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田原靖昭 (昭和49年9月30日受理)

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(1)

第2報年間変動の追跡

田原靖昭

(昭和49年9月30日受理)

On the Annual Changes of Body Composition and Rohrer Index of Young Women

Part.2 Pursuit of Annual Changes

Yasuaki TAHARA

Abstract

Body Composition and Rohrer index have been compared between 86 athletic students and 96 nonathletic students of the female sex, aged from 18 to 20 years old. We have measured their height, weight, and skinfold (upper, back and abdomen), and then calculated from these measurements Rohrer index, total body fat (%), lean body mass

(LBM), and LBM index. Skinfold has been obtained at the pressure of 10 g/mm2 with an Eiken cahper.

The results are as follows:

(1) Athletes are taller and heavier than nonathletes. Body weight shows annual changes both in athletes and nonathletes.

(2) Rohrer index is higher in athletes than in nonathletes and it also shows annual changes.

(3) Mean skinfold (abdomen) is thinner in athletes than in nonathletes.

(4) Body fat (%) decreases from spring to summer and increases from early autumn to winter showing a peak in April. Mean body fat (%) is higher in nonathletes than in athletes.

(5) The correlations between body weight and skinfold (arm+back), and between Rohrer index and body fat (%), are calculated.

(6) LBM (kg) is heavier, and LBM index larger in athletes than in nonathletes. We pay our attention to the increasing tendency of LBM (kg) in athletes.

※第22回九州体育学会において発表した内容に加筆したものである。(1973)

(2)

38 田原靖昭

I目的

l)

筆者は先報で体構成々分とRohrer指数との問の量的関係について報告した。今回は女子学 生同一人について運動群と非運動群の体構成々分とRohrer指数を1年間にわたって測定し得

たのでその推移を報告する。

II方法

1.測定種目と方法

1)身長,体重よりRohrer指数(R. 1‑体重!身長3×107)

2)3)4)

2)体構成々分法として皮脂厚を測定。皮脂厚測定は栄研式を使用し,測定部位は以下の通 りである。

上腕部一一右側上腕背面において肩峰突起,肘関節頭との中間位 背部‑‑・右側肩月甲骨頭の直下部

腹部‑‑‑磨部の右近接部

2)

体脂肪(%)の算出は皮脂厚(Ⅹ)から体密度(D)を求める予知式(長嶺の式)を利用した。

18歳〜29歳の女子では

D‑1.0897‑0.00133X (X‑上腕部皮脂厚+背部皮脂厚mm)

5)

この体密度(D)から体脂肪(%)を推定する予知式としてKeysとBrozekの式

Fat(#)‑(一等L‑3.813 ×100

を使った。これより体構成々分を体脂肪と活性組織LBM (Lean Body Mass)に分けて検討 した。

3)体力測定は文部省のスポーツテストによった。

2.測定時期

昭和47年4月から昭和48年4月にかけて運動群ほほほ毎月1回,井運動群は昭和47年4月, 9月,昭和48年2月, 4月に測定した。

^mmヨ呂

運動群の学生86創ま某県立女子短大体育科学生であり,非運動群の学生96名は同短大食物専 攻学生である。両群とも1年生, 2年生(18歳〜20歳)で運動群はほとんど全員が運動クラブ に所属し, 1日最低2時間の実技の授業と, 2時間内外の運動クラブで身体活動を行なってい る。また,運動群の学生は高校時代も運動歴を有する者がほとんど全員に近い。

(3)

lII成績

A身長,体重Rohrer指数

図1体重の変動

Fig. 1 Changes of body weight

身長は発育終了期であるので年間を通じて大差はない。昭和47年4月は運動群1年生は 158.7±4.31cm, 2年生158.2±4.98cm,非運動群1年生は155.9±5.03cm, 2年生155.8±

4.31cmであり, 1, 2年とも運動群が有意に高い。

体重は図1に示すごとく運動群では4月から夏に向って低下し, 9月より上昇して2月がピ

‑クになっている.運動群では季節による変動の他に4月から運動クラブの練習活動が盛んと なり運動量が増加するのでその影響が体重の月変動を大きくするのであろう。これに比べ非運 動群では夏から冬への上昇がほとんど見られない。なお運動群1年生の7月(Ⅱ)にとくに低い のは夏季大学体育大会前の相当強度の強化練習,各運動クラブの合宿, 1週間の水泳実習等に よるものと推察される。

