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酸化物半導体を用いた窒素酸化物ガスセンサに関す る研究

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Academic year: 2021

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酸化物半導体を用いた窒素酸化物ガスセンサに関す る研究

著者 山田 靖

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 26

ページ 109‑111

発行年 2005‑03‑11

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1333

(2)

氏名 。(本

)  

  

     

(愛知県)

学位 の種 類

 

 

 (工

)

学位 記番 号

  

工博 甲第

  253  

学位授与の日付

  

平成 16年 3月 24日 学位授与の要件

  

学位規程第5条第 1項 該当 研究科,専攻の名称

  

電子科学研究科

 

電子材料科学

学位論文題目

  

酸化物半導体 を用いた窒素酸化物ガスセンサに関する研究

論 文 審 査 委 員   (委 員長)

教 授 邊 健

 

教 授 中 義 式 助教授 上 健 司

 

教 授 田 正 教 授

 

 

 

健吉郎

論 文 内 容 の 要 旨

自動車等の燃焼装置から排出される有害ガスは、燃焼の改良や触媒等の後処理装置の開発 により、

近年その濃度は大幅に低減 しているが、一方台数の増加が顕著であるために大気環境での濃度は十 分低下 してお らず、一層の低減が必要 となっている。排出される有害ガスの主な成分は、NOx(窒 酸化物)、 CO、お よび炭化水素であるが、それ らの中でNOxは、人体や動植物 に対 してppmレ

ルの低濃度で も毒性が高いだけでな く、高温燃焼時に化学平衡反応 により空気中のN2と 02から生 成 されて しまうこと、また一度大気 中に放出されると酸化性 ガスであるために容易 に除去で きない ことか ら、特に問題 となっている。そこで、小型なセンサを用いてNOxの濃度 を検知 し、燃焼系や 処理系 にフイー ドバ ック制御 を行い、その濃度 を低減 させることや、あるいは大気中に放出された

NOxを人間の居住空間へ流入 させないように制御することが重要 となっている。

本論文では、NOx濃度 を検知する小型なセンサに関 して行 った研究成果 を述べている。特 に低濃 度での感度や簡易なデバイスであることに加 え、高温で安定であることに着 目し、酸化物半導体 を 用いた抵抗変化型NOxセ ンサの研究 を行 った。

1章では、まず 自動車における排 ガス規制お よび排 ガス浄化の方法 について説明 し、それに対 するガスセンサの役割に関する現状 についてまとめ、解決すべ き技術課題 について述べている。

続いて第2章では、酸化物半導体の伝導機構お よびガス検知機構の概要を説明 し、NOxセ ンサの 研究指針 をまとめている。

3章では、 自動車の排 ガス管 に直接装着する排 ガスセンサを目的 とし、主にセンサ材料 に関す る研究結果について述べている。ここでは、多元スパ ッタリング法 により作製 したスピネル型結晶

‑109‑

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である薄膜 Zn2Sn04を ベース とした抵抗変化型センサについて、基本的なN02検知特性 に加え、共 存 ガスの影響や、エ ンジン排ガス中において特性 を測定 した結果 を示 してお り、数十か ら数百ppm

N02を検知で きる可能性 を示 している。また、還元性雰囲気 における耐熱性 について実験的に調 べた結果、還元性雰囲気

600℃

の耐熱性が確認 されたが、それより高い温度ではセンサ材料が還元 さ れて しまうことがわかった。

4章では、一層の耐熱性 を求めて、5価金属元素 を添加 した薄膜 Ti02を 用いたN02センサを 試作 し、良好なN02検知特性 を得 ることがで きた。またその動作機構 について電子物性的に考察す ることを試みた。その結果 として、Nb又Taを添加 したセンサは、数 江%の添加 により電子濃度 が高 くなることにより、N02感度が高 くなることが推定 された。 またNb添加量の増加 と共に生 じ た挙動 を、その添加量や検知するN02と の相互作用で変化する感ガス膜の電子物性値 を仮定 して、

センサ抵抗 を推定する計算 を行い考察 した。続いて、還元性雰囲気へ02またはN02を添加 した際 の挙動か ら、N02感度が現れる機構 を説明 した。 さらに昇温脱離法によりN02の放出特性 を調べ、

