九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
酸化スズ系ガスセンサの感度安定化に関する研究
松浦, 吉展
https://doi.org/10.11501/3060418
出版情報:Kyushu University, 1991, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第3章 可 逆的経時変化の解明
3 - 1 緒言
前章において、 フィールドで高感度化したセンサでは大きな特徴、 素 子抵抗の著しい低下が認められることを述べた。 素子抵抗の低下には可 逆的に回復する部分と不可逆的な部分があるが、 前章の検討結果より作 動温度が5500C以下では加湿空気処理により可逆的に回復する部分が大 部分である。 この可逆的部分は、 S n 0 2粒子の表面状態に関係してい ることが示唆されるので、 本章ではこの観点から可逆的な部分の究明を 行った。
センサを経時的に感度変化させるには、 前章の検討結果からセンサを
4500Cで作動させる方法(以下、 シミュレーシ ョン実験と呼ぶ)を用い、
フィールドでの高感度化と同程度の感度変化は90日間のシミュレーシ ョ ン実験によって得たυ 表面状態としては\ 酸素および水の吸着状態に注 目し、 それらを昇温脱離法を用いて調べた。
3 - 2 実験方法
3 - 2 - 1 昇温脱離測定
昇温脱離法およびこれと 関連する昇温還元法の測定原理は本章末の
APPEND 1 X - 1に示した。
本試験に使用した昇温脱離装置を図3 - 1に示す。 反応管は図に示す ように、 三重管構造で外側から順に外径15 mm、 12 mmの石英管と外径 8 mmの石英製保護管で構成されている。 保護管の内側には 試料温度を測 定するための執電対が挿入されている。 試料にはイリジウムーパラジウ
ム合金コイルをとりはずしたセンサ素子80個(約1.5g)を使用した。 試 料の前処理および吸着プロセス等には、 ヘリウム(純度99.9999%)、
o 2/H e (10%酸素と90%ヘリウムの混合力ス、 純度99.999%)また
は、 これらを氷水で冷却した加湿器を通してOoCの水蒸気分圧で加湿し て使用した。 測定の前に試料は下記のような3種類の処理(A, B, C) を行い、 それぞれ水、 酸素または水と酸素の両方を吸着させた。 処理A,
-48-
Bの場合には繰り返し測定の間にS n 0 2の結晶子径が変化することを 防ぐために、 試料はあらかじめヘリウム中8500Cで2時間熱処理した後、
さらに02/'He中8500Cで2時間熱処理した。
処理A (水蒸気吸着)
ヘリウム流通下800CCで1時間保持して室温に冷却した後、 加湿 したヘリウムガスを流通させた。 この加湿ガスの流通時間を変える ことにより試料の吸着水量を制御した。
処理B (酸素吸着)
ヘリウム流通下8000Cで1時間保持して6000Cに降温した後、
o 2 / H e 流通下で1時間保持して室温まで冷却した。 つづいて、
ヘリ ウ ム 流通下で所定の温度まで昇温し、 その温度を 5 分間保持し
て試料に民着した酸素の一部を脱離させた後、 室温まで冷却したっ この温度を変えることにより試料の吸着酸素量を制御したυ
処理c (水と酸素の同時吸着)
次のような3つの処理法で異なった酸素吸着状態を得た後、 加 湿したoど/ H e流通下試料を4000Cで1時間保持し、 つづいて100
℃まで降温し 、 水蒸気を吸着させたけ 処理C 1
ヘリウム流通下6000Cで30分間保持した後、 O2// H c流通下600 OCで30分間保持し、 つづいて4000Cまで降温した。
処理C 2
ヘリウム流通下7000Cで1時間保持した後、 O2// H e流通下700 OCで 1 時間保持し、 つづいて400CCまで降温した。
処理C 3
ヘリウム流通下7000Cで 1 時間保持した後、 4000Cまで降温した。
これらの処理を行った後、 試料はヘリウム流通下(流速25 m.e/min) 、
10 oc川inの速度で5800C、 7000Cまたは8000Cまで昇温した。 水と酸素の
脱離クロマトクラムを分離するために、 検出感度が等しくなるように設 定した2台の熱伝遵型検出器の間に液体窒素温度のトラップを設けた(図
--49-
O:z/lIe
lie 4 り バ Airまたは ボンベ
も {}
'[1 He/ A i rボンベマスアローコントローラー
↓
〈コHeボンベ
3
マスアローコントローラー
熱電対L
排気
。
金リード線 一一
。
Av o問、\
(甫111川いけい十字
,一 一サ一
プログラム付き 温度コントローラー
石英ウール 二了'一プ了l
・ 4 司
....,.A 'a--e・g・-
一Aノ一 一ン一
二一一ア一
一
コ「」刀一
; ;!
一レ寸」干7!
