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学 , 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 大 野 雅 子

学 , 位 論 文 題 名

固.定化リポソームカラムクロマトグラフイーの 溶離パターンの解析:吸着及び解離速度定数の推定

学位論文内容の要旨

`【 は じめ に】

  経 口 投 与 さ れ た 薬物 は 、消 化管 、 特に 小腸 大 腸の 上皮 細 胞か ら吸 収 され 血流 に よっ て全 身 に運 ぼ れ て い く 。 従 っ て、 薬 物の バイ オ アベ イラ ビ リテ ィを 大 きく する た めに は、 細 胞膜 にお け る吸 収 速 度 が 大 き い こ とが 必 要で あり 、 新薬 開発 の スク リー ニ ング にお い て吸 収速 度 を見 積も る こと が重 要 にな る。 こ のた め、 細 胞膜 を模 し たモ デン レ によ る予 測 が必 要と される。 現在までに、水/

オ ク タ ノ ー ル 分 配 法な ど の手 法に よ って 、薬 物 透過 陸の 予 測が 行わ れ てき た。 し かし 、生 伽 莫に よ り 近 い 膜 は り ポ ソー ム であ る。 近 年、 リポ ソ ーム をカ ラ ム担 体に 固 定化 した 、 固定 化リ ポ ソー ム カ ラ ム ク ロ マ ト グラ フ ィー(ILC)法が 開 発さ れ、I工£ 法 によ って 薬 物と りポ ソ ーム との 相 互作 用 の 解 析 が 広 く 行 われ る よう にな っ た。 しか し 、こ の方 法 によ る相 互 作用 の解 姉 ま、 膜分 酉 酌徴

( 盈 曲 の 算 出 の み に 限 ら れ て い る 。 本 研 究 で は 、 薬 物 と り ポ ソ ー ム との 相互 作 用に おい て 、1L の 溶 離 パ タ ー ン が 薬物 の 脂溶 性が 高 まる にっ れ ピー クの 幅 がよ り広 が るこ とに 注 目し 、こ の 広が り か ら 、KM以 外 の 物 理 的 パ ラ メ ー タ が 求 め ら れ な い か 、 溶 離 パ タ ー ンの 広が り が何 で決 ま って いる の かを 考察 し た。

【結果 と考察】

n Diffusめn一reac箜Q塾〓曁璽蛔凶瓲理諭

  HPLCの 瀦 ¢ 曲 線 の 理 論式 、 すな わち 平 均滞 留時 間 のと ピー ク の広 がり の 偏差 くvariance)に 関 し て 、 古 典 的 な 理 論 で あ る 「dm8めnI地ac曲mtrampon理 論 」 が あ る 。 こ の 理 論 は 、 固 定 相 と 移 動 相の 間で吸着速度 定数(血)及び卿 繭臨鍍定数(丘l冫で溶質が 吸着・解離を繰り返 しながら、全 体 と し て 溶 質 の バ ン ド を形 成 し、 カラ ム を上 から 下 へ移 動す る と考 える も ので ある 。 この 理論 を ILCに適 用 する と、 モ およ び、 弧rぬnoeの 理 論式 は、 流速の逆数の 比例式となった。そ こで、ロ旨質 膜 へ の 透 過 性 を 持 っ た め 、 細 胞 膜 と の 相 互 作 用 の 研 究 に 多 く 用 い ら れ て き た 脂 溶 陸 カ チ オ ン tetrapl塒nybk即honiumnPPりとそのホモログくPhe)3 P←,(CH巍.CH3(nニ.6)をモデンレイヒ:合物 と し て使 用し 、 流速 の逆 数 に対 し、 モ およ びva血lnceをプ ロ ット した 。 その結果、モ は理論式に従 っ て いた が、vadanceは流 速の 逆 数に 対し 曲 線を 示し て おり 、理 論 式に 従わ な いこ とが わ かっ た。

