厚生労働科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業(がん政策研究事業)【五十嵐班】
小児がん経験者に対する長期的支援の在り方に関する研究 分担研究報告書
研究分担者 足立壮一 京都大学医学研究科人間健康科学系専攻
研究要旨
小児がん患者に対する支援のあり方の実態調査の一つとして院内学級の組織、活 動状況とその範囲、IT の活用例、その他につき検討した。本院においては特別支 援学校分教室による小中学校が運営されているが、「院内学級カンファレンス」
による医療スタッフとの密な連携を通して共に治療と教育の一体化を目指して いる。また、IT を利用した遠隔授業や復学へのスムーズな橋渡しを目的とした「退 院カンファレンス」などユニークな活動を行っている。
A. 研究目的
院内学級の教育活動や医療サイドとの連携 を検討することで改善点を明らかにし、より よい治療と教育の一体化を目指す。
B.研究方法と結果
下記項目につき検討した。
1) 院内学級・学校等の名称 京都市立桃陽総合支援学校
2) 特別支援学校本校・分校・分教室・訪問、
小・中学校の病院内の特別支援学級のうちいず れか、
4 つある分教室のうちのひとつ「京都大学 病院分教室(通称 院内学級)」が本院内 に設置され、小学部と中学部を有する。
3)ベッドサイド事業の有無、
患児の体調不良時や化学療法等による高 度の顆粒球減少時には教師が病室へ出向 き、個別にベッドサイド授業を行っている。
病状を勘案しながら原則として(月)〜
(金)の毎日、ベッドサイド授業が行われ ている。
4) 高校教育の有無
現状では高校生に対する授業は行われていな いが、本年度より桃陽総合支援学校の支援部 の教師 1 名が毎週月曜日に本院分教室に派遣 され、高校生に対する学習の支援を行ってい る。
AYA 世代用学習室
高校生学習支援予定表
遠隔授業の様子
5) IT 活用事業の有無と活用事例
インターネットを利用して桃陽支援学校本校 と各分教室を中継して、共同して授業を行っ ている。また、病棟内の WiFi を利用すること でベッドサイド授業中の患児のポータブルコ ンピューターと院内学級を繋いで合同の授業 も行っている。
6) その他特記すべき事項
毎月院内学級の教師、桃陽総合支援学校副教頭、
医師、看護師よりなる「院内学級カンファレン ス」を行い、入院中のすべての患児の病状把握 と学習における進捗度、問題点などを相談して いる。退院で復学する際には原籍校の教師に来 て頂き、院内学級の医師、看護師、保護者、必 要に応じて理学療法士や作業療法士らが出席す る「復学カンファレンス」を持ち、スムーズな 復学ができるよう連携している。普段から教員 と医師、看護師のコミュニケーションを意識し、
治療と教育の一体化を目指した環境づくりに力 を入れている。
C.考察及び結論
本院における院内学級の対象は小中学生から、
自習への支援ではあるものの高校生までにわた り、着実にニーズに対応して広がってきている。
それに応じて、教員と医療スタッフとの連携が、
密なカンファレンスその他を通して図られてお り、目的である「治療と教育の一体化」に向け た体制づくり進んできている。しかしながら、
マンパワーの制限から特にベッドサイド学習の 時間が 1 時間と限られていることや、高校生へ の支援が十分でないことなど問題を抱えている。
今後、行政側にも問題を提起し解決に向けた提 言を行っていく。
D.健康危険情報 該当なし
E.研究発表 なし
F.知的財産権の出願・登録状況 1.特許取得
該当なし 2.実用新案 該当なし 3.その他 該当なし