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博士学位申請論文概要

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早稲田大学大学院日本語教育研究科

博士学位申請論文概要

論   文   題   目

ボランティアによる地域日本語活動の  改善と発展に向けた研究 

−素材集を媒介とした試みからの考察− 

 

申    請    者

遠藤  知佐 

2010 年   3 月 

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2 第 1 章   は じ め に  

地 域 日 本 語 活 動 で は 、 ボ ラ ン テ ィ ア と 外 国 人 参 加 者 と で 相 互 学 習 を し 、 多 文 化 共 生 社 会 の 創 造 へ 寄 与 す る と い う 理 念 が 広 ま り な が ら も 、 日 本 語 を 教 え 込 む 活 動 に な り や す い 実 態 が 指 摘 さ れ て き た 。 原 因 の 一 つ に は 、 一 般 の 外 国 人 に 対 し て 日 本 語 学 習 機 会 を 保 障 す る 制 度 が な い こ と が あ る 。 し か し 、 豊 か な 社 会 作 り に は 行 政 だ け で な く 民 間 も 力 を 発 揮 し 、 両 者 が 対 等 な 立 場 で 相 互 補 完 的 に 役 割 を 果 た し て い く こ と が 欠 か せ な い 。 そ こ で 、 本 研 究 で は ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 と し て 外 国 人 へ の 支 援 を 行 い な が ら 、 相 互 学 習 が 促 進 さ れ 、 多 文 化 共 生 社 会 作 り に 向 け て 参 加 者 の 創 造 性 ・ 主 体 性 が 発 揮 さ れ る 活 動 の 可 能 性 に つ い て 考 え る 。

本 研 究 で は 、 活 動 改 善 上 で 果 た す 媒 介 物 の 役 割 を 重 視 す る 。 ま ず 、 外 国 人 参 加 者 が 社 会 に 十 全 的 に 参 加 す る う え で 必 要 と す る 生 活 上 の 行 動 を 行 な う た め の 支 援 ( 以 下 、 生 活 行 動 支 援 ) が 得 ら れ 、 同 時 に 、 彼 / 彼 女 ら と ボ ラ ン テ ィ ア が 同 じ 市 民 と し て 交 流 し 、 学 び 合 え る た め の 媒 介 物 ・ 道 具 に な る 素 材 集 の 内 容 を 考 え る 。 外 国 人 参 加 者 の 日 本 語 習 得 に つ い て は 、 同 じ 地 域 住 民 で あ る ボ ラ ン テ ィ ア の 支 援 を 得 な が ら 、 活 動 の 場 及 び コ ミ ュ ニ テ ィ ー へ の 十 全 的 参 加 へ 移 行 す る に 伴 っ て 、 習 得 の 促 進 が 期 待 で き る と 考 え た 。 こ れ は 、 正 統 的 周 辺 参 加 論( レ イ ヴ・ウ ェ ン ガ ー 1993、以 下 、LPP 論 )に 基 づ い た 日 本 語 教 育 観 と 言 え る 。

次 に 、提 案 し た 素 材 集 に つ い て 、活 動 の 場 で 作 成 目 的 が 達 成 さ れ た か を 調 査 す る 。ま た 、 筆 者 自 身 が 一 人 の ボ ラ ン テ ィ ア と し て 参 加 し た ボ ラ ン テ ィ ア と の 協 働 に よ る 素 材 集 作 成 過 程 を 記 述 す る 。 そ し て 、 二 つ の 仮 説 ( ⅰ ) 活 動 に 素 材 集 を 媒 介 さ せ る こ と に よ っ て 日 頃 の 活 動 ( 以 下 、 中 心 的 活 動 ) が 変 わ る の で は な い か 、( ⅱ ) 素 材 集 を 作 成 す る こ と を 通 し て 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 活 動 へ の 理 解 が 深 ま る の で は な い か を 検 証 す る 。 同 時 に 、 活 動 自 体 と 、 主 に 学 び の 観 点 か ら 見 た 外 国 人 参 加 者 と ボ ラ ン テ ィ ア の 内 実 を 明 ら か に し 、 活 動 の 改 善 と 発 展 に 向 け た 知 見 を 得 る こ と を 目 的 と す る 。 な お 、 後 述 す る 素 材 集 の 具 体 的 内 容 は 、 そ の 段 階 で 筆 者 が 持 っ て い た 考 え に 加 え 、 ア ド バ イ ザ ー の 助 言 や ボ ラ ン テ ィ ア と の や り と り 等 を 通 し て 具 現 化 し て い っ た も の で あ る 。

 

第 2 章   先 行 研 究  

こ れ ま で の 実 践 提 案 で は 、 活 動 の 拠 り 所 が 日 本 語 教 育 分 野 の 大 学 教 員 や 教 育 実 習 生 で あ る 場 合 は 、 生 活 行 動 支 援 ・ 日 本 語 学 習 と い っ た 切 り 口 か ら 参 加 者 間 の 交 流 へ と 導 い て い く も の が あ る が 、参 加 条 件 が 求 め ら れ な い 多 く の ボ ラ ン テ ィ ア に と っ て 応 用 が 難 し い 。他 方 、

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教 材 を 調 査 し た 結 果 、 交 流 を 行 な お う と す る 場 合 は 、 活 動 目 的 が 交 流 に 特 化 し た 教 材 以 外 に 選 択 肢 を 見 つ け る こ と が 難 し い こ と が わ か っ た 。 よ っ て 、 誰 も が 活 用 で き 、 外 国 人 参 加 者 の 多 様 な 必 要 性 を 支 援 し つ つ 、 交 流 が 生 ま れ る よ う な 教 材 開 発 の 必 要 性 が 喚 起 さ れ た 。 ま た 、 先 行 研 究 で は 外 国 人 ・ ボ ラ ン テ ィ ア と い う 主 た る 参 加 者 や 日 頃 の 活 動 及 び 、 そ れ に 影 響 を 与 え る 可 能 性 の あ る メ タ 活 動 の 内 実 も ほ と ん ど 解 明 さ れ て い な か っ た 。

