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博 士 ( 医 学 ) 清 水 忠 道 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 医 学 ) 清 水 忠 道

学 位 論 文 題 名

ヒ ト 皮 膚 に お け る 細 胞 膜骨 格 蛋 白 質 の 存 在 と 分 布

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  膜 骨格(membrane skeleton)は い く っ か の 膜蛋 白 質 か ら なり , 膜 脂 質 二重 層 を 細 胞 質側 か ら 網 目 状 に裏 打 ち し て いる 。 こ の 構 造は , 微 小 管 等の 細 胞 骨 格(cytoskeleton)の 範疇に 含め ら れるが ,赤血 球の場 合,特 に膜 骨格と 呼ぷ。 これま で, 赤血球 は分離 が容易であり細胞内小器 官 を含ま ないこ とから ,細胞 膜研 究の格 好のモ デルと され てきた 。赤血 球の膜骨格はスペクトリ ン ,4.1蛋白 質,ア クチン などか ら成り ,赤 血球の 形態保 持や膜 機能 (変形 能や膜 安定性 )の維 持 に 重 要 な役 割 を 果 た して い る 。 ス ペク ト リ ン は 細長 い 繊 維 状 蛋 白質 で ,a鎖(240kDa)と ロ 鎖(220kDa)が 自 己 会 合 して二 重体と なり, さら に頭部 同士で 結合し て四 量体を 形成し ている 。 一 方 , ス ペ ク ト リ ン 二 重 体 の 尾 部 は4.1蛋 白 質 [a(80kDa)とb(78kDa)] と ア ク チ ン(43 kDa)に そ れ ぞ れ 結 合 し て三 者 複 合 体 を 形成 さ て い る 。又 , ス ペ ク トリ ン ロ 鎖 は アン キ リ ン (210kDa)に結 合 し , ア ンキ リ ン は 他 方で は 膜 を 貫 通 して い る バ ン ド3の 細 胞 質 ドメ イ ン と も 結 合して いる。

  近 年,赤 血球以 外の 細胞で 膜骨格 に類似 した蛋 白質 が発見 され, 赤血球 膜骨格構造の普遍性が 予 想され る。フ エドリ ンは脳 から 精製さ れた非 赤血球 スペ ク卜リ ンであ り,スペクトリン同様,

ば 鎖(240kDa)と ロ 鎖 (235kDa)か ら 構 成 さ れ て い る。 赤 血 球 膜 骨格 蛋 白 質 や アン キ リ 冫 に 対 する抗 体を用 いた免 疫学的 検討 から, スペク トリン 様蛋 白質,4.1様蛋 白質,アンキリン様蛋 白 質等が 赤血球 以外の 多くの 細胞 に存在 するこ とが明 らか となっ た。

  表 皮細胞 にっい ては ,従来 ,細胞骨格(マイク口フアラメン卜,ケラチン中間径フィラメント,

微 小管等 )の存 在と角 化に伴 う形 態的及 び生化 学的変 化に っいて は検討 されている。又,表皮細 胞 を 培 養 す る 場 合 , 低Ca2゛濃 度(0. 15 mM)で は 増 殖す る が 分 化 せず , 標 準Ca2゛ 濃 度(1.2

‑2. OmM)では 分 化 す る こと が 知 ら れ て いる 。 更 に , このCa2゛ス イ ッチ による 分化に 伴っ て ア クチン フィラ メント の主な 分布が細胞質から細胞膜へ変化することも観察されている。しかし,

皮 膚にお ける表 皮細胞 や皮膚 付属 器官細 胞にお ける膜 骨格 蛋白質 の存在 や分布に関する検討はほ と んど行 われて いない 。本研 究で は,ま ず抗ス ペクト リン 抗体, 抗一ロ ーフォドリン抗体(非赤

