銀 行 代 手 業 務 の 理 論 と 實 際
金井健四郎
所謂代手は鴬替業務の一つとして何れの銀行竜極く低廉な料金を以て顧客に便宜を與へてゐる︒
而して今後一般経濟界に於て手形取引が盛んになるにつれて盆々銀行の代手業務を利用する乙とに
なること\思ふ︒一騰迭つπ品物の代金を同牧する方法としては集金人を派遣し︑或は鐵道︑郵便局
を利用する代金引換の方法或は銀行による荷爲替を取組む等色々あるであらうが︑現今では銀行の
代手として取立方を委任するのが最も経費も安く簡便と考へられてゐるので︑此の方法を利用する
者が非常に多くなつてきた︒そ乙で銀行の代手係は毎日無藪の此等の取立手形を取扱ふのであるか
ら︑當然其間色々の問題が起つてくるわけである︒此庭に代手の取扱に關する要黙の實際と此に關
する理論を考察する必要が生じてくる︒
代手を一般の分類法に從つて匪分すれば當所代手と他所代手とになる︒謂ふまで竜なく︑其の名
銀行代手業務の理論と實際三六三
商學討究第四餐(下)三六四
稽が指示する如く前者は受任銀行の立場から見て︑其地に於て支彿を受くる竜のであう︑後者は支
彿地が他の土地であう︑從つて他地銀行へ邊附して取立てられるものである︒代手を大きく分てば
右の二つになるが︑當所で支梯を受くる代手即ち當所代手の中に竜當地(受任銀行所在地)の顧客
の依頼によるもの竜あれば︑他地銀行よb取立方を委任されて邊附を受ける竜のもある︒叉支彿地
が他地である所の他所代手に付て見る竜當地の得意先よう他所渡手形の取立方を委任きれるものも
あれば︑他地銀行よう他所渡りの代手を轄逡取立方を依頼される場合竜ある︒今他地銀行よう取立
のπめ逡附されることを被仕向と云ひ︑他地銀行へ取立の駕め邊附することを仕向と稻する竜のと
して︑此等の代手を分類すると次の如くになる︒
A一︑當所被仕向代手當所代手二︑當所代手
騙 難 讐 他 所 代 手
諸種の代手の中其の大部を占むる竜のは他地銀行よう仕向られカるものと︑他地銀行へ仕向くる
ラものである︒從つて前掲一と三が實際上最も多歎を占むるものであるから︑此黙を規準にして代手((
を分類しる見ると次の如くなる︒
B一︑被仕向代手(當所取立のπめ他地βより邊附されπる竜の)
二︑仕向代手(當地得意先の依頼によう他地銀行へ取立のπめ逡附する竜の)
三︑當所代手(當地得意先の依頼によ6當所で取立る竜のにして主として手形交換所経由
の竜の)
四︑轄邊代手(他地銀行よう逡附きれたるものを更に支彿地の銀行へ邊附する竜の)
(此等の名稽は必ずし竜一般に用ひられてゐる竜のとは一致せず︑論述の便宜上附しπ
るまでにすぎない)
叉其他標準の定め方によう種々分類し得られると思ふ︒籾當所代手の多数は他地銀行よら仕向け
られカる一の被仕向代手であう︑他所代手の多藪は他地銀行へ仕向ける二の仕向代手である︒從(( てAにあげπ當所代手︑他所代手による臨別よφBの仕向代手︑被仕向代手による匿舜の方が實際((
の取扱上便宜の標に思ふ︒故に蝕には主として被仕向代手と仕向代手を中心にして代手取扱の要黙
を述︒へやうと思ふ︒
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商學討究第四巻(下)三六六
被仕向代手(被仕向當所代手)
他地銀行よう代手として邊附されだるものを具象的に分類すると次の如くである︒
甲種︒當座小切手︑邊金小切手︑支彿命令︑約束手形︑爲替手形(引受濟)
配當金領牧謹︑利札等︒
