博士学位論文 2016年 度
企業再生税制 の研究
― 債務 の株式化 と債務免除益課税 ―
成曖大学大学院 経済経営研究科
博士後期課程 経営学専攻
D132101
柳 綾 子
は し が き
本 論 文 は 、成 険 大 学 大 学 院 経 済 経 営 研 究 科 博 士 後 期 課 程 経 営 学 専 攻 を 修 了 す る に あ た り 、 博 士 学 位 論 文
(課
程 博 士)と
し て 提 出 す る も の で あ る 。本 論 文 は 、「企 業 再 生 税 制 の 研 究 ―債 務 の 株 式 化 と 債 務 免 除 益 課 税 一」 と 題 し て 、 企 業 再 生 税 制 、 特 に 企 業 再 生 手 法 と な る 債 務 の 株 式 化(Debt Equity Swap:DES)に
つ い て 、 税 法 の 基 本 原 則 で あ る 租 税 法 律 主 義 ・ 租 税 公 平 主 義 、 所 得 計 算 原 理 お よ び 企 業 経 営 に 対 す る 租 税 の 公 平 性 ・ 中 立 性 の 視 点 か ら 、 現 行 制 度 の 問 題 点 等 を 分 析 ・ 検 討 し 、 さ ら に ア メ リ カ お よ び ドイ ツ の 企 業 再 生 税 制 と 比 較 考 察 す る こ と に よ り 、理 論 と 実 践 に お い て 整 合 性 の あ る 新 た な 企 業 再 生 税 制 の 構 築 を 試 み た も の で あ る 。な お 、本 論 文 を こ の よ う な 形 で 完 成 さ せ る こ と が で き ま し た の は 、ひ と え に 成 曖 大 学 大 学 院 経 済 経 営 研 究 科 教 授 成 道 秀 雄 先 生 の 御 指 導 の お か げ で あ り 、哀 心 よ り感 謝 の 意 を 表 し 、 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。 ま た 、 伊 藤 克 容 教 授 、 河 路 武 志 教 授 、 伊 藤 公 哉 准 教 授 は じ め 多 く の 先 生 方 に 、中 間 報 告 会 等 を 通 じ て ご 指 導 と ご 助 言 を 賜 り 、研 究 の 筋 道 を つ け て い た だ き ま し た 。 こ の 場 を お 借 り し て 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。
2017年11月 21日
柳
綾 子
次
第 1章 第 1節 第 2節
第 2章
第 1節 第 2節
1.
2.
第 3節
1.
2.
3.
第 4節
1.
2.
3.
4.
5.
序論 Ⅲ
問題提起・ 先行研究 研究方法・構成
企業再生の現状 と法務の概要 経済情勢 と企業再生
企業再生のための財務内容改善方法 債務整理による方法
組織再編等による手法
法的整理型による再生手続 法的整理の概要
会社更生法による更生手続 民事再生法 による再生手続
私的整理型による再生手続
私的整理 ガイ ドライ ン
.…………
整理回収機構 (RCC).… ………Ⅲ 事業再生 ADR Ⅲ………
中小企業再生支援協議会
.…………
地域経済活性化支援機構 (旧 企業再生支援機構 )..
‑1‑
… 1‑
‑2‑
‑5‑
‑5‑
‑6‑
‑6‑
‑8‑
‑8‑
‑8‑
‑10‑
‑12‑
‑13‑
‑14‑
‑15‑
‑17‑
‑17‑
‑18‑
‑ 20 ‑
‑ 20 ‑
‑ 22 ‑
‑ 22 ‑ 第 3章 企業再生 と債務の株式化
.…………
第 1節 債務の株 式化の意義
.…………
第 2節 会社法 における債務の株式化の概念 と解釈
.……Ⅲ
l.債 務者側の法務
.…………
2.債 権者側の法務
.………… … 25
第 3節 法人税法 における債務の株式化の概念 と課税関係 ‑26 1.債 務者側の法務
.………… … 26
(1)適 格現物 出資の場合
.…………・ 27
(2)非 適格現物出資の場合
.…………・ 27
2.債 権者側の法務
.………… … 29 第 4章 債務の株式化の法的性格 に関す る判例の分析・ 検討 ‑31
第 1節 債務の株式化による債務消滅益課税の事例
(最 高裁判所平成 23年 3月 29日 判決 ).… ……
.1.事 実の概要
.…………
3.分 析・ 検討 ………Ⅲ
(1)資 本等取 引の該 当性
.…………Ⅲ
(2)民 法第 520条 における混同消滅損益認識
.……Ⅲ 第 2節 擬似 DESと 寄附金課税の事例
(東 京高等裁判所平成 13年 7月 5日 判決 ).… …
1.事 実の概要
.…………
2.判 旨 (請 求棄却 ).… ………
3.分 析・検討 ………・
第 3節 債務の株式化の法的性格の分析・検討
.…………
1.債 務の株式化 と擬似 DESの 法的性格
.…………
2.債 務の株式化 と擬似 DESの 比較検討
.…………
第 5章 企業再生税制における債権者・債務者側の法務・
税務
.…………
‑31‑
‑31‑
‑ 34 ‑
‑ 36 ‑
‑ 37 ‑
‑ 38 ‑
‑ 39 ‑
‑ 40 ‑
‑41‑
‑ 42 ‑
‑ 42 ‑
‑ 43 ‑
‑ 46 ‑
第 1節 企業再生税制 における債権者側の法務・税務
.…Ⅲ… 46‑
1.貸 倒損失
.………… … 46‑
2.再 生支援損失 ………・ 47‑
第 2節 企業再生税制における債務者側の法務・税務
.….‑48‑ 1.企 業再生 と支援措置 ……… … 48‑
2.企 業再生に関す る法規の変遷
.………… … 48‑
(1)平 成 17年 度税制改正
.………… … 51‑
(2)平 成 18年 度税制改正 Ⅲ……… … 52‑
(3)平 成 21年 度税制改正
.………… … 53‑
(4)平 成 23年 度税制改正
.………… … 53‑
(5)平 成 25年 度税制改正
.………… … 55‑
(6)平 成 27年 度税制改正 Ⅲ……… … 56‑
3.債 務免除益課税 に対す る税法上の考 え方 と繰越欠損金の 損金算入 Ⅲ……… … 57‑
(1)益 金概念 と債務免除益
.…………・ 57‑
(2)会 社更生法の適用 Ⅲ………・ 59‑
(3)民 事再生法の適用
.………… … 60‑
① 資産の評価換えを行 う場合 (別 表添付方式 )‑62‑ ② 資産の評価換えを行わない場合 (損 金経理方式 ).… ………・ 64‑
(4)私 的整理手続 ……… … 66‑
第 6章 企業再生と繰越欠損金の税務
.………… … 68‑
第 1節 欠損金の繰越控除制度の概要 Ⅲ……… … 68‑
1.企 業会計における欠損金概念
.………… … 68‑
2.税 法 における欠損金概念 と欠損金の繰越控除制度の
本質・ 意義 Ⅲ………・ 69
第 2節 欠損金の繰越控除制度における期間制限 と 控除制限
.………… …
71第 7章 企業再生方法に対する税法的分析・検討
.………… … 74
第 1節 債務免除益等の課税根拠の検討
.………… … 74
1.債 務免除益課税の根拠
.…………・ 74
2.債 務の株 式化における債務免除益課税の根拠
.…… .‑75
第 2節 企業再生税制適用事例の分析・検討
.…………… … 79
1.事 例の概要
.………… … 79
2.事 例 の税法的検討 ………Ⅲ… 81 第 8章 アメ リカにおける企業再生 と税制
