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博士(理学)小栗栖 修 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(理学)小栗栖   修 学位論文題名

 Existence and structure of infinitely degenerate zero‑energy ground states of a Wess‑Zumino‑type   model in supersymmetric quantum mechanlcs

(Wess ―Zumino の超対称性量子力学のモデルにおける無限重に      縮 退 し た 0 エ ネル ギ― 基 底状 態 の存 在 とそ の構 造 )

学位論文内容の要旨

  超対称性の概念は基本相互作用を記 述する量子論において導入され、量子力学と数理物 理においてハミルトニアンと楕円複体 の位相的性質の研究の基礎となっている。特に非自 明なWitten指 数△w(ロ) をも つ超対称的 ハミルトニアンHの研究は重 要である;古典的 Hodge‑de Rham理論によると、滑らかな計量をもつコンパクトなり ーマン多様体上の形式 の空 間上のLaplace作用素のWitten指数は その多様体のEuler数に等し い。本研究で扱う N=2 Wess‑Zuminoの 量 子力 学の モデ ルの 超対 称的 ハミ ルト ニア ンロ は非 自明 なWitten 指 数 を も つ 例 で あ り 、 様 々 な 視 点 か ら 研 究 が な さ れ て 続 け て い る 。   本研究ではハミルトニアンHを笂: L2(C; C4)上の自己共役な 二階線形微分作用素と して 定義 し、 その ロ の0ー固 有空 間の 構造 の解 析 を行 う。Witten指数△w(H)はロの0一 固有空間の構造により定まる。このモ デルのHの固有値問題は解け ているとぃうには程遠 いのであるが、0一固有空間については超対称性のおかげで精密に解けている例がいくっか 知られている。超対称性によりこのモデルにはsuperchargeと呼ばれる自己共役な一階線形 微分作用素Qがあり、線形作用素Q−を

    )

    弘← 玖叩 い耻 玖C; C2) ,い (当 ー V),     ゾ) ゛

(こ こで 、笂 =笂 十O笂 ―、aは ¢ECにつ いて の正 則 微分 、レ は複 素数 値関 数V (z)の 掛算 作用 素と する )と おく と

    0.Q―     Q=

    Q* −  0

で与 えら れる 。こ のQを 用い て     ″ゼニニニ(°ぞ ̄。あ.)

と ハミルトニアンロを書き下すことができる。関数レ(z)はsuperpotentialと呼ばれる。

こ のとき

    △ げ ( ロ ) = 孔6―n′ ,  n6ニ = ニdim kerQ* ― ,n´ ニ ニ ニdim kerQ― ,     ―ーっ―

(2)

となる。知られていた結果とは次の3通りである:

(V1 )レ(z )がz の多項式のとき、76 二ニdeg レー1 ; (V2)  V(z) =Az‑p 、AEc¥{o }、pCN のとき、nb ゜p ―1 ;

(V3)y(z)=Aeaz、Ae c¥{o) 、a>0のと き、 。nb二ニoo.

で あり 、そ し てい ずれ の場 合もnf Oで あ ると 知ら れて いる 。nf =0が成立することを 消 失 定 理 が 成 立 す る と ぃ う 。 こ れ ら の 場 合 、 △ w(H)= nbで あ る 。   さ て 、 (Vl)の 特別 な場 合レ(z):Azp、AEC\{0)、pEN、と (V2)の 場合 は 縮退 し た0― 固有 空間 の構 造が 詳し く調 べら れ てい る:

(1)ハミルトニアンのボゾン 部分Hb ̄Q‑Q'に対称群として作用する強連続な一変数ユ     ニタリー群が存在する:

(2)対称群の生成子工は純離散的なスベクトルと無限個の固有空間笂″をもつ;

(3) 有限 個の7tnのな かに のみ 、Hbは 、したがってロは各Hnに0―固有ベクトルをた     だー つも つ。 その よう な7tnの個 数がn6で ある ;

(4) Hbは 全 て のTtnに 、 し た が っ て 無 限 個 の 一 般 化O― 固 有 ペ ク ト ル を も つ 。 しかし、(V3)の場合にはその縮退して いるO一固有状態が(Vl)や(V2)と同様の構造を 持っかどう か知られていなかった。その判定は(Vl)(V2)で知られる構造がN=2 Wess‑

Zuminoの量 子力学のモデルの超対称的ハミルトニアンが共通してもつ特徴の反映であるか どうかとぃ う観点からも興味深い。

  本研究では(V3)の場合を含むsuperpotentialのクラス%に含まれるレの場合のモデ ルについて(Vl)(V2)と類似の構造の 存在を示した:

(1,)ハミルトニアンのポゾン部分Hb=Q‑Q*−に対称群として作用する強連続な一変数ユ     ニタリー群が存在する;

(2,)対 称群の生成子Nは点スベクト ルを持たないが、実数R全て がHbの一般化された     固有 値で ある 。そ してNの全 ての 一般 化固 有空 間7‑tp,pER,がHを 約 する;

(3,)Rのあ る区 間Iに 属す るpEIに 対し 、H6は 笂。 にた だーつの一般化されたO一固     有ペ クト ルを もつ :

(4,)Hbの無限個の0―固有ベクトルをもつ。( これはIがLebesgue測度が0でない、互     い に共 通部 分 を持 たな い無 限個 の部 分区 間に 分割 でき るこ との 反映 で ある )。

(5,)Hbは無限個の一般化0―固有ベクトルをもつ。

さらに、%のある部分 集合((V3)を含む)に属するsuperpotentialのモデルに対し、消 失定理、すなわち凡´ 二ニ0が成立することを示した。(V3)の場合の解析は、生成子ルの スベクトルが(Vl)(V2)の場合の生成子のものと異なることが原因でより複雑であった。