熱電対→=ユー
八 B
試料 試料
昇温脱離装置 図3-1
TCD検出器 8氷水 7加湿器,
.7
4ック,
トラ ツ 四方コ
ス
nU Fhd
ドライアイ 三方コ ック 3
ツ プ , 6 二方コ ック 2
5液体窒素トラ
3 -1 )。 本実験で観測された脱離酸素の分圧は、 液体窒素温度での椴 素の飽和蒸気圧よりもはるかに小さかった。 こうして、 第lの検出器は 酸素と水の両方をモニターし、 第2の検出器は酸素のみをモニターした。
水の脱離クロマトグラムはそれぞれの検出器の出力値の差より求めた。
3-2-2 酸化活性測定
昇温)悦青ft実験に使用した反応管にイリジウム パラジウム合金コイル をとりはずしたセンサ素子4個(試料A、 約75 mg)を装着し、 4000Cで 30分間乾燥空気を流通(25 m.e/min)させた。 つづいて乾燥空気と0.3%
水素混合ガスを4000Cで30分間流通(25 m.e/min)させ、 反応管の山口プJ‘
ス中の水素濃度をガスクロマトグラムにより測定し、 水素転化率を求め た。 この]1�化率はガス導入後、 約15分fmで安定に達することを確認した。
ηJ
つω
つU 素子抵抗測定
界 自脱離クロマトグ ラムと素子抵抗の関係または素子の酸化活性と素 子抵抗(あるいはガス感度〉の関係を調べる場合には昇混脱離実験月jの 反応管を使用した。 センサ素子(試料B )のイリジウムーパラジウム合 金コイルに金リード線を溶接し、 反応管のふたにとりつけたモリブデン の電極に接続した。 このセンサ素子と2 Vの直流電源および10k Qの負 荷抵抗を直列に接続し、 負荷抵抗の両端の出力から素子抵抗を算出した。
本測定を行う前に、 金リード線と1個のセンサ素子のイリジウム パ ラジウムコイルが昇温脱離クロマトグラムと水素転化率に与える影響は
無視できることを確認した。
3 - 3 新品センサにおける水の脱離特性と素子抵抗の関係
第2章では、 フィールドにおいてセンサはかなりの雑ガス濃度雰囲気 下に置かれるために素子温度が上昇することおよびこの温度上昇が高感 度化現象の主要因であることを明らかにした。 素子温度の上昇はSn02 表面上の水と酸素の吸着状態に影響を及ぼすことが考えられるが、 この ことを調べる前にまず、 本節と次節においてそれぞれ水および酸素 のl妓
51
と素子抵抗の関係を調べた。
着状態(脱離特性)
処理Aにより、 吸着水量を種々変化させたセンサ素子からの水の昇温 脱離クロマトグラムを図3- 2にまとめたり 吸着水量の増加に伴って脱
離ピーク数は増加し、 吸着量が最も多い場合には l OOOC付近に大きなピ ークと3000C 、 4000C付近にそれぞれノトさなピークが認められるn これま
でS n 0 �では l OOOC および400ÚC付近に大 きな脱離ピークがある こ とが このことと図3 -2の結果は異なるが、 これは本
報告1 -4)されており、
図から吸着 実験の素子にシリカ系ノくインダーを孫加したことに依る円)。
、』ー} 水量の減少に伴って脱離.ピークは高温側にシフトすることがわかるの れは水分子がより強し、結合力をもっサイトへ優先的に占有されることを 示 唆しているの
図3-2に示す各昇混脱離クロマトグラム測定から得られた吸着水量 と同時測定によって得た200<JCにおける素子抵抗との関係を図3- 3に
山添らいの結果と同係、 吸着水量の増加に伴なって素子抵抗の 示したハ
8
r...ー/ー一一一\
I "
l 5 \ "
, • ,' _, ー 、,・、 、 、 .\ 、\ ....、、
lノ 4 ' , 、 、、、、 』ー
/
t ,/ //寸一一一ー二三こー -圃. . ・ ・・ー・・ ・ -・・. 旬、‘
J / /・・ 「 つ 三..:::...,
ノ I ,_ , " t__,.-" _A" __l ι_r -二・Jご�--ごコi
(ω\〉巨)持母拠召集
600 800
� 00
温度(OC)
nHU nHU 200
吸着水量を積々変化させたセンサ素子の水の昇温脱離クロマトグラム 図3-2
(4) 1.58 (3) 0.93
(7) 7.38 (2) 0.75
(6) 6.16 : (1) 0.044
(5) 3.00 (μmol/g)
吸着水量
円ノUFhd
減少が認められる。 荒井らは商変化物半導休上に吸着した水の導電メカニ ズムについて考察し、 71<.が角l(-.離|吸着しない場合と解離!吸着する場合にお いてそれぞれ次のような反応式を提案している6)0
( i )解離吸着しない場合
H 2 0 (g) ζ二二三 H 2 0 + (ad) 十 e-
(註)解離吸着する場合
( 1 )
H 2 0 (g) 十 o 2一 + v 0-ζ二三 2 0 H - (ad) + e - ( 2 ) H 2 0 (g)十 o2一 + v 02-ζコ20 H-(ad)十 2 e一 ( 3 )
ここでV。ーとv 02ーはそれぞれ電子を1個または2佃トラップしている 酸素欠陥を表す。
3 -4 新品センサにおける酸素の脱離特性と素子抵抗の関係
r、
。
二d '-...1
� 国 トト 4採
1 02
o 1
。"、、
5 40\\円
---、\、 8 7
。-- 。
io-1lj
lj
li i i
lj
吸着水量(μmol/g)
図3-3 吸着水量と素子抵抗(2000C )の関係
53 --
処理Bにより吸着酸素量を種々変 化さ せたセンサ素子か らの酸素の界 温脱離クロマトグラムを図3-4に示す。 これらの脱離クロマトグラム は山添ら1 )や江頭ら7 , 8)による報告と本質的には同じである。 前節の水 の場合と同様な方法により、 2000Cでの素子抵抗と吸着酸素量の関係を 調べた(図3 - 5 )。 図より 吸 着酸素量の減少に伴って素子抵抗の減少 が認められる。 また、 200--- 5000C域での酸素脱離に伴って素子抵抗は著 しく減少することがわかる。 これらの結果は江頭られの報告とよく一致 する。
3 - 5 シミュレーシ ョ ン実験により感度変化したセンサの 昇温脱離クロマトグラム
3 - 5 - 1 前処理条件の検討
昇温脱離実験では、 試料表面を清浄にするために通常、 試料は測定温
(凶\〉巴)
(OC)
200
合 会 イ50
-ーーーー ー 500
---一- 550 一一一一一600 一一一-650
800 ぬ0.4
i三 制 召 集0.2
400
温度(OC)
図3-4 吸着酸素量を種々変化させたセンサ素子の酸素の 昇温脱離クロマトグラム
図中の温度は吸着酸素の脱離プロセス温度を示す (3 - 2節参照).
-54 -
度の上限値以上の温度で前処理される 。 しかし、 処理条件によってはセ ンサ特性やS n 0 2の結品子径を著しく変化させてしまう可能性がある ので、 処理条件の選択には注意を要する。 そこで、 本節ではシミュレー シ ョ ン実験後のセンサ( 4500Cで90日間作動したセンサ)と新品センサ について3種類の処理法(C1, C2, C3)の影響を調べた。 これら の処理法のR ^ 1 R (乾燥空気中の素子抵抗〉、 水素感度( R ^ 1 RノRH 2,
R H 2 , 水素導入時の素子抵抗)およびS n 0 2結晶子径への影響をそれ ぞれ図3 - 6、 図3 - 7、 表3 - 1に示す。 これらの図表から、 R ^ 1 R、
水素感度およびS n () 2結品子径はGOOOCでの処理(C 1 )によりほとん ど変化しないが、 7000Cでの処迎(C 2、 C3 )により変化することが わかる。 特に、 7000Cで椴素を導入しない処理(C 3 )によりR八1 R と 水 系感度は著しく変化した。 これらの結果については3 - 7節で詳細に述 べる。 これから本実験の目的にはC1の前処理条件が適当であると結論
した。
1 0
3r--、
。
ぷ10
�'---'
i己 国 トト
機101
図3-5
I
200・c
o
j 9450"C
_/'-'
500"C
0---'-'
5500C /600>C
6500C
0吸着酸素量(μmol/g)
吸着酸素量と素子低抗(2 OOOC )の関係
- -55
( a )
ト
ム
500
....l.