  以 上 の こ と か ら 、 地 域 日 本 語 活 動 で は 具 体 的 提 案 が 少 な く 、 問 題 の 正 確 な 所 在 や そ の 解 決 へ の 示 唆 も 十 分 に は 明 ら か で な い こ と が わ か っ た 。 よ っ て 、 本 研 究 で は 実 際 の 組 織 で 素 材 集 を 提 案 し 、 そ れ を 用 い た 中 心 的 活 動 場 面 及 び メ タ 活 動 と し て の 素 材 集 作 成 場 面 を フ ィ ー ル ド ワ ー ク に よ っ て 調 査 し た 。 そ し て 、 素 材 集 の 有 効 性 検 証 だ け で な く 、 活 動 に 参 加 す る 外 国 人 ・ ボ ラ ン テ ィ ア 、 活 動 実 態 に つ い て 包 括 的 な 調 査 を 実 施 し 、 活 動 改 善 に 向 け た 検 討 を 行 な っ た こ と に 特 徴 が あ る 。

 

第 3 章   理 論 的 枠 組 み  

本 稿 の 主 た る 枠 組 み は 、社 会 文 化 的 ア プ ロ ー チ に 属 す る LPP 論 と 文 化・歴 史 的 活 動 理 論

( エ ン ゲ ス ト ロ ー ム 1999、 以 下 、 活 動 理 論 ) で あ る 。 活 動 理 論 は 、 社 会 的 実 践 と し て 活 動 を 改 善 し て い こ う と す る 実 践 の た め の 理 論 で あ る 。 活 動 理 論 を 用 い る こ と に よ っ て 、 日 頃 の 中 心 的 活 動 で の 媒 介 物 と な る 素 材 集 、 担 い 手 で あ る 活 動 主 体 と し て の ボ ラ ン テ ィ ア 、 活 動 の 対 象 と し て の 外 国 人 参 加 者 、 活 動 内 容 等 と い っ た 各 要 素 及 び 、 活 動 改 善 の た め の 素 材 集 作 成 活 動 を め ぐ る 要 素 も 関 連 づ け て 考 察 で き る と 考 え た 。

ま た 、 地 域 日 本 語 活 動 と い う 実 践 共 同 体 へ の 参 加 に よ る 個 人 レ ベ ル の 学 び を 明 ら か に す る た め に は LPP 論 を 用 い る 。 し か し 、LPP 論 は 新 参 者 が 共 同 体 に 参 加 し て 、 よ り 十 全 的 参 加 へ と 移 行 す る 過 程 で 知 識 や 技 能 を 習 得 し て い く と い う 見 方 を 与 え て く れ る 点 で 優 れ る が 、具 体 的 に 何 を 学 ん で い る か を 知 る た め に は 個 別 の 枠 組 み を 用 い る 必 要 が あ る 。よ っ て 、 外 国 人 参 加 者 の 第 二 言 語 習 得 過 程 を 理 解 す る た め に 意 味 交 渉 を 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 調 整 行 動 理 解 の た め に 社 会 言 語 学 の フ レ ー ム ワ ー ク を 、 そ し て 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び を 理 解 す る 上 で は 生 涯 学 習 論 及 び ボ ラ ン テ ィ ア 論 の 知 見 を 適 宜 用 い た 。 こ の よ う に 複 数 の 枠 組 み を 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て 、 地 域 日 本 語 活 動 の 多 様 な 側 面 の 分 析 が 可 能 に な る と 考 え た 。  

第 4 章   外 国 人 の 生 活 行 動 上 の 支 援 と 相 互 学 習 を 主 目 的 と し た 素 材 集 の 提 案  

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  地 域 日 本 語 活 動 に 必 要 と さ れ る 教 材 の 内 容 を 検 討 し 、 モ ジ ュ ー ル 形 式 「 生 活 場 面 シ ラ バ ス + 交 流 の 話 題 ・ タ ス ク 」 の 素 材 集 と い う 方 向 性 を 導 い た 。 そ こ で は 、 素 材 集 の 副 題 「 生 活 ・ 交 流 ・ 学 習 の た め の 素 材 」 が 示 す よ う に 、 外 国 人 参 加 者 の 当 事 者 性 を 重 ん じ て 、 よ り 早 期 に 十 全 的 な 社 会 参 加 が 可 能 に な る こ と を 第 一 の 目 的 と し 、 か つ 、 参 加 者 間 で 交 流 と 相 互 学 習 が で き る こ と を 目 指 し た 。 日 本 語 教 育 の 観 点 か ら は 、 外 国 人 参 加 者 の 共 同 体 へ の 参 加 が 深 ま る に 伴 っ て 、 イ ン タ ー ア ク シ ョ ン を 通 し て 日 本 語 の 習 得 も 促 進 す る と 考 え た 。 同 時 に 、 行 政 に よ る 日 本 語 学 習 機 会 の 保 障 が 一 般 に 行 な わ れ て い な い こ と か ら 、 意 識 的 な 日 本 語 学 習 を 進 め る た め の 契 機 を 提 供 す る こ と も 取 り 入 れ た 。 素 材 集 の 主 な 特 徴 は 、 ① 人 権 の 実 現 を 重 視 し た 13 の 生 活 場 面( 公 共 サ ー ビ ス の 活 用 、就 労 、教 育 場 面 な ど )、② 外 国 人 参 加 者 の 問 題 の 顕 在 化 と 当 事 者 性 の 発 揮 の た め の モ ジ ュ ー ル 形 式 、 ③ 行 動 理 解 を 容 易 に す る た め の 写 真 ・ イ ラ ス ト の 活 用 と 多 言 語 情 報 ペ ー ジ 、 ④ 相 互 学 習 を 生 む た め の 豊 富 な 交 流 の 話 題 ・ タ ス ク 、 ⑤ 日 本 語 学 習 契 機 と し て の 文 法 ・ 漢 字 ペ ー ジ 、 ⑥ 自 律 的 学 習 を 促 進 す る た め の 社 会 的 ス ト ラ テ ジ ー 及 び 学 習 リ ソ ー ス へ の ア ク セ ス 紹 介 で あ る 。