.………… … 83
第 1節 アメ リカの企業再生の現状
.………… … 83
第 2節 企業再生 と米国連邦倒産法
.………… … 84
第 3節 GHAPTERllの 解釈・ 適用
.…………・ 86
第 4節 内国歳入法第 108条 の概要
.………… … 89
1.債 務免除益課税の考 え方 と変遷 Ⅲ……… … 89
2.内 国歳入法第 108条
.………… … 90
第 9章 ドイツにおける企業再生 と税制
.………… … 96
第 1節 ドイツの企業再生の現状 Ⅲ……… … 96
第 2節 会社法における企業再生の会計・法務
.………… … 99
1.債 務の株 式化の意義
.………… … 99
2.債 務の株 式化の法務 Ⅲ………Ⅲ… 100
3.債 務の株式化の会計
.…………Ⅲ… 101
第 3節 税法 における企業再生の法務
.…………・ 103
1.税 法 における債務の株式化 と再生利益 Ⅲ…………・ 103
2.再 生利益課税
.…………・ 104
3.再 生利益 と繰越欠損金
.…………・ 105
第 4節 企業再生における再生利益課税の動向
.………Ⅲ… 106 第 10章 企業再生税制に対す る総合的分析・検討 と解決策 ‑108
第 1節 アメ リカの企業再生税制 と債務免除益課税
.…… … 108 第 2節 ドイツの企業再生税制 と債務免除益課税
.……… … 109 第 3節 企業再生税制における債務免除益課税の総合的
分析 口検討 ……… … 110
1.債 務の株式化の法的性格 と債務免除益課税………Ⅲ… 110
2.欠 損金の繰越控除制度における期間制限および
控除制限
.…………Ⅲ… 112
3.債 務免除益課税 と租税公平主義
.…………・ 114
第 4節 企業再生税制の問題点 と解決策 Ⅲ………・ 116
1.債 務の株式化
.…………・ 116
2.企 業再生税制 Ⅲ………Ⅲ… 117 第 11章 結論 Ⅲ……… 119
参 考 文 献
.日本語文献
(著 書
)(論 文
)外国語文献
‑ 122 ‑
‑ 122 ‑
‑ 122 ‑
‑ 124 ‑
‑ 128 ‑
(著書 口論文 等)
‑ 128 …
… 129 ‑
‑ 129 ‑
‑ 132 ‑
判例 資料.
データベース 拙著論文
Vl
第 1章 序論
第 1節 問題提起・ 先行研究
現在景気 は回復傾 向 にあるが、債務超過等 による資金繰 りの悪化 に伴 い、経営危機状態 に陥 る大企業 も少 な くない。 そ して、その よ うな企業 は、比較的簡易な手続 きで行われ る 私的整理 において、増資、債務 の株式化 (Debt Equity Swap:DES、 現物 出資型 の債務 の 株式化
)や
債務免 除等 の様 々な手法 を用 いて財務 内容 の改善 を図 り、または第二会社方式 な どのM&Aを
活用す る こ とに よ り企業 を再生 。存続 させ よ うとす る。そ こで、特 に問題 とな るのが多額 の債務免 除益等が計上 され る場合 である。 当該債務免 除益等 に法人税 が課 され る と企業再生 を阻害す るおそれ があるか らである。その よ うな企業再生 を阻害す る税制上の問題 点 を解決 し、企業再生 を促進 させ るための 措置 として、企業再生税制が設 け られてい る。企業再生税制 は、法的整理手続や一定の私 的整理手続 によ り債務免 除益等 (債務免 除、
DESに
よる債務免 除益、私財提供益)が
計上 され た場合 には、期 限切れ欠損金 (設立 当初 か らの欠損金 (未使 用欠損金)か
ら青色欠損 金 お よび災害損失金 を控除 した金額)の
損金算入 お よび資産 の評価損益 の計上が認 め られ(法人税法第
59条
、第25条
、第33条
)、 さらに一定 の場合 においては青色欠損金 の控除 限度額 を適用除外 と し、通常の企業 に比べて多額 の租税負担 が免除 され る優遇措置である。この規定 については、平成
17年
度税制 改正 に よ り大幅な見直 しがな され、それ以後 も幾 度 も改正 が行 われ て きた。 しか し、 この企業再生税制 は、政策的 な意味合 いが強 く、税法 の原則 である租税法律主義・租税公平主義、お よび所得計算原理 、 さらには企業経営 に対 す る租税 の 中立性 の観 点か らす る と望ま しくない面 もある。す なわち、企業再生税制 は、上記 のよ うな優遇措置 に よ り租税負担 を軽減 ない し排 除できるこ と等か ら、同一産業 にお ける企業の市場競争 に も歪み を生 じさせ る可能性 も出て くるのである。
上述 した問題 点があるにも関わ らず、 これ まで企業再生税制お よび
DESに
関す る研 究 において は、条文の解説等が多 く、会社法 。税法 。経営等 の総合的な視点か ら論考 した も のは比較的少ない。 また、DESに
ついて も、東京地方裁判所平成21年
4月 28日判決 の 評釈や 、会社法 の観 点か ら券面額説お よび評価額説 といった学説 の妥 当性等 の議論 は多 く な され てい るが、税法的視点か らの議論 はあま りな され ていない。 さらに、法人税法第59 条 について規定 され てい る企業再生税制 の議論 も、企業再生時において期 限切れ欠損金 で1‐
債務免 除益 が計上 され た部分 と相殺 させ る とい う点についての妥 当性や 、期 限切れ欠損金 が 当然 の よ うに復活 し遡及適用 され てい る点について論考 され てい るものは少 ない1。
本研 究 は、上述 した研 究課題 の下で、 これ まであま り議論 されて こなかった、租税 の公 平性・ 中立性 の視 点か ら企業再生税制、特 に
DESと
債務免 除益課税 について分析 。検討 を 試 み、アメ リカお よび ドイ ツの企業再生税制 と比較考察す ることによ り、新 たな問題 の発 見 と解決策 を検討 し、理論 と実践 において整合性 のある新 たな企業再生税制 の構築 を試み た ものである。第 2節 研究方法・構成
本研 究 は、前述 の研 究課題 の下で、論点 を次の
5つ
に絞 り考察す る。 まず第1点
は、企 業再生手法 として どの よ うな手法 。手続 があるか、またその処理方法等 を会計 。税法的視 点か ら検討す る。特 にDESに
よ り生 じる債務免 除益課税 については、益金 を構成す るの か否 か等 について、実体法 を解釈論的に考察す る。そ して第2点
には、企業再生税制 の変 遷 、現行法 にお ける法的整理手続 、一定の私的整理手続 の場合 の取扱 いの相違等 を実体法 に基 づいて考察 し明確 にす る。 また、DESに
関す る判例 を分析 。検討 し、DESの
法的性 格 を検討す る。第3点
と しては、 日本航空株式会社(JAL)の
事例 も交 えなが ら現行法 に お ける問題 点の検討 を行 う。特 に重要 となるのが、欠損金 の繰越控除制度 である。欠損金 の意義や繰越控除の期 間制限お よび控除制限にお ける問題 点 について分析 。検討 し、論考 す る。 さらに第4点