こ れ は、dim鳩 めn‐macぬn.tran8port理 論 が成 り立 た ない こと を 示唆 して い る。 親水 性 であ り、

リ ポ ソ ー ム と は ほ と ん ど相 互 作用 しな い と考 えら れ るア ザイ ド を用 いた 場 合で も、 流 速の 逆数 に 対 し てvananoeが 曲 線 を 描 い て 増 加 す る 傾 向 が見 ら れた 。こ の こと から 、 流速 の逆 数 とva鹹ance が 直 線関 係に な らな いの は 、リ ポソ ー ムと モラ ル レイ 臨拗 の 相互 作用 に 起因するもの ではないと考 え ら れ た 。 そ こ で 、 新 し い 考 え 方 、 ま た は こ の 理 論 の 不 足 部 分 を 考 え る 必 要 性 が 生 じ た 。

804 ‑

(2)

盟Well‑mixing̲zone model

  HPLC用のゲル担体と異なり、 リポソームカラムで用いる ゲルは捻れた網目状となっており、

ま たりポソームを固定化するのに十分な大きさの空隙があるため、撹拌が生じると考えられる。

こ の効果により、ある容積の溶質を注入した場合、カラムはある厚みを持った層状のディスクに 分割される。Diffusiorrreacめn・tra亅瑚pon理論と同様に、溶質は帯状となってカラムを移動する が、流れていく溶質そのものが舌L流となっている可冑旨陸がある。溶質とりポソームの相互作用は、

デ ィスク状になった微小区間の中で撹拌されながら行われ、さらに全体の流れに従い次のディス ク ヘと連締拘に移動していく。これを、「weu一mi妬ngめnemodel亅と名付けた。この理論では、

溶 質が撹拌しながらりポソームと相互作用するディスクがいくっも繋がり、ひとつのカラムを構 成 していると考えている。その 分割されたディスクの数をNとし、モおよびva五anceの理論式を 誘導すると、は出伍18めn.ロactめn‐tran8port理論と同じ理論式が得られた。また、varぬIlceの 理 論式は二次式となり、実験結 果が曲線を描いていたこと をよく説明できた。この結果より、

we小皿畄ngめ珊modelの理論を用いるこ とにより、リポソームカラ ムでりポソームと薬物との 相互作用を解析できることが示唆された。

  モおよぴvarianceの理論式には、KJMが含まれている。そこで、瓸Mが物理的条件に影響され るかどうか 、流速、カラムに充填するゲ ル量、注入量を変化させて測定した。Ktの算出式は、

カラムクロ マトグラフの基本式をILC用 に書き換えたものである。固定相体積は固定化されたり ポソームの 総量で表される。この値で溶 質保持容量とボイド体積の差を除算するとKJMが求まる のだが、流遠を変化させても溶質保持容量はほば一定の値を示したため、」あiMもまた一定の値と なった。他 の条件下でも同様の結果となり、KMは物理的な変化によらず求まることがわかった。

  また 、vananceの 理論式には 、ディスクの数Nとkiも含ま れている。理論式で実験結果 をフ イッティングすると、それらの値を算出できる。注こ入量を変化さ世てみたところ、注こ入量の増加 に対しNが減 少することがわかった。こ れは、ディスクの厚みが増すためと考えられる。カラム 長 を2倍に した 場合 も同様の結 果となったが、Nは約2倍に増 加していた。しかし、Nの算 出時 に 同時 に求 まっ たkiお よびkiと 盈Mの関 係か ら求めた面は 、注入量を変化させてもほぼ 一定 の値となっ ていた。さらに、この理論か らモデンレイb金物のKM、あおよびk1を求めたところ、