 

第 5 章   研 究 方 法  

  第 4 章 で 導 か れ た 素 材 集 を 媒 介 と し て 行 な っ た 活 動 を 、 フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 技 法 を 用 い て 調 査 し た 。 調 査 期 間 は 2005 年 2 月 か ら 2007 年 5 月 ま で の 2 年 3 ヶ 月 で あ る 。 フ ィ ー ル ド は 、 関 東 に あ る 地 方 都 市 ・ W 市 関 連 の 国 際 交 流 協 会 ( 以 下 、 協 会 W ) で あ る 。

第 6 章 で は 、日 頃 の 中 心 的 活 動 場 面 で 、素 材 集 が 作 成 目 的 を 果 た し て い る か を 検 証 す る と と も に 、 外 国 人 参 加 者 と ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び 、 素 材 集 を 用 い た 活 動 の 実 際 と 課 題 を 明 ら か に し た 。 デ ー タ 収 集 方 法 は 、 ① 素 材 集 所 持 者 へ の 質 問 紙 調 査 ( 外 国 人 参 加 者 21 人 、 ボ ラ ン テ ィ ア 22 人 )、② 素 材 集 を 使 用 し て い る 小 グ ル ー プ の 縦 断 的 参 与 観 察( 計 15 回 )、③ 外 国 人 参 加 者 へ の イ ン タ ビ ュ ー( 5 人 )、④ そ の 他 − 月 例 ミ ー テ ィ ン グ・ボ ラ ン テ ィ ア 昼 食 会 ・ 交 流 会 等 の 観 察 記 録 、 イ ン タ ビ ュ ー 協 力 者 の 協 会 W 申 し 込 み 時 記 録 と 担 当 ボ ラ ン テ ィ ア か ら の イ ン フ ォ ー マ ル な 聞 き 取 り ・ 活 動 記 録 入 手 等 で あ っ た 。 参 与 観 察 記 録 は ノ ー ト 記 述 を し 、 小 グ ル ー プ 活 動 の 縦 断 的 参 与 観 察 で は 7 回 分 を 、 許 可 を 得 て 録 音 ・ 文 字 化 し た 。 外 国 人 参 加 者 へ の 個 別 イ ン タ ビ ュ ー も 許 可 を 得 て 録 音 し 、 必 要 箇 所 を 文 字 化 し た 。

第 7 章 で は 、 ボ ラ ン テ ィ ア が 参 加 す る 素 材 集 作 成 過 程 を 調 査 し 、 完 成 ま で の プ ロ セ ス を 記 述 し 、 筆 者 も 参 加 し た 協 働 に よ る 素 材 集 作 成 の 意 義 を ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び と 活 動 改 善 の

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観 点 か ら 考 察 し た 。デ ー タ 収 集 方 法 は 、① ノ ー ト 記 述(36 回 の 作 成 ミ ー テ ィ ン グ・そ れ 以 外 の 打 ち 合 わ せ ・ イ ン フ ォ ー マ ル デ ー タ ) の 他 、 ② 印 刷 物 や 保 存 デ ー タ ( 作 成 ミ ー テ ィ ン グ 議 事 録 ・ 配 布 物 ・ 作 成 物 )、 ③ メ ン バ ー へ の 質 問 紙 調 査 ( 2 回 )、 ④ 作 成 後 の メ ン バ ー11 人 と 事 務 局 員・行 政 担 当 者 4 人 の 計 15 人 へ の イ ン タ ビ ュ ー で あ る 。作 成 メ ン バ ー の 10 人 か ら は 許 可 を 得 て イ ン タ ビ ュ ー を 録 音 ・ 文 字 化 し 、 定 性 的 デ ー タ 分 析 ソ フ ト を 用 い て 分 析 し た 。 事 務 局 と 行 政 担 当 者 へ の イ ン タ ビ ュ ー で 得 ら れ た デ ー タ は 適 宜 分 析 に 用 い た 。  

第 6 章   素 材 集 の 検 証 と 、 参 加 者 お よ び 活 動 の 実 際  

  下 記 は 、 協 会 W で 上 述 の 素 材 集 を 用 い た 活 動 を 調 査 ・ 分 析 し た 主 な 結 果 で あ る 。

( 1 ) 活 動 の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と し て の 素 材 集

  質 問 紙 調 査 及 び 小 グ ル ー プ 活 動 の 縦 断 的 参 与 観 察 の 結 果 か ら 、 素 材 集 が 外 国 人 参 加 者 へ の 生 活 行 動 支 援 と 参 加 者 間 の 交 流 に 役 立 つ と 考 え ら れ た 。 ま た 、 使 用 方 法 は 外 国 人 参 加 者 の 必 要 性 に 応 じ て 多 様 で あ り 、 活 動 の 場 に お け る 参 加 者 の 流 動 性 に も 対 応 が で き て い た 。 よ っ て 、 素 材 集 は 活 動 の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と な り 得 る 可 能 性 が 示 さ れ た 。

( 2 ) 素 材 集 を 用 い た 活 動 の 実 際 と 実 践 者 と し て の ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び

