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博 士 ( 農 学 ) 伊 藤 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 農 学 ) 伊 藤 学 位 論 文 題 名

    B          1  

acillus thuriTzg¢ 銘 SZSSubSp. ロ Z2 Z炒 ロ ZBUN1 14株 カ ミ

産生する新規結晶性夕ンパク質の蚊殺虫活性機構 学位論文内容の要旨

  熱 帯 性 伝 染 病 を 媒 介 す る 双 翅 日 衛 生 害 虫 の 防 除 に は み めuringiensis subSp. お・ ′ロP勣岱 むpめ が 産生 す Cづ タ ン パ ク 質 を 主 剤 と し たBT剤 が 使 用 さ れ 、 効 果 を あ げ て き た 。 し か し 、 実 験 室 内 で の 選 抜 試 験 の 結 果 、 野 外 で の 個 体 群 が 働 由 来Cび タ ン パ ク 質 に 対 し て 抵 抗 性 を 獲 得 す る 可 能 性 が あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ の よ う な 状 況 の 中 、 働 由 来Cッ タ ン パ ク 質 に 代 わ る も し く は 併 用 で き る 新 た な 微 生 物 農 薬 資 源 が 求 め ら れ て い る 。 ま た 、Bガ 由 来Cワ タ ン パ ク 質 を 含 め 、 双 翅 目 殺 虫 性Cづ タ ン パ ク 質 の 詳 細 な 作 用 機 構 は 不 明 で あ り 、 個 々 の 作 用 機 構 を 明 ら か に す る こ と は 、 こ れ ら の 微 生 物 農 薬 を 併 用 し 持 続 的 か つ 安 全 に 双 翅 目 衛 生 害 虫 を 防 除 し て い く う え で 重 要 で あ る 。 本 研 究 は 鰍 由 来Cび タ ン パ ク 質 に 代 わ る も し く は 併 用 で き る 新 規 のCヴ タ ン パ ク 質 を 探 索 し 、 そ の 殺 虫 活 性 機 構 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た 。

新 規cザ 遺伝 子の ク ロー ニン グ 及ぴ 発現 産 物の 殺虫 活 性

  丑 め ぴingiensis subsp. aizawai BUNl‑14DNAラ イ ブ ラ リ ー よ ル サ ザ ン ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 法 を 用い て、3つの 新 規cry遺伝 子オ ペ ロン(cry39A &orf2‑39A cry40A &or窃・ イ 伽,cり′ イ卵 &D倔 ‐ 和めを ク ロ ー ニ ン グ し た 。 各 オ ペ ロ ン を 結 晶 非 産 生 厨 菌 株 で 発 現 さ せ た 結 果 、 そ れ ぞ れ 固 有 の 形 状 を 持 つ 結 晶 性 封 入 体 ( ク リ ス タ ル ) を 産 生 し た 。 各 ク リ ス タ ル の ア カ イ エ カ ・ ハ マ ダ ラ カ ・ ネ ッ タ イ シ マ カ に 対 す る 殺 虫 活 性 を 調 査 し た 結 果 、C39Aが こ れ ら の 蚊 に 対 し て 殺 虫 活 性 を 示 し 、 特 に ハ マ ダ ラ カ に 対 し て は鮒 由来 で あるCDr4Aの約4倍と 高 い殺 虫活 性 を示 した 。

Cry39Aの プ ロ セ シ ン グ 様 式 及 ぴ ハ マ ダ ラ カ 中 腸 上 皮 細 胞 刷 子 縁 膜 小 胞 へ の 結 合 特 性   感 受 性 昆 虫 に 食 下 さ れ た ク リ ス タ ル は 中 腸 内 の ア ル カ リ 性 環 境 中 で 可 溶 化 し た の ち 、 消 化 液 に 含 ま れ る プ ロ テ ア ー ゼ に よ っ て プ ロ セ シ ン グ を 受 け 、 活 性 化 ト キ シ ン と な る 。 ト リ プ シ ン 及 び ハ マ ダ ラ カ 中 腸 消 化 液 に よ るCry39A及 びORF2‑39Aの プ ロ セ シ ン グ 様 式 を 調 査 し た 結 果 、 分 子 量65 kDa ORF2‑39Aが 分 解 さ れ る と 共 に 、 分 子 量72 kDaCry39Aの ド メ イ ンIal‑ヘ リ ッ ク ス を 含 むN 60ア ミ ノ 酸 が 分 解 し 、60 kDaポ り ベ プ チ ド の 活 性 化 ト キ シ ン ヘ と プ ロ セ シ ン グ さ れ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 ま た 、Cry39Aの ア カ イ エ カ と ネ ッ タ イ シ マ カ 消 化 液 に よ る プ ロ セ シ ン グ を 調 査 し た 結 果 、 ア カ イ エ カ 及 ぴ ネ ッ タ イ シ マ カ 消 化 液 で は ハ マ ダ ラ カ 消 化 液 と 比 べ て 、 プ ロ セ シ ン グ が 過 剰 に 進 み 活 性 化Cry39Aト キ シ ン の 生 成 量 が 極 端 に 少 な く な る こ と が 明 ら か に な り 、 こ の よ う な プ ロ セ シ ン グ が     1350