Nb添加の有無で、その特性 に差がないことを示 した。最後に酸化性および還元性雰囲気において

800

℃までの耐熱性があることを確認 した。

5章では、新たな多元系の金属酸化物 を用いて、大気環境用の低濃度N02セ ンサに関 して研究 した結果について述べている。ここでは、

Zn、 sn、

Sbの 3種類の金属元素か らなる酸化物 に着 日し、

これ らの組成比 とN02検知特性 との関係 を明 らかにし、ZnSb206を 中心 とした組成 とN02感度 と の関係 を考察 した。また、灯油 を用いた暖房器具か ら発生するN02を検知で きる可能性があること を示 した。さらに、センサの感ガス膜の作製方法についても検討 し、多元スパ ッタリングによる方法 に加え、真空装置 を用いない方法 としてスクリーン印刷法 による作製方法 について も示 した。

6章では、Sno2を用いたN02センサの高機能化 について述べている。前半では、スクリーン 印刷法により作製 したSno2センサについて、センサ温度 を過渡的に変化 させ、その温度変化時に観 察 される過渡状態の特異的なセンサ抵抗波形に着 目した。そ して特定の温度範囲で、その過渡波形の 特性量 とN02濃度 との間に相関がある結果 を示 している。 また、その挙動のセンサ材料 による比較 や、材料のN02の吸着・脱離特性 との関係について考察 した結果についても述べている。後半では、

接触燃焼型の炭化水素センサ との組み合わせ により、選択性 を高める方法 について も示 している。

最後 に、 これ らをまとめた結論 を第7章で述べている。

以上のように、酸化物半導体 を用いたN02セ ンサに関 して、新たに耐熱性の高いセンサ と高感度 なセンサを見出 し、その動作機構 について考察 した。また、従来のセンサ単体の特性から濃度を推定 する方法 に替わる高機能化 に関する新 しい方法 を考案 した。

‑110‑

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文は、自動車や工場か ら排出される有害な窒素酸化物 (NOx)を 検知するための抵抗変化型ガス センサに関する研究について述べてあ り、高温動作や耐熱性の確保のために、酸化物半導体 を用いた センサに着 目したものである。

1章では、 自動車 における排 ガス浄化 に関する経緯についてまとめ、その中で、本研究の位置 づけを述べている。続いて第2章では、酸化物半導体の伝導機構、ガス検知機構の概要、NOxセ サの研究指針 を説明 している。

3章では、自動車の排 ガス管に直接装着する排 ガスセンサ として、ス ピネル型結晶である薄膜

Zn2S■04を用いたセンサのガス検知性能を述べ、自動車のエンジン排ガス中で使用できる実際の可能

性 を示 した。 しか し還元性雰囲気での耐熱性は

600℃

程度 に留 まっていることを実験的に確かめ、そ の理由について耐熱性限界が、酸化物の還元 によるもの と考察 している。第4章では、耐熱性 を高 めるためにセンサ材料 としてTi02に着 目し、Nb、Ta等の添加物 により原子価制御 し、センサ とし て成 り立たせることを述べている。またここではそれらの添加物のメカニズムについて踏み込んで検 討がなされてお り、アレニウスプロット、抵抗変化のシミュレーション、ガスの吸着・脱離、還元性 雰囲気 を用いた挙動解析 についても示 され、添加物 による効果が電子物性的な効果を与えるものと結 論づけている。なお耐熱性 は

800℃

を越 える程度 まで上昇 したことが確かめ られている。

5章では、自動車室内のような比較的清浄な空間を維持するための換気制御 に用いる低濃度N02

センサに関 しては、新たに

Zn¨

Sn‐Sb‑0を用いた多元系の材料 を見出 したことと、その製造方法につ いて述べている。その中で、組成比 と主な結晶系 との関係 を明 らかにしている。

上記のガスセンサの材料その ものの開発 に加 え、センサの高機能化 に関する研究結果が第6章 述べ られてお り、Sno2を用いたセンサはN02中において、過渡温度変化時に特異的な抵抗波形が 現れることが初めて見いだされ、記述 されている。その中で、N02の有無、温度範囲、センサ材料 による波形の違いについても述べ られてお り、その原因がガスの吸着・脱離に基づ く現象 と考察 して いる。一方、接触燃焼型の可燃性ガスセンサが酸化性ガスであるN02に原理的に感度がないことに 着眼 して、選択性 を改善する方法 を述べている。

最後の第7章では、論文全体の内容 を総括 している。

以上のように本論文では、NOxセ ンサに関する幅広い研究 を行い、それ らの成果について述べて お り、エ ンジン等の発生源へ適用するセンサに関する内容だけでな く、大気環境用のセンサや高機能 化 に関 しても新 しい知見 を示す。本論文は大気汚染の低減や健康の確保 に工業的に大 きく貢献するも

のであ り、博士(工)の学位 に相当する内容であると認定する。

‑111‑

参照

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