小 グ ル ー プ 活 動 の 縦 断 的 参 与 観 察 を 通 し て 、 生 活 行 動 支 援 と 交 流 が ほ ぼ 交 互 に 生 起 す る 様 相 を 記 述 し た 。 交 流 で は 互 い の 社 会 や 文 化 の 学 び 合 い と 、 自 己 開 示 を 伴 う 人 間 的 交 流 の 両 方 が 存 在 し て い た 。 ま た 、 交 流 の 話 題 は ボ ラ ン テ ィ ア だ け で な く 外 国 人 参 加 者 か ら も 多 く 提 示 さ れ た 。 そ の 要 因 と し て 、 素 材 集 の 内 容 を 活 用 す る だ け で な く 、 ボ ラ ン テ ィ ア が 行 っ て い た ① 生 活 行 動 支 援 を 外 国 人 参 加 者 の 現 実 に 近 づ け る 工 夫 と 自 己 開 示 、 ② 外 国 人 参 加 者 を 尊 重 し た ホ ス ト と し て の 緩 や か な 場 の 管 理 、 ③ 外 国 人 参 加 者 の 提 示 し た 話 題 を 維 持 す る た め の ス ト ラ テ ジ ー 使 用 が 分 析 さ れ た 。 こ れ ら は 、 自 ら の 実 践 を 内 省 し な が ら 得 た 実 践 者 と し て の 学 び を 、 ボ ラ ン テ ィ ア が 活 動 に 活 か し た 結 果 で あ る こ と が イ ン タ ビ ュ ー か ら 明 ら か に な っ た 。

( 3 ) 外 国 人 参 加 者 の 学 び  

自 由 な 話 題 提 供 が 可 能 な 上 述 事 例 に お け る 外 国 人 参 加 者 の 学 び を ミ ク ロ と マ ク ロ の 両 方 の レ ベ ル か ら 検 討 し た 。 ミ ク ロ ・ レ ベ ル で は 活 動 中 の 発 話 を 意 味 交 渉 の 観 点 か ら 分 析 し た 。 そ し て 、 一 部 に 文 法 的 要 素 も 伴 い な が ら 主 に 語 彙 を 中 心 に し て ① 意 味 交 渉 に よ っ て 新 し い 語 彙 を 獲 得 し た の ち 、 異 な る 文 脈 の 中 で 実 際 使 用 が 行 わ れ る 、 ② 既 有 知 識 を 利 用 し た

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理 解 の 試 み が 新 し い 語 彙 獲 得 に つ な が る 、 ③ 不 正 確 さ を 伴 っ て い た 語 彙 が 実 際 使 用 の 中 で 正 確 に な る 過 程 を 明 ら か に し た 。 生 活 行 動 支 援 と 交 流 を 重 視 し た 活 動 の 中 で も 、 活 発 な イ ン タ ー ア ク シ ョ ン に よ っ て 、言 語 習 得 が 促 進 さ れ て い る こ と を 事 例 的 に 示 す こ と が で き た 。   

LPP 論 を 用 い た マ ク ロ・レ ベ ル の 分 析 で は 、外 国 人 参 加 者 が ご く 周 辺 的 な 参 加 か ら 始 ま っ て 、 ① グ ル ー プ の 実 践 に 慣 れ る 、 ② グ ル ー プ へ の 参 加 を 深 め る 、 ③ グ ル ー プ の 外 の 実 践 共 同 体 へ 移 行 す る と い っ た 段 階 を 経 な が ら 、 自 己 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 表 出 し た り 、 被 支 援 者 と は 異 な る 役 割 を 担 っ て い っ た こ と を 明 ら か に し た 。 そ れ ら の 変 化 が イ ン タ ー ア ク シ ョ ン の 内 容 に も 影 響 を 与 え 、 言 語 習 得 の 可 能 性 が 生 じ る 文 脈 と な っ て い た こ と を 述 べ た 。 そ れ は 、 参 加 の 深 ま り の 中 で 自 己 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 知 る こ と や 、 社 会 の 成 員 性 を 発 展 さ せ て い く と い う 学 び の 存 在( レ イ ヴ・ウ ェ ン ガ ー  1993:29-30)と 、そ う し た 学 び の 一 側 面 と し て 言 語 習 得 が 行 な わ れ て い る 事 例 を 示 す も の で あ る 。  

( 4 ) 仮 説 ( ⅰ ) に 対 す る 結 果 と 課 題  

以 上 ( 1 ) か ら ( 3 ) の 結 果 を 総 合 す る と 、 モ ジ ュ ー ル 形 式 「 生 活 行 動 支 援 + 交 流 の 話 題 ・ タ ス ク 」 の 素 材 集 と い う 新 た な 道 具 を 媒 介 と し た 活 動 で は 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 目 が 当 事 者 の 必 要 性 を 尊 重 し た 活 動 へ と 向 き や す く な り 、 そ こ か ら 、 交 流 が 生 ま れ 、 イ ン タ ー ア ク シ ョ ン が 活 性 化 し 、 そ れ ぞ れ の 学 び の 生 起 が あ っ た と 言 え る 。 つ ま り 、 活 動 の ル ー ル は ボ ラ ン テ ィ ア が 日 本 語 を 教 え ・ 外 国 人 参 加 者 が 学 ぶ ( 従 う ) と い っ た 従 来 の 活 動 か ら 、 当 事 者 で あ る 外 国 人 参 加 者 主 体 へ と 転 換 し 、 活 動 の 場 は 外 国 人 参 加 者 と ボ ラ ン テ ィ ア 双 方 が 学 び 合 う 場 と な っ て い っ た と 纏 め ら れ た 。 こ れ は 、 本 研 究 の 仮 説 ( ⅰ ) 活 動 に 素 材 集 を 媒 介 さ せ る こ と に よ っ て 日 頃 の 活 動 が 変 わ る の で は な い か 、 を 支 持 す る 結 果 と 言 え る 。

  し か し 、 課 題 も あ っ た 。 ま ず 、 社 会 生 活 で 孤 立 し 日 本 語 学 習 面 で も 支 援 を 必 要 と す る 外 国 人 参 加 者 と の 活 動 事 例 か ら は 、 ボ ラ ン テ ィ ア が 様 々 な 問 題 に 寄 り 添 う 際 、 現 状 で は 広 範 囲 な 領 域 を 内 包 し て い た 。 そ こ に は 、 カ ウ ン セ リ ン グ 的 傾 聴 、 組 織 ・ 機 関 と の コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン 、 認 知 的 学 習 支 援 等 と い っ た 、 市 民 性 だ け で は 対 応 が 難 し く 専 門 性 が 求 め ら れ る 項 目 も 含 ま れ て い た 。 社 会 保 障 の 観 点 か ら 行 政 が 早 急 に 役 割 を 果 た す べ き 項 目 で あ る 。  