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Cry39Aクリスタルのアカイ エカとネッタイシマカに対する低い殺虫活性の原因のひとっとして考え られた。

  続いて、Cry39Aトキシンのハマダラカ中腸上皮細胞刷子縁膜小胞(Brush border membrane vesicles, BBMV)に対 する 結合 特性 を 調査 した 結果 、Cry39AトキシンはハマダラカBBMVに 対して特異的に結 合し、その結合はBti由来Cry4Aトキシンと競合しなかった。この結果は作用機構上重要なステップ である中腸上皮細胞膜への 結合様式がCry4Aトキシンとは異なることを示しており、両者の作用機構 の 違い を反 映し ている と考えられた。さらに、Cry39AトキシンはBBMV上でオリ ゴマー化し、一般 的にりピッドラフトとして定義されるTriton X‑100不溶性の膜画分に、可溶性膜画分と比較して優先 的に相互作用したことから、他の多くの膜孔形成型トキシンと同様にりピッドラフトと呼ばれる細胞 膜上のマイクロドメインを、効率よくオリゴマー化するための濃縮装置として利用していると考えら れた。

Cry39Aトキシンのレセプター分子探索

  Cryトキシ ンを含む多くの細菌毒素とそれらのレセプター分子との結合には糖鎖が関与することが 知られている。Cry39Aトキシンのレセプター認識・結合における糖の関与を調査するため、糖による Cry39Aクリスタルのハマダラカ殺虫活性 抑制効果及びCry39Aトキシンのハマダラカ中腸上皮細胞毒 性抑制効果を調査した結果、ガラクトースに強い抑制効果が認められた。また、Cry39Aトキシン及ぴ そのドメインniはガラクトースと結合す ること、ドメインuIをあらかじめ中腸上皮細胞に作用させ ることによりCry39Aトキシンの細胞毒性 がある程度抑制されることが明らかになった。以上の結果 から、Cry39Aトキシンはドメインmを介してレセプター分子に結合し 、その認識・結合にはガラク トースが関与していることが示唆された 。そこで、ガラクトースによる結合阻害を指標にCry39Aト キシンのレセプター分子の絞込みを行っ た。ハマダラカBBMVタンパク質を用いたトキシンオーバー レイアッセイの結果、Cry39Aトキシンは 分子量35〜18 kDaの複数のBBMVタンパク質と結合したが、

その結合はガラクトースにより阻害され ず、これらのタンパク質はCry39Aトキシンが優先的に相互 作用したりピッドラフト様画分には偏在していなかった。一方、ハマダラカ中腸糖脂質画分とCry39A トキシンとの結合はガラクトースにより阻害された。動物における主要糖脂質がスフインゴ糖脂質で あり、スフインゴ糖脂質はりピッドラフトに多く含まれることから、Cry39Aトキシンのレセプター分 子は 、ガ ラク トー スによる結合阻害が認められなかったBBMVタ ンパク質ではなく、ガラクトース を糖鎖に含むスフインゴ糖脂質である可能性が示唆された。トキシンにとってりピッドラフトに偏在 するスフィンゴ糖脂質をレセプターとすることは、局所的にトキシン濃度を高め、オリゴマー化の効 率が良くなるため、細胞を破壊するのに 有利であると考えられた。