具 体的 には 、全 てのpeRに 対し て7tpがL2(R;C2)と見 なせ るこ とを 利用 し てヒ ルベ ル ト空間上の作用素に対するconstant fiber direct integral decomposition(CFDID)の方法 を用いた。各Ttpをーつのfiberと考えてH6をその上の作用素に 約 し(分解し)、その 0一固有ペクトルを求め、そこからH6の0―固有ベクトルを構成したのである。消失定理に

― . 8

(3)

ついても、ハミルトニアンのフェルミオン部分Hf=Q:Q―に対する対称群の生成子を見 つけてCFDIDの方法を用いることにより証明した。

  すなわち、本研究で(Vl)(V2)(V3)の全てに共通するN=2 Wess‑Zuminoの量子力学 の モ デ ル の 超 対 称 的 ハ ミ ル ト ニ ア ン の 構 造 の 存 在 が 示 さ れ た 。

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    新 井 朝 雄 副査    教授    上見練太郎 副査    助教授    三上敏夫 副査   助教授   岩田耕一郎

学 位 論 文 題 名 .

 Existence and structure of infinitely degenerate zero‑energy ground states of a Wess‑Zumino‑type    model in supersymmetric quantum mechanlcs

(Wess―Zuminoの 超 対 称 性 量 子 力 学 の モ デ ル に お け る 無 限 重に     縮 退 し た 0エ ネ ル ギ 一 基 底 状 態 の 存 在 と そ の 構 造 )

    近 年 , 新 し い 型 の 量 子 力 学 モ デ ル と し て , 超 対 称 性 を も つ 量 子力 学, す なわ ち, 超 対称 的 量 子 力 学(SSQM)に 関 す る 研 究 が 盛 ん に 行 わ れ て い る .SSQMは , 超 対 称 電 荷 と よ ば れ る 作 用 素 と , こ れ と 反 可 換な 次 数作 用素(grading operator)に よ って 特徴 づ けら れる , ハミ ルト ニ アン は 超 対 称 電 荷 の2乗 に よ っ て あ た え ら れ る ,SSQMの モ デ ル の う ち で も っ と も 興 味 が あ る も のと し て ,WessZuminoモ デ ルと よば れ るも のが あ る. これ は ,状 態の ヒ ルベ ルト 空 間をL2(C; C4) 〓 L2CC2O L2(CC2)と し て , 超 対 称 性 電 荷Qお よ び 次 数 作 用 素rが , そ れ ぞ れ ,     Q二ニ(ま 〓)ルニニニ(! ;. 品)゛)宀 (:ニ),

に よ っ て あ た え ら れ る モ デ ル で あ る . こ こ で ,a a/a: ,zeC, レ はC上 の 複 素 数 値 関 数( 超 ポ テ ン シ ャ ル と よ ば れ る ) ,avは 関 数aVに よ る か け 算 作 用 素 で あ る. ハミ ル トニ アン は 〃: = Q2= ガ60り と な る , た だ し ,H6 Q‑Q* ― , り =Q:Qー ・ 数 学 的 に も 物 理 的 に も 特 に 興 味 が あ るの は,Qlt0とな る状態 ぜ゛E工2(C; C4) ,V】≠0,である .このような状態 は超対称的状 態 と よ ば れ る . し た が っ て ,kerQの 構 造 が 問 題 に な る ,kerQkerHkerHb kerHjで あ る こ と に 注 意 す ると , 超対 称的 状 態は ハミ ル トニ アン の 零エ ネル ギ ー状 態で あ るこ とが わ かる , nbニ ニdim ker Hanf dim Hjと す れ ば ,dim ker〃 〓nbnf.こ れま でに 次 の結 果が 知 られ て いる :(¥r1) レr(ご )が多項式のとき,n6二ニdegレ―1; (V2)レ(ご)=A‑p,Aec丶{O},pEN,のと き,n6ニニニp―1;(¥r3)レ(2):Afa,AEC丶{0)、ぱ>0のとき,nbニニニ十oo.いずれの場合でも,

n´二ニ0である.

    本 論 文 は , 上 記 (V3) の 場 合 を 含 む 超 * テ ン シ ャ ル の 一 般 的 なク ラスbに関 し て,Hおよ び 零 エ ネ ル ギ ー 基 底 状 態 空 間kerHの 構 造 を詳 しく 解 析し ,次 の 結果 を得 て いる :(i)Hbに 対称 詳 と し て 作 用 す る 強連 続 な1パ ラメ ータ ー ユニ タリ 群 が存 在す る ;(ii) 対 称群 の生 成 子Nは 点ス ベ ク ト ル を 持 た な いが , 実数 全体 がVの 一 般化 さォLた固 有 値で ある .Arの すべ て の一 般化 固 有空 間 P.pER、は け6 約す る ; (iiiRのあ る区 間Jに 属 する 任意 のpに 対 して ,H6Hpにただ

10 ‑

(5)

ひとつの一般化された0ー固有ベクトルをもつ;(iv) nb二二十っc;(v)H6は無限個の一般化O一固 有ベクトルをもつ;(v)恥の部分集合((V3)の場合を含む)に対して,nf二二ニ0が成り立つ.

    これ らの結果は,ある一般的なクラスの超ポテンシャルのクラスに関する,Wess‐Zumino デルのハ ミルトニアンならびにその零エネルギー基底状態の無限縮退の構造を明らかにするもの であり, 超対称的量子力学の数学的研究に寄与するところ大なるものがある.また,純数学的に 見ても, ある種のDirac型作用素の核の構造を解明したことになり,非コンパクト空間上のDirac 作用素の理論に興味ある新しい知見をもたらしたとぃえる.

    よ って ,著者は,北海道大学博士 (理学)の学位を授与される 資格あるものと認める.

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