としては、アメ リカお よび ドイ ツの企業再生 について、企業再生時 に どの よ うな処理 。手続 が行われ、会社法・税法等 において どの よ うな措置が とられ、また どの よ うな議論 がな され てい るかを考察 し、 日本 の制度 との比較検討 を行 う。 そ して、最 後 の論 点 と して は、税法 。会社法 。会社更生法 。民事再生法等 の視点か ら総合的に分析 。 検討 し、理論 的 、実践 的 に望 ま しい企業再生税制 のあ り方 を提言す る。本論 文 の内容構成 は、全 11章か らなる。まず第
1章
「序論」においては、本論文の問題1
高橋祐介 「企業再生 と債務免除益課税」『 総合税制研究』第12号
(2004年 3月 )162‐198頁
。高橋祐介「事業再生 と法人課税」金子宏 。中里実・J.マーク・ラムザイヤー編『租 税法 と市場』(有斐閣、2014年
)415‐431頁
。所得税法上の債務免除益課税 について詳細 に検討 している論文 として、増井良啓「債務免除益をめぐる所得税法上のい くつかの解釈 問題 (上)」『 ジュ リス ト』第1315号
(2006年 7月)192‐199頁
。増井良啓 「債務免除益 をめぐる所得税法上のい くつかの解釈問題 (下)」『 ジュ リス ト』第1317号 (2006年
8 月)268‐273頁
。‐2‐
提 起 。先行研 究 、お よび研 究方法 。構成 について述べ る。次 に、第
2章
「企業再生の現状と法務 の概要」 においては、 日本 の経済状況や倒産状況 について述べ、財務 内容改善のた めに どの よ うな方法が とられ てい るのか考察す る。 また、法的整理 と呼ばれ る会社 更生法 に よる会社更生手続 、民事再生法 による民事再生手続 、お よび私的整理 に よる再生手続 の 方法 について実体法 に基づいて概要等 を述べ る。
第
3章
「企業再生 と債務 の株式化」においては、企業会計、会社法お よび法人税法にお けるDESの
概念や処理方法等 を分析す るこ とに よ りDESの
概 要 につ いて、DESの
意義 、 導入 の経緯 、DESと
金銭 出資型 のDES(以
下、擬似DESと
い う。)と
い った類型 な どを 述べ る。特 に、会社法 においては、券面額説 と評価額説 といった2つ
の見解 があ り、会社 法上 はいずれ を採用す るかに よ り会計処理が異 な るこ とについて述べ る。 また法人税法 に おいては、擬似DESの
取扱 いお よび組織再編成税制 の適用対象 となったDESに
関 して、債務者会社 お よび債権者会社 か ら課税 関係 を適格現物 出資 と非適格現物 出資 とに分 けて検 討す る。
第
4章
「債務の株式化の法的性格 に関す る判例の分析 。検討」においては、DESか
ら債 務 消滅益 (免除益)が
生 じるか否 かが争点 となつた最高裁判所平成23年
3月 29日判決 に ついての分析・検討 を行 う。当該判例 は、一般的なDESに
関す る もので はな く、関連会社 を介在 させ てDESを
実施 し、また、本件DESが
適格 現物 出資 に該 当す るな ど特殊 な もの とい えるが、DESに
係 る課税 関係 について裁判所 が判示 した数少 ない事例 であ り、本論文 を作成す る上で重要 である。特 に、DESの
法的性格 を法人税法上 どの よ うに解釈 し、債務 免 除益 として課税 し うるかについて分析・検討す る。さらに、擬似DESを
用 いたスキー ム に対 して法人税法第132条
を適用す るか否かが争点 となった東京高等裁判所平成13年
7 月 5日 判決 (日本 ス リーエ ス事件)を
用 いて擬似DESに
関 して分析・検討す る とともに、DESと
の課税 の整合性 に関す る問題点 を指摘 し論 じる。第
5章
「企業再生税制 における債権者 。債務者側 の法務 。税務」においては、まず企業 再生税制 にお ける債務者側お よび債権者側 の取扱 いを述べ る。 そ して、法人税法第59条
に規定 され てい る企業再生税制 の沿革等 を述べ、いかなる理 由か ら、当該規定が制定 され たのかについて考察す る。
第
6章
「企業再生 と繰越欠損金の税務」においては、欠損金 の繰越控除制度 について制 度 の趣 旨を述べ 、会計上お よび税法上にお ける欠損金 の意義や概念 を比較・検討す る。 ま た、税法上 においては、欠損金 の繰越控除期間について期 間制限 を設 けてい るが、 この点‐3‐
について も租税負担 の公平等 の観点か ら検討 を行 う。
第
7章
「企業再生方法に対す る税法的分析 。検討」においては、債権放棄 (債務免 除)お よび
DESに
よる債務免除益課税 の根拠 について益金概念 か ら検討 を行 う。 また、企業 再生税制 の問題 点 を述べ るにあた り、 日本航空株式会社 の事例 を題材 として、租税公 平主 義 、す なわ ち租税 の公 平性 。中立性 の観点等か ら考察 を行 う。第
8章
「アメ リカにお ける企業再生 と税制」においては、アメ リカの企業再生の状況お よび米 国連邦倒産法 (Bankruptcy Code)の第 11章 (Chapterll)についての概要 を述べ、企業再生税制 として規定 され てい る内国歳入法 (Internal Revenue Code)第
108条
の解 釈・ 適用等 について分析・ 検討 を行 う。 アメ リカにおいて も、債務免 除益 については総所 得 に算入 され る。 しか し、日本 でい う民事再生法 と同様 の手続 きであるChapterllが
適用 され た場合 には、Chapterllに
よ り生 じた債務免 除益 については総所得不算入 とし租税属 性 の減額 が な され る。 この よ うな取扱 いの妥 当性等 を含 めて分析・検討す る。第
9章
「ドイツにおける企業再生 と税制」においては、ドイ ツの企業再生税制 の概要 を 述べ 、再生利益 (Sanierungsgewinn)等 の取 り扱 いについて検討 を行 う。 ドイ ツにおいて は、
DESは
簡易 の減 資 と現物 出資の2段
階手続 と解 され てお り、日本 と同様 に債務者企業 の処理方法 として再生利益 (債務免 除益)が
生 じる時価説 と券面額説 とが対立 してい るた め、ドイ ツで どの よ うに議論 されてい るのか分析 。検討す る必要 がある。 また、法人税法 上、「最低課税制度」と呼ばれ る制限措置の導入 はあるが、原則 として欠損金 は無期 限に繰 り越 す ことがで きる。欠損金 の取扱 いについて も、 日本 と異なつてい るため当該内容 も含 めて企業再生税制 について比較・検討 を行 う。
第
10章
「企業再生税制に対す る総合的分析・検討 と解決策」においては、第2章
〜第 9 章 まで において検討 してきた DES、 擬似 DES、 欠損金 の繰越控除制度、企業再生税制 に お ける論 ′点を整理 し、アメ リカ、ドイ ツの企業再生税制 と比較 。検討 を行 い、租税公平主 義 、す なわ ち租税 の公平性・ 中立性 の観 点等か ら再び論考す る。 そ して、現行法の問題点 の整理・検討 を行い、 当該 問題 点について解決策 を提言 し、その妥 当性 について論究 し、
最後第 11章 「結論」に至 る。
第 2章 企 業再 生の現状 と法務の概要 第 1節 経済情勢 と企業再生
バ ブル崩壊や
2007年
の米国にお けるサブプ ライ ム ロー ン問題 に端 を発 した世界金融危 機 に よる土地や株式 の価値 の下落 は、景気 の低迷 による企業業績 の悪化 とあわせ て不 良債 権 問題 を発 生 させ 、その結果 として2008年