Rohrer指数は図2に示すように,体重の変動とよく似た変動を示している。すなわち,普 ず運動群の値は秋から冬‑上昇するが,非運動群のはほとんど変化していない。運動群1年生 で特に7月(Ⅱ)にRohrer指数が低いのは前述の体重低下によるものであろう。

(4)

田原靖昭

図2 Rohrer指数の変動

Fig. 2 Changes of Rohrer index

B皮脂厚,体脂肪

図5皮脂厚(上腕部+背部mm)の変動

Fig. 3 Changes of skin fold (arm+back mm)

(5)

図4体脂肪(%)の変動

Fig. 4 Changes of body fat {%)

皮脂厚(上腕部十背部mm)の変動を図3に示した。両群とも昭和47年4月の初回の測定値 が最高でその後低下の傾向を示している。昭和48年2月に測った非運動群の値は,運動群に比

1)

べて体重が少ないにもかゝわらず大となっていることは先報の通りである。

2)3)4)

図4は先の皮脂厚値を基にして長嶺の式で求めた体脂肪(%)の変動である。この変動は先の 皮脂厚とほぼ同じような傾向を示している。運動群では4月がピ‑クで秋口まで低下し,冬に

向って上昇する。この運動群の体脂肪(%)の減少は前述の体重の場合のようにスポーツ活動が 盛んなためと思われる。この体脂肪(%)をこまかくみると,運動群(1年)で4月が最高で 25.1±5.08^, 9月が最も低く19.4±3.22^, 2月が20.3±3.63^となっている。 4月から9

月‑の低下は0.1#で有意であった。

一方,非運動群(1年)は4月22.9±5.33S, 9月が20.6±3.66#, 2月が21.7±3.83#と 運動群ほど大きくはないが有意に低下している(P<0.05)<この程度の体脂肪(%)のレベル

6)7)8)

は,小野がいう健康維持脂肪量の下限界(中年女子25#)に近い値に相当するものと考えら れ,生理的に必要な程度ではないかと推察される。

体重と皮脂厚(上腕部+背部mm)の関係について,運動群の入学直後と1年間の変化をみ たものであるが明らかに体重に対して皮脂厚の減少がみられる(図5)。つまり,同一体重に 対して入学時は上位に分布し, 1年後には下位に多くが分布している。この事は逆に,活性組 織が1年後に増加した事を裏書きする。図6は先の図(図5)と同じ関係であるが両群の卒業 直前を示したもので,運動群と非運動群の差が顕著である。運動群がその活性組織LBMの発 達のよかった事を裏書きしている∩

(6)

体m

図5体重と皮脂厚(上腕部+背部の関係(運動群にみられる1年後の変化)

Fig. 5 Correlation between body weight (kg) and skin fold farm 4‑ back mm)

体重

図6体重と皮脂厚(上腕部+背部n)の関係(運動群と非運動群の比較)

Fig. 6 Correlation between body weight (kg) and skin fold (arm + back mm)

(7)

ROHRER指数

図7 Rohrer指数と体脂肪(%)の関係(運動群と非運動群の比較)

Fig. 7 Correlation between Rohrer index and body fat

ROHRER指数

図8 Rohrer指数と体脂肪(% )の関係(運動群にみられる1年後の変化) Fig. 8 Correlation between Rohrer index and body fat {%)

(8)

m 田原靖昭

図7は両群の入学直後のRohrer指数と体脂肪(%)の関係を示したものである。この図か らわかるように,両群の相関状態はほとんど同じような傾向を示している。このことは,入学 時において運動群,非運動群とも体脂肪とRohrer指数の関係は大差ないと言えよう。

