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所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(看護学)

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Academic year: 2021

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(1)

博士学位論文内容の要旨

氏 名 栩

トチ

カワ

綾子

ア ヤ コ

所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(看護学)

学 位 記 番 号 健博 第

162

号 学位授与の日付 平成

31

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名 糖尿病足病変入院患者と看護師たちの関係の現象学的研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 西村 ユミ

委員 教 授 河原 加代子 委員 教 授 山本 美智代

委員 教 授 榊原 哲也(東京大学)

【論文の内容の要旨】

背景

糖尿病患者が全世界で増加し、罹患期間の長期化・合併症の進行などを背景に、糖尿病 足病変(以下足病変)と足切断が問題となっている。長い糖尿病歴や高齢化から足病変の 成因が変化し、その予防や治療の限界を迎えようとしている。そのため、足病変で入院治 療するまた治療の過程で足切断を要する患者の看護を考える必要がある。

研究目的

足病変入院患者と看護師たちとの関係において何が起こっているのかを、看護師の経験 からその成り立ちを明らかにする。そこから見出された日常の関係をもとに、足病変患者 の看護を支える土台を考察する。

研究方法

足病変入院患者の様々な状況に応じる病棟の看護師たちの日常の関係の仕方を捉えるた め、 その患者が入院している病棟に勤務する看護師

5

名に約

8

ヶ月間、 参与観察を実施し、

必要に応じて面接を行った。通常は主題化されない日常の関係を、自明な次元から明らか にするため、現象学の思考を参考に関係の成り立ちを分析し、記述した。本研究は、本学 の研究安全倫理委員会の承認(承認番号:16051)を受けて実施した。

結果

看護師は、足病変患者の受け答え方や足病変という身体状況に促されるようにして、糖

(2)

博士学位論文内容の要旨

尿病療養の緩い態度やこのまま動かなくなる見立を知覚した。また、看護師は自ら知覚し たことを気がかりに思い、それによって他の看護師への確認が促され、確認を求められた 看護師は自分が得ていた情報を相手に伝えるという一連の出来事を通して、気がかりをみ んなに引き継いでいた。

看護師が知覚することは、足病変患者への行為を導き、他の看護師たちに足病変患者を 志向させていた。看護師は、足病変患者に意欲のなさを知覚することがあった。しかし、

進行した糖尿病を患った自身の家族を看護した経験により、患者の意欲のなさが糖尿病の 影響によるものであることを知った。この理解は看護師の、それまでの足病変患者の知覚 の仕方を変え、患者の見方を質的に変化させ、患者の支援へ向かうことが促されていた。

看護師は、足病変患者の自立への意欲を知覚し、それを患者に伝えることで、足病変患 者自身の意思を表明することを促した。看護師を介することで、患者は自らの未来の目標 を明確にすることが可能になったのであり、看護師は、そのような患者の姿から力を与え られ前向きになるのであった。

考察

足病変患者の「身体」に促され、看護師は患者にある意味を知覚し、その知覚とともに 患者に向かう行為が働きだしていた。看護師は共同的な志向性に後押しされるとともに、

看護師一人ひとりも共同的な志向性の生成に関与していた。こうした円環の動きが土台と なって、関係が成り立つのであり、そこから足病変患者も看護師たちも現在の状況に新た な意味を生成することが可能になっていた。

結論

足病変患者と看護師たちの関係は、看護師たち「みんな」という共同的な志向性のもと、

主体としてある患者の、その時々の状況に置かれた身体が示してくる事柄を、看護師が身 体を介して知覚し応じることによって成り立っていた。このような関係の成り立ちから、

看護師は、患者を知覚する自身の身体の働きを見直すことで、足病変患者の創造性豊かな

看護の可能性に気づき、これを次なる実践に繋げていくことになると考える。

参照

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