、2009年
頃 に倒 産す る企 業が増 えた。しか し、2015年
度 においては、倒 産件数 は8,517件と2014年
度 の倒 産件数 9,180件 に比べ て7.2%
減少 し、
6年
連続 で前年 を下回つてお り、以前 に比べ て景気 回復基調 を示 してい る2。 しか し、未 だ多 くの企業が経営不振や経営状態 の悪化 に陥 つてお り、如何 に して企業 を再生 し てい くか、企業努力が重ね られ てい るこ とも事実である。また、世界金融危機等 による景気低迷 によ り資金繰 りが厳 しくなった中小企業の救済の た めに、中小企業金融 円滑化法が
2009年
に施行 され た。 これ は、中小企業か ら返済の猶 予等 の 申請 を受 けた金融機 関はできる限 りこれ に応 じるよ うに しなけれ ばな らない とい うもので ある。 この法 の適用 を申請 した企業 は、約
327万
件(2012年
3月現在)と
され て お り、その うち返済猶予等が実行 され た割合 は約93%と
され てい る。これ によ り、倒産 の 危機 か ら救 われ た 中小企 業 は多 く、実際 に倒産数 も減少傾 向にあった。 この法 はす でに、廃 止 され てい るが、その出 回戦略が功 を奏 し、債務 の リスケジュール も継続 されてい るこ とか ら倒産数 も抑制 され てきてい る3。
この よ うな、経済情勢 の変化等 に よ り倒産法の改正や見直 しが要請 され 、
2000年
におい ては、和議法の廃止 に よ り民事再生法が施行 され倒産法制 が整備 され てきてい る。 それ と 並行 して、私的整理 に よるスキー ム も整理 され るな ど、様 々な状況 の企業 に対応 できるよ うに改正 され て きたのであ る。近年 においては、私的整理 によるスキー ムに対 して、企業 再生税制 が適用 が され るよ うにな り、税制面 においては法的整理 とそれ ほ ど差がな くな り 支援 の幅 が広 が って きてい る。そのため、法的整理 と私的整理のいずれ か を選択すべ きか2
帝国データバ ンクHP「
全国企業倒産集計2015年
報」httpWwww.tdb.co.jpノ tosan/syukei/pdf/15nen.pdf(2016年 10月 )
2013年
度は10,332件の倒産が報告 されている。ただ し、当該倒産数集計の数値は、法 的整理 (会社更生法、民事再生法、破産法、特別清算)の
もののみであ り任意整理は除 外 されている。3
中山孝雄 「破産・民事再生事件の動向 と事例か ら見たい くつかの課題」『 事業再生 と再 建管理』第149号
(2015年 7月)47頁
。‐5‐
につ いて、例 えば事業価値 の毀損 を考慮 しては じめに私的整理 を選択 し、それ が不調 な場 合 に法的整理 を選択 し移行す る方が合理的 と思われ ることも多 く、それぞれ の企業 の形態 や財 務状態 に応 じて企業再生スキー ムを適切 に判断す ることが重要 となってきてい る。
第 2節 企 業再 生の ための財 務 内容 改善 方法
1.債 務整理による方法
企業が過大な債務 を抱 えてい る場合 は、その利払いや元本返済の負担 が大 きい ことか ら、
キャ ッシュフロー を悪化 させ る原 因 となってい る場合 が多い。 この ことか らも、企業再生 で重要 となるのが、債務 の整理や債務超過 の解 消である。債務超過 の解消方法 としては、
債権放棄 、リスケジュール、債務 の株式化 (Debt Equity Swap、 以下
DESと
い う。)、Debt Debt Swap(以
下、DDSと
い う。)、 Discounted Pay Off(以 下、DPOと
い う。)や
増減 資 な どが あげ られ る。 さらに、会社分割や事業譲渡、第二会社方式 とい う収益性 の見込 める 事業 を会社分割や事業譲渡 によ り新設会社 (第二会社)に
移 転 し、その対価 を移転元法人 の債権者へ の弁済原資 にあて る といつたM&Aを
活用す る方法 もあげ られ る4。 以 下 にお いて、債務整理 の方法 をそれぞれ あげて考察す ることにす る。1つ
日として、債権者 の債権放棄があげ られ る。債権放棄 は、債権者 の協力 を得 て負債 を大幅 に圧縮す る方法である。債務超過 による財務 内容 を改善す るためには最 も有効 な手 段 ではあ るが、一般的 には法的整理等 の手続 きを踏 まなけれ ば、債権放棄 を受 けることは 難 しい とい える5。2つ
目に、 リスケジュールが あげ られ る。 リスケジュール とは、融資 を受 けてい る金融 機 関等へ の返済が厳 しくなった場合 に、債務者企業の現状 と今後 の見通 しか ら、返済可能 なスケジュール を考 え、毎月の返済額 を減 らした り、利息 を減免 した り、返済期 間を延長 す る等 の条件緩和 を受 けるこ とをい う6。 この リスケジュール によ り、月々の返済額や利息 の支払額 が減少 し、その減少分 の資金確保 がで き資金繰 りに余裕 ができる。経営難 に陥つ4
太 田達也『 事業再生の法務 と税務』(税務研究会出版、2013年 )7頁
。5
野村智夫・竹俣耕一『 企業再建 。清算の会計 と税務 (第4版
)』 (中央経済社、2011 年)5頁
。6
山崎彰三『 事業再生の実務』(日本公認会計士協会出版局、2012年 )126頁
。‐6‐
てい る企業 は、企業再生な どの再生 スキー ムのなかで この リスケジュール を行 うこ とが多 い。
3つ
目として、DESが
あげ られ る。DESと
は、債権者 と債務者 の合意 に よ り、債務者企 業 の債務 を株式化す るこ とである7。DESに
よ り再生が成功 した場合 は、債権者 に とつて は債権 と交換 した債務者企業の株式 の価値上昇が期待 できる とい うメ リッ トもあるが、失 敗 に終 わ つた場合 は株 式 が無価値 になるな ど債権放棄 の場合 とあま り変わ らない状態 とな つて しま うリス クもある。DESに
ついては、第3章
お よび第4章
で詳 しく述べ る。4つ
目と して、DDSが
あげ られ る。DDSと
は、金融検査マニュアル に基づいて債権者(主に金融機 関
)が
債務者企業 の債務 (主に貸付金)を
、別 の条件 に よる債権 に振替 える こ とをい う8。 通常 は、当該債権 が他 の債権 よ りも劣後す る 「劣後 ロー ン」に変更す る意味 で使 われ る。また、平成16年
の金融検査マニ ュアル の改訂 に よ り、中小企業等 においては 債権 の全部 または一部 を債務者 の経営改善計画の一環 として、一定の要件 を全 て満 たす資 本的劣後 ロー ン (貸出金)に
転換 してい る場合 には、金融機 関が行 う債務者 区分等 の判断 において資本 とみなす ことができるよ うになったため、当該債務者企業、債務者 区分等が 上位 に引き上げ られ 、安定的な資金調達が可能 とな り、再生可能性 が大幅 に高まるこ とと な る9。 したが って、DDSは
債務免 除やDESの