図8は,図7と同じ関係で運動群の入学直後と, 1年後の変化をみたものである。これより 1年後(黒丸)は初年度(白丸)に比べてRohrer指数はわずかに増加した(図2)にもかゝ わらず, (すなわち, Rohrer指数は141.2±10.19から142.3±9.84へと大差はない),体脂肪 (%)は25.1±5.08^から20.4±3.9196と明らかに有意に減少し(P<0.001),相関係数も0.558 (P<0.001)から0.257へと低くなっている。このように1年間の運動により体の構成々分が 変化して活性組織が相対的又は絶対的に高くなっていることがわかる。

C活性組鼓LBM.活性組織指数(LBM/He x107)

図9は活性組織LBMの変動である。 LBMは4月から増加の傾向がある。 4月から夏にか けて,体重が減少しているにもかゝわらず増加の傾向がみられる点が注目される。ちなみに, 運動群(1年)のLBM(kg)は4月が42.2±3.08kgから9月は45.0±3.35kg ‑と増加して

いる(P<0.001)cさらに9月から2月(46.2±2.91kg)への増加もみられる。すなわち,運 動群は体構成々分が脂肪体質より活性組織LBM体質に変っていることがわかる。またRohrer 指数の低下する李にもLBMが増加している点が注目に価しよう。 4月より活発な運動生活

が余分な体脂肪を取り除き,逆に運動に必要な活性組織を増したのであろう。

一方,非運動群は4月から9月にかけてLBMの増加がみられるが(1年生P<0.01, 2 年生P<0.05), 9月から2月にかけてはほとんど変化していない。先の運動群が9月から2 月にかけても増加しているのは,その時mよりも以前に最も盛んであった運動活動が刺激に なったものと推察される。図10はRohrer指数に準じその体重のかわりに活性組織をとり LBM/H3×107で示したものである(LBM指数)。この指数は身体活動源である活性組織の 充実度を示し,先のRohrer指数の場合よりも運動群と非運動群の差が著しくなり,従ってス

ポーツマンの体充実度の指標としてはRohrer指数に優るのではないかと考えている。運動群 が非運動群に比べて高いのが注目される。また活性組織重量でみた場合と同じく(図9), 4 月から9月‑は運動,非運動両群とも上昇するが, 9月から2月‑は,運動群のみがなお上昇 傾向を示している。

(9)

図9活性組織,体脂肪量の変動

Fig. 9 Changes of LBM (kg), body fat (kg)

図10活性組織指数(LBM/H3×107)の変動

Fig. 10 Changes of LBM index (LBM/H3×107)

(10)

T? 田原靖昭

¥xma巴

I)

先報の成績,本成績で観察したように身長,体重ともに運動群が非運動群に比べて優位であ ったが,これは当然であろう。

身長,体重を基とするRohrer指数が常に非運動群よりも連動群に高い値を示しながら,皮 厚測定値から算出した体脂肪(%)は運動群にむしろ低目であったRohrer指数が運動家の肥

3)

満皮の評価には不通とされている事がここでも指摘された。そしてRohrer指数は当然ながら ほぼ単に体重とはば併行した季節的な変動を示すにとどまっている。

6)7)8)

体脂肪(形)については,小野らは中年者の脂肪沈着と運動能力を測定し,一定量の体脂肪を 保持することの体力医学的意味を考察し,体重当りの体脂肪下限界として中年男子12#,女子

9)

25%が必要であると報告し,それに関連して中村らは,血液レベルとの関係より正常血液保有 者の体脂肪(%)は男子で11‑13#となると報告している。今回の被験者は18‑20才の女子学生 であるので小野の被験者に比べると若いがその体脂肪(%)は運動群の年間変動は約20‑25^,

6)7)8)

一般学生である非運動群も20‑26^で小野のいう25%よりもやゝ低くなっている。

3)

次に体脂肪(%)の運動群と非運動群の比較では先報(女子),長嶺(男子)の報告では運動

at

群が非運動群よりも少なくなっていたが本成績では必ずしも全測定を通して先報のようではな かった。つまり4月の測定では運動群の体脂肪(%)は非運動群のそれと相前後する値であった

1)

が,しかし9月の測定時には前報と同じように運動群の体脂肪(%)が少なくなっている。体脂 肪の絶対量では運動群の体重が重いので運動群の方が大であった。

10)