ま た 、 多 岐 に わ た る 外 国 人 参 加 者 の 要 望 に ど こ ま で 対 応 で き る か は 各 ボ ラ ン テ ィ ア の 問 題 解 決 能 力 と ボ ラ ン テ ィ ア 観 に 依 っ て い た 。「 〜 し て あ げ る 」と い う ボ ラ ン テ ィ ア 観 も 見 ら れ た こ と か ら 、 ボ ラ ン テ ィ ア へ の 研 修 や 講 座 内 容 は 日 本 語 教 育 の 観 点 か ら だ け で な く 、 ボ ラ ン テ ィ ア 論 や 社 会 福 祉 の 観 点 を 取 り 入 れ て い く 必 要 が 喚 起 さ れ た 、 他 に 、 素 材 集 を 活 動

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の 場 に 取 り 入 れ て も 、 必 ず し も 全 て の ボ ラ ン テ ィ ア が 生 活 行 動 支 援 や 交 流 と い っ た 活 動 目 標 を 受 入 れ た わ け で は な く 、 成 人 の ボ ラ ン テ ィ ア に 適 し た 活 動 改 善 の 方 法 が 探 求 さ れ て い く こ と の 重 要 性 が 示 唆 さ れ た 。 こ の 点 は 第 8章 で 改 め て 取 り 上 げ る 。  

 

第 7 章   ボ ラ ン テ ィ ア と の 教 材 作 成 過 程  

最 初 に 、 ボ ラ ン テ ィ ア と の 協 働 に よ る 素 材 集 作 成 過 程 を 記 述 し 、 そ の プ ロ セ ス と 筆 者 が 行 な っ た 介 入 及 び 支 援 を 明 ら か に し 、 活 動 の 担 い 手 で あ る ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び と 、 活 動 改 善 上 の 要 因 を 分 析 ・ 考 察 し た 。 結 果 は 次 の よ う に ま と め る こ と が で き る 。  

( 1 ) 作 成 過 程 と 協 働 の た め に 筆 者 が 行 な っ た こ と  

下 記 は 、 ボ ラ ン テ ィ ア と の 協 働 作 成 過 程 で 筆 者 が 行 な っ た こ と を ま と め た も の で あ る 。  第 Ⅰ 期 : グ ル ー プ の 基 盤 作 り − 活 動 の 方 向 性 と 素 材 集 コ ン セ プ ト の 共 有  

第 Ⅱ 期 : 内 容 作 成 − プ ロ ト タ イ プ の 提 案 と 参 加 型 作 成 活 動 の フ ァ シ リ テ ー ト  

第 Ⅲ 期 : 試 用 期 と 第 Ⅳ 期 : 仕 上 げ 期 − ボ ラ ン テ ィ ア の 主 体 性 維 持 と 素 材 集 完 成 と の 調 整   従 来 、 教 材 作 成 は ボ ラ ン テ ィ ア の 研 修 機 会 と 捉 え ら れ る こ と が 多 か っ た 。 し か し 、 協 会 W の よ う に 助 成 金 事 業 で あ る 場 合 、 ボ ラ ン テ ィ ア 研 修 的 要 素 だ け で な く 、 作 成 期 限 が 近 づ く に つ れ て 事 業 的 要 素 の 割 合 が 増 え て い っ た 。 そ う し た 中 で も 、 活 動 主 体 で あ る ボ ラ ン テ ィ ア が 十 全 的 に 作 成 活 動 に 取 り 組 め る こ と へ の 配 慮 が 求 め ら れ た 。 ま た 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 十 全 な 参 加 と 能 力 の 発 揮 を 促 進 し 、 多 文 化 共 生 社 会 作 り に 向 け た 事 業 が 達 成 さ れ る た め に は 、 ボ ラ ン テ ィ ア ・ マ ネ ジ メ ン ト の 手 法 を 取 り 入 れ る こ と と 、 対 等 な 関 係 構 築 に 留 意 し つ つ 、行 政 が 民 間 組 織 に 対 し て 財 政 面 や 職 員 の 人 材 育 成 上 の 支 援 を 行 な う 必 要 性 を 指 摘 し た 。 

( 2 ) 協 働 作 成 に お け る ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び と 仮 説 ( ⅱ ) の 結 果  

  全 て の 素 材 集 作 成 メ ン バ ー が 多 様 な 学 び や 肯 定 的 な 感 情 を 得 て い た こ と は 、 素 材 集 作 成 を 行 な う 意 義 を 十 分 に 示 す も の で あ る 。 特 に 、 活 動 改 善 で は 、 作 成 へ の 参 加 を 通 し て メ ン バ ー の 主 体 性 が 発 揮 さ れ る よ う に な り 、 日 頃 の 活 動 場 面 で ボ ラ ン テ ィ ア の 協 力 が 促 進 さ れ て グ ル ー プ 力 が 高 ま っ た こ と や 、 グ ル ー プ 自 体 の 改 善 へ の 取 り 組 み が ボ ラ ン テ ィ ア に よ っ て 始 め ら れ た と い う 変 化 が あ っ た 。 つ ま り 、 活 動 は 誰 か の 指 示 を 待 っ て 動 く と い う 学 校 型 か ら 、 ボ ラ ン テ ィ ア 自 ら の 主 体 性 ・ 自 己 決 定 性 が 発 揮 さ れ る 場 に な っ た と 考 え ら れ た 。  

そ の 一 方 で 、 素 材 集 作 成 を 通 し て ボ ラ ン テ ィ ア の 活 動 へ の 理 解 が 深 ま る の で は な い か と い う 仮 説 ( ⅱ ) に つ い て は 、 同 じ 市 民 と し て 外 国 人 参 加 者 の 十 全 な 社 会 参 加 を 支 援 し 、 相