よ うに返済義務 を免れ るものではな く、劣 後化す る こ とに よ り実質的 に債務者企業 の財務状態が一定期 間改善 し、当該企業 の信用力・返済力な どが高 め られ ることか ら、当該企業 の再生可能性 が向上す るこ ととなるのである。
また、
DDSの
法的性質 は、 リスケジュール と同 じく条件 の変更であるため、債務者企業 は 会計 上 も処理 はな されず 、債務免 除やDESの
場合 に生 じる債務免 除益等が計上 され ることもないので課税上の問題 は生 じに くい といえる。
5つ
日として、DPOが
あげ られ る。DPOと
は、「債権 を額面額未満で購入 した第二次債 権者 が債務者 にその不 良債権 を再売却す ること、又は一定額 の回収 を条件 として残債権 を 放棄す るこ と」10をい う。このDPOは
、旧会社 に残 つた金融機 関等 の債務 を解 消す るため7
松嶋隆弘 「会社法のもとにおけるデ ッ ト・エクイティ・スワップ」『 日本法学』第75 巻3号
(2010年 1月)178頁
。8
藤原総一郎監修『企業再生の法務 (改訂版)― 実践的 リーガルプロセスのすべて 一』(一般社団法人金融財政事情研究会、
2012年 )263頁
。9
金融庁HP『
金融検査マニュアル別冊 【中小企業融資編】平成27年
1月』http 7/www.fsa.go.jp/manua1/manua巧 /manual yOkin/bessatu/yl‐
01.pdf(2016年
8 月)10
山崎 彰 三『 事業再 生 の実務』(日本 公 認 会 計 士協 会 出版 局 、2012年 )126頁
。7‐
に利用 され るこ とが多いが、 旧会社 には債務免 除益が発生 し、課税上の問題 が生 じること もあ るので注意 が必要である。
2.組 織再編等による手法
債務 の整理 ではな く、資産の整理 を行 うことも企業再生の1つの手法 ともい える。例 え ば、財務状況 が悪化 してい る企業 において、継続す る価値 のある事業や黒字の事業 を、事 業譲 渡 に よ り新設会社や他 の企業 (第二会社
)に
承継 させ 、収益性 のない事業等が残 つた 旧企 業は残務整理 を行 つた後 に清算 な どによ り整理す る方法である。 さらに、収益性 のな い事業等 を新設会社 (第二会社)に
承継 す る会社分割 を行 い、継続す る価値 のある事業や 黒字 の事業が残 つた旧企業 を存続 させ る方法 もあげ られ る。 これ らは、第二会社方式 と呼 ばれ 、重要なポイ ン トとしては、移転 した事業 の価値 に見合 つた相 当な対価 を旧企業 に交 付 し負債 の支払・ 整理 に充 当す ること、お よび債権者 の理解 を得 ることがあげ られ る11。この よ うな第二会社方式 による企業再生方法 は、従来か ら中小企業の再生手法 として利用 され るこ とが多かったが、租税負担 の問題等い くつか利用 しに くい部分 があったの も事実 であ る。そ こで、
2009年
の産業活力再生特別措置法 の改正 に よ り、新 たに中小企業承継事 業再生計画 の認 定制度 が創設 され 、そのなかで第二会社 を設 立 した場合お よび不動産 を移 転 した場合 に課 され る登録免許税 の軽減等の問題 点 を解決す るための具体的な支援策 が策 定 され 、 よ り多 くの中小企業が利用す ることとなったのである。第 3節 法 的整 理 型 に よ る再 生 手続
1.法 的整理の概要
現在 、 日本 においては、破産 (破産法)、 更生 (会社 更生法)、 再生 (民事再生法)、 特別 清算 (会社法
)の 4種
類 が裁判所 の倒産手続 き となってい る。 これ らのなかの法的整理型 の再生手続 は、会社更生法 に よる会社 更生手続、民事再生法 による民事再生手続 を示す (以下、法的整理 の再生型 に限 り 「法的整理等」 とい う。)。 そ して、私的整理型 について も清
11
太田達也『事業再生の法務と税務』
(税務研究会出版、2013年 )158頁 。
‐8‐
算型 と再生型 が ある (以下、私 的整理 の再生型 に限 り 「私的整理」 とい う。)。 3。で詳 しく 述べ るが、大 きな くく りで法的整理 と私的整理 を比較 した場合 、以下の よ うな相違 点お よ び メ リッ トやデ メ リッ トが挙 げ られ る。
法的整理 と私的整理 の主 な相違点 としては、法的整理 は裁判所が関与す るが、私的整理 では裁判所 は関与せず特別 な法規 も存在 しないため、関係者 の協議 によ り様 々な手法が存 在す るこ ととな る。 この ことか ら、私的整理 においては、債権者 との合意 があれ ば 自由に 手続 を決 め るこ とがで きるので、柔軟 で迅速 な対応 ができる とい うメ リッ トがあげ られ る。
しか し、私的整理 においては原則 として債権者全員 の同意が必要であることか ら、会社が 提示 した再生計画案 に反対す る債権者 が一人で もいた場合 、その債権者 を拘束す るこ とは で きない とい うデ メ リッ トもある。一方で、法的整理 の場合 は、裁判所 が関与す る強制的 な手続 であるこ とか ら一定額以上の債権 を有 してい る債権者 の同意があれ ば、例 え一部 の 債権者 が反 対 した と して も再生計画 を進 めてい くことが可能 とな る。 また、法的整理 は裁 判所 が関与す る こ とか ら、手続 の透 明性や公正性 が高い とい うメ リッ トがあげ られ るが、
計画認 可決 定が され るまでの期間が長 く、迅速性 に欠 けるとい うデ メ リッ トもあげ られ る。
さらに、法的整理 では利 害調整 の対象 となる債権者 の範 囲が、原則 として全ての債権者 を対象 としてい るのに対 して、私的整理 においては全債権者 を対象 とせず主に金融債権者 を対象 とす る とい う点が相違 点 として挙 げ られ る12。 法的整理 の場合 は商取 引債権者 を含 む全債権者 が対象 とされ ることか ら、私的整理 に比べ て取引先の信頼喪失 による事業価値 の毀損が著 しく大 きい点がデ メ リッ トとしてあげ られ る。一方、私的整理 の場合 は、債務 免 除の交渉 を金 融機 関に限定す ることも可能であ り、商取引債権者 は除外 され る場合 も少 な くない こ とか ら、取引先 に手続 の開始 を知 られ ないで再生 を図 ることができるので事業 価値 の毀損 が抑 え られ る とい うメ リッ トが挙 げ られ る13。
この よ うに、法的整理 と私的整理 には、それ ぞれ メ リッ トとデ メ リッ トがあ リー概 に ど ち らの手続 きが よい とは言 えないが、案件 ごとに最適 な手続 を適用 してい くのが通常であ る。 また、企業再生 にお ける債務免除等 を行 う場合 は、法的整理 である会社更生法 に よる 更生手続 、民事再生法 による再生手続 、お よび私的整理 による私的整理手続 きが関係 して
くる。以下、それぞれ について述べてい く。
12
古川和典『再建型倒産手続 実務ハンドブック ‐ 民事再生 。会社更生 。私的整理‐ 』
(ぎ
ょうせい、2015年 )3頁 。
13
大田達也『事業再生の法務と税務』
(税務研究会出版局、 2013年 )5頁 。
‐9‐
2.会
