愛総研・研究報告
第5号 平 成 15年 19
プラスチック用導電性充填弗
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としての研麟粉に関する研究
(2)
研磨粉充填エポキシ樹脂の熱安定性
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1.はじめに 我々は,研磨工程から排出される研磨粉を回収,洗浄 してエポキシ樹脂に添加することにより,導電性硬化物 を得たこと,また,プレポリマー混合物に磁場を印加す ることにより硬化物の導電性が改善されることを見出 し,研磨粉量とプレキュア温度が導電性に与える影響も 検討した1) これらの導電性硬化物については発熱体としての用 途が考えられるため,熱安定性の検討が必要である.加 熱中のエポキシ樹脂の劣化や,研磨粉によって形成され た導電路の切断などによって抵抗値が変動する恐れが あるからである.一方P抵抗値の温度係数が正で大きい 場合は自動的な温度調節機能を持つ発熱体とすること ができるーこのようなr
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材料としてはカーボンブラック/pp
系の商品が開発 されている. *愛知工業大学総合技術研究所(豊田市) 村愛知工業大学 工学部応用化学科(豊田市) ***愛知工業大学工学部機械工学科(豊田市) そこで,本報告では,研磨粉/エポキシ系硬化物の抵 抗の熱安定性を加熱サイクノレテストによって観察し,ま た,抵抗値の温度変化曲線を求めた結果2)について述べ る. 2.実 験 2・1 試料の調製 注型硬化実験1)で得た硬化試料を利用した 硬化試 料から紙製の注型容器を剥離し,直方体(幅2. 0cm
,長さ 2 8cm
,高さ約 O. 8c
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(研磨粉量によ ってわずかに変動する.) )の硬化樹脂を得た. この南 端に F i g. 1に示したように抵抗測定用の端子(ボ ルトナット)を取り付けた.なお, F i g. 1には前 報での磁化の方向を矢印で示した. 本研究では, (1) 研磨粉量, (2) 磁化電流,および (3 )プレキュア温度,の 3因子のそれぞれの影響につ いて解析することとした.そのため硬化試料から次の条 件で調製した試料を選んだ. (括弧内は変化させない困-T(OC) --<rSOllhr -0-120phr .... 150phr 200 Hi()~ o O ) @ 込. 3 100
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自 由 ~HJ宝
9 曲 8 ~ 1号車
~ 5 0::: 4 ~ 3: !; 2 0 .!!! 1 比1 0 0 4 3 子の共通設定条件を示す.) ( 1 )研磨粉量 (phr) 8 0, 1 2 0, 1 5 0 化電流 5 A,プレキュア温度 16 OOC) (2)磁化電流 (A) 0, 1, 2, 5, 1 0 (研磨 粉量120phr,プレキュア温度 1600C) (3 )プレキュア温度 (OC) 1 0 0, 1 3 0, 1 4 5, 1 6 0 (研磨粉量120phr,磁化電流5A) ここで, lphrJは樹脂1 0 0g当りのグラム数, 磁化電流o
(A)は全く磁化をしない場合9 を示す.ま た,プレキュア温度とは,1
プレキュア温度/3
時間十 1 6 00C / 3時間」の2段加熱硬化プログラムでの前段 階の加熱炉温度を示すa なお,この段階でエボキシ樹脂 は硬化発熱ピークを示し,試料温度が一時的に設定炉温 よりも高くなることがあったため3必ずしも試料温度を 正確に示すものではない.なお,ここで使用した硬化試 料は上記の調製条件の変動にかかわらずガラス転移温 度Tg (D S C 法)が 174~1760C の範囲にあった. (磁 2 " 2 加熱サイクノレテスト 試料を加熱炉(島津熱風定温乾燥機S t a k - P 4 5 M)にセットして抵抗計に接続し, 11 5 0 oC/ 1 0時 間+室温/ 1 4時間」の加熱/室温サイクルを繰り返し ながら抵抗値を連続的に測定した.F
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Fig.2 2 " 3 抵抗値の温度依存性の測定 加熱サイクノレテストが終了して安定化した試料を使 用した固試料を加熱炉にセットして抵抗計と接続しp加 熱炉の温度を室温より逐次段階的に加熱し,各温度での 試料の抵抗値を測定したなおp抵抗値の安定化のため, 各温度で3 0分保ってから測定を行った. 値とその経時シフト(
F
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,F
i g.3
)