乙種︒爲替手形(引受未濟)︑荷付手形(貨物引換謹或は有債置雰添附のもの)
右の中申すまで竜なく甲種にあげπものは︑一覧彿若くは所定の期日に於ける支彿確定時のもの
であって︑假命それが不渡となる竜速やかに庭理さるべき筈のものである︒此は取扱上支彿の難易
に付て具膿的に考へると次の如くである︒
A手形交換所経由決濟のもの︒
小切手︑配當金領牧謹︑利札︑交換所組合銀行が支彿場所に指定せられてある手形(交換経由
手形)等︒
B然らざるもの︒
わ自行當座小切手︑自行宛途金小切手︑自行市内支店宛小切手類︒
司手形交換所に加盟してゐない銀行を支梯揚所に指定せる手形︑或は其銀行宛小切手等︒
ハ當座勘定取引特約により當座口よう直接に支彿手形金を引落する竜の︒只二右の特約なく︑從つて支彿人の來行彿込による竜の︒(
a取引ある者
b取引なき者
司自宅彿のもの︒(
右の中交換経由のものは最竜迅速明快に決濟されるものであつて︑たとひ不渡となることあるも
支梯場所銀行よ6返還される際︑添附きれる所の附箋其他によう期日に支彿場所に呈示したること
が分明であり︑其の支彿拒絶理由に基き速やかに適當なる庭理をなすことが出來る︒
次に交換経由に非るもの\中イの自行宛小切手や︑自行市内支店宛の小切手は夫々の係を経て即ーー刻庭理されるのが普通であるが︑ロの手形交換所に加盟してゐない銀行へ取付するものは︑其の實(
質は交換経由の竜のと何等差異なかるべき筈であるが︑手形交換所経由のもの\如く不渡庭分其他
の嚴格なる規定の範園に於て行はれ澱竜のなれば︑實際には満期日の當日に於て決濟され粗竜のが
往々見受けられる︒併し理論上は該行のなす支彿拒絶附箋或は︑小切手面になされπる支彿拒絶文
銀行代手業務の理論と實際三六七
商學討究第四巻(下)三六入
句に基いて速やかに庭理し得べき竜のである︒
當座勘定取引契約に於て約手︑或は引受濟駕替手形を以て支彿人の當座勘定より直接に引落す特
約あるものは多くは銀行と密接の取引關係にある竜のにして︑期日に支携人の當座勘定より手形金
額を引落せばよいのであるから其の決濟は容易である︒
又此の特約のないもので竜銀行と取引あるものは︑豫ねて案内してある支彿手形が期日に至れる
ことを一鷹告知することにより容易に決濟されるのであるが︑取引關係なき者にして銀行を支彿揚
所に指定せるもの\多くは︑満期日の當日に於て決濟されることが少い︒此の揚合實際の取扱とし
ては其の手形が仕向銀行に於ける割手であるか︑代手であるか︑又仕向銀行及び支彿人の顔振れに
よる取引振に徴して臨機の腱置に出ずるのであるが︑理論上は﹁⁝:の理由により支彿場所力る當
銀行に於て決濟に至らず候也﹂(銀行研究第十七憲第四號二入○頁)の附箋を附して適宜に庭理し得
べきものである︒
自宅彿のもの即ち手形の支佛揚所を自宅となせる竜のは︑銀行金融の登達せる都市に於ては殆ん
ど不渡を豫告せるものに等しい︒何故かならば︑現今相當の資力信用ある者は何れかの銀行に取引
を有し︑手形類の入金支彿は必ず銀行を通して行はれるのが通常であるから︑手形交換所を経て決濟
されるのが常である︒從つて自宅梯の手形は一鷹は資力信用なき者の振出すものと考へられるか︑
若くは銀行と取引ある相當の信用を有する者に於て竜︑二十日或は三十日の如き一般商人の勘定決
濟日に支彿手形が輻藤する場合︑之を交換経由によつて一時に決濟されることの手許逼迫から逃れ
るカめ︑支佛の時日に多少の鯨裕を残す意味に於て自宅彿とする乙とが往々見られる︒或は仕入先
の出張員の請求によう手形の満期日に支彿意思或は資力なくして︑唯一時を糊塗せんがために自宅