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血球 ス ペ ク トリ ン), 抗4.1蛋白 質抗体 ,抗ア ンキリ ン抗体 を用 いて, ヒト皮 膚にお ける これら の蛋 白 質 の 存 在と そ の 分 布 にっ い て免 疫学 的検討 を行っ た。次 いで 培養ヒ ト表皮 細胞を 用いて Caz+ス イ ッ チ に よ る こ れ ら の 膜 骨 格 蛋 白 質 の 分 布 の 変 化 に っ い て 検 討 を 行 っ た 。   抗スペ クトリ ン抗 体,抗 ーロ― フォド リン抗 体を 用いた イムノ ブロッ トの 結果か ら,ヒト表皮 には240kDaと235kDaのス ペ ク ト リ ン 様蛋 白 質 が 存 在し , こ れ は 脳か ら す で に 精製 されて いる フエ ド リ ン と 同一 の 蛋 白 質 と思 わ れ た 。 又, ヒ 卜 表 皮 に は80kDaと78kDaの4.1様 蛋白 質,210 kDaの ア ンキ リ ン様蛋 白質が 存在 するこ とが明 らかと ナょっ た。 これら の抗体 を用い た螢 光抗体 法によ る免疫 染色の 結果か ら, スペク トリン 様蛋白 質( フォド リン) と4.1様蛋白 質はヒト表皮 細胞( 特に基 底細胞 ),工 ック リン汗 腺及び 汗管の 細胞 膜に沿 って主 に分布 するが ,細胞質にも 分布し ていた 。一方 ,アン キリ ン様蛋 白質は ヒト表 皮細 胞の細 胞膜に 沿って 存在す るが,基底細 胞のみ ならず 表皮細 胞全層 に広 く分布 してい た。又 ,核 や細胞 質にも 認めら れた。 以上の事実か ら , こ れ ら の 細 胞 に は 赤 血 球 膜 骨 格 類 似 の 構 造 が あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。   表 皮 細 胞を 低Ca2゛濃 度 (O,15mM)の培 地で培 養し, 抗4.1蛋白 質抗 体を用 いて染 色する と 細胞 質 に 広 汎 な染 色 像 が み られ た 。 一 方 ,標 準Ca2゛濃 度 (1.85mM) のCaz゛存在 下に 培養す ると(Caz+スイ ッチ) ,細胞 質のみ なら ず細胞 膜にも 明らか な染色 像が 認めら れた。 この場合,

同時 にRhodamine―phalloidinを 用 い てア ク チ ン を 染色 す る と ( 二 重染 色 ) , 低Caz゛濃度 の 条件 で は 細 胞 質に 広 汎 な ア クチ ン フア ラメ ントが みられ たが,Ca2゛ スイ ッチに より4.1蛋白 質 同様 細 胞 膜 にも 明瞭な 染色像 が得 られた 。Caa゛濃度 の違い によ る同様 の細胞 内分布 の変 化は抗 ーロー フォド リン抗 体を用 いた 場合に も認め られた 。す なわち 染色像 は低Ca2゛濃 度でfま細胞質 に広 汎 に , 標準 濃度で は細胞 膜と 細胞質 の両者 にみら れた 。以上 の事実 からCa2゛ス イッ チによ り4.1様 蛋白 質 と フ ォ ド リン が ア クチ ンと同 様に細 胞質か ら細 胞膜へ 移行す ること が明 らかと なった 。これ ら膜骨 格蛋白 質が 細胞質 から細 胞膜へ 移行 するこ とはこ れらの 蛋白質 や膜骨格構造 が 表 皮 細 胞 間 の 接 着 形 成 に 何 ら か の 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 推 測 さ れ る 。   一般に ,細胞 膜を 裏打ち してい る膜骨 格の機 能fよ細胞 形態 の保持,膜安定性の維持,膜貫通蛋 白質の 可動性 の制御 ,細胞 接着 の形成 の他に,分泌や吸収,工キソサイトーシスやエンドサイトー シス等 の膜の 動的変 化を伴 う機 能に関 与する ことも 予想 されて おり, エック リン汗 腺細胞におけ る汗の 分泌に 関わっ ている 可能 性もあ る。本 研究に おい て,ヒ ト皮膚 におけ る膜骨 格蛋白質の存 在と分 布が明 らかと なった が, 機能を 解明す るため には 今後こ れらの 蛋白質 を精製 し,相互の結 合やそ の調節 にっい て検討 する 必要が あると 思われ る。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    大河原   章 副 査    教 授    葛 巻    暹 副 査    教 授    武 市 紀 年

  膜 骨 格 (membrane skeleton)tまい く っ か の 膜蛋 白質か らなり ,膜 脂質二 重層を 細胞質 側か ら 網 目 状 に 裏 打 ち し て い る 。 赤 血 球 の 膜 骨 格 は ス ペ ク ト リ ン [d鎖(240kDa)と ロ 鎖(220 kDa)] ,4.1蛋 白 質 [a(80kDa)とb(78kDa)] , ア ク チ ン , ア ン キ リ ン(210kDa)な ど か ら成 り,赤 血球の 形態保 持や 膜機能(変形能や膜安定性)の維持に重要な役割を果たしている。