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互 交 流 を 中 心 と し た 活 動 を 行 な う と い う 活 動 目 的 が 知 識 と し て 理 解 さ れ て も 、 各 自 が 持 っ て い る 経 験 が 剛 構 造( 三 輪 2006:135)に な っ て 、行 動 面 で は 変 容 が 見 ら れ な い こ と も 一 部 に 見 ら れ た 。 こ の 点 に つ い て は 、 第 6 章 の 結 果 と 併 せ て 第 8 章 で 再 び 取 り 上 げ る 。

( 3 ) ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び を 豊 か に す る 上 で の 協 働 上 の 課 題  

素 材 集 作 成 過 程 に お い て 、 筆 者 は 成 人 で あ る ボ ラ ン テ ィ ア の 学 び を 支 援 す る た め に 、 必 要 に 応 じ て 指 針 を 示 し つ つ も 、 ボ ラ ン テ ィ ア の 自 己 決 定 に 基 づ く 主 体 性 の 発 揮 を 目 標 と し た 。 し か し 、 そ れ ら を 十 分 に 実 現 し て い く た め に は 、 各 人 の 経 験 か ら 生 じ る 成 人 の 学 び の 特 質 に 目 を 向 け 、 生 涯 学 習 論 や ボ ラ ン テ ィ ア 論 の 知 見 も 応 用 し な が ら 、 フ ァ シ リ テ ー ト と 指 示 を 有 効 に 使 い 分 け て い く 必 要 性 が 喚 起 さ れ た 。 ま た 、 本 協 働 的 実 践 で は パ ソ コ ン を は じ め と す る デ ジ タ ル 機 器 使 用 が 、 一 部 の ボ ラ ン テ ィ ア に と っ て 活 動 へ の 十 全 的 参 加 を 阻 む 要 因 に な っ て い た 。 誰 に と っ て も 活 動 参 加 上 の ア ク セ ス が 開 か れ る こ と が 重 要 で あ っ た 。    

第 8 章   結 論  

ま ず 、 協 会 W の 一 連 の 活 動 改 善 の た め の プ ロ セ ス と し て 、 第 6 章 と 第 7 章 の 結 果 を 、 活 動 の 拡 張 的 サ イ ク ル ( エ ン ゲ ス ト ロ ー ム 1999) を 用 い て 時 系 列 に ま と め た 。 協 会 W の 改 善 の 試 み で は 、 多 文 化 共 生 社 会 の 創 造 に 寄 与 す る と い う 地 域 日 本 語 活 動 の 理 念 の 基 に 、 行 動 目 標 を 外 国 人 へ の 生 活 行 動 支 援 と 参 加 者 間 の 交 流 ・ 相 互 学 習 に 置 い た 。 そ し て 素 材 集 を 、 行 動 目 標 と 具 体 的 な 活 動 と を 媒 介 す る 概 念 ( コ ン セ プ ト ) / 具 現 物 と し て 、 提 案 し た 試 み で あ っ た こ と を 整 理 し た 。 以 下 、 活 動 改 善 と 発 展 か ら み た 考 察 と 、 そ れ に 対 す る ボ ラ ン テ ィ ア 、 媒 介 物 、 研 究 に 携 わ る 者 の 関 り を そ れ ぞ れ ま と め る 。 そ し て 、 最 後 に 本 研 究 の 課 題 を 述 べ る 。

( 1 ) 活 動 の 改 善 ・ 発 展 か ら み た 考 察 : メ タ 活 動 の 素 材 集 作 成 と 日 頃 の 中 心 的 活 動 は 、 概 念 と 具 現 物 と い う 違 い は あ っ て も 、 同 じ 「 素 材 集 」 を 媒 介 と し て リ ン ク し て い た こ と が わ か っ た 。 ま ず 、 素 材 集 の 概 念 を 媒 介 に し て 、 そ れ を 具 現 化 す る メ タ 活 動 の 中 で 、 活 動 主 体 で あ る ボ ラ ン テ ィ ア が 自 己 決 定 型 に な っ て い た( 第 7 章 )。そ の よ う に 変 化 し た ボ ラ ン テ ィ ア が 、 日 頃 の 活 動 場 面 で 実 践 者 と し て 内 省 を し な が ら 素 材 集 を 活 用 し 、 当 事 者 の 必 要 性 を 反 映 さ せ な が ら 、交 流 と 相 互 学 習 が 生 起 す る 実 践 を 実 現 し て い た( 第 6 章 )。ま た 、二 つ の 活 動 に は 往 還 が あ っ た 。 例 え ば 素 材 集 作 成 過 程 で は 、 中 心 的 活 動 の 場 で 試 用 し た こ と が 作 成 途 上 に あ る 素 材 集 の 意 味 と 価 値 を 確 認 す る 機 会 に な り 、 そ の 後 の よ り 主 体 的 な 活 動 に つ

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な が る 源 に な っ て い た 。 そ し て 、 素 材 集 完 成 後 も 、 実 際 使 用 を 通 し て 生 活 行 動 支 援 と 交 流 を う ま く 生 起 で き た メ ン バ ー が 、 活 動 グ ル ー プ 全 体 で の 素 材 集 の よ り 良 い 活 用 を 目 指 し て メ タ 活 動 を も 始 め た 。 つ ま り 、 協 会 W に お け る 活 動 改 善 の 試 み は 、 時 に 概 念 で あ り 時 に 具 現 物 で あ っ て も 、 外 国 人 参 加 者 へ の 生 活 行 動 支 援 と 参 加 者 間 の 交 流 ・ 相 互 学 習 を 媒 介 す る

