた)水理模型の縮尺は1/10とした。

流量は、3.00m3/s、2.25 m3/s、1.50 m3/s、0.75 m3/s の4段階とした。流況の判定は、タフトトレーサー法と 写真撮影で判断した。水深はポイントゲージで測定した。

実験解析にはフルード相似率を用いた。

Ⅲ.実験結果

1.矩形水路とらせん流水路との流況比較(90°屈曲)

ため池余水吐放水路を 90°に屈曲させる場合の実験

装置をFig.2に示す。上流側水路勾配は1/2.5で下流側

水路勾配は0°の水平の場合である。

Fig.2 屈曲角度90°の場合

矩形水路の場合では、Fig.3 に示すように流水が対岸 側壁に衝突すると高さ約6m以上、水平長約11m以上も の跳水を起し、余裕高を考慮すると垂直高約7m~8m、

横幅長さ約12m~13m以上もの側壁を必要とする。

土木学会西部支部研究発表会 (2011.3) I-053

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また、らせん流水路の場合はFig.4に見られるように 飛沫もなくスムーズに流水制御が出来る。従来のように シルやピアーなどで強制的に減勢させる方法では無く 無限大の記号∞のように流れるので、流水は上下の波動 が生じず、穏やかな流れを下流に伝播させ安全に環境に も優しく、工事費の面でも安価な技術となる。

Fig.3 矩形水路の場合の流況

Fig.4 らせん流水路の流況

Ⅳ. 施工について

らせん流水路の側壁が約φ=0.5m以下であれば、塩ビ パイプそのままを型枠兼円弧状側壁としても利用可能 であり急傾斜地での型枠運搬にも容易である。φ=1.0m 以上になればFig.5のような足場パイプの加工やマンホ ールの内側の型枠をリースして利用すると安価である。

Fig.5 らせん流水路の型枠

Ⅴ.らせん流水路の各諸元の決定について 1. らせん流水路円弧状側壁の直径算出方法

らせん流水路円弧状側壁の直径算出方法は、上流側水 路を流れる流水を一旦らせん流水路の円弧状側壁内に 全量流入させる必要がある。そのために、円弧状側壁の 直径は上流側水路末端部での流積(水路幅b×水深H)

がFig.6に示す円弧状側壁の断面積(斜線部分)内に流

入させるように計画する。よって、次式の関係を満足さ せなければならない。

o o

360 210 4

2

×

× πφ B H

(上流水路末端部の流積) ≦ (円弧状側壁の断面積)

Fig.6 円弧状側壁

2.上流側水路末端部の流積の算出方法

上流側水路末端部の流積は、上流側水路最上流端部に 限界水深が発生するため、設計洪水量の限界水深を基準 に流下する流水の水面追跡から水深H を求め流積を得る。

Ⅵ.屈曲連結部の曲率半径について

上流側水路と下流らせん流水路との連結部は、流水が スムーズに流れるように水路構造を形成しなければな らない。この際、円弧状水路側壁を保持しながら、らせ ん流水路底幅bの約 2 倍の曲率半径(B=2b)で連結する ことが実験から好ましいことが認められた。

Ⅶ.まとめ

らせん流水路の技術開発は、開水路を急勾配地で屈曲 角度約 30°~約 90°以上に曲げる場合でも流水を溢水さ せずスムーズに流水制御を可能としたものである。

以上のように新しい技術の開発は、“ものの考え方”

を既成概念に拘ることなく、原点に戻って基礎から究明 することが必要であろう。即ち、お金をかけることなく なるべく自然の力を利用して、水は水で、土は土で制御 するなど、常に現場の身になって問題点に当たることが 必要と考える。

土木学会西部支部研究発表会 (2011.3) I-053

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参照

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