脂溶性が高 まると面Mは増大するが、血 およびk1はモデル化合物のメ チレン基の数が偶数か奇 数かによっ てジグザグのパターンとなる ことが示された。ただし、脂溶性の高い化合物でkiが メチレン基 の増加とともに増大していた。これは、より疎水的なイオンは、脂質膜から早く除去 されること を示唆している。もし、疎水性イオンが脂質二重層の中間部分である疎水的な部分ま でしか透過 しないのであれぱ、このkiの 挙動が説明できる。しかし、この挙動の分子的解釈は 現在明らかになっていない。

塑経旦墓物を用いた測定

  Well‑mixing zone modelの理論で経口薬物とりポソームとの相互作用を解析した。それぞれの 薬物の血お よびkiを算出したところ、モ デル化合物と異なり、脂溶性が比輓拘高い薬物で、吸 着が速いと 解離が遅くなる傾向が見られた。これは、薬物が膜を深く貫通して相互作用している ためではな いかと考えられる。しかし、 経口薬物とモデル化合物とのこの違いは不明である。

HPLCでは一 般的に撹拌は好ましい物では ないため、リポソームカラムによる薬物と膜の相互作 用の解析に はwell‑mixing zone modelが 適していると考えられる。

805 ‑

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

加 茂 直 樹 井 関    健 宮 内 正 二 菅 原    満

     学位 論文 題名

、 固定 化リ ポソ ーム カラ ムク ロマ トグ ラフイーの 溶 離パターンの解析:吸着及び解離速度定数 の推定

  

薬 物 の パ イ オ ア ベ イ ラ ピ リ テ イ を 大 き く す る た め に は , 細 胞 膜 に お け る 透 過 速 度 が 大 き い こ と が 必 要 で あ り , 新 薬 開 発 の ス ク リ ー ニ ン グ に お い て 透 過 速 度 を 見 積 も る こ と が 重 要 に な る . こ の た め , 細 胞 膜 を 模 し た モ デ ル に よ る 予 測 が 必 要 と さ れ て い る . こ の 方 法 の

1

つ と し て り ポ ソ ー ム カ ラ ム の 使 用 が あ る . こ れ は , リ ポ ソ ー ム を カ ラ ム ゲ ル 担 体 に 固 定 化 し , カ ラ ム の 考 え 方 を 用 い て , 薬 物 の り ポ ソ ー ム ヘ の 分 配 率 を 推 定 し よ う と す る も の で あ る . あ る 薬 物 を カ ラ ム に 与 え , 溶 離 液 を カ ラ ム に 流 し て , 薬 物 が カ ラ ム か ら 溶 離 す る ま で の 溶 離 液 の 体 積 ℃ を 求 め る . 全 く り ポ ソ ー ム と 相 互 作 用 し な い 化 合 物 が カ ラ ム か ら 溶 離 す る ま で の 溶 離 液 の 体 積 を ℃ と し , 固 定 相 で あ る り ポ ソ ー ム の 膜 の 部 分 の 体 積

Vs

を と す れ ば , 薬 物 の り ポ ソ ー ム ヘ の 分 配 率 ん は , 次 式 で 与 え ら れ る ・

    KLM

:堅

V

    Vs

  

こ の 式 は 一 般 に カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ イ ー の 基 本 式 と 呼 ば れ , こ の 式 が り ポ ソ ー ム カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ イ ー に 対 し て も 実 験 的 に 成 立 す る こ と は , す で に , 先 行 研 究 に よ っ て 明 ら か に さ れ て い る . そ の 結 果 を 利 用 し て , リ ポ ソ ー ム と 種 々 の 薬 物 と の 相 互 作 用 が 調 ぺ ら れ て い る . ま た , 輸 送 担 体 や レ セ プ タ ー を 再 構 成 し た り ポ ソ ー ム を 使 用 す れ ば , 膜 夕 ン バ ク と 薬 物 と の 相 互 作 用 が 測 定 さ れ るはず であり, 今後の 利用が期 待され ている.