400
---l
300
温度(OC)
....l.
200
「「frrトハυ nυ aSE--
ト
10
(CUA)認国伴wm
ト
/園--.�圃
\ 合;:L:�三、Q
n グ:o \-
zd。 0-
\
口、、,rb
ト ト
ト'トハυ nυ daz--
//./ー・--..___
•
0/Oヘo �
a一一-6 �園
/ム/一 \ ム
口/口
\
口\、
\口
(Cu-)話回仏川wm
ト ト
ょ
300 400 500
温度(OC)
-l
10 200
ン実験後のセンサ レーシ ョ
ン ミ 二L
( a ) と 新品センサ
図3 - 6
に及ぼす処理法の影響 (R八IR)
の素子抵抗 ( b )
口; C 2処理後,
ム; C 1処理後,
-. 56 -
• ; C3処理後.
0;処理前,
(a) 102 生H官号 H悔
ム「と\
,
101圃・
\
圃100 200 300 400 500
温度( 00)
(b)
ハU1Ei \ソ\ \ 、\ \
人\\ \ふ\\
一戸 グ〆
'L nu 'EEi
Mm,働wm耗
nv nu ・2si
ト 一」200」…ω
の
一0度ム初温
500 ょ
図3
-
7 新品センサ( a )とシミュレーシ ョン実験後のセンサ( b )の水素感度(RAIR/RH2)に及ぼす処理法の影響
0;処理前, ム;処理C 1後, 口;処理C2後,
.;処理C3後.
ヴt
Fhd
表3 - 1 新品センサとシミュ レーシ ョ ン実験後のセンサの
S n 0 z結晶子径
(λ)
同町
処理前 処理c 1後 処理c 2後 処理c 3後シミュレーション 221 223 235 233 実験後のセンサ
新品センサ 223 222 233 232
3 - 5 - 2 シミュレーシ ョン実験による酸素および水の脱離特性の
変化
3 - 5 - 1の検討結果にもとづき、 新品センサおよびシミュレーシ ョ ン実験後のセンサについて処理C 1を施し、 酸素と水の脱離特性を比較 した(図3 - 8 )。 図からシミュレーシ ョ ン実験に供した素子では、 酸 素の脱離開始温度が4 200Cから5100Cにシフトし、 200'"'"' 5000C域での 脱離酸素量が減少することがわかる。 また、 3000C以上の温度域におい て水の脱離量(1吸着水量)が減少することが認められる。
l吸着水が減少すると素子抵抗は地加すること(図3 - 3 )および200 '"'"' 500 oCでの酸素脱離によって素子抵抗は著しく減少することから(図
3 - 5 )、 シミュレーシ ョン実験後の素子抵抗の低下は200'"'-'5000C域で の脱離酸素量の減少に依るものと思われる。
3 - 6 シミュレーシ ョン実験による素子の酸化活性の変化
前節では、 シミュレーシ ョン実験により200'"'"'5000C域での脱離酸素量 (吸着酸素量)が減少することを明らかにした(図3 - 8 )。 この吸着 酸素量の減少は素子の酸化活性に影響を及ぼすことが考えられる。 そこ
で、 シミュレーシ ョン実験(450OC )中に酸化活性が変化するかを調べ
nkU 「hd
(a) O2
r"'\
b..O ...
� 0.2
"-...-1
500 600
温度(00 )
t<{n i三
前沼0.0
4忘 4 100
(ω\〉巨)
、ー『 、、、、、、、、、、‘ー ーーーーー『ι一ー ー ー ー,ー (b) I!20
2
純国時辺悠
300 500 700 温度(00 )
ハHvnU 'EEi
。
とシミュ レーシ ョ ン実験後のセンサ の酸素と水の昇温脱離クロマトグラム
(一一一〉 新品センサ
\BJノ
ft、、図3 - 8
さらに、 椴化活性とガス感度の関係についても検討したの
たり
シミュレーシ ョ ン実験中における酸化活性と水素感度の経時変化を 図からシ ミ ュ レーシ ョ ン 実 験 中に酸化活性は低下する 図3 - 9に示す。
この結果は200 しかもその初期に大きく低下することがわかる。
こと、
また、 酸 化
,._ 500 oc域での脱離酸素量が減少したことと良く対応する。
活性の低下に伴って水素感度が増加しており、 両者が良く相関している
ことがわかる。 酸化活性が低下すると、 素子表面部での水素の接触酸化 その結果、
速度が低下するために素子内部での実効水素濃度が増加し、
水素感度が増加するものと考えら れる。
メタンやイソブタ 前章において実使用センサに見られる高感度化は、
114 qJ
ワム/t\
アルコールに対して著しいことを述べた ンに比べて水素、
ガス 種によ って素子表面部での接触酸化 速 度が この原因として、
節)。
イソブタンよりも 酸 化 異なることすなわち水素やアルコールはメタン、
されやすいために 、 素子内部での実効力、ス濃度が素子の 酸 化活性の影響 を受けやすいことが考えられる。
--59-
(X)時けど単機長 70
60
\ / 。 01-
/ \
2.5
2.0
1.5
関心ヤWMG副領収ν一代 ハU154
30 40
「、.ノ、lノ ハU/l、、ハU 日℃
nノM Fhu
』ハー
RU R
μ ft、
時 験 ヨ ン 実
、 ゾ
レユ
、ヅJ
。 10
中における経過時間と 図3 - 9
素子の水素感度および水素転化率の関係