社 更 生 法 に よ る 更 生 手 続会社 更生法 とは、更生手続 開始 の原 因 となる事実 を有す る窮境 な株式会社 について、更 生計画 の策定お よびその遂行 に関す る手続 を定 めること等 によ り、債権者 、株 主その他 の 利 害 関係 人 の利 害 を適切 に調整 し、当該株式会社 の事業の維持更生 を図 ることを 目的 とし てい る (会社 更生法第
1条
)。 この法律 に よ り、会社更生手続 が行 われ ることになるが、申 立対象 としては株式会社 のみであ り医療法人等 の特殊法人 に適用 はない。 ここで、会社更 生手続 とは、 当該法律 の定める ところによ り、更生計画 を定 め、更生計画 が定 め られ た場 合 に これ を遂行す る手続14をいい (会社 更生法第2条
)、 「原則 として、裁判所が選任す る 更生管財人が手続 きを主宰 し、資産 も全面的 に時価 で再評価 し、担保権 も租税債権 も労働 債権 も手続 内に組 み込んで制約 し、資本 関係 も原則 として再構成す る強力 な手続」15をいう。
東京 地方裁判所 が明示 してい る会社更生手続 の標準的 なスケジュール として、 申立て 。 保 全管理命 令 を経て、開始決 定が され るまでが標準で
1か
月かか る とされ てい る (迅速 な 処理 が必要 な場合 においては、1週間程度 で開始決 定 が され る場合 もある)。 また、開始決 定 と同時 に更生管財人が選任 され る (会社 更生法第42条
)。 更生管財人 は、主 に、事業価 値 の維持 。保 全 。強化 、資産の策定、負債 の調査確 定、更生計画案 の策定 を行 う。そ して、更生管財 人 は、策定 した更生計画案 を裁判所 に提 出 し、債権者 に信義 を問 う。 その結果、
更生計画案 に対 して、関係人集会で権利 の種類 ご とにな され る決議 で承認 (更生債権者 の 組 においては、過 半数 、更生担保権者 の組 では議決権総額 の
3分
の2以
上 の多数で決定 さ れ る。)さ
れ た場合 (会社 更生法第89条
〜第196条
)、 法律上 の問題 がな けれ ば裁判所 か ら認 可決定 され (会社 更生法第199条
)、 更生計画 が遂行 され ることとな る。 開始決 定か ら認 可決定 され 更生計画が遂行 され るまで約1年
かか る。 また、終結決定 については、更 生計画が遂行 され た場合 、更生計画 の定めによつて認 め られ た金銭債権 の総額 の3分
の 2 以上 の弁 済が終了 し、かつ更生計画 に不履行 が生 じていない場合 、その他更生計画が遂行 され るこ とが確 実である場合、約10年
〜15年
かか る とされ てい る(会社 更生法第239条
)。14 更生手続 開始 の 申立て について、
よび裁判 をす る手続 を含む。
15 事業再 生研 究機構税務 問題委員会 版)』 (商事法務 、
2011年 )63頁
。更生手続開始の決定をするかどうかに関する審理お
『事業再生における税務 。会計
Q歓
(増補改訂‐10‐
会社 更生法 の適用 については、
2012年
が15件
、2013年
が3件
、2014年
が2件
、2015年
は
1件
となってお り、減少傾 向にある。また、上記で説 明 した手続 の他 に
DIP(Debtor in Possession)型
会社 更生 とい う手続 きが存在す る。DIP型
会社 更生 は、平成20年
において、東京地方裁判所民事第8部
の裁 判官 がDIP型
の手続 開始 の要件等 を論文で公表 し、平成21年
1月 か ら申立てがあったヶ― スか ら運用が開始 され てい る。この
DIP型
会社 更生 は、従 来 の会社更生手続 においては、経営者や株 主 は地位 を失い更生手続 に時間 を要 して しま うため、民事再生法 の適用が増加 した こ とに伴い東京地方裁判所民事第
8部
の裁判官 による会社更生法の運用変更によ り導 入 (法改正 ではない。)さ
れ たので ある。DIP型
は、現経営陣が会社更生 を申立てた後 も、引き続 き経営陣 として残 り更生管財人 とな るこ とに特徴 があ り、適用条件 として、①現経営陣に不正行為等の違法 な経営責任 の 問題 がない こと、② 主要債権者 が現経営陣の経営関与 に反対 してない こ と、③ スポンサー とな るべ き者 がい る場合 はその了解 があること、④現経営陣の経営関与 によって会社 更生 手続 の適正な遂行 が損 なわれ るよ うな事情が認 め られ ない ことといった要件 が定め られて い る16。 この よ うな要件 をすべて満 た した場合 、事業 に精通 してい る現経営者 を更生管財 人 と して選任 で きることとな り、事業が滞 るこ とな く、短期 間17での再生が可能 となる とされ てい る。
DIP型
は、2008年
以降 申請事例 が20案
件 を超 えてい る。適用事例 として、2010年
9 月 には 旧株 式会社武 富士、2012年
にはエル ピー ダメモ リ株 式会社 、新藤電子工業株式会社 等 の事例 があげ られ る。 しか し、一方 で2011年
には1件
も申請 がなか った。 それ は、高 度 な技術や知識 が必要 な専門性 のある事業 を行 つてい る会社 では、事業 に精通 した経営陣 が引き続 き再生計画 に参加す ることで企業再生 を円滑に遂行 できる とい うメ リッ トがある 反 面、企 業 を倒産 させ た経営陣が引き続 き再生計画策定に参加す ることに よ り責任追及が 甘 くな るな どのデ メ リッ トや 、主要債権者 の賛同 を得 ることが困難 な場合 が多い ことが関 係 してい る と考 え られ る。16 難波孝一・渡部勇次・鈴木謙也・徳岡治 「会社更生事件の最近の実情 と今後の新たな 展 開 ―債務者会社 が会社 更生手続 を利用 しやす くす るための方策 ―
DIP型
会社 更生手続の運用 の導入 を中心 に
」『 旬刊金融法務事情』第
1853号
(2008年 12月)24頁
。 17認 可決定まで約23週
かかるとされてお り、約3年
で終結決定とされている。3.民
事 再 生 法 に よ る 再 生 手 続民事再生法 とは、経済的 に窮境 にある債務者 について、その債権者 の多数 の同意 を得 る こ と、かつ、裁判所 の認 可 を受 けた再生計画 を定 めること等 によ り、 当該債務者 とその債 権者 との間の民事上 の権利 関係 を適切 に調整 し、 もつて 当該債務者 の事業又は経済生活 の 再生 を図 る こ とを 目的 とす る法律 である (民事再生法第
1条
)。 民事再生法 は、和議法 の廃 上 によ り2000年
に制定 され た。申立対象 は、会社 更生法 の よ うに限定 してお らず、個人等や株式会社や 医療法人等、様 々 な法人お よび個人が対象 となってい る。この法律 によ り、「原則 として債務者 自身 に よる手 続遂行 が認 め られ 、担保権 。租税債権 。労働債権 も手続外 として、一般債権者 のみ を対象
とす る迅速かつ軽 い手続」18でぁる民事再生手続 が行われ ることとなる。
東京 地方裁判所 が発表 してい る民事再生手続 の標準的 なスケジュール として、まず再生 企業 は、各種書類等 を裁判所 に提 出 し申立てをす る。 この申立てか ら開始決定まで、約 1 週 間かか る とされ てい る。 開始決定 され てか ら、再生債務者 は財産価額等 の評 定を行 い裁 判所 に提 出す る (民事再生法第
