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ラット脂肪細胞とヒラメ筋におけるインスリン情報伝達機構に対する百日咳毒素の影響

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Academic year: 2021

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Title

ラット脂肪細胞とヒラメ筋におけるインスリン情報伝達機

構に対する百日咳毒素の影響( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

加納, 克徳

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1207号

Issue Date

1999-06-16

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15063

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 加 納 克 徳(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1207 号 平成11年 6 月16 日 学位規則第4条第2項該当 ラット脂肪細胞とヒラメ筋におけるインスリン情報伝達機構に対する 百日咳毒素の影響 w(主査)教授 安 田 圭 吾 (副査)教授 岡 野 幸 雄 教授 植 松 俊 彦 論 文 内 容 の 要 旨 インスリン作用は,糖輸送,グリコーゲン合成,蛋白合成,脂質代謝調壬取 組胞増殖と多岐にわたり,その情 報伝達機構もまた複雑である。インスリンが受容体に結合すると内在するチロシンキナーゼが活性化され,イン スリン受容体基質(IRS-1)をチロシンリン酸化し,SH2蛋白質を介してホスファチジルイノシトール(PI)3一 キナーゼを活性化 糖輸送を調節すると考えられている。また最嵐 糖輸送機構にはPI3ヰナーゼの下流にプロ テインキナーゼC(PKC)のアイソザイムである(,ス(atypicalPKC)が存在することが報告され注目され ている。しかしながら,IRS-1ノックアウトマウスやPI3-キナーゼ阻害剤を用いた検討では,インスリンによる 糖輸送能は完全には抑制されず,さらに複雑な経路が存在すると考えられている。 一方,COnVentionalPKCはジアシルグリセロール(DG)やホルポールエステル(TPA)により活性化され る蛋白質リン酸化酵素である。われわれは,これまでインスリンが受容体に結合後,ホスホリパーゼC(PLC)-DG_C。nVentionalPKCの経路が活性化されることを報告してきた。今回申請者は,インスリン受容体に三量体 GTP結合蛋白質(G一蛋白質)が連関することを確認し,またGi一蛋白質の機能を抑制する百日咳毒素(PTX)を用 いて,インスリン刺激による糖輸送能促進,DG産生,PKCのトランスロケーション,PI3-+ナーゼ活性化に対 しPTXがいかなる影響をおよぼすかを検討した。 研究方法と結果 6週齢のウイスターラット傍精巣脂肪細胞を摘出し,Krebs-Ringer phosphate(KRP)buffer中でコラゲナー ゼ処理し遊離脂肪細胞を作成後,0.01∼1ng/mlPTXで370c,2時間前処置した。またヒラメ筋をプレートに伸 展単離し,Krebs-Ringerbicarbonate(KRB)bufferで37℃,30分間インキエペート後,1ng/mlPTXで2時間 前処置した。インスリン,TPAで30分間刺激後以下の結果を得た。 1.ブドウ糖取り込み能に対するPTXの影響:ラット脂肪細胞において,10nM インスリンで30分間刺激後, [3H]2-デオキシグルコース取り込み能はコントロールと比較し6.1倍まで増加し,PTX前処置により濃度依存性 に抑制された。TPA刺激では3.1倍まで増加したが,PTXによる影響は認めなかった。またラットヒラメ筋にお いても,脂肪細胞と同様インスリン刺激によるブドウ糖取り込み能はPTX(1ng/ml)により抑制されたが, TPAによる上昇はPTXにより抑制されなかった。 2.インスリン受容体結合能と受容体チロシンリン酸化に対するPTXの影響:遊離脂肪細胞をPTX(1ng/ml) で前処置し,[1詭I]インスリンと非標識インスリン(0.1∼100nM)で60分間インキュベートした。Scatchard-plotでは,インスリン受容体に高親和性結合部分と低親和性結合部分がみられたが,これらはPTXによる影響を 受けなかった。また抗インスリンレセプター抗体で免疫沈降後,SDS-PAGEで蛋白を分離し抗ホスホチロシン 抗体でWestern blotを行った。インスリンにより95kDaのバンドは増加したが,1ng/mlPTXの影響はみられ なかった。 3.インスリンによるDG産生とPKC免疫活性に対するPTXの影響:脂肪細胞において,10nMインスリン刺激 後,0,2,10分とDG産生は増加したが,PTX前処置ではDG産生は濃度依存性に抑制された。また,ヒラメ筋 においても同様に100nMインスリン刺激5分後のDG産生は増加したが,PTX前処置によってDG産生は抑制さ

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-69-れた。また脂肪細胞において,10nMインスリン刺激後PKCβの細胞質から膜へのトランスロケーションがみら れた。しかし,0.1ng/miPTX前処置ではインスリンによるPKCβのトラン大口ケーションは抑制された。 4.インスリン刺激後のPI3ヰナーゼの免疫活性,放射活性に対するPTXの影響:脂肪細胞において,10nMイ ンスリン刺激によりPI3ヰナーゼのp85一サブユニットの上昇がみられたが,PTX前処置により抑制された。また, 抗ホスホチロシン抗体による免疫沈降物質を10FLM[γ-32P]ATPを含むPIを加え,PI3-キナーゼによりリン酸 化されたPト3-Pをオートラジオグラフイーで測定した。インスリンによるPト3-Pの上昇はPTXにより抑制された。 5.PTXによるADPリボシル化:ヒラメ筋のホモジネートに活性化したPTX(0.01∼1ng/ml)と[32P]NADを 添加し,30分間インキュベート,電気泳動後オートラジオグラフイqを作成した。PTXにより濃度依存性にADP リボシル化された40kDaのGiaが確認された。 6.インスリンによるGiaチロシンリン酸化:抗Gia抗体で4℃,24時間免疫沈降後,抗ホスホチロシン抗体で Western blotを行った。40kDaのGiaのチロシンリン酸化が,10nMインスリン刺激後10分で増加することが 確認された。 考 察 今回の検討で,PTXはインスリン刺激によるブドウ糖取り込み能を抑制したが,インスリンの受容休結合能 やインスリン受容体チロシンキナーゼ活性には影響しなかったことから,PTXはインスリン受容体以後の情報 伝達機構に抑制的に働くと考えられる。G一蛋白質は,GTP-α-サブユニットとβγ一サブユニットに解離し活性 型となるが,PTXはα-サブユニットをADPリボシル化することによりその解離を妨げ活性化を抑制する。イン スリン刺激によるDG産生,PKCのトランスロケMションがPTXにより抑制されたことは,インスリンによるGiα のリン酸化後,解離した活性型GTP-GiaがPLC-DG-PKCβを調節し,またPI3-キナーゼがPTXにより抑制され たことから,GβγがPI3ヰナーゼを調節する可能性が示唆された。 論文審査の結果の要旨 申請者加納克徳は,インスリン情報伝達機構における三量体GTP結合蛋白質の役割を百日咳毒素を使用して 検討した。その結果,G一蛋白質はGiaによるPLC活性のみならず,GβγによるPI3ヰナNゼ活性も調節するこ とが示された。本研究は,インスリン作用機序を明らかにするものであり,糖尿病学の進掛こ少なからず寄与す るものと認める。 [主論文公表誌] ラット脂肪細胞とヒラメ筋におけるインスリン情報伝達機構に対する百日咳毒素の影響 平成11年発行 岐阜大医紀 47(2):106∼113

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