( R ^ I R // R H 2) /' (R八I R /' R H 2)
;水素感度の初期値 水素感度の変化率
(R八IR/RH2)
前処理による酸素、 水の脱離挙動およびガス感度の変化
ウi
nJ
フィールドでの使用やシミュレーシ ョ ン実験によって高 第2章では、
感度化したセンサの特徴として、 素子抵抗の低下が認められる以外に の高温側
R ^ 1 Rのピーク温度と呼ぶ)
R ^ 1 Rの極大値を示す温度(以下、
へのシフト、 高温域でのR^ 1 Rの勾配(以下、 単にR^ 1 Rの勾配と呼ぶ) での水素感度(以 の減少、 およびセンサの実使用作動温度域(3500C ,__ )
の増加が認められることを明らかにした。 本 下、 単に水素感度と呼ぶ)
R八1 Rのピーク温度、
R八1 Rの勾配および水素感度がどのように変化するかをまとめて議論す 節では、 前処理によって酸素と水の脱離挙動、
る。
新品センサの場合、 図3- 7 aに示すように前処理として施した処理
c 1とC 2により水素感度はほとんど変化しないが処理C 3では減少し 同様な結果がR^ 1 Rのピーク温度とR^ 1 Rの勾配についても認められ fこ。
-60-
る。 すなわち、 処理c 1とC 2によりR ^ (Rのピーク祖度とR ^ (Rの勾配 はほとんど変化しなかったが、 処理C 3後、 R ^ 1 Rのピーク温度は低氾 側にシフトし、 R ^ (Rの勾配は増加した(図3- 6 a )。 処理c 1、 C 2、
c 3後の昇温脱離クロマトグラムを図3 - 1 0にまとめた。 処理c 1、
処理C 2後の酸素の脱離開始温度はいずれも4200Cであったが、 処理
c 3後その温度は約500C低温側にシフトした。 他方、 処理C 2、 c 3後 の水の脱離クロマトグラムには両者の間jにほとんど差が認められないが、
処理c 1後のクロマトグラムとは高温域において大きな差のあることが わかるの 同様な結果がS n 0 Gの結品子径についてもみられる(表3 -
1 )。 すなわち、 処理C 2、 C 3後の結lfill子径はほとんど廷が認められ ないが、 これらの結品子径は処理C 1後と比較すると差のあることがわ かる。
4500Cでのシミュレーシ ョ ン実験に供したセンサの場合は、 図3- 6 b, 3-7bに示すように前処引として処理C 2を施した後では、
R ^ (Rのピークの低温側へのシフト、 R ^ (Rの勾配の増加および水素f�)立 の減少が認められる。 同様な傾向が処理c 3後においてもみられる。 処 理c 1、 C 2、 c 3後の昇温脱離クロマトグラムを図3- 1 1にまとめ た。 処理C 1後の酸素のJl党離開始温度は5100Cであったが処理C 2、 C 3後その温度はそれぞれ900C、 1400C低温側にシフトした。 他方、 処理 C 2、 c 3後の水の脱離クロマトグラムはほとんど差が認められないが、
これらの脱離クロマトグラムは処理C 1後のクロマトグラムと比較する と200"-' 6000C域において差のあることがわかる。 同燥な結果がS n 0 G 結品子径についてもみられる (表3 - 1 )。 すなわち、 処理C 2、 c 3 後の結品子径はほとんど差が認めらないが、 これらの結品子径は処理C
l後と比較すると差のあることがわかる。
新品センサとシミュレーシ ョ ン実験後のセンサについての以上の結果 をそれぞれ表3- 2と表3-3にまとめた。 これらの表から、 水の昇温 脱離クロマトグラムとR ^ (Rのピーク温度、 R ^ (Rの勾配および水素感度 の間にほとんど相関のないことがわかる。 すなわち、 後者が変化しでも 前者には変化が認められなかった。 酸素の脱離クロマトグラムの場合は、
_. 61
ぞ0.4
〉 E
( a) 0 2
, s
t4.n
也0.2
鵠 召集.-,/ /
ノ〆 _/
グ
/1,'
/,'
0
300
/ ,J 〆
/....'.
".... , <,-
戸__.... .,_... __
400 500 600
温度C)C)
700
ぞ4�
( b) H20〉 E
、、.『、‘._
『、�.守、『 九\
2
0
純白山刷司恋
100 300 500 700
温度(OC)
図3-10 新品センサの酸素( a )と水(b )の 昇温脱離クロマトグラム
一一一 ; C 1処理後, 一一; C 2処理後,
一-- ; c 3処理後.
62
ト
( a) 0 2 切0.4ト
\ 〉
E ト
,
,
純白0.2 時司
祭 ト
〆〆 /
〆 /
〆〆〆・
f
/
。]300
/ノ /グ --- /// ... /
_...,..- --〆 /
� - /
-r二>--- I /
400 500 600
温度(OC)
ム
700
切
"" 4
�
(b) H20〉
E ::.:;,.--�:-�-ー、「恥ヘ"""-....'"'"--ザ戸-=-��
2 \、
0 凶判的司捻召集
~ー-ーミミ・
『、
100 300 500
温度(OC)
700
図3 - 1 1 シミュレーション実験後のセンサの酸素( a )と 水(b )の昇温脱離クロマトグラム
; C 1処理後, 一一…;C2処理後,
一--;C 3処理後.
