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第30回日本臨床スポーツ医学会学術集会傍聴記

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98

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 博士後 期課程 2 年

Graduate School of Health and Sports Science, Juntendo University 98 順天堂スポーツ健康科学研究 第11巻第 1 号(通巻76号),98 (2020)

〈学術研究集会傍聴記〉

第30回日本臨床スポーツ医学会学術集会傍聴記

池田

隼

Hayato IKEDA

2019年11月16日から17日まで,パシフィコ横浜 で開催された第30回日本臨床スポーツ医学会学術 集会に参加した.2 日間にわたり,研究発表やラン チョンセミナー,基調講演,シンポジウム等多くの セッションが計画されていた. ランチョンセミナーでは,福永哲夫先生による 「老後に備えて貯金と貯筋-ホーム貯筋術の提案-」 講演があった.講演の主な内容は,加齢にともなう 筋,骨,脂肪の変化をもとに,日常生活における身 体運動の重要性に関するものであった.加齢は, 筋,骨や神経などの身体を構成する諸器官の発揮機 能の低下を引き起こす.一方で,適切な身体運動を 行わなければ筋・骨格系,呼吸循環器系,神経系な どの器官・組織は退化する.そこで,福永先生は加 齢および運動不足が原因で低下する筋に対して,ど のように改善していくことができるのかについて考 えられてきた.筋の老化は部位により異なること (特に大腿前の低下が著しい)や身体不活動は筋機 能を著しく低下させることが分かった.また,高齢 者でもトレーニングにより筋機能は高まることが報 告されており,高齢者が日常で実施できる運動プロ グラムについても提案されていた.その運動プログ ラムとは,音楽に合わせて歌いながらスクワット運 動を行うものであった.福永先生の講演は,これま での研究の積み重ねから現在の考えに至っており, 基礎研究の重要性や膨大なデータが裏付ける客観的 な指標はとても分かりやすかった.提案された運動 プログラムは,参加者全員で音楽に合わせて,掛け 声に合わせて全員で行った.この運動プログラムに は,高齢者でも楽しく継続できるように音楽や声か けなど様々な工夫が用いられており,福永先生の人 柄も含まれているように感じた.改めて,運動やス ポーツはただ行うだけではなく,楽しさも含め実施 することが重要だと考えるきっかけとなった. 基調講演では,宮本(三上)恵理先生による「ス ポーツと遺伝」講演があった.宮本先生の講演にお いて,アスリートのパフォーマンスには環境要因と 遺伝要因が影響するという内容であった.現在まで の20年間において少なくとも155種以上の遺伝子多 型がスポーツパフォーマンスと関連すると報告され ている.また,アスリートのパフォーマンスだけで はなく,傷害と関連する遺伝子多型も見つかってお り,様々な観点で検討されている.しかし,宮本先 生の話でもあったように,これまでに報告された遺 伝子多型はスポーツパフォーマンスの遺伝要因の一 部を説明するに過ぎないことも明らかになってきて おり,遺伝要因をどのように解釈し,実際のスポー ツ現場に応用していくのかは大きな課題であると感 じた.これまでの遺伝要因とアスリートに関する研 究では,陸上競技選手や水泳選手などタイムを競う 競技選手が対象となっている.しかし,サッカーや ラグビー,ハンドボールといった対人のある球技系 スポーツにおいては,パフォーマンスの構成要素が 非常に多いため,遺伝要因との関連を見つけるのは 非常に難しいかもしれない.しかし,スポーツと遺 伝にはまだ未解明な部分も多くあり,今後新たな発 見が出てくる可能性は高いはずである. 今回,世界的にも活躍されている先生の話を聞け たことは,私にとってとても刺激的であった.今後 も,このような場に積極的に参加し,考え方や価値 観の幅を広げていきたい.

参照

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