,およ び (2)加熱インターパルで、の室温での抵抗値のシフト (Fig.4)の両者で判定することとした. Fig園2, (a), (b) (c)は 3種の因子をそれぞれパラメ ーターとした加熱サイクノレテストの結果を示す.ここで 台形のプロットは温度を示す.なお,室温での経過時間 は同図の時間軸には算入していない. 3. 結果と考察 3 " 1 抵抗値の熱安定性 抵抗値の熱安定性については (1)1500Cでの抵抗プラスチック用導電性充填剤としての研磨粉に関する研究(2) 21 いずれの場合においても,加熱時に抵抗値が著しく増 加すること,および,最初の加熱サイクルでは,恐らく 硬化反応のため抵抗値が変動するが,加熱サイクノレを繰 り返すことにより,逐次,定常的なパターンに収放する ことがわかる.一方,定常的なパタ}ンにおいても加熱 時に抵抗値が徐々に低下するが,室温からの再加熱によ り加熱初期の値に回復していることがわかる.このよう な現象は,研磨粉の碇集状態の熱的な可逆的変化による ものと推定できる.加熱中のこのような凝集状態の変化 による抵抗値のシフトは熱可塑性高分子/カーボンブ ラック系について紹介されている3) Fig. 2 (a)は「研磨粉量Jをパラメーターとし たものである.研磨粉量が多い場合は,加熱しでも抵抗 値の変化は少ないが,研磨粉量が少ない場合は加熱によ る抵抗値の変化が大きいことがわかる Fi g. 2 (b)は「磁化電流」をパラメ ターとしたものであ る.磁化電流が大きい場合は,加熱しでも抵抗値の変化 は少ないが,磁化電流が小さい場合は加熱による抵抗値 の変化が大きいことがわかる Fig. 2 (c)は 「プレキュア温度」をパラメータ としたものである. プレキュア温度が高い場合は加熱しでも抵抗値の変化 は少ないが,プレキュア温度が低い場合は加熱による抵 抗値の変化が大きいことがわかる. このような個別的な結果を総合的に考察するため,F i g. 2の各結果に「標準化操作Jを加えて F i g. 3に誘導した.すなわち, F i g. 3は,各試料につ いて,抵抗値Rを,平均室温抵抗R0 (加熱インターパ ノ レ5点と加熱サイクルテスト前後 2点の合計 7点の室 温抵抗の平均値)との比 (R/R0)に変換したもので ある.また,同図では
R/Ro
を対数表示とした. このように変換することにより,各因子の効果を共通 のベースで比較することができる. 0.8 0.7 0.6 0.5言
0.4 註 0.3 -EJf02 0.。
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F i g. 3では,試料群が,r
フPレキュア温度jによ ってグル プ分けされていることがわかる.プレキュア 温度が 16 oOCの試料のグラフはほぼ束状に集約され ている.したがって,プレキュア温度が1600Cである 限り,研磨粉量や磁化電流が変化しでも(無磁化の場合 を含む園), R / R 0への影響は限定的で,試料は同程度 に安定であることがわかる.プレキュア温度が低く, 1 OO~1450C の場合は,加熱時に R/Ro が大きく増 加し,抵抗の熱安定性が低いことがわかる. このように変換することによって,異常な測定値の判 別が容易になると思われる.例えば,同図中の第 1~第 2加熱サイクノレで下方に外れている測定値(磁化電流 5. O Aの試料 (Fig. 2 (b)))については,測定に際 して何らかの異常があったと推定できる. F i g. 4には F i g. 3から加熱インターパノレで の室温での測定値についてのR/Ro
のみを抽出し,加 熱サイクノレ(累計加熱時間として表示)との関係を示し た.加熱サイクル毎にR/Ro
はランダムに変動してい るが特定の方向へのシフトはなく,その変動範囲は:1:30%
以内であることがわかる.ただし,プレキュア温度 の低い試料はやや変動が大きい. (。
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3 . 2 抵抗値の温度依存性 F i g. 5 (a), (b), (c)はそれぞれp 研磨粉 量,磁化電流,および,プレキュア温度をパラメーター として,抵抗値と温度の関係をプロットしたものである. いずれも,上方に凹状の曲線を示すことが輿味のある 点である.幅広い極小ピークが 50~100oC の範囲に あることがわかる.実用的には極小点よりも高温側の特 性が重要であると思われる. Fig. 5 (a)は「研磨粉量」をパラメーターと したものである. 同図から,研磨粉量が多いほど曲線 は下方に位置して抵抗値が低いこと,および,1
50
0C
付近から抵抗値が急激に上昇することがわかる F ig. 5 (b)は「磁化電流Jをパラメーターとした ものである. ここでは,磁化電流が大きいほど,曲線 は下方に位置して抵抗値が低いことがわかる. F i g. 5 (c) は,r