63
表3 - 2 新品センサの種々の特性に及ぼす前処理条件の影響
;変化なし
C 1→C2処理による変化 C2→C3処理による変化
酸素の脱離開始温度 約500C低温側へシフト
水の脱離特性 高温域において変化
S n 0,2結晶子径 若干 - 増大
R A 1 R のピーク温度 低温側へシフト
R A 1 R の勾配(400---500 OC) 増大
水素感度( 3 5 0 � 5 00 "C) 減少
R八I Rのピーク温度、 R八I Hの勾配お よ び水素感度と極めて良い相関があっ た。 すなわち、 酸素のJJ見離開始泡度の上昇に伴ってR^ 1 Rのピークの高 温側へのシフト、 R^ 1 Rの勾 配の減少お よ び水素感 度の増加 が認められ
た。 以上のことから、 水の吸着量の変化そのものはセンサの高感度化現 象には、 必ずしも直接関与していないものと考えられる。
3 - 8 素子抵抗の経時変化に及ぼす湿度の影響
第2章では、 シミュレーシ ョン実験後のセンサを室温において加湿空
気中に放置するとR八J R (空気中の素子抵抗)は増加し、 シミュレーシ ョ ン実験前のレベルまでほぼ完全に回復することを明らかにした(図2-
2 2 )。 同様な回復傾向は水の脱離量(吸着水量)についても認められ た(図3- 1 2 )。 すなわち、 シミュレーシ ョン実験中に水の吸着量は 減少するが、 これを室温において加湿空気中に放置すると増加し、 シミュ レーシ ョン実験前のレベルまでほぼ完全に回復した。 この結果は3-3
- 64 -
表3 - 3 シミュレーシ ョ ン実験後のセンサの種々の特性に 及ぼす前処理条件の影響
;変化なし
C 1→C2処理による変化 C2→C3処理による変化 酸素の脱離開始温度 約900C低温側へシフト 約50"C低温側へシフト
水の脱離特性 200 ---.__ 600 oc域で変化
S nO.2,結晶子径 若干 - 増 大
R A I R のピーク湿度 低温側へシフト 低温側へシフト
R ^ r R の勾配(4 0 0 '""'- 5 0 0 OC) 噌大 噌大
水素感度(35 0 -- 5 00 OC) 減少 減少
節の結果(吸着水が増加すると素子抵抗は減少)とは明らかに逆であり、
水吸着によって電気抵抗を増大させるような新しい吸着状態が存在する 可能性がある。 すでに述べたように、 シミュレーシ ョ ン実験に供したセ
ンサでは、 前処理としてC 2あるいはc 3の処理を施すことによって はじめて水蒸気吸着量とともに酸素吸着量が増大した(図3- 1 1 )。
このことと併せ考えると、 酸素と水蒸気が協同してはじめて起こる次の ような吸着が起こっている可能性がある。
H 2 0 (g) + 1 / 2 0 2 (g) + 2 e一 + 2Vo:;:二三 2 0 H -(ad)
ここでV 。は表面酸素欠陥を表す。 なおこの場合でも電気抵抗を増大さ せるのは酸素の吸着であって、 水蒸気はそれを推進する役割を果すもの と考えられる。
「同υPO
nHU -tEA 「J
r-、
ミ史
nu nHu
a担京国土
。
\
0"0
0
"---φ
ーーーーーーーーー一-0 -0--
nHu 「hd
附設当Qv-h
ャ 作動
〉!←-F1R竿.気了ÞlヰliL 一 ー 叶
(150'0) (llz0;37.0mmHg) I
。
。 50
時間(日)
nu nHU 'EEEA
図3-12 S n 02系素子における水の脱離量の経11守変化 試f,.:tσ〕前処理;加湿空気中、 350 0
Cで1時間処理後
そのまま室温まで冷却 測定獄皮; 350 "c � 700 0 C
3 - 9 本軍のまとめ
4500Cで長時間保持すると、 時間経過とともに椴素の脱離開始温度が 高出側にシフトし、 200'"'-'
50 0
0C域
でのJJ見離酸素景が減
少することが明
らかになった。 これは素子の酸化活性が低下することと良く一致するとと
もに 、 シミュレーシ ョ ン実験に伴う素子抵抗の低下や水素感度増大なと
をよく��明できる。
一方、 経過時間とともに3000C以上の温度域における水の脱離量(吸 着水量)も減少することがわかったが、 その挙動はR ^ I Rのピーク温度、
R八1
Rの勾配
および水素
感度
など
の変化と相関
しないことがわ
かった。これらのことから高感度化現象に対しては、 吸着酸素量の減少が主因を な
し
、 !吸 着水 量
の減少は直 接関与
していないと結論し
た。前章でシミュレーシ ョン実験後のセンサは、 室温において加湿空気中 に放置することにより諸特性がシミュレーシ ョン実験前のレベルまで
-66
ほぼ完全に回復することを述べた'.) これについて検討した結果、 加湿空 気中への放置によって吸着点量が増加し 、 シミュレーシ ョン実験前のレ ベルまでほぼ完全に回復することがわかった。 加湿空気中での放置が素 子抵抗の増大をともなうことなどから、 酸素吸着を促進するような水蒸
気の吸着形態が存在するものと考えられ、 吸着式を推定した。
11EE-E J1EL L主二1一一呈温且墜些_\I_E__l2_)_主主温翠孟益(L�_1U
[T P D、 TPRとはfpJ:か ]
界tfulL脱離法(Tempera ture- Pr()grarnmed Desorpt ion 、 TP D)ト1 2 )
とは、 試料の温度を連続的に上昇させた時に吸着分子、 あるいは触媒上 の表面錯体が分解脱離する過程の測定から化学吸着の状態をさぐる非平 衡的方法であるコ 一方、 昇温還元法(Ternperature-Programmed Reduc-
t i (川、 TP R)は昇温時に例えば、 H2等の還元性ガスを流し、 還元性
ガスの消費速度から試料の還元性状を知る方法であるρ
TPD、 TPRにより触媒のキャラクタリゼーシ ョン 、 吸着物質の吸
着状態、の究明、 触媒反応機構の解明、 活性表面積の測定等が可能である。
特に、 1 R等の他の測定手段と併用すれば表面現象をかなり的確に知る ことができるい また、 E S C A等と異なり、 吸着、 反応、 脱離等の操作 を実際の触媒反応の条件に比較的近いところで実施できることも一つの 大きな利点であるつ 一方 、 拡散現象、 表面の不均一性 、 脱離ガスの再吸
着等のため結果の詳細な解析が困難であり、 本法の欠点の1つとなって いたが、 最近、 種々の理論的取り扱いが提案されており、 この欠点も徐 々に取り除かれつつある。
[T P D、 TPRの原理]
分子が均一な表面に吸着し、 脱離中に全く再吸着がおこらない場合を 考えると、 吸着物質の脱離速度r dは飽和吸着量V m" 被覆率。、 脱離速
--67-
度定数k 0の関数として表 される ( 3 - 1式) 。 式からわかるように 、 温度上昇とともに最初は、 脱離速度は増加するが8の減少に伴って速 度も減少し、
r d - V吋I d 8/ d l k 08 exp (- E <i /' R T ) ( 3 - 1 )
。=0でr d = 0 となるつ 従 っ て、 脱離速度を時 間 あ るいは温度の関 数と して記録すると、 TPD曲線( chroma to日ram, profile, spectrum)と
呼ばれるシグナルを得るこ と ができる1 ;ぃ。 TPDには高真空下で脱離 を行うものとキャ リ ヤーガ ス 中で行 う ものがある。 前 者の場合、 検出器
として質量分析器が、 後者の場合、 熱伝導型検出器が通常、 使用されて いる。 試料の吸着方法としては、 パルス法あるいは真空下の定容法吸着 が多用されている1 4 I 円
