第 6章 企業再生と繰越欠損金の税務 .…
第 2節 欠損金の繰越控除制度における期間制限 と
典 と しての地位 にある とい う見解 もあるが、 当該制度 の本質 を検討す る限 り、む しろ当然 の規定である と考 え られ る133。
この よ うに、事業年度 は課税所得 を計算す る上で便宜的に区切 られてい ることか ら、経 済活動 の波動 に よって、ある事業年度 には所得 が生 じ、ある事業年度 には欠損金が生ず る とい う状態 が現 出す る場合、欠損金 を無視 して期 間所得 の課税 だ けをすれ ば、企業開始か ら終 了までの総体所得 を超 えるものが課税ベー スに取 り込 まれ ることにな り、租税負担の 公 平 とい う観点か らは妥 当ではない134。 したが って、欠損金 の繰越控除制度 は租税負担 の 指標 た る所得測定の合理的調整 として必要な措置であ り、当然 に認 め られ る制度である。
その意味では、調整 の対象 となる期 間は無制限 とす るのが企業会計 。税法上 も妥 当である と考 えることもできる。
で、適正な記帳 を要求 してい るのである。 わが国 においては、シャ ウプ勧告 を基調 とし青 色 申告制度 を導入 し、欠損金 の繰越控除 を認 めた。 しか し、シャ ウプ勧告 においては、「損 失額 が所得 で相殺 され るまで繰越 しを継続す る」 としてお り、欠損金 を無期 限に繰 り越す こ とを示 してい るが、わが国においては期間制限 を設 けることとしてい る。 これは、昭和
25年
度税制 改正 において は帳簿保存義務 が5年
で あった こ と、更正、決 定等 の期間制限が5年
で あつた こ とか ら、5年
間の繰越 とい った期 間制 限 を設 けたのである。法人税 の課税所得 に対す る納税義務 については、各事業年度 の終了の時 に成立 し、納税 義務者 の 申告 に よ り第一次的 に確 定す るこ とにな るが、租税行政庁が行 う更正 もしくは決 定 の処分 によ り第二次的 に確定す ることとな る137。 この よ うに、納税義務者 の確定手続 き につ いては、法人税 た る租税債権 の成立後 に可及的 にすみや かに行 われ るべ き性格 の もの であ り、その手続 きを無期 限にできる とす るこ とは、法的安定性・ 予測 可能性 の観 点か ら 問題 が生 じる。 その問題 を解決す るべ く期 間制 限 を設 けてい るのであって、その期 間制 限 につ いては、債権債務 関係 を律す る時効 と租税行政庁の更正 。決 定の権 限を律す る除斥期 間 とがあ る138。
前者 は徴収権 に関す る期 間制限であるが、一般債権や 商取引によって発生 した債権 につ いて も時効 の制度 があるよ うに、国 。地方公共団体の租税 に関す る債権 について も一定の 期 間制 限 として時効がある。 当該期 間制 限については、国 。地方公共団体 に対す る債権 の 時効 が原則
5年
で あるこ とか ら、更正決 定前 の租税債権お よび更正 。決定後の租税債権 (徴 収権)も
時効 は原則5年
とされ てい るが、脱税等 の特殊 な場合 の時効 については、法定納 期 限か ら最 大2年
間の不進行期 間が あ り、最長7年
間 とされ てい る (会計法第30条
、地 方 自治法第236条
、国税 通則法第72条
)。 一方後者 は、賦課権 に関す る期 間制 限であるが、法定 申告期 限か ら原則
5年
、脱税等 の場合 には7年
、欠損金額 については9年
の除斥期 間 の規定 を設 けてい る (国税通則法第70条
、第71条
)。 この よ うな措置 に よ り、法的安定 性・ 予測 可能性 が保 たれ てい るのである。上述 した賦課権 に関す る期 間制限において、欠損金 について
9年
間139と され てい る こ と 137金子宏『租税法
(第21版
)』 (弘文堂、2016年 )846頁 。
『会社税務釈義
(平成26年度
Digital版)第 8巻』
(第一法規、2015年
5月)4861
頁 。
Ю
8『
会社税務釈 義 (平成26年
度 Digital版)第 8巻
』(第一法規、2015年
5月)4861 B9
頁。平成28年
度税制改正 に よ り、青色欠損金お よび災害損失金 の繰越期 間お よび帳簿書 類保 存要件 にお ける保存期間 を10年
に延長す る改正が、平成30年 4月 1日
以後 に開‐72
か らも、法人税法第
57条
に定 め る欠損金 の繰越控除期間に相互 に影響 を与 えてい る。 こ れ は、当該欠損金 の性質 は、将来の課税所得 の計算上、その所得 か ら控除できるものであ り、課税所得 に影響 を与 えるものであるため、適正公平な課税 の確保 とい つた観点か らも 当然 の規 定で あ る。 したがつて、適正公平な課税 を確保す るため、欠損金 の繰越控除につ いては、資産、負債お よび資本 に影響 を及 ぼす一切 の取引につ き、複式簿記 の原貝1に従 い、整然 とかつ明瞭 に記録 し、その記録 に基づいて課税所得 の算定 を行 うこ ととなってお り、
その課税所得 の算定の もととなつてい る帳簿書類等 についての保存義務 が課せ られ てい る のである (法人税法施行規則 第
53条
、第59条
)。前述 した よ うに、企業 は継続企業 を前提 としてお り、営利活動 を行 つてい る期間の全 て が課税対象 となるはず であるか ら租税負担 の公平 の観 点か らは本来であれ ば無期限に欠損 金 の繰越控除 を認 めるべ きであ り、それ が欠損金 の繰越控除制度 の本質 。趣 旨である。 し か し、税法上は、欠損金額が正 しい金額 であることを立証す るための証拠書類等 の保存義 務 の期 間、更正等 の賦課権 の除斥期 間お よび徴収権 の時効等 の よ うに期 間が制 限 され てい るこ とを考慮す る と、欠損金 の繰越控除の期間 を無期 限 とす るのは平等 な取扱 いか らも妥 当ではない と考 える。
始す る事業年度 において生ず る欠損金額 について適用す るこ ととされ た。
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