  

リ ポ ソ ー ム カ ラ ム を 用 い て , 薬 物 の 溶 離 位 置 す な わ ち 溶 離 ピ ー ク の 位 置 か ら , 分 配 率 を 求 め る こ と が 従 来 な さ れ て き た . 学 位 申 請 者 は , 溶 離 の 位 置 の み で な く , 溶 離 ピ ー ク の 広 が り は 何 で 決 ま っ て い る か に 興 味 を 持 ち , 本 研 究 を 進 め た・

  

まず,古 典的な考 えであ る

diffusion‑reaction‑transport theory

を検討した.これ

(4)

は ,固 定相と移 動相の間 で,ある 吸着速度 および解離 速度定数 で薬物が 吸着・

解 離を 繰り返し ながら, 全体とし て薬物の パンドを形 成し,カ ラムを上 から下 へ 移動 すると考 えている .この考 えに従っ て,偏微分 方程式を たて,ラ プラス 変 換を 使って, 平均滞留 時間とピ ークの広 がり(偏差 )を計算 している .平均 滞 留時 間は,上 記カラム ク口マト グラフイ ーの基本式 と同じ結 果を与え た.ま た,平 均滞留時 間は溶離 液の流速の逆数に比例し,実験と理論との一致をみた.

し かし ,広がり について は,理論 は流速の 逆数に比例 する結果 を与える が,実 験 値は 曲線を与 えた.す なわち, リポソー ムカラムは この考え に従わな いこと を見い出した.

   そ こで ,申請者 はこの理 論と実験 との不一 致の原因は っぎのよ うである 考え た.すなわち,diffusion‑reaction‑transpon theory が十分適用できる場合は溶離液 が 層流 を な して お り, 通 常 の HPLC カ ラ ムに 適 用 でき る . 一方 ,リ ポソーム が ゲ ル担 体に固定 されてい るという 状況から ,リポソー ムカラム では溶離 液は層 流 とは ならず, 液の撹拌 が起こっ ていると 考えた.そ こで,リ ポソーム カラム に対し て well‑mixing zone model を提唱した.この考えでは,リポソームカラム はいく っかの disk 状 のカラム が直列に っながっ たものであり,1 つのdisk では,

溶 離液 はよく混 ざりあっ ており均 一である と仮定する .この仮 定により ,数学 的 展開 が非常に 易しくな っており ,この大 胆な近似法 の採用が 申請者の 論文の 大 きな 長所であ る.この 新理論は ,ピーク の位置や広 がりに対 する実験 デ一夕 を きれ いに説明 した.ピ ークの位 置につい ては,上記 カラムク ロマトグ ラフイ ー の基 本式と同 一の式を 得ている .さらに ,溶離液の 流速を変 化させて 得られ た ピー クの偏差 を解析す れば,リ ポソーム ヘの吸着お よびから の脱着の 速度定 数 を推 定 出 来る 事 が本 新 理 論よ り 得られ ,種々のphosphonium 陽 イオンに 対し て こ れ ら の 値 を 求 め , 過 去 の デ ー タ と 矛 盾 し な い こ と を 示 し て い る .    こ のよ うに,リ ポソーム カラムを 用いて, リポソーム ヘの分配 係数,吸 着速 度 およ び脱着速 度が推定 出来るよ うになっ たので,本 方法を経 口薬物に 対して 適 用し ,これら の物理量 を得てい る.これ らのデ一夕 を用い, ラットの 腸管吸 収 速度 のデー夕 解析を行 っている .その結 果,膜に隣 接して溶 液中に未 撹拌層 を 考え なけれぱ ならない 事,およ び,薬物 の膜からの 脱着速度 の薬物透 過にお ける重要性を示唆している・

   こ のよ うに,本 論文は, ルポソー ムカラム に対する新 理論を構 築し,そ れを

用 いて ,ルポソ ームと薬 物との相 互作用, および,細 胞膜の薬 物透過に 対して

考 察を 加 え たも の であ り , 薬学 博 士 の称 号 を授 与 す るに 十 分で あると 判定し

た.

参照

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