TPR実験では、 昇温時のキャリヤ一方ス中の還元性ガス成分の濃度 変化を時間あるいは温度の関数 として記録する15)F〉 この場合、 TPD 用の装置をほとんとそのまま用いることができるが、 検出部に工夫を要 する。 例えば、 還元性ガスとし て 水素を用いる場合、 水素濃度を連続的 に検出するためには熱伝導度型検出器の前にH20トラップをつけなけ
ればならないu
[T P D、 TPRで何がわかるか]
まず、 TPD、 TPR法の長所を述べる。 本法では吸着物質の初期被 覆率、 吸着温度、 昇温速 度 、 触媒の前処理条件等を容易に制御すること ができる 。 本法が本来非 平 衡的 方法であること、 さらに微 分 反応管と し て取り扱えるこ と から反応機構に関する知見や速度論的データが比較的 容易に得られる。 実験そのものを大気圧 下で行うことができ、 また触媒
特性の経時変化も容易に測定できる。 次に短所を述べる。 基礎的には速 度論的ノミラメータが決められないこと、 再吸着が一般に無視できないこ と、 TPD、 TPRだけでは表面活性種の同定が困難であること等があ げられる。 実験面では実験条件が実験の反応条件とは異なることキャリ
--68,-
ヤーガスの不純物に非常に敏感なこと等に問題がある。
以上の前提の下に、 TPD、 TPRで何が測定できるかを列記する。
(j) T P Dではピークの数(吸着種、 吸着活性点の識別) 、 脱離温度(結 合状態を反映) 、 および脱離量(表面活性点数、 吸着量)を知ることが できるの また、 吸着物質が反応する場合はその生成物分布から反応性を 知ることができるη ② TPRにより反応成分の検出、 同定、 定量を行 うことができるn ③ 反応が段階的に進む場合、 それぞれの段階を時間 (温度)によって区別できる。 ④ 吸着物質に有効な表面積を知ること ができるけ また、 担持金属の表面積の算出も可能であるυ(5) 反応ある
いは脱離の活性化エネルギーが測定できるヮ ⑥ 触媒のキャラクタリゼ ーシ ョ ンが可能であるけ
文 献
1) N. Yama zoe, J. Fuchigami. M. Kishikawa, T. Seiyama,
Surface Sciece. 86, 339 (1979).
2 ) K. Morishige, S. Ki ttaka, T. Morimoto, Bul1, Chem. SOじ.
Jpn, 53, 2128 (1980).
3) M. Egashira, M. Nakashima, S. Kawasu皿i, T. Seivama.
J. Phvs. Chem., 85, 4125 (1981).
4 ) 江頭、 誠 , 中島真砂代, 川角正八, 日化, 4, 556 (1982).
5) Y. Ma tsuura, K. Takaha ta, K. 1 hokura, Sensors and Actuators, 14, 223 (1988).
6) H. Arai, S. Ezak i, Y. Shimizu, O. Shippo, T. Seiya田a,
Proc. o[ the 1nt. Meeting on Chemical Sensor, Kodansha (1983) P. 393.
7) M. Egashira, M. Nakashima, S. Kawasumi. Proc. of the 1nt.
Meeting on Chemical Sensors, Kodansha (1983) P. 41.
8) M. Egashira, M. Nakashima, S. Kawasumi, Fundamentals and Applications of Chemical Sensors, ACS Symp. Series, 309,
-69 ---
71 (1986).
9) M. Smutek. S. Cerny. F. Buzek. Ady. Ca ta 1.. 24. 343 (1975).
1 0 ) 土屋吾, 表面. 16. 65 (1978);触媒. 21. 79 (1979).
1 1 ) 米田幸夫, 内島俊雄, 御園生誠, 木村邦利, 所康生,
旭硝子工技研究報告. 27. 431 (1975).
1 2 ) 岩本正和, 触媒学会編.触媒講座. 第3巻. (1985) P. 145.
1 3) R. J. Cvetanovic. Y. Amenomiya. Ady. Catal., 17. 103 (1967); Catal. Rev., 6, 21 (1972).
1 4 ) 豊嶋勇, 安盛岩雄, 新実験化学講座, 18. 136 (1978);
豊嶋勇, 応用物理, 36, 534 (1967);豊嶋勇, 梁君達,
橋本政則, 真空, 19, 348 (1976).
1 5 ) N. W. Hurst. S. J. Gentry. A. Jones, Catal. Rev. SCl.
E日記.. 24. 233 (1982).
-70 -
第4章 添 加 剤による般化スズ系ガスセンサの感度安定化
4 - 1 緒言
第l章でも述べたように、 第2あるいは第3成分の添加は選択性等の 改良に有効であり、 これまでに多くの検討がなされてきている。 これに 対し、 感、度安定化を目的として添加剤を検討した例は特許において若干 みられるだけで非常に少なしい- 4)。 そこで、 本章では添加斉IJによる
S n 0 包系ガスセ ンサ の感度安定化を検討したの この結果 、 R eとVの 共添加が素子の経時安定性向上に極めて優れていることがわかったυ
方、 センサを実用化するためにはガス感度特性、 ガス応答性なとの基 本特性や種々の耐久試験性能に問題がないことを確認する必要がある。
そこで、 本章ではR e V 添加素子についてこの確認、も行 ったみ
4 - 2 実験方法
添加物として使用した試薬とその主元素( 3 1種類〉を表4 - 1に示 すじ これらの試薬を水または硝酸で溶解して、 各元素の3.53x10一九
IDO 1/ e 溶液を調製した。 これらの溶液をセ ンサ素子に ( S n 0 �に対し、
各元素が所定量となるよう)滴下して10分間風乾した後、 素子に埋め込 まれたヒーターコイルにより60QOCで5分間空気中で焼成した。 第2 あ る いは第3成分を添加していない素子(以下、 無添加素子と呼ぶ)も焼成 による熱経歴は同じにした。
耐久試験として常用の、 1 . 水素加速試験, 2. S 0 2試験, 3. フ
ロン試験, 4. ヘアスプレー試験, 5. 殺虫剤試験を行った。 これらの 試験条件を表4 - 2に示す。 1と2の試験はガス漏れ警報器検査規程5 ) 中のそれぞれガス中通電試験と腐食試験を参考にした。 前者は地下街の 厨房などの過酷条件を擬した も のであり、 後者は都市力ス中に含まれる
S 0 2に対する耐久性をみた もので ある。 3 , 4, 5の試験はそれぞれ 冷凍機の冷媒に使用されているフロン2 2 、 一般家庭で使用されるヘ ア スプレーおよび殺虫剤に対する耐久試験である。 これらの耐久試験とガ ス感度特性、 ガス応答性などの基本特性の測定はいずれも実用回路
元素
Al
P
S
Ca
Ti
V
Mn
Fe
Co
N i
Cu
Zn
Sr
Y
Zr
Nb
表4 - 1 試薬の一覧表
試薬 グレード1f�li 会社名 元素 試薬 グレードiたli 会社名
純度 純度
硝骸Tルiニウム 特級 ワコウ Mo 五嵐化モリプデン 特級 ワコウ
リン酸 特級 キシダ Pd ,\jジウム 98 99% �ï?