    本研究を通じて得られた知見をもと にCry9Aのハマダラカにおけ る殺虫活性機構を以下のよう に考えた。@ハマダラカ中腸のアルカリ性環境下においてCD′39Aクリスタルが可溶化する。◎65kDa のORF2‐39Aと72kDaのCD′39AのN末端約60アミノ酸が分解し60kDaの 活性化トキシンヘとプロセシ ングされる。◎活性化トキシンがりピッドラフトに偏在する糖鎖にガラクトースを含むスフィンゴ糖 脂質にドメインmを介して結合する。@リピッドラフト上でオリゴマー化し膜孔を形成する。◎中腸 上皮細胞を破壊し、ハマダラカ幼虫を死 に至らしめる。

    鯲由来Cびタンパク質であるCげ4Aト キシンのハマダラカ殺虫活性はガラクトースにより阻害さ

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れないこと、Cry4AトキシンとCry39Aトキシンのハ マダラカBBMVに対する結合は競合しなかったこ と、Cry4Bはレセプターを介さずに直接細胞膜に結合、オリゴマー化して膜孔を形成すると考えられ て いる こと 等から、Cry39AとBti由来Cryタンパク質の作 用機構は大きく異なることが予想され、

Cry39Aクリスタルはハマダラカ防除にBti由来Cryタンパク質と併用する遺伝子資材として非常に有望 であると考えられた。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査   助教授   浅野眞一郎 副 査    教 授    横 田    篤 副 査    教 授    木 村 淳 夫 副 査    教 授    伴 戸 久 徳

学 位 論 文 題 名

Bacillus thuriTzgien,sis subsp .azzazvai BUN1 −14 株が 産 生 す る 新 規 結 晶 性 夕 ン パ ク 質 の 蚊 殺 虫 活 性 機 構

  蚊やハエなどの双翅目衛生害虫の防除には丑thuringiensis subsp.お′珊´翻mpめが産生するCヴ タ ンパ ク 質 を主 剤 と したBT剤が 使 用 さ れ、 効果をあ げてき た。しか し、野外 での個 体群がB館由 来Cヴタンパ ク質に 対して抵 抗性を 獲得する 可能性 があるこ とが明ら かにな った。抵 抗性獲得を抑 制 する た め には 、BW由 来Cヴタ ン パ ク 質と 作用機 構の異な る微生 物農薬を 併用す ることが 効果的 である 。そこ で、本研 究では占Wと 併用でき る微生 物農薬資源を提供するため、新規の蚊殺虫性Cヴ タンパ ク質を 探索し、 その作用 機構を 調査した 。

新規aッ遺伝 子のクロ ーニング 及ぴ発 現産物の 殺虫活 性

  BUNl‑14株DNAラ イ ブ ラ リ ー よ ル サ ザ ンハ イ ブ リダ イ ゼ ーシ ョ ン 法を 用 い て、3つ の 新規cワ 遺伝 子 オ ペロ ン を クロ ー ニ ング し た 。 各オ ペロ ンを結晶 非産生B菌株 で発現さ せた結 果、それ ぞ れ固有の 形状を 持つ結晶 性封入 体(クリ スタル) を産生 した。各クリスタルのアカイエカ・ハマダ ラカ ・ ネ ッタ イ シマカ に対す る殺虫活 性を調 査した結 果、Cry39Aが これらの 蚊に対 して殺虫 活性 を 示 し 、 特 に ハ マ ダ ラ カ に 対 し て はBti由 来 で あ るCry4Aの 約4倍 と 高 い殺 虫 活 性を 示 し た 。

Cry39・Aの プ ロ セ シ ン グ 様 式 及 ぴ ハ マ ダ ラ カ 中 腸 上 皮 細 胞 刷 子 縁 膜 小 胞 ー の 結 合 特 性   感 受性昆 虫に食下 されたク リスタ ルは中腸 内のア ルカリ性 環境中で可溶化したのち、消化液に含 ま れるプロ テアー ゼによっ てプロ セシング を受け 、活性化 トキシンとなる。トリプシン及びハマダ ラ カ 中 腸消 化 液 によ るCry39A及ぴORF2‑39Aの プ ロセ シ ン グ様 式 を 調査 し た結果、 分子量65 kDa のORF2‑39Aが 分 解さ れ る と共 に 、 分 子量72 kDaのCry39AのN末 端60ア ミ ノ 酸 が分 解 し 、60 kDa ポ り ペ プ チ ド の 活 性 化 ト キ シ ン ヘ と プ ロ セ シ ン グ さ れ る こ と が 明 ら か に な っ た 。   続 いて 、Cry39Aト キ シ ン のハ マ ダ ラカ 中 腸 上皮 細 胞 刷子 縁 膜 小胞(BBMV)に対す る結合特 性を 調 査 し た結 果 、Cry39Aトキ シンはハ マダラ カBBMVに対し て濃度 依存的か つ飽和 可能な結 合をし 、 そ の 結 合はBti由 来Cry4Aトキ シンと競 合しな かった。 この結 果は作用 機構上 重要なス テップで あ     ―1353―