「 素 材 集 」が 共 通 し て 存 在 し て い た こ と に よ っ て 、メ タ 活 動 と 中 心 的 活 動 が 往 還 し て い た 。 往 還 が 積 み 重 ね ら れ る こ と に よ っ て 、 第 6 章 ・ 第 7 章 で 課 題 と な っ た 、 成 人 の 学 び の 特 質 で あ る 各 自 の 経 験 を 背 景 と し た 剛 構 造 が 徐 々 に 変 容 し 、 活 動 改 善 に つ な が る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。 そ う し た 協 会 W の 活 動 改 善 と 発 展 へ の 試 み を 左 の 図 8-3 で 図 示 し た 。  

 

図 8-3  協 会 W の 活 動 改 善 と 発 展 へ の 試 み     図 8-4  活 動 改 善 と 発 展 に 向 け た モ デ ル    

フ ィ ー ル ド に は 個 別 性 が あ り 、 多 様 な 行 動 目 標 と 、 そ れ に 適 し た 媒 介 物 が あ り 得 よ う 。 そ の た め 、 活 動 の 改 善 ・ 発 展 を 考 え る 上 で の モ デ ル は 右 の 図 8-4 の よ う に 示 せ る の で は な い か 。 中 心 的 活 動 の 主 体 が ボ ラ ン テ ィ ア で あ る こ と か ら 、 ボ ラ ン テ ィ ア 自 身 が 活 動 改 善 と 発 展 の う え で 欠 か せ な い ア ク タ ー で あ る こ と が わ か る 。 

( 2 ) 活 動 改 善 と ボ ラ ン テ ィ ア の 関 り : ボ ラ ン テ ィ ア が 活 動 改 善 に 取 り 組 む に は 段 階 が あ る こ と も わ か っ た 。 ま ず 、 活 動 目 標 を 実 践 で 具 現 化 し て い け る た め に 、 メ タ 活 動 と 中 心 的 活 動 に お け る 実 践 を 往 還 さ せ 内 省 を 積 み 重 ね な が ら 、 徐 々 に 新 し い 活 動 観 と 実 践 の 方 法 を

行 動 目 標 と 活 動 を つ な げ る 媒 介 物

理         念

メ タ 活 動 中 心 的

活 動 行   動   目   標

素 材 集 ( 概 念 / 具 現 物 ) 多 文 化 共 生 社 会 の 創 造

・素 材 集 作 成

・素 材 集 活 用 の 為 の 活 動

メ タ 活 動

・ 素 材 集 を 用 い た 活 動 中 心 的 活 動

・ 外 国 人 へ の 生 活 行 動 支 援

・ 参 加 者 間 の 交 流/相 互 学 習

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身 に つ け て い た 。 さ ら に 、 改 善 活 動 へ の 取 り 組 み に 至 る ま で に は 、 道 具 で あ る 素 材 集 を 理 解 し 、 そ れ を 用 い た 実 践 に 習 熟 し 、 そ の う え で 活 動 主 体 と し て グ ル ー プ の 課 題 に 気 づ く と い う よ う に 、 一 定 以 上 の 期 間 に わ た る 営 み が あ っ た 。 ボ ラ ン テ ィ ア 研 修 や 講 座 を 企 画 す る 際 に 留 意 を 要 す る 点 で あ る 。

( 3 ) 媒 介 物 が 活 動 改 善 に 果 た す 役 割 : 本 研 究 で は 、 素 材 集 は 第 6 章 で 見 た よ う に 活 動 の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と な っ て い た 。 し か し 、 第 7 章 で 明 ら か に な っ た よ う に 、 作 成 メ ン バ ー の 中 で も 素 材 集 の 意 味 づ け は 異 な っ て い た 。 活 動 に お け る 媒 介 物 の 意 義 は 、 ① 共 同 体 の 活 動 を 回 す / 維 持 す る 基 盤 と な る 、 ② 各 自 に 行 動 目 標 を 思 い 起 こ さ せ る 、 ③ 各 自 に 行 動 目 標 を 反 映 し た 実 践 を 可 能 に さ せ る 、 ④ グ ル ー プ 全 体 に 行 動 目 標 と そ の た め の 実 践 方 法 を 共 有 さ せ る 、 ⑤ 媒 介 物 、 行 動 目 標 、 理 念 自 体 を 問 い 直 さ せ る と い う 段 階 が 考 え ら れ た 。 本 研 究 で は ① か ら ③ ま で が 確 認 さ れ 、 ④ の 動 き が 一 部 で 見 ら れ 始 め た 。

  媒 介 物 の 適 切 性 に つ い て は 、 多 様 な ボ ラ ン テ ィ ア が 使 用 す る た め 、 可 能 な 限 り 目 的 と 使 い 方 が 伝 わ り や す く 作 成 さ れ て い る 必 要 が あ る 。 逆 に 、 活 動 改 善 上 の 媒 介 物 と し て 不 適 切 な 例 で は 、「 外 国 人 の 立 場 に 立 っ た 活 動 」の よ う に「 形 」が な く 受 け 手 の 解 釈 が 曖 昧 に な り や す い 抽 象 的 な 理 念 や 行 動 目 標 を そ の ま ま 媒 介 物 と し て 用 い る こ と や 、 文 法 積 み 上 げ 式 の 教 科 書 を 用 い て 交 流 を 主 と し た 活 動 を 目 指 す と い う よ う に 、 道 具 の 特 徴 か ら 一 般 に 想 起 さ れ る も の が 、 目 標 と す る 理 念 や 行 動 と 一 致 し な い 場 合 が 挙 げ ら れ る 。

