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光と細胞

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Academic year: 2021

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光でさぐる細胞生理 慨が深

光と細胞

(浜 医科大学・光量子医学研究センター) 私は医学部の学生のころから,生体や脳の働きを理解するには光を うしかないと 確信していた.光の情報の元が 子であることと,レンズが空間的な情報をとらえる ことが,電気的手法に決定的に優っていると思われた.卒業するとすぐにその えに 従って,日本で唯一光を った生理学研究の講座を主宰していた,東京医科歯科大学 の渡辺昭教授の研究室に入った.光を った神経細胞の研究は,まだ物珍しいだけの もので,何がわかるのかさえよくわかっていなかった.ヘモグロビンの 光学的研究 などはすでに大きく進んでいたが,生きた細胞の 子活動をとらえようとする研究は 困難であった.当時渡辺研究室では,神経線維の復屈折性の変化を取り出す研究をし ており,神経を通過してきた光量の 1千万 の 1が,インパルスの発生に伴って変化 するのを信号として解析していた.これは恐ろしく小さい信号量であったが,確かに 細胞膜とその近傍の蛋白の変化を反映していた. 過去 35年の間に脳や細胞の活動から得られる光学信号は 1千万倍大きくなった. この桁の増大は,信号を特異的にとらえる技術の進展による.本号の特集はこのよう な技術の解説であり,私には大変感 素の助 い.光の神経への作用を調べたこともあり, 紫外光で活動電位が停止することがわかったが,当時はその意味を見いだせず,論文 にならなかった. 今日,光を癌の治療に用いたり,細胞に作用を与える道具として う道が大きく開 けている.光で細胞を刺激したり,蛋白の発現を制御したり,その働きを変化させる ことは,大変有用であり,医学に応用したい大きな目標である.さらに,これからの 研究 野として,生体内で光がもっている機能の研究が残されている.生体から化学 反応の結果放出される微量なフォトンは,水の中の蛋白構造を変えるのではないか. 増感色 りなが けがあれば,細胞間や蛋白間にフォトン通信が生じるのではないだろう か. 光は,空間のページと時間のページを繫いでいる本の縫い目のような印象を受ける が,この本の中に生命の歴 と宇宙の存在の物語が書かれている.個人の人生が綴ら れているともいえる.光という身近にあ う古人 ら不思議なものに思いを馳せると,人 の存在は時空の中の一点に過ぎないが,それでもひとつの星の輝きのように全宇宙に 光を放つ,とい である の想いに同感できる.光は,時間・空間・人間を束ねる糸のよ う .その糸を細胞に通して整理する時代が来 いて る.

巻頭

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