体脂肪(形)と体力との関係でW. B. McGuinnesらは女子体育専攻学生と一般学生を比較 して,体育専攻学生が体脂肪(%)では一般学生に比べて多かったにもかゝわらずFitness Index (体力指数)が高いと報告しているo本報告でも,成績としてあげなかったが,スポ‑

ツテストの全種目でみた体力は運動群が大であった。

先の体脂肪(%)算出の基礎となった皮脂厚の測定値は,上腕部,背部,腹部皮脂厚のうち腹 部では非運動群が運動群に比べて常に高かったことも附記したい。

さらにRohrer指数と体脂肪(%)の関係から運動群の入学当初に比べ, 1年後には明らかに 体構成々分の変動が認められ,運動群学生の運動生活の効果が確認された。

運動群の活性組織LBMは対体重相対値では非運動群のそれと大差なかったが,その絶対 量及びLBM/身長3においてはるかにまさっていた。そしてしかも9月から翌年2月にかけて のシ‑ズソオフの時期にも運動群では増加傾向を示した事は,あるいは,スポーツの「鍛練の 後効果」という事さえも示唆し向後の観察研究への期待を抱かせるものがある。

imr:潤

女子学生18‑20歳の運動群86人,非運動群96人の被験者について形態測定, Rohrer指数,

(11)

体構成々分法による皮脂厚,体脂肪(96),活性組織LBM,活性組織指数(LBM指数, LBM/H3),さらにそれら相互の関係を検討した結果,次のように要約される。

(1)身長,体重とも運動群が非運動群よりも優位であった。体重は年間変動を示した。

(2) Rohrer指数は運動群が非運動群に比べて常に高く,体重の変動とともに年間変動を示し た。

(3)皮脂厚については腹部は非運動群が常に厚く,上腕部皮脂厚,背部皮脂厚においては必ず しもそうとは言えない。

(4)体脂肪(%)は春から夏にかけて減少し,秋口から冬,春にかけて増加の傾向を示した。 4 月を除いて一般に,運動群が低い体脂肪(96)を示したRohrer指数では運動家の肥満度の評 価は出来ない。

(5)体重と皮脂厚Rohrer指数と体脂肪(%)の関係について検討した。

(6)運動群がLBM(kg)においてまさっている。その値は4月から徐々に増加の傾向を示し た。シーズンオフの2月にかけても運動群のみ増加の傾向を保った点に向後着目したい。

本研究は長崎大学医学部衛生学教室,中村正教授の御指導,御校閲を受けたことを記し 探謝する。また1年間にわたって被験者になられた学生諸姉に感謝する。

文献

1)田原靖昭:運動群,非運動群の体構成及びRohrer指数の検討,長崎大学教養部紀要(人文科 学) vol. 14, 129‑140, 1973

2)長嶺晋吉:体構成に基づく肥満の評価,民族衛生, vol. 32, 234‑238, 1966

3)長嶺普吉:スポーツマンと非スポ‑ツマンの体構成の比較に関する研究,栄養学雑誌, vol.24,

3.‑8, 1969

4) Nagamine, Suzuki: Anthropometry and body composition of Japanese young men and women, Human Biol. vol. 36, 8‑15, 1964

5) A. Keys, J. Brozek: Body Fat in adult man, Physiol. Rev, vol. 33, 245‑325, 1953 6)小野三嗣他:都会地中高年者体力現状の一断面について,体力科学, vol. 18, 53‑71, 1970 7)小野三嗣,小林元子:中年者における体脂肪沈着皮と二,三の体力指標との関係について,体力

科学, vol. 20, 142‑150, 1971

8)小野三嗣:健康をもとめて(壮年期),肥満は本当にいけないか,不味堂1972

9)中村正:地域住民の皮厚値と血液値の相関性,第27回日本栄養食量学会総会講演集, p. 127,

1973

10) W. B. McGuinnes & A. W. Sloan: Dynamic Fitness of young adult and its relation to

physical training and body fat, J. Sports Med. vol. ll, 179′‑184, 1971

Fig. 9 Changes of LBM (kg), body fat (kg)

参照

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