124条
)。 そ して、再生計画案 を作成 し提 出 し、債権者集会 が開催 され る。 この債権者集会 において、議決権 を行使 できる債権者 の うち出席者 が過 半 数 で あつて、議決権者 の議決権 の総額 の2分
の1以
上 の議決権 を有す る者 の同意 によ り可 決 され る (民事再生法第172条
の3)こ
とに よ り、裁判所 は認可決定 を行 う。 ここまで、申立てか ら約
5か
月 とされ てい る。 また、終結要件 としては、監査委員 が選任 され ていな い場合 は、再生計画認 可決定の確 定時 に終結 し (民事再生法第188条 1項
)、 監査員が選 任 され てい る場合 は、再生計画 を全 て履行 した とき、または認 可決定確定後3年
を経過 し た ときかのいずれ か早い時期 となってい る (民事再生法第188条 2項
)。この よ うなスケジュー リングで行 われ る民事再生手続 は、担保権 の実行手続 の中止命令
(民事再生法第
31条 )や
担保権消滅請求 (民事再生法第148条
〜第153条 )と
い った制 度 が あ り、原則 として担保権や税金 に対 して制約 を及 ぼ さないが、会社 更生手続 では、開 始決 定 に よ り担保権 の実行手続 が中止 され る (会社 更生法第50条 )と
い う相違点がある19。 さらには、会社 更生法 とは異 な り、経営者 の退陣が必ず しも要件 とされ ていない点や、
18 岡正晶 「第
1章
総論」事業再生研究機構税務問題委員会編『事業再生における税務・会計
Q&A(増
補改訂版)』 (商事法務、2011年 )63頁
。19 中里実監修 「税理士のための法律学講座」『税研』第
20巻 3号
(2004年 11月)50
‐12‐
更生手続 よ りも手続 が簡素化 され比較的時間 も短い とい う点が挙 げ られ る。 この よ うな こ とか ら、負債額 が小 さく、債権者 の数が少 ない中小企業な どに とっては、利用 しやすい手 続 とされ てい る。 しか し、現状 は、社会的 に大 きな影響 を与 える大会社 を対象 とした会社 更生手続 き と比較 して、手続 きの簡素化や経営陣が退陣 しな くて もよい とい う点か ら、大 会社 において も民事再生手続 を申請す るケースが少 な くないの も事実である。現経営陣が 退 陣せず再生手続 をす ることに対 して不満 が大 きいケースではそれが問題 とな り、再生計 画 が うま く進 まない場合 もあることか ら、企業 の債権や財産状況 、債権者や商取引債権者 の意 向等 を含 めて民事再生手続 を申請す るか判断す ることが重要である。
再生手続 の適用 は、倒産企業が多 くなった
2001年
には 1,019件とピー ク とな り、その 後2008年
には935イ牛、2009年
には657イ牛、2010年
には480イ牛、2011年
には497件
と 年 々減少傾 向 となってい たが、2011年
度 は、2年
連続 で500件
を下回 つた ものの3年
ぶ り の増加 となつた20。 また、過去12年
間(2012年
まで)の
再 生手続 の経過状況 を見 る と、民事再生法 を申請 した8,732件の うち、再生計画の認 可決定 までに進んだ企業が5,889件 判 明 し、全体 の
67.4%に
達 した。 この うち再生手続 を終結 した企業 は、4,071件となって お り、全体の46.6%が
す で に手続 を終 えてい る こ とが分かってい る21。第 4節 私 的整理型による再生手続
かつ ての私的整理 は、特定の法律や統一的なルール等が存在せず、当事者 間や債権者 と 債務者 の直接 的 な交渉 に よる債務 の整理 が主流 であった ことか ら、任意整理 とも呼ばれ て いた。 この任意整理 は、特別 なルールがない ことか ら柔軟 な対応 が可能 とな る反面、手続 の不透明 さや公 平性 に対 して指摘 され ることも多かった。 そのため、私的整理 をよ り円滑 に行 えるよ うに、その方法が整備 されて きたのである。
そ の よ うな流れ のなかで整備 され て きた私的整理 の代表 的な手法 として、「私的整理 ガ イ ドライ ンに よる整理方法」、「整理回収機構
(RCC)に
よる整理方法」、「事業再生ADRに
頁
2︒
2013年
度 は331件
、2014年
度 は291件
、2015年
度 は246件
と減少傾 向にある。帝国データバンク
HP「
全国企業倒産集計2015年
報」http.lヽww.tdb.co.jpノtosan/syukei/pdf/15nen.pdf(2016年 10月)
21
帝国データバ ンクHP「
民事再生法申請企業の動向調査」httpソノwww.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p120404.pdf(2016年 8月)
13‐
よる整理方法」、「中小企業再生支援協議会による整理方法」、「地域経済活性化支援機構 (1日
企業再生支援機構
)に
よる整理方法」の5つ
の手法が挙 げ られ る。1.私
的 整 理 ガ イ ドラ イ ン私的整理 ガイ ドライ ンに よる手続 とは、「私的整理 に関す るガイ ドライ ン」に従 い、債権 者 と債務者 の合意 に基づ き債務等 の整理 を行い再生 を図 る方法である。私的整理ガイ ドラ イ ン とは、「平成
13年
9月 に、全国銀行協会 に事務局 を置いた『 研 究会』か ら発表 された、我 が国初 とな る本格 的 な私的整理の手続 に関す るガイ ドライ ン」22でぁ る。 私的整理 に関 して は、大 きな メ リッ トもあつたが、従来か ら、私的整理 による債権放棄 については、透 明性や公 平性 に疑義 があるとい う批判や、債権者 を賛同 させ ることに相 当な労力 と時間 を 要す る とい う指摘 がな され ていた。 そ こで、企業 の私的整理 に関す る基本的な考 え方 を整 理 し、私的整理 の進 め方、対象 となる企業、再建計画案の内容等 についての関係者 の共通 認識 を醸成す るた めに、平成
13年
に「私的整理 に関す るガイ ドライ ン研 究会」が発足 し、「私的整理 に関す るガイ ドライ ン」 を取 りま とめたのである23。 この よ うに、私的整理 ガ イ ドライ ンは、主に多数 の金融機 関が有す る多額 の金融債権 を整理す るための手続 として 立案 された ものであ り、あ くまで金融界・ 産業界 を代表す るものが合意 した、いわゆる紳 士協定 として位 置づ け られ る24。 私的整理 ガイ ドライ ン手続 は、通常一時停止通知か ら約
3か
月 で成否 が決定 され 、迅速 に運用 されてい く。特 に、会社更生手続や民事再生手続 の よ うに開始原因が明定 され ていない ことか ら、早期 に手続 に入 ることが可能 なのである。この よ うに、早期かつ抜本的な再生 を行 うとい う大 きなメ リッ トが挙 げ られ る。 さらに、
私的整理 ガイ ドライ ンに よる手続 の場合 、金融機 関のみ を対象 とす ることが一般 的であ り、