プレキュア温度」をパラメーターとした3 -<t-BOphr す 120phr 平 150phr 200 骨 10A ... 5A す 2A 平 lA 骨 OA 200 吾ー1000C 噌 1300C ... 1450C -'>'-1600C 2
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2.5 ものである. F i g. 5 (a), (b)と比べ低温側 の傾斜が少ないが,やはり極小値を持つU字型曲線を示α
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50 100 150 Temperature(C) (b) 10 a u マ ' a u R J V A m・ 。
u η ι α U 4 ) 8 5 甘 志 の 庄 一 目 宮 古 ω 白。
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150 Temperature(OC) (c) している.また,プレキュア温度が高いほど曲線は下方 に位置し抵抗値が低いことがわかる. ここでも,熱安定性の場合と同様に,基準抵抗との比 に変換して各因子の影響を総合的に解析することとし た.そのため, F i g. 5 (a), (b), (c) の各曲 鰻の抵抗値Rを各曲線の極小値Rmin.との比 (R/R min. )に変換し,更に,対数表示して F i g. 6の「標 準化温度出親jに変換した. F i g. 6から,この場 合も,プレキュア温度によって試料がグループ分けされ ていることがわかる.プレキュア温度が 1600Cの場合 の各試料のグラフはほぼ束状に集約されており,研磨粉 量や磁化電流の影響は限定的であることを示している. 0.8 モト1600C,80phr .... 1600C す 1600C,150phr "._ 160oC, 10A 骨 1600C,2A 昔 1600C,lA -+-160oC, OA ... 1000C 品 1300C ..,.1450C "20.6 E 広 、 、毛
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また,これらの標準化温度曲線はほぼ相似形でp プレ キュア温度が低い場合は低温側へシフトしていること がわかる.したがって,プレキュア温度の低い試料は温 度上昇の影響を早期に受けることとなる. カーボ、ンエポキ、ン系硬化物は,皮膜またはソリッド抵 抗体の基礎素材である.中村ら引は,カーボンエポキシ 系皮膜抵抗体の抵抗値の温度変化について詳細に検討 し,温度特性が,極小伎を持つU字型曲線を示すことを 実験および理論で明らかにした.中村らによれば,この 場合,低温側で抵抗値が上昇するのは,カーボン粒子聞 の導電性が熱活性型であり,低温になるほど抵抗値が増 大するためである.また,高温側で抵抗が増大するのは 樹脂の熱膨張によるカーボン鎖の切断によるものであ る.更に,抵抗が最低になる温度はこれらの荷過程の競 合が鋭敏に現れる点である. 本研究の研磨粉・エポキシ系の試料についても上記カ ボン充填剤の場合と同様なU字型曲線が得られたた め,基本的な温度変化メカニズムは同じであると思われ る. 前節の結果と併せると,プレキュア温度は硬化物の抵 抗の温度特性(加熱安定性と温度依存性)をコントロープラスチック用導電性充填剤としての研磨粉に関する研究(2) 23 ルする重要な成型条件で、あるといえよう.これに対して, 研磨粉重量と磁化電流は硬化物の抵抗値の絶対値には影 響するが温度変化比には影響が少ないと思われる. 4. 結 論 研磨粉eエポキシ系硬化物について, (1)研磨粉量, (2 )磁化電流,及び (3)プレキュア温度9 が硬化物 の抵抗値の熱安定性と温度特性に与える影響を検討し た. 加熱サイクノレテストにより,熱安定性については以下 のことがわかった. ( 1 )室温での抵抗は1500Cの加熱処理に対して安定 である. (2 )昇温による抵抗の増加比は成形時のプレキュア温 度でほぼ決定される.高いプレキュア温度で成型さ れた試料ほど昇温による抵抗値の増加が少ない. ( 3)加熱中,抵抗値は,初期の加熱サイクルでは残留 硬化反応によると思われる低下が見られるが,逐次 定常状態に至る. (4)加熱中の抵抗値は,定常化後も徐々に低下する傾 向があるが,室温に冷却後,再加熱すると前サイク ノレの加熱初期の値に回復する.この現象について著 者らは,研磨粉の凝集状態の温度的な可逆変化が繰 り返されていると推定している. 温度特性については以下のことがわかった. ( 1 )各試料の抵抗値の温度曲線は極小値Rmin.を 50 ~ 1 OOoCに持つU字型を示す. ( 2)抵抗値R と極小値 Rmin.との比 (R/Rmin.)を 温度に対してプロットした「標準化温度曲線」は, プレキュア温度の影響を大きく受け,高いプレキュ ア温度で成型された試料の曲線は高混側