硫酸 特級 キシダ In インジウム 99.98% ワコウ
硝酸カルシウム 特級 7コウ Sb 五ほ化アンチモン ワコウ
四底化19') 特級 キシダ ßa 硝酸パナジウム 特級 ?コウ
パナジヴム 99.5% 7コヴ La 99% ワコヴ
7ンガン 99.95%以上 ?コウ Ce セリウム ワコウ
鉄 99.99% ワコウ Pr 硝酸17けジヴム 99.5% ワコウ
コバルト 99.99% ワコウ Sm 硝険サ7リウム 99.5% ワコヴ
ニ7ケル 99.95%以上 7コウ Re レニウム 99.99% �ï?
銅 99%以上 7コウ Os =風化オスiウム 99.9% レ7J9 硝椴亜鉛 特級 ワコウ Pl プj1ナ 95%以上 ワコヴ
硝酸ストロンチヴム 特級 ワコウ Au 極化金酸 特級 7コヴ
硝酸イ7トリウム 99.9% ワコウ Pb 硝目安鉛 特級 � ïワ
四底化ジルコニウム ?コウ Bi ヒスマス 99.99% ワコウ
ニオ7 99.5% ワコウ
ワコウ;和光純薬工業(株) , ミツワ;三洋和化学薬品(株) , キシダ;キシダ化学(株) , レアメタ: レアメタリック社
一一72 --
表4-2 各種耐久試験の試験条件
雰 閉 ヌ1=、
試験名 試験刀.ス j品混皮 回路条件 試験期間
(濃度)
水素}J[J迷試験 水素 SOOC, Vc:110V 30日
( O. 1 % ) 40%. R.II VH;1. 21V
S 0.2. 試験 S 0.2. IsTuz,Jtm臼11r� �町1陸 Vc;100V 12日
( 0.4ppm) VII : 1 . OV
フロン試験 フロン22 市�i皿臼,品�!!,.. 企目�II! Vc;100V 3日
( 500ppm) VII : 1 . OV
へアスプレー試験 へアスプレー 口��. Wt 1;� i企FI守包 Vc:100V 3日
(0.3% ) VII: 1 . OV
殺 虫剤試験 殺虫剤 凶11斗;i 回� 1l��同E位 Vc;100V 3日
( (). 3完) VII: 1. OV
へアスプレー;花王(仰製ケープ, 殺虫剤;大日木除虫菊附製キンチョール
73 --
(第2章, 2 -2節参照、)を使用した。
4-3 各種添加物の経時安定性に及ほ-す影響
種々の試薬(元素)をS n 0 2に対し1. 46 mol %添加した素子の経時 安定性を調べた。 添加素子および無添加素子を4500Cにおけるシミュレ ーシ ョン実験に20日間供した後、 4000Cにおいて0.3%水素中での素子 抵抗(R H 2)および空気中での素子抵抗(R^IR)を測定し、 実験開始 時におけるそれぞれの値と比較した。 図4 - 1に各素子についてそれぞ れの変化率((RH2)F/ (RH2)1, (R^IR)F/ (R^IR)I)を求めた結 果を示す。 ここで括弧の添え字IとFはそれぞれシミュレーシ ョン実験 前後の値を表す。 図からいずれの試料もRH2の変化率は1.0以下であ るが、 いずれも無添加素子の値(O. 4 2)より大きいことがわかる。
nu -BEE-- 「anγ La
-L Pa
Ce N i
•
ミ0.8
�
'-ノ
ミ0.6
Lu nγ
.Ti
〆'""' N ヱ
Cピ '--" O. 4
0.2
0.4 0.6 0.8 'EEA nυ 1 .2 1 .4
( R A 1 R) F // (R A 1 R ) 1
図4 - 1 各種元素を添加したS n 0 2系ガスセンサの経時安定性
R八(R , 空気中の素子抵抗, R H 2 ; O. 3 %水素導入時の素 子抵抗. (括弧の添え字I、 Fはそれぞれ初期値と最終値 を表す) センサの作動組度と作動日数; 45 OoC, 20日間,
測定時の作動渇度: 400()C.