法的整理 の よ うに商取 引債権者 を取 り込む必要がな く、そのため債務者 のブ ラン ドカや商 品供給が確保 され る等の事業価値 の毀損 を最小限に しなが ら再生 を遂行 で きる とい うメ リ
ッ トも挙 げ られ る。
22
事業再生研究機構税務問題委員会『事業再生における税務 。会計Q歓
(増補改訂版)』 (商事法務、
2011年 )65頁
。23
私的整理に関するガイ ドライン研究会 (全国銀協会)HP「
私的整理に関するガイ ド ライン」httpソww̲zenginkyo.o■jpノnews/entryitems/news171104̲2.pdf(2016年 8 月)24
福 田啓 「デ ッ ト・エクイティ・スワップ (債務の株式化)の
現状 と課題」『住生総研 レポー ト』第14巻 3号
(2002年 4月)5頁
。14‐
私的整理 ガイ ドライ ンは、
2001年
の制定後 において積極的 に活用 され ていたが、現在 ま での利用状況 の集計が公表 され ていないため、正確 な累計の 申請数 は不明である。しか し、帝 国デー タバ ンクが発表 してい る私的整理 ガイ ドライ ンの適用企業数 に よる と、
2005年
は
10社
、2006年
は7社
とな り、2006年
まで に35社
が私的整理 ガイ ドライ ンを適用 して い る とされ てい る25。一方で、私的整理 ガイ ドライ ン手続 は、対象 の債権者 の全員 が同意 しなけれ ば再生計画 が成 立せず、再生計画案 の内容が厳格 であ り手続 が比較的重い こ とか ら、公表 か ら
1年
後 において、利用累積数 は6件
に とどま るな ど、その件数 は伸び悩んだ。 この理 由 として、同ガイ ドライ ンは、主要債権者が債務者 とともに再生手続や計画案 を作成 し、主要債権者 以外 の債権者 か ら同意 を得 なけれ ば再生計画が成立せず、主要債権者 の資金面や手続 面な どの負担 について も大 き くな るな ど、そのキャパ シテ ィがない主要債権者 による再生案件 も多 くある こ とか ら、メガバ ンク等 の資金 面等 で負担 が可能 である会社 しか利用 できない とい う点が挙 げ られ る。 そ して、客観的な第二者 の関与がない ことか ら、手続 が不透 明で ある こ とや公 平性 が阻害 され てい るのではないか とい う指摘 があ り、中立な立場で債権者 と債務者 の利害関係 を調整 で きるよ うな公平性 を確保 した第二者機 関の必要性 が高まつて い つたのである。
2.整
理 回 収 機 構 (RCC)上記 の よ うな流れ のなかで整備 され てきたのが、株式会社整理 回収機構 (The Resolution and Collection Corporation:RCC)に よる第二者機 関が介在 した整理方法である。
RCC
とは、旧住 専債権 の整理回収 のために特定住宅金融専門会社 の債権債務 の処理 の促進等 に 関す る特別措置法 (平成
8年
法律第93号 )上
の 「債権処理会社」 として設立 され た住宅 金融債権管理機構 と、破綻金融機 関の不良債権等 の処理 のために預金保 険法 (昭和46年
法律第
34号 )上
の協定銀行 として設立 され た整理回収銀行 が平成11年
4月 に合併 して で きた、預金保 険機構 を株 主 とす る株式会社 である。こ うして設 立 された整理 回収機構 は、平成
16年
2月 16日 に、整理回収機構 が行 う私的整理手続 にお ける企業再生の手続 、再生25
帝国データバ ンク 「私的整理に関す るガイ ドライン適用企業動向調査」http.lヽwwidb.cO.jp/report/watching/press/pdf/p061001.pdf(2016年 8月)
15‐
計画案 の要件等 をま とめた、「
RCC企
業再生 スキー ム」 を制定 した26。 この 「RCC企
業再 生 スキー ム」 は、私的整理 ガイ ドライ ンの考 え方等 をモデル としてい るが、大 き く異な る 点 は公 的機 関27でぁる整 理 回収機構 が債権者 間の利害調整 を行 う点 にある。RCCが
行 う企 業再生業務 には2つ
あ り、1つ 目は、自らが債権者 として関与す る企業再生である (「債権 者 の立場 に よる再生」)。 これ は、「RCC企
業再生 スキー ム」の対象 となる企業再生は、RCC
が主要債権者 (再生対象債務者 に対す る金融機 関債権者 の うち、相対的 に上位 のシェアを 有す る と認 め られ る者
)で
あ る再生可能 な債務者 について、法的整理型 による方法 に よら ず 、金融債権者 間の合意 の下で事業 の再生 を行 わせ ることに よ り事業収益 か ら最大限の回 収 を図 るこ とを意 図 して行 われ るものである28。 ょって、「企業再生検討委員会」29を、RCC
の企業再生本部長 の諮 問機 関 として設置 してい る30。 しか し、債権者 に とつて経済的合理 性 が あ る と認 め られ る案件 の場合 のみ、事業の再生 を行 うものである。す なわち、全ての
「私的再生」 を対象 としてい るのではな く、事業 を清算 した場合 の回収額 よ りも当該事業 を再生 させ た場合 の回収額が上回 る案件 にのみ、
RCCに
よる企業再生が行 われ る31。 再生 の手段 としては私的整理 に限 らず 、法的整理の手続 も活用 し、企業の再生 を図 ることとな る。2つ
日として、主要債権者 である金融機 関等 か らの委託 によ り、公正 中立な立場 の債 務者 である企業 の再生可能性 を審査 し、金融債権者 間の合意形成 のための再生計画の検証 や金融債権者 間の調整 を行 うものである (「調整機 能活 用 に よる私的再 生」)。RCCに
よる企業再生スキームが発表 され、企業再生本部 が設置 され た2001年
か ら2015 年 3月 末 までの間 には、上記 の1つ目として挙 げた 「債権者 の立場 による再生」は695件 (RCCが
再生計画 の作成過程 において関与 した もの)あ
り、その うち法的再生 は88件
、 私的再生 は607件
で ある。上記 の2つ
日として挙 げた 「調整機能活用 による私的再生」に26
藤原総一郎監修『企業再生の法務 (改訂版)一 実践的 リーガルプロセスのすべて」
(一般社団法人金融財政事情研究会、
2012年 )12頁
。27 RCCは
、商法上の株式会社 として位置付けられ るが、法律に基づ く業務 を遂行す る ために設立 された公的な機関であるとされている。28
株式会社整理回収機構HP「 RCC企
業再生スキーム」https://www.kaisyukikou.co.jpノannounce/announce̲138̲1̲2̲1.htllnl(2016有 ■8月)
29
企業再生検討委員会 とは、企業再生計画作成着手の可否お よび企業再生計画の是非に 関す る判断の専門性および客観性 を確保す るため、企業再生に関 して専門的な知識や経 験を有す る外部の弁護士や公認会計士か らなる委員会のことである。30
株式会社整理回収機構HP「 RCC企
業再生スキーム」https:ノ/www.kaisyukikOu.co.jpノ an■ounce/announce̲138̲1̲2̲1.htlnl(2016有
18月
)31
太 田達也『 事業再生の法務 と税務』(税務研究会出版局、2013年 )225頁
。16‐