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城原川野越・霞堤の本川洪水流への効果及び遊水地浸水の

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Academic year: 2022

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(1)II‑034. 土木学会西部支部研究発表会 (2012.3). 城原川野越・霞堤の本川洪水流への効果及び遊水地浸水の 数値シミュレーション. 1.研究背景・目的 北に脊振山地、南に干満差が最大 6m に及ぶ有明 海に囲まれた佐賀平野は、平野の割合が高く、貯水 機能に乏しいことから、降雨時には洪水による堤防 の破堤や、堤内地の浸水被害などを受けてきた。こ の被害を抑えるために、江戸時代に対策を行ったの が、成富兵庫茂安である。洪水による破堤や浸水被 害を防ぐために、堤防に「野越」 (図-1)と呼ばれる 越流堤や霞堤を設置し、敢えてその部分から越流さ せて、洪水流を遊水地に流れるようにすることで、 野越より下流の水位の上昇を防ぐ仕組みが造られた。. 図-1 洪水時の野越からの越流 筑後川水系の支川の城原川は、野越、霞堤が計 9 箇所現存する河川である。かつては、水受堤と組み 合わせて洪水流を遊水地に誘導することで、本川下 流部の水位の上昇を防ぐ役割を担っていたとされて いる。しかし、昭和 24 年から行われた災害助成事業 による河川改修によって、 川幅は約 3 倍に拡幅され、 拡幅と共に野越、霞堤も移動、嵩上げされ、遊水地 を伴わない越流堤となっている。 本研究では、城原川における野越、霞堤が、洪水 時にどのように機能しているかを、数値解析により、 定量的に評価することを目的として研究を行った。 2.城原川概要 2.1.城原川(図-2) 脊振山を源とする城原川は一級河川筑後川水系の 支川で、神埼市を流れ、佐賀江川と合流した後、筑 後川へと流れ込む。流域面積 64.4km2、幹線流路延 長 31.9km、流域内人口 1 万人である 1)。 2.2.野越 越流堤のことで、城原川の流域の人々には野越(の ごし、のこし)と呼ばれている。洪水調節池、遊水地へ洪 水を積極的に導入する部分の堤防。本堤の一部を低く し、本川の洪水位が越流堤の天端高まで達すると、ここ からあふれさせて遊水地へ誘導する 2)。城原川には上 流から 5 番目以降が野越として設置されている。 2.3.霞堤 急流河川において比較的多用される不連続堤。背後. ‑217‑. 佐賀大学理工学部. 学生員. 中島. 大斗. 佐賀大学大学院. 正会員. 大串. 浩一郎. 地の内水排水、上流部の破堤などによる氾濫流を河道 に戻す排水、洪水流の導流、洪水の一部を一時的に貯 留する。堤防は連続、流体は不連続である。しかし、堤 内地の水位が締切堤の天端高より高くなると、水の動き は本川の流体(洪水)と一体となった挙動をするようにな る 2)。城原川には上流から 4 番目までが霞堤として設置 されている。. 図-2 城原川の解析対象区間 3.研究方法 本研究では平成 22 年 7 月 11~15 日にかけての大 雨による城原川の流況について解析を行った。この 期間の降雨は、神埼市伊福観測所で総雨量 700mm を記録し、日出来橋観測所では最大流量 318.11m3/s、 最大水位は 4.66m に達し、氾濫危険水位(4.32m) を超えたために、神埼市では避難勧告が出された。 また、野越、霞堤からの越流が確認されている 3)。 研究対象区間は佐賀江川との合流点より 1.8km~ 13.2km(柴尾橋観測所から仁比山観測所)とする(図 -2)。この区間の 8.4km~11.3km 間に野越、霞堤が計 9 箇所存在している。 解析には、 DHI の 1 次元不定流解析ソフト MIKE11 を使用した。MIKE11 の計算には、横断面で積分し た連続の式および運動量保存の方程式を用いて解い ている。 河道の再現は、ブランチ・ノードの作成と、ノー ドに断面を関連付けることで再現している(図-3)。 解析の際に用いる本川の断面は、ノードに断面を 関連付けることで再現している。解析の際に用いる 本川の断面は、平成 9 年 3 月測量の 200m ピッチの 横断測量のデータを使用した。野越、霞堤から越流 した流れの再現は、遊水地を河川とみなし、氾濫域.

(2) II‑034. 土木学会西部支部研究発表会 (2012.3). ブランチとして作成することで、野越、霞堤から越 流した洪水流の遊水地への流れと、霞堤から本川へ の排水を再現した(図-4) 。氾濫域ブランチの断面の データは、国土交通省提供の LP(レーザプロファイ ラ)データ(平成 18 年測量)から位置座標、標高を 読み取り、作成した。. 参考文献 1)、城原川かわづくり懇談会:城原川 未来づくり~城原川の 川づくりプラン~ pp.2 平成 19 年 7 月 http://www.qsr.mlit.go.jp/chikugo/torikumi/02-conference/old/jyo ubaru/mirai/6_kawapuran.pdf 2) 高橋裕:新版 河川工学 pp.207 2008 年 3) 国土交通省九州地方整備局筑後川河川事務所:平成 22 年 7 月 11~15 日出水筑後川・矢部川・嘉瀬川流域の状況につい て(速報) http://www.qsr.mlit.go.jp/chikugo/old/jimusyo/h22/10syusui.pdf 4) 国土交通省河川局治水課:中小河川浸水想定区域図作成の 手引き pp.21-22 平成 17 年 6 月 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/05/050705/04.pdf. 図-5 越流状況(三番霞堤). 図-3 城原川水理計算のブランチ・ノード. 図-4 氾濫域ブランチ 野越、霞堤から越流する流れは、本間の式を適用 し、流量係数は 1.55 と設定した 4)。 境界条件には、上流端に仁比山観測所の実測流量、 下流端に柴尾橋観測所の実測水位をそれぞれ与えた。 野越、霞堤の機能を検証するために、野越、霞堤 を設置している場合と、野越、霞堤を設置していな い場合でそれぞれ比較を行った。 4.解析結果 今回の計算では、三号霞堤で越流が起こった。図 -5 は、城原川と左岸堤防に接続している三番霞堤を 含めた縦断水面形の図である。三番霞堤から越流し た水位、流量のグラフを図-6、全野越、霞堤通過直 後の佐賀江川合流点から 8.4km 地点の水位のグラフ を図-7 にそれぞれ示す。 5. 結論 解析結果から、野越、霞堤から越流があり、野越 の有無の水位差は最大約 0.06m であった。城原川に 現存する野越、霞堤は下流の水位を低下させる機能 があることを定量的に評価することができた。. ‑218‑. 図-6 三番霞堤から越流した水位及び流量. 図-7 佐賀江川合流点から 8.4km 地点の水位.

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