彿の手形に引受して渡す揚も屡々ある︒要之︑自宅彿の手形は概して不良の竜の多きを以て代手係
は速やかに適宜の腱置に出でなければなら膿︒
次に乙種に掲げπ引受未濟の鴬替手形を見るに︑此は荷駕替による取引を屈辱とする場合に多く
見られるもので︑概して相當資力信用ある者に品物を逡付し︑此に甥する代金を後から手形金額と
して取立に逞付し來る場合である︒當地方に出廻る竜のでは製網店に係る竜のが最も多い︒此は荷
物引取後に於ける引受未濟の手形であるから兎角延引し勝である︒叉か\る爲替手形の振出其もの
に付て見る竜︑當事者間の協定に反して満期日を近く︑或は手形金額を多額にしてあるカめに支彿
人に於て返却方を申出︑或は金額期日に關し交渉中に付支彿の延期を申出る場合が可なり多い︒從
って支彿の難易の黙から見れば先つか\る引受未濟の手形は最竜長く延引し勝のものであるから︑
銀行代手業務の理論と實際三六九
商學討究第四巻(下)三七〇
代手係は當事者間の取引振に徴して適宜に結末をつけべきものである︒此は主として代手係の技能
熟練に侯つ所が多い︒
次に荷付の駕替手形である︒此は①問屋筋(或は大商店)が自己の得意先へ品物を直ちに轄責す
る目的で買付しπる揚合と︑②一般商人が自家用仕入品として買付したる揚合とに大別される︒前
者は所謂荷爲替手形(荷爲替)と實質上等しいもので︑唯其の形式が代手の形をとれるのみである
から其の決濟は速やかであるが︑後者は支彿人の金融状態により延引する竜のが少くない︒何れに
せよ荷付の代手は責買契約による邊荷に基いて振出される揚合が普通であるから︑逞くとも必ず決
濟さるべきものであるが︑往々手形金額の相違或は注文外の逡荷により支彿の圓滑ならざるものも
ある︒
此の荷付代手の中に恥式のものがある︒此は支彿人が引受をすれば附属書類を引渡し満期日に其
の彿込を受ける竜のであるが︑此は手形面或は附箋を以つて特に依頼銀行の申出ある竜のなるか︑
或は手形面の甑の記號に依頼人の認謹あるかを一慮注意する必要がある︒叉此種の手形の取扱上手
形を持出して引受を求める際︑其の引受の形式及び支彿揚所の記號に付て特に注意を要する︒つ懐
う引受が完全に行はれて期日に交換経由で︑直ちに決濟し得る機な手形になればよいのである︒
諸々の代手が各依頼銀行より仕向けられると︑代手係は其の到着報告を磯して取立委任に慮じだ
る之とを示すと同時に︑支彿人に封しては其の手形金額︑満期日︑依頼人︑取組銀行︑支彿揚所︑
附幣書類等支彿手形の要黙を記載しπる手形彿込の案内書を登し︑上述せる諸種の黙に注意して夫
や手歎をとうπる上︑満期日に梯込を受けπる際︑依頼銀行に代手入金報告を磯することになるが
乙種に掲げ禿る竜のは引受未濟のもので︑未だ支彿人に於て手形金の支彿義務を生ぜぬ竜のである
から兎角延引し勝である︒此を敏速に慮理し取立敷率を上ぐるには︑尋常よく手形當事者間の取引
關係を知う︑支梯人の支彿振に注意してゐなければなら顧所であつて︑代手係の熟練を要する黙で
ある︒
不渡手形
約手或は引受濟爲手が期日に不渡となれば直ちに適宜庭理さるべきことは前に述べカる所である
が︑此の際かねて手形の保全行爲を依頼されてある竜のに付ては不渡電告或は支彿拒絶謹書の作成
其他の手績を採つて返却するのであるが︑此場合依頼銀行の手形権利の實行に支障を生ぜ諏様にす
るπめ︑自行に宛て\なされカる取立委任の裏書を抹消するか︑或は戻裏書を必要とするかの疑問
銀行代手業務の理論と實際三七一