換言すればいずれの添加物もRH �の低下を完全に止めることはできない が、 多少ともそれを抑制する効果があるけ 特に、 Re, V, Niを添加 した素子のRHゴの変化率はそれぞれ 0.76. 0.73. O. 69であり、 その効
果の最も大きいことがわかるり 一方、 RA 1 Rの変化率については、 1. 0 以上の値を示す添加剤(Ti, y, Ni, Y1o)もあり、 添加斉IJによっ ては高抵抗化を起こすこともあるが、 1.0以下で旦つ無添加素子の値
(0.53)より大きし1け これら大部分の添加斉IJはRH2の場合と同様、 RA (R の低下を抑制する効果があることがわかるけ 実用的観点から本研究の目 的に合致するセンサの経時安定性の条件は、 まず第1に高抵抗化しない こと(高抵抗化すると警報ガス濃度が増加してフェイルセーフでなくな り防災上、 大きな問題となる) 、 第2に低抵抗イヒ(特にRH�の低下)が なるべく小さいことの2点であるつ 図4 -- 1からこれらの条件に最も合 致している添加斉IJはレニウム、 ついでパナジウムであることがわかる、
以下ではこれら2つの添加剤について検討した円
4 - 4 R e とVの安定化効果
4 -4 - 1 単独成分の添加における添加量と安定化効果の関係
本節では、 レニウムとバナジウムを単独で添加した素子について経時 安定性を詳細に検討したη センサの作動温度(シミュレーシ ョン実験温 度)は前節と同様4500Cとし、 測定は4000Cで行なった。 レニウムをO�
4. :3 4 m () 1 �1)添加した素子のRHどとR1\ 1 Rの経時変化をそれぞれ図4- 2
と図4-3に示すL' これらの図から経時安定性はレニウム添加量に依存 し、 添加量の少ない素子で添加量の増加とともに素子抵抗の経時的低下 傾向が次第に減少、 ある添加量( 2. 17 m 0 1 96 )でほとんと安定化するこ とがわかるつ しかし、 それ以上の添加はかえってRH 2とR八IRの経時的 高抵抗化を引きおこし、 この傾向は添加量の増加とともに増大した。 図 4 - 2と図4-3から2. 17mol?1)が最適であることがわかる。
パナジウムについてもレニウムと同様な実験を試みた。 パナジウムを 0'"'-'4. 34mol9-í)添加した素子のR H�とR八IRの経時変化をそれぞれ図4- 4、 4 - 5に示す。 これらの結果は定性的にはレニウムと全く同様であ
「Dヴl
2.0
「J-EE--a nu 'EaEA
0.5
申出\HZ出
80 H守問 (日)
S n 0 2系プfスセンサにおけるR e添加量と
nu pnu
10
。 20
図4-2
長JVJ安定性の関係
;初期値 R 0
被倹プfス; 0.35 % H 2 ,
。; 3.10,
: 0 ; 4.34,
(mo J % )
R e添加量
圃;無添加l  ; 0.95,
口; 2.17,
2.0
1 .5
1 .0
0.5
自民\54出
40 時間(日)
S n 0 2系ガスセンサにおけるH e添加量と 20 60
。
図4-3
長期安定性0)関係
- 初期値 R 0
nl!J定雰四気;空気中,
ム; 3.10.
: 0 ; 4.34.
圃;然添加 (mo 1 % )
 ; 0.95.
1\ e添加量
口; 2.17.
- 76 -
2.0
nu -EEA
1 .5
rJ
nu 。出\NE出
10 GO
11守問(日)
S n 0 2系ガスセンサにおけるV添加!量と 20 80
。
図4-4
長j旧安定性の関係
;初期値 H 0
被倹プfス; 0.3S%H2•
ム; 3.10.
: 0 ; 1.31.
(mo 1 % )
V添加1:lf(
圃; 1!�添加l Å ; O.9S.
口; 2. 17,
~一一一一0____0-一一一一一o ムー--6----ム~一一一一ム
「寸ー一ーーーーーーーーー�-ーーー
一一一
A一一一一\ベ二足
----・一一一・---.
2.0 1 .5
nu 'EEA
申出\幅二回
0.5
nu phu 80
40 11守問(日) 20
。
S n 0 2系ガスセンリーにおけるV添加l量と 図4- 5
長JVJ安定性の関係
;初WJ値 H 0
DtIJ定雰凶気;空気中,
6 ; 3.10.
圃;無添加l : 0 ; 4.34.
Å ; 0.95.
(mo 1 % ) V添加!量
口; 2.17.
--77 --
2. 1 7 01 01%であった 。 その最適量は
り、
水素}Jfl速試験における安定性
ワム
A斗A4
次に、 水素加速試験に対するレニウムとバナジウムの添加効果を訪jべ パナジウムまたはレニウムとパナジウムを共に た 。 試料にはレニウム、
これらの素子のR H 2
添加した素子と比較のために無添加l素子を用いた。
の経!侍変化を図4 - 6に示す 。 水素}JU速試験の結果、実�ç添加l:j長子のR H 2 その他の素子では極めて安定であったり これらの
は著しく低下したが、
mo1 %バナジウムを共に添加した 素子の中で1. 46 mo1%レニウムとO. 71
のR H2が最も安定であったこと R e -V添加素子とi呼ぶ)
素子(以下、
から、 以下の実験に使用した素子のレニウムとパナジウム添加l歪はこれ らと同じ条件にした 。
性三三トでで民ミイ三日
一 、一 一。
� ---ー
。/
水素力IJ 迷試験 '・一自然大気中耳i m --
'T4A nU 由民\NZN円 nHU nu 'BEA
時間(日)
水素加速試験に対するレニウムとパナジウムの添加効果 60
20 40
。
'BBA nHu
nU
図4 - G
V 口; 2.17 mo 1 % ム; 2.17 mol% Re
0;
V Re-O.71 mol%
• ; 1.46 mol%
V
R 0 ;カIJ :iili試験i直前のR H 2
--78 Re - 1 .46 mo 1 %
,,. Hn
被検ガス; 0.35%
Å ; 0.71 mo 1 %
R 112以外の経時変化に対するレニウムとバナジウムの添加1�1J 同級に、
来を調べた。R c -V添加1*子と11!�添加奈子のR ^ 1 R (空気'-1'の素子11\jJ'L ) 、 エタノール導入 イソブタン、
R E l () 11 (それぞれメタン、
R 10、
R C 114、
図には比較のためにR 112 の経時変化を図4-7に示す。
時の素子抵抗)
R CII4、
R ^ I R、
1nç添加素子ではR H 2と同様、
トし7こ。
の経時変化もプロ ッ
V添加素子ではいずれも桜 R e
R E l 0 Hの低下が認められるが、
めて安定であった。
R I D、
実使用条件下での長期安定性
qG 4
A吐
センサを自然大気中で長則間作動させた場合のレニウムとパナ 次に、
R e-V添加素子と11\�添加
無添加素
b )無添加素子
\; -:\ ;
I
l ~\ ! .--Air
! \\}
//l水素jJU速試験:
に7正常な作動J
a ) Re-V添加素子
レト一一一;一一Alr
(水素)J[J速試験l
~正常な作動ァノ
ロ庁院長牛民 間H2
什令下←会 会 j
合 引.8.と同様、
水素加速試験(図4-7)
100 図4-8に、
(αぷ)場堀川巾併 ジウムの安定化効果を調べた。
素子の長期安定性を示す。
100
α ぷ-- 10
� 単語 トト 機
i i
60 80 向。
。 20 60 80
向。
。 20
時間(日) 時間(日)
水素)JU速試験に対するレニウムとパナジウムの添加効果 3 5 %.
79 - 被検ガス濃度; O.
図4-7