  近年, 赤血球 以外の 細胞 で膜骨 格蛋白 質に類 似し た蛋白 質が発 見され ,赤血球膜骨格構造の普 遍 性が 予想さ れる。 フォド リン は脳か ら精製 させた 非赤血 球ス ペク卜 リンで あルスペク卜リン同 様 , ば 鎖(240kDa)と ロ 鎖(235kDa)か ら 構 成 さ れ て い る 。 又 , 赤 血 球 膜 骨 格 蛋 白 質 や アン キ ルン に対す る抗体 を用い た免 疫学的 検討か ら,ス ペクト ルン 様蛋白 質,4.1様蛋白質,アンキ リ ン 様 蛋 白 質 等 が 赤 血 球 以 外 の 多 く の 細 胞 に 存 在 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。   表皮紐 胞にっ いては ,従 来,細 胞骨格(マイク口フアラメント,ケラチン中間径フィラメン卜,

微 小管 等)の 存在と 角化に 伴う 形態的 及び生 化学的 変化に っい ては検 討され ている。しかし,皮 膚 にお ける表 皮細胞 や皮膚 付属 器官細 胞にお ける膜 骨格蛋 白質 の存在 や分布 に関す検討はほとん ど 行わ れてい ない。

著 者は ,いく っかの ヒト膜 骨格 蛋白質 に対す る抗体 を作成 し, ヒト皮 膚にお ける膜骨格蛋白質の 存 在と その分 布にっ いて免 疫学 的検討 を行っ た。次 いで培養ヒト表皮細胞を用いてCaz゛ス.イッ チ に よ る こ れ ら の 膜 骨 格 蛋 白 質 の 分 布 の 変 化 に っ い て の 検 討 を 行 っ た 。   ま ず ヒ ト赤 血 球 か ら スペ クト リン,4.1様 蛋白質 ,アン キリ ンをTyler等の 方法 に従っ てそれ ぞ れ精 製した 。これ らの精 製蛋 白質を 用いて ウサギ を免疫 し, アフィ ニティ 一精製抗体を作成し た 。 こ れ ら の 抗 体 と 抗 ロ ー フォ ド リ ン 抗 体を ィ ム ノ ブ 口 ット 法 と 螢 光 抗体 法 に 使 用 した 。   ヒ ト 表 皮 細 胞 に は , 脳 に 存 在 す る フ ォ ド リ ン と [a鎖(240kDa)と ロ 鎖(235kDa)] と 相 同 と思 わ れ る ス ペク ト リ ン 様 蛋白 質 ,4.1様 蛋 白 質(80kDaと78kDa), さ ら に アン キ リ ン 様 蛋 白 質(210kDa)が存 在 す る こ とが 明 ら か と なり , ま た , 免 疫染 色 の 結 果か ら,こ れらの 蛋白 質 は ヒト 表皮細 胞,工 ックリ ン汗 腺及び 汗管の 細胞膜 に沿っ て主 に存在 するが ,細胞質にも分布し て いた 。以上 の事実 から, これ らの細 胞には 赤血球 膜骨格 類似 の構造 がある ことが示唆された。

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又 , 培 養 ヒ ト表 皮 細 胞 にお いて,Ca2゛スイ ッチに より4.1蛋白 質と ロ―フ ォドリ ンがア クチン と 同様に 細胞 質から 細胞膜 ヘ移行 する ことが 明らか となっ た。こ れら のことから膜骨格蛋白質が ヒ ト表皮 細胞 におけ る細胞 接着に 関与 してい ること が示唆 された 。

  口頭発 表にあ たって ,葛巻 教授 から生 理的条 件下(in vivo)に おけ るin vitroでのCa2゛スイッ チ に相当 する 機構の 存在と 膜骨格 蛋白 質との 関連に っいて ,武市 教授 からは皮膚疾患(陽性のも の を含め た) にてこ れらの 膜骨格 蛋白 質の異 常が解 明され ている もの があるか,阿部教授からは 膜 骨格蛋 白質 と重層 偏平上 皮にお ける 細胞接 着との 関わり とその 分布 にっいての質問があり,ま た その後 の審 査にお いて副 査の葛 巻, 武市教 授から 論文内 容並び に関 連領域にっいて試問が行わ れ たが, 著者 は概ね 的確な 応答を し得 たと判 定され た。よ って本 論文 は赤血球の膜骨格蛋白質や ア ンキル ンに 類似す る蛋白 質がヒ ト皮 膚にも 存在し ,また これら の膜 骨格蛋白質はヒト表皮細胞 間 の.接 着形 成に何 らかの 役割を 果たしていることが推測される所見を得たことから,今後更に皮 膚 疾患と の関 わりに っいて の検討 など ,この 分野の 研究に 寄与す ると ころ多大なものがあり,学 術 上 有 益 な 論 文 と 認 め ら れ , 学 位 を 授 与 さ れ る に 値 す る も の と 判 定 さ れ た 。

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参照

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