( 4 ) 日 本 語 教 育 の 分 野 で 研 究 に 携 わ る 者 の 関 り : 理 念 を 鑑 み な が ら 、 フ ィ ー ル ド に 適 し た 行 動 目 標 及 び 媒 介 物 を 探 求 ・ 提 案 し 、 メ タ 活 動 と 中 心 的 活 動 の リ ン ク を う ま く 往 還 の 俎 上 に 乗 せ 、 必 要 に 応 じ て 上 位 項 目 を 見 直 す と い っ た 様 々 な 過 程 で 、 活 動 改 善 に 向 け て 果 た せ る 役 割 は 少 な く な い( 前 ペ ー ジ の 図 8-4参 照 )。ま た 、当 事 者 で あ る 外 国 人 住 民 へ の 市 民 に よ る 支 援 実 施 と 同 時 に 、 隣 人 間 の 交 流 ・ 相 互 学 習 が 実 現 し 、 社 会 を 多 文 化 共 生 社 会 へ と 近 づ け て い く ソ ー シ ャ ル・ ア ク シ ョ ン へ と つ な げ る た め に は 、第 6 章・ 第 7 章 の 課 題 で 述 べ た よ う に 組 織 ・ 行 政 が 連 携 し て 役 割 を 果 た し て い く こ と が 必 要 で 、 そ の 実 質 化 に 働 き か け て い く こ と も 急 務 で あ る 。  

  続 い て 、 本 研 究 に お け る 方 法 論 と 内 容 面 で の 課 題 に つ い て 述 べ る 。

方 法 論 で は 、 多 く の 参 加 者 か ら な る 協 働 的 実 践 を 通 し た 研 究 は 常 に 不 確 定 要 素 を 孕 み 、 事 前 の デ ザ イ ン も 難 し く 即 興 性 の 高 い も の に な ら ざ る を 得 な か っ た こ と に 課 題 が あ っ た 。 素 材 集 作 成 過 程 で は 、 他 の ボ ラ ン テ ィ ア と 協 働 し な が ら も 助 成 金 事 業 ゆ え に 期 限 内 に 完 成

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さ せ る と い う 制 約 が あ り 、 協 働 と 素 材 集 完 成 が 調 査 に 優 先 し た 結 果 、 補 完 的 デ ー タ 収 集 を 試 み た も の の 、 参 与 観 察 記 録 に 不 十 分 な 点 が あ る こ と は 否 め な い 。 ま た 、 既 知 の フ ィ ー ル ド で あ っ た た め 、 素 材 集 の 実 際 使 用 場 面 の 参 与 観 察 で は 調 査 計 画 を 変 更 し て 活 動 に 協 力 す る 必 要 が 生 じ る こ と が あ っ た 。 デ ー タ 収 集 や 分 析 ・ 解 釈 の 際 に 思 い 込 み を 排 除 し 常 に 新 鮮 な 目 が 保 て て い た か と い う 点 に も 課 題 が あ ろ う 。 フ ィ ー ル ド に 根 ざ し た 協 働 的 実 践 お よ び 改 善 の 過 程 で 得 た 研 究 結 果 の 記 述 方 法 も 更 に 検 討 す る 必 要 が あ る 。  

  内 容 面 で は 、 ま ず 、 素 材 集 自 体 が 持 つ 課 題 に つ い て 十 分 な 検 討 が で き な か っ た 点 が 挙 げ ら れ る 。 ま た 、 活 動 の 場 に お け る 外 国 人 参 加 者 の イ ン タ ー ア ク シ ョ ン を 通 し た 言 語 習 得 過 程 及 び 、ボ ラ ン テ ィ ア 側 の イ ン タ ー ア ク シ ョ ン を 活 性 化 さ せ る た め の 取 り 組 み に つ い て も 、 多 文 化 化 す る 社 会 へ の 還 元 を 視 野 に 入 れ な が ら 、 明 ら か に し て い く 必 要 が あ る 。  

  さ ら に 、 小 グ ル ー プ レ ベ ル で は 相 互 学 習 が で き る 関 係 が 成 立 し た も の の 、 協 会 W の 活 動 全 体 で は 外 国 人 参 加 者 は 被 支 援 者 の ま ま で あ り 、 担 い 手 に 移 行 す る と い っ た 変 化 は 見 ら れ な か っ た 。 こ れ は 協 会 W に 限 ら ず 広 く 見 ら れ る 課 題 で あ る た め 、 改 善 に 取 り 組 み た い 。     な お 、 本 研 究 は 行 政 が 為 す べ き 社 会 保 障 と し て の 日 本 語 教 育 と は 異 な り 、 市 民 レ ベ ル の 活 動 と い う 視 点 に 立 っ た 研 究 で あ る 。 そ の た め 、 外 国 人 に と っ て も 意 味 が あ り 、 か つ 、 隣 人 と し て の 市 民 の 魅 力 が 活 き る 実 践 を 目 指 し た 。 今 後 は 、 そ う し た 地 域 日 本 語 活 動 と 、 行 政 に よ る 外 国 人 住 民 へ の 日 本 語 関 連 施 策 が 相 互 補 完 的 に 機 能 す る こ と が 期 待 さ れ る 。 そ う し た 全 体 像 と し て の 地 域 日 本 語 教 育 を 構 築 し て い く た め に 、 行 政 ・ 民 間 組 織 ・ 専 門 家 / 研 究 者 が 連 携 し て い く こ と が 必 要 だ と 思 わ れ る が 、 本 稿 で は そ の 概 略 が 描 け た に す ぎ な い 。 こ の 詳 細 な 検 討 に つ い て も 、 今 後 の 課 題 と し て 取 り 組 ん で い き た い 。  

【 参 考 文 献 】

エ ン ゲ ス ト ロ ー ム・Y(1999)『 拡 張 に よ る 学 習 − 活 動 理 論 か ら の ア プ ロ ー チ − 』( 山 住 勝 広 他 訳 ) 新 曜 社  

レ イ ヴ 、J.・ ウ ェ ン ガ ー 、E.(1993)『 状 況 に 埋 め 込 ま れ た 学 習 − 正 統 的 周 辺 参 加 − 』( 佐 伯 胖 訳 ) 産 業 図 書

三 輪 建 二 (2006)「 生 涯 学 習 に お け る 学 習 者 像 と 学 習 支 援 」『 新 訂   生 涯 学 習 と 自 己 実 現 』

( 堀 薫 夫 ・ 三 輪 建 二 編 著 )131-141 頁 、 放 送 大 学 教 育 振 興 会

参照

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