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る中 腸上皮細 胞膜へ の結合様 式がCry4Aトキシ ンとは 異なるこ とを示し ており 、両者の作用機構の 違い を反映し ている と考えら れた。

  さら に 、Cry39Aト キ シン はBBMV上 で オリ ゴ マ ー化 し 、 一般 的 に りピ ッドラ フトとし て定義さ れるTriton X‑100不溶性 の膜画 分に相互 作用した ことか ら、他の多くの膜孔形成型トキシンと同様 にり ピッドラ フトと 呼ぱれる 細胞膜 上のマイ クロドメ インを、効率よくオリゴマー化するための濃 縮装 置として 利用し ていると 考えら れた。

Cry39Aト キシン のレセプ ター分 子探索

  CD′39Aト キシンの レセプタ ー認識 ・結合に おける 糖の関与を調査するため、糖によるCD′39A毒 性 抑 制 効果 を 調 査した結 果、ガ ラクトー スに強 い抑制効 果が認 められた 。また、Cry39Aトキシ ン 及 ぴ そ のド メ イ ンmは ガ ラク ト ー スと 結 合 し 、ド メ イ ンmを あ らか じ め中 腸上皮 細胞に作 用さ世 る ことによ りCD′39Aトキシ ンの細 胞毒性が 抑制さ れる傾向 が見られた。以上の結果から、CD′39A ト キ シ ンは ド メ インmを 介し て レ セプ タ ー 分子 に結合し 、その 認識には ガラクト ースが 関与して い ることが 示唆さ れた。

  そ こで 、 ガ ラク トース による結 合阻害を 指標にCッ39Aトキ シンのレ セプター 分子の 絞込みを 行 っ た 。 ハマ ダ ラ カBBMVタ ン パ ク質 を 用 い たト キ シ ンオ ー バ ーレ イ ア ッセイ の結果 、CIy39Aトキ シ ン は 複数 のBBMVタ ンパク 質と結合 したが 、その結 合はガラ クトー スにより 阻害さ れなかっ た。

ー 方 、 ハマ ダ ラ カ中腸糖 脂質画 分とCry39Aト キシンと の結合 はガラク トースに より阻 害された 。 動 物におけ る主要 糖脂質が スフィ ンゴ糖脂 質であり 、スフ インゴ糖脂質はりピッドラフトに多く含 ま れ る こと か ら 、Cづ39Aト キシンの レセプ ター分子 はガラク トース を糖鎖に 含むス フインゴ 糖脂 質 である可 能性が 示唆され た。

    Bガ ク リス タ ルの主 要タンパ ク質の1っで あるlr4Aのハ マダラ カ殺虫活 性はガ ラクトー スによ り 阻 害 され な い こと 、Cry4Aトキ シ ン とCry39Aト キシンの ハマダ ラカBBMVに 対する結 合は競合 し な か っ たこ と か ら、Cry39Aとq4Aの 作用 機 構は 大きく異 なるこ とが予想 され、Cヴ39Aクリス タル は ハマダラ カ防除 にB釘 由来Cッタン パク質と 併用す る遺伝子 資材として有望であると考えられた。

  本論文は、丑thuringiensis subsp.砒;洲桝BIJNl‐14株より、蚊に対して殺虫活性を有する新規Cヴ タンパク 質遺伝 子を分離 すると 共に、そ のCヴ タンパ ク質の作 用機構 を解析し たものである。その 結果、本Cげ タンパク 質の作用 機構は 既知のも のとは 大きく異 なるこ とが予想 され、蚊の防除にお いて既知 のCヴタンパ ク質と併 用しう る新規殺 虫性タ ンパク質 として 非常に有 望であることが明ら かとなっ た。こ れらの結 果は、 蚊に対す る新規の 微生物 防除資材を提供するものとして高く評価で きる。

  よ っ て、 審査員 一同は、 伊藤岳が 博士( 農学)の 学位を 受けるに 十分な 